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とある3年4組の卑怯者

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129 極悪人(ゆるされざるもの)

 
前書き
 堀内と隣町の親分によって引き起こされた校内テロによって藤木達の学校は混乱していく。そんな中大野と杉山が、ブー太郎が、まる子の姉ら六年生などが奮闘していた!!一方、堀内を止めようとした笹山は・・・!? 

 
 藤木とはまじは山根を支えながら校庭へ出ようとしていた。途中で花輪と菖蒲岡が山口と取っ組み合っている所を目撃した。
「あ、お前は!!」
 藤木は丁度菖蒲岡が包丁を付けた縄を取り上げ、花輪が山口に空手の技を喰らわせていた所を見た。山口は踞っていた。
「ああ、藤木クン達じゃないか」
 花輪は余裕の表情で振り向いた。
「大丈夫だよ。彼の急所は付いたから、彼は暫く動けないさ」
「ここは私達が抑えとくから、早く校庭に・・・!」
「うん・・・!!」
 藤木達は校庭へと向かうのだった。

 笹山は堀内からバットのグリップでつつかれ続けていた。笹山は我慢できす、片手で払おうとして、堀内の体を起こしてしまった。その途端に堀内から蹴り払われた。
「ったく、邪魔すんじゃねえ、コラ!」
 堀内は笹山をバットで殴ろうとした。笹山は避けようとするも、バットの先が胸に当たった。
「この野郎、避けやがって!!」
 堀内は更にバットを振る。笹山は頭の左側に当たった。
「このクソ女めが!テメエも調子こいでくれたな!そうだ、テメエには気持ちいい事してやるよ!!」
「き、気持ちいい、事・・・?」
 堀内はへへへと笑いながら、笹山に近づいた。堀内は笹山の胸をつねってきた。
「嫌、イヤ、やめて・・・!!」
「へへ、ペタンコだな!!」
 笹山は堀内が下品な人間だとはわかっていたが、耐えられなかった。笹山は堀内の手を払おうと必死で払い、平手打ちした。
「テメエ、やりやがったな!!」
 すると堀内は笹山をうつ伏せに倒れさせ、今度はスカートをめくった。
「嫌!何するの!?」
「うるせえ!!テメエは罰としてケツバットだ!!」
 堀内は笹山の尻をバットで叩いた。笹山は痛みで悲痛な声を上げる。
「オラ、オラ、オラ!!」
「嫌、やめて・・・!!」
 笹山は必死で抵抗するも、止める事はできなかった。

 大野と杉山は二人の男子が冬田とかよ子を襲う所を止めようとした。
「やめろ!!」
 二人は冬田とかよ子に襲い掛かる男子に頭突きした。
「お前達は逃げろ!!」
 大野は二人に逃走を促した。
「う、うん・・・!」
 冬田とかよ子は逃げようとした。しかし、先ほど花火を振り回していた男子が立ち塞がる。
「逃がすか!」
「キャア!」
 その時、先ほどその男子にかけた水が床に落ちていたので、かよ子が足を滑らせてしまった。しかし、その滑らせた足の先が男子の足と交錯し、二人諸共下の踊り場に落ちて行った。
「山田さあん!!」
 冬田は絶叫した。
「いたたた・・・」
 かよ子は痛みで起き上がれなかった。
「や、山田あ!!」
 杉山が心配してかよ子の元へ駆け寄った。
「大丈夫か!?」
「う、うん・・・」
 しかし、杉山がそちらの方へ向かった所で大野は二人を相手にしなければならなかった。
「うわっ!」
 大野が必死で抵抗するも、二人相手では殴られる多少のダメージも覚悟しなければならなかった。
「お、大野くうん!いやあっ、やめてえ!!」
 冬田は大野と取っ組み合っている二人の男子に近づき、体当たりした。そして先ほど投げつけたバケツを拾い、その男子達の頭や顔を殴った。
「冬田、サンキュー!」
「大野くうん・・・」
 冬田のアシストもあり、大野は反撃し始めた。一方、杉山とかよ子の方も杉山がかよ子の体を起こした。かよ子は杉山と手を繋いだことで赤面した。
「それじゃあ、行こうぜ!」
「おう!!」
 四人は階段を降り、校庭へと逃げた。

 藤木達はやっと校庭を出る事ができた。
「うう、ありがとう、藤木君、浜崎君・・・」
「山根、胃腸は大丈夫か?」
「ああ、少し良くなったよ・・・」
 校庭では別の山口の子分がケン太や本郷によって抑えつけられていた。
「この野郎!!」
 ブー太郎も加勢した。
「危ないことはやめるブー!!」
 山口の子分は動きを封じられた。その時、トミ子が兄の元へ駆け寄ってくる。
「お兄ちゃん!」
「トミ子!怪我はないかブー?」
「うん、ブー」
「お兄ちゃん達、ありがとうブー」
 トミ子はケンタと本郷にも礼をした。
「ああ、どういたしまして」
 長山も小春と彼女を守ったまる子の姉の元へと駆け寄った。
「さくらのお姉さん、妹を助けてくれて本当にありがとうございます・・・」
「ああ、まる子のクラスの長山君ね・・・。長山君の妹だったのね・・・」
 その時、まる子も姉が心配で走り寄った。
「お姉ちゃん、大丈夫!?」
「うん、まる子、あんたも大丈夫だった!?」
「うん・・・」
 姉妹はお互いを心配し合った。
「お兄ちゃん、怖かったよ・・・!!」
 小春は兄に泣きついた。
「そうか、怖かったな・・・」
 藤木とはまじは山根を下ろして座らせた。
「はあ、はあ、すまない、迷惑をかけて・・・」
「いいんだよ・・・」
 その時、リリィが駆け寄ってきた。
「藤木君、大丈夫だったの!?」
「ああ・・・。君も無事だったみたいだね・・・」
「そうだ、花輪クンが・・・」
「花輪クン?ああ、菖蒲岡と一緒にあの親分をやっつけていたよ」
「そう、無事で安心したわ。でも怪我がないか心配だわ・・・」
「心配・・・。ああ、そうだ、笹山さんが!?」
「笹山さんがどうしたの?」
「笹山さんは僕達を堀内から守ろうとして先に行かせたんだ!今もやられているに違いない!」
「ええ!!?」

 笹山は堀内からの暴行を受け続けていた。尻をバットで殴られる。
「嫌、痛い痛い!!お願い、やめて!!」
「うるせえ!!クソ女!!テメエの精神を鍛えてやる!!」
「嫌ーーー!!」
 笹山は足をじたばたさせた。その足がバットを払い除け、スカートを掴む堀内の手を払い除けた。しかし、自分の尻へのダメージで動けない。
「テメエ!!」
 堀内はバットを振り下ろした。笹山は痛みで避けられず、顔に当たらないように腕を出して防いだ。しかし、腕に当たっても痛かった。堀内はバットを振り続け、笹山の体のあちこちを殴りつけた。
「ブハハハハハ!!意味ねえ抵抗しやがって!ったく時間食っちまったぜ!!テメエはそこで床のシミにでもなってろ!!」
 堀内はその場を去ろうとしたが、笹山は必死で立ち上がった。
(このまま行かせたら・・・。藤木君が・・・。そしたら藤木君の目標が・・・)
「う、うう・・・。ほ、り、う、ち・・・!!」
「あん?」
 笹山には喧嘩のやり方などあまりわからない。しかし、どんなに傷ついても堀内に立ち塞がる事をやめるわけにはいかなかった。授業の邪魔を平気で行う迷惑者を、それを止めようとした藤木に罪を擦りつけた卑劣な者を、そして不幸の手紙で一時的に自分と藤木の仲を引き裂いた元凶を。こんな極悪人の思うようにさせるわけにはいかない。笹山は痛みを堪えながらも堀内に飛び掛かった。しかし、痛みで体が上手く動かせず、堀内の目の前で倒れた。
「ヘッ、だっせー!」
 堀内は先へ行こうとしたが、笹山はもう一度飛び掛かった。今度は堀内の足を掴んだ。

「早く、笹山さんを助けにいかないと!!」
 藤木は校舎へ向かおうとした。しかし、リリィが止めようと藤木の手首を掴んで止めた。
「な、何するんだよ、放してくれよ!」
「ダメよ、藤木君は大会があるでしょ!?それで怪我したら出られなくなっちゃうかもしれないわ!!」
「何言ってるんだ!助けに行かなきゃ笹山さんが殺されるかもしれないんだぞ!!」
「でも氷滑り(スケート)はどうするのよ!?あきらめるの!?」
「でも僕は君達に卑怯を治すって約束したじゃないか!自分の事だけ考えるなんてできないよ!なのにどうして僕にそんな卑怯な事をさせるんだい!?僕は約束を破りたくないんだ!笹山さんを見捨てるくらいなら大会なんて辞退するよ!!」
 リリィは藤木の笹山を思いやる気持ちは理解できたがそれでも藤木の考えに同調できなかった。ここでスケートの目標を捨てて欲しくなかった。リリィは我慢できずある行動にでた。

「あ!?まだやんのか!?」
 堀内は簡単に笹山の足を払った。そして笹山の顔を蹴り飛ばした。
「ダルイ奴だな!邪魔すんじゃねえ!」
 堀内はバットを振りかざした。その時だった。笹山がバットの先を手で掴んだ。
「あ?」
 そして笹山は堀内の服を鷲掴みにして立ち上がると、堀内の顔に爪を立てた。そして猫の爪とぎのように爪を立てた左手をおろす。
「う、うわああ!!」
 堀内が呻き声を上げた。堀内の顔に引っ掻いた跡ができ、堀内の眼鏡もずり落ちた。
「この、クソ女・・・!!」
 笹山は次に堀内を体重をかけて突き倒し、堀内の左頬に噛みついた。
「いて!この、放せ!!」
 堀内は必死で笹山を放そうとした。しかし、バットを持った腕も反対の腕も笹山の手によって掴まれて動かす事ができない。
(なんでこんなにボコボコにした女にやられなきゃいけねえんだよ!!)
 堀内は笹山に頭突きするなりしてもがいた。その時、山口の子分が来た。
「あ、堀内!!」
 山口の子分は横須達を切りつけた鋸で笹山の頭を切った。笹山は強く痛みを感じたが、それでも噛みついている口を放さなかった。
「この野郎!!」
 子分が笹山の足を掴むと鋸で切ろうとした。笹山が足を切られる痛みに耐えようとする。そして足をじたばたさせた。

 リリィは藤木にビンタした。
「その気持ちは分かるけど、笹山さんも助けてもらっても藤木君が傷ついたら余計に悲しむわよ!それに私は卑怯な事させようと思ってないわ!私が代わりに助けに行ってあげるから!!」
「でもそうしたらリリィが危ないじゃないか!」
「そうだけど、私だって藤木君に傷ついて欲しくないもん!!」
「じゃあ、どうすればいいんだ!?」
 その時、その会話を聞いていた者が二人に話しかけてきた。
「藤木君、僕が助けに行くよ!!」
「西村君・・・!?」 
 

 
後書き
次回:「救出」
 笹山を助けに行く事に決めたたかしは学級委員隊やまる子の姉ら六年生と共に助けに向かう。そして因縁のある堀内との戦いに挑んでいく・・・。

 一度消えた恋が蘇る時、物語が始まる・・・!! 
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