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世界に痛みを(嘘) ー修正中ー

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刹那の戦闘

 ロッキーマウンテンの頂上
 Dr.くれはの城の前にてある5人が剣吞な雰囲気を醸し出し、対面していた。

 ドラム王国の劣悪国王であるワポルは既に地へ沈み、彼の側近であるクロマリーモとチェスは睨み付けるように目の前のアキトを視界に収めている。

 ワポルの兄であるムッシュールは愉快気に弟であるワポルの状態を気にすることなく、眼前のアキトに獰猛な笑みをぶつけていた。

「この方をどなたと心得えている!このドラム王国の王であらせられるお方ぞ!」
「貴様もドルトンと同じく国王であるワポル様を裏切り、このドラム王国を乗っ取ろうと画策する狼藉者か!?」

 アキトは首を緩慢な動きで捻り、紅き瞳で此方を静かに見据えている。

「ムッシッシ〜!分かる、分かるぞ~!お前、強ェ~な~!」
「ム、ムッシュール様……」

 どうやら彼がDr.くれはが危険視していたムッシュールであるらしい。
 その能力、有する思想、その全てにおいて危険だ。
 無論、ワポルとその従者も同様に危険分子であることに変わりはない。

 だが、おかっぱ頭のムッシュールと呼ばれる男が先程から開口一番に此方に獰猛なまでの闘気を放ってくる。
 何か琴線に触れるようなことを自分は彼に言っただろうか。

「よくも俺様の顔を足蹴にしやがったな、この野郎……」
「ワ、ワポル様、ご無事で……?」

 それなりの力で踏みつぶしたにも関わらず、意外と早いお目覚めだ。

「国民共を殺す前に肩慣らしも悪くないな。さあ、俺を楽しませくれ」

 ムッシュールは一息に此方との距離を詰め、攻撃を仕掛けてきた。
 対するアキトも臨戦態勢にてムッシュールを迎え撃つ。

「スピンドリル!!」
 
 傘状にした腕を高速回転させ、毒を付与した猛攻撃
 その猛打は全てアキトの急所を狙った必殺の威力を秘めた一撃だ。

 アキトはそれら全てを難無く対処していく。

 時にはその拳の連打を受け流し、毒の影響も皆無な様子でムッシュールの腕に自身の腕をぶつけることで防御する。

 雪が積もったことにより足が滑りやすい地面の上をアキトは何の影響を受けた様子もなくムッシュールと対面している。
 その動きには何の問題も見られない。

 その攻防を繰り返すこと幾度、互いの力量を測るべく周囲を凄まじい速度で駆け巡る。
 そして、ロッキーマウンテンの高山の端に差し掛かった刹那……
 
雪胞子(スノウ・スポール)!!」

 ムッシュールは毒の胞子を前方へと射出する技へと攻撃方法を変えてきた。

 接近戦を繰り広げていたアキトは即座に上空へと跳躍し、城の方向へ大きく跳躍する。
 そして、続けざまに眼下のムッシュールへと手をかざし不可視の衝撃を放とうとするも……

「「"雪解けの矢マリーモ"!!」」

 眼下からの炎を纏った数本の矢がアキト目掛けて射出された。
 見れば先程地に沈めたワポルが復活しており、その巨体を奇妙な体型へと変化させている。
 変態したワポルの傍には同じく変態した2つの顔を持つ男が佇んでいた。

 合体したのだろうか。
 いや、あれを合体と呼んではいけないような気がする。
 普通に気持ち悪い。

何なのだろうか、あの面妖な生物は

 刹那の思考を終えたアキトは大気を踏みしめ、空中にて方向転換を行う。
 そして、此方に向かう矢を器用に空中にて全て掴み取った。

「返すよ」

 その矢を全て炎を纏った状態にて眼下の速度にて眼下へと投げ返す。

 しかし、それはワポルの変形した腕から発射された砲弾により全て相殺される。
 続けて、ワポルは砲弾を此方に向けて3発放ってきた。

 背後にはナミとDr.くれはがいる。
 故に、アキトは万全を期して全ての砲弾を一つずつ破壊していく。

 周囲は爆発に伴う爆炎が生じ、前方の光景を見据えるのも困難な状況が作り出される。
 即座にアキトは大気を踏みしめることで爆炎の中から脱出し、勢い良く眼下の地面へと降り立った。

走菌糸(ラン・ハイファー)!!」

 だが、地に足を付けた瞬間、地面から生えた巨大なきのこにより閉じ込められてしまう。
 どうやら身体に粘り突き、毒の効力をゼロ距離で食らわせる技のようだ。

 しかし、アキトにとってこの程度の拘束など何の障害にもなりはしない。
 アキトは毒の胞子によって作り出された牢獄をいとも簡単に破壊し、即座にその場から脱出した。

雪胞子(スノウ・スポール)!!」

 しかし敵もさるもの。
 アキトの視界が一瞬だけ閉ざされた刹那の時間に先程と同様の技を此方へと放ってくる。
 此処は無理に上空に跳躍するよりも後方へと逃避するのが無難な選択だ。

 バク転を行うことでアキトは後方へと回避する。
 言うまでもなく自身の背後にはナミ達がいる城がある。 

 前方には変わらずその猛威を振るおうとする毒の胞子の姿が見える。
 これ以上、毒の胞子を周囲へとまき散らせるわけにはいかない。

 アキトは目を大きく見開き、前方を力強く見据える。
 眼力に力が宿ったかの如き迫力だ。

 瞬間、周囲の風の流れが変化し、毒の胞子が霧散した。

「ヌゥッ……!?」

 ムッシュールは自身が放っていた毒の胞子が霧散したことに気を取られ、不可視の衝撃波の直撃を受ける。

 アキトは止めを刺すべく前方へと足を踏み出すも……

「「"ドビッグリマーリモ"『四本大槌(クワトロハンマー)』!!」」

 増えた4つの腕に大槌を持ち、此方に振りかざす変態がその行く手を阻んだ。
 不規則な動きと腕の数の多さを利用した同時攻撃である。

 だが、アキトは前方に駆け出すべく前傾した姿勢を崩すことなく、前へと駆け出した状態で前方の大気を踏みしめることでバク転をかます。

「……ッ!?」

 変態した"チェスマリーモ"は自身の攻撃を容易に躱されたことに驚きを隠せない。
 タイミングは言うまでもなく完璧だったはずだ。
 加えて、あの前傾した態勢からの回避など誰が予想できようか。

 無論、アキトは休む暇など与えない。

 驚嘆した表情を浮かべたチェスマリーモの顔を上空から掴み、地面へと叩きつける。
 続けて、盛大な地滑りを馳走し、吹き飛んでいく奴のその無防備な体に衝撃波を放った。

 チェスマリーモはこのロッキーマウンテンから落ちないように調整された衝撃波を受け勢い良く吹き飛んでいく。

 しかし、奴の攻撃はフェイクであり、本命はこの降りしきる雪の中に身を隠したワポルに他ならない。

「さあ、死ね!」

 無防備な自此方の背中を狙ったのかは不明だが、気配を隠すこともなく、ましてや声を出した奇襲などたかが知れている。
 難なく反応したアキトは後方を振り返ることなく回し蹴りをワポルへと披露する。

「ゴァッ!?」

 無防備に大きく開いた口に横から回し蹴りの直撃を受けたワポルは盛大に地面を何度もバウンドしながら吹き飛んでいった。

 戦闘は終始、アキトの優勢で続いている。
 しかし、アキトの内心はこの戦況に悩まされていた。

─ 厄介だ ─

 奴らの連携攻撃のレベルが予想以上に高い。
 ムッシュールというワポルの兄の持つノコノコの実の能力もこれまた厄介だ。

 奴のノコノコの実が生み出す毒の胞子は放出後しばらくの間空中に現存する。
 加えて、いくら自分が能力により生成した膜により毒を無効化できるとはいえ、人間である以上酸素を取り込む必要がある。

 背後にはナミとDr.くれは達がいるため、万が一のことを考え奴らの攻撃を全て無効化しなければならない。
 ナミ達がいる城内への毒の胞子の侵入を防ぐために周囲の空気をコントロールし、体内に酸素を取り入れるための緻密な能力の操作も求められているのだ。

 しかし、奴らはそんなアキトの苦労を顧みることもなく、アキトを殺そうと三者それぞれの攻撃を繰り出し続けている。

傘乱舞(シェードダンス)!!」

 初撃はムッシュール
 放たれるは頭部のキノコから菌糸で生成された弾丸だ。

 そして、左右から自分を挟むようにワポルとチェスマリーモの2人も同じく攻撃を放とうとしていた。
 ワポルはかなりの威力で蹴り飛ばしたというのに今なお健在の様子を見せている。

 実力に見合わぬ耐久力
 奴はご飯にボンドでも混ぜて食べているのだろうか。

「「"ドビグッリマーリモ""四本戦斧(クワトロアックス)""雪割り草"!!」」
「まっはっはっは!さあ、死ね!ベロ大砲(キャノン)!!」

 ワポルとその従者共の同時攻撃が行われる。
 ワポルは巨大な口から大砲を備え、両腕からも砲弾を容赦することなく放ってきた。

 質が悪いことに奴らの攻撃の矛先は背後の城にも当たるように計算されている。
 恐らく、自分の仲間が城内にいることを想定した上で攻撃を放っているのだろう。 

 言うまでもなく自身の背後にはナミ達がいる城が佇んでいる。
 この攻撃を避けるわけにはいかず、毒の胞子を後方へと逃すのも許されない。

 迫りくる攻撃の嵐からアキトはその場から動かずに、悠然とその場に佇み、奴らの猛勢をその身に受けた。
 次の瞬間、ロッキーマウンテンの頂上、ドラム王国の王城にて大爆発が起きた。



 一方、ルフィ達は現在Dr.くれはの住む居城へと向かうべくリフトに乗っていた。

「本当にアキト君は大丈夫だろうか?」
「大丈夫だって、おっさん。アキトの強さは俺が一番良く知ってるから」

 ワポル達の怖ろしさと残忍さ、力の強大さをこの場の誰よりも知っているドルトンがアキトの身を心配する。

「本当に大丈夫かしら、アキトさんは……」
「ビビも何言ってんだよ。アキトなら大丈夫……」

 ドルトンに感化されビビも同じくアキトの身を案じ始める。
 そんな彼女を励まそうとウソップがまたもや声を掛けた刹那、ドラム王国の頂上にて爆音が周囲に鳴り響いた。

「一体、何が!?」
「おい、上を見てみろよ!?」

 リフト越しにロッキーマウンテンの頂上を見上げれば爆炎を伴う爆煙が天高く立ち上っていた。







▽▲▽▲







 ドラムロッキーの頂上

 ワポルとムッシュール、チェスマリーモが放った三者同時の攻撃はアキトへと直撃した。
 その威力は凄まじく、地形にクレーターが出来上がるほどのものであった。
 
 爆炎に伴う爆煙は今もなお天へと上り続け、その威力の凄まじさを物語っている。
 アキトの姿は伺い知ることはできない。

「まっはっはっは!直撃しおったわ!王に逆らった愚か者めが!」
「「お見事です、ワポル様!」」
「……」

 高笑いを続けるワポル達とは異なり、ただ一人ムッシュールは前方を静観する。

「ん?どうしたんだ、(あん)ちゃん?」
「このカパ野郎!お兄たまと呼べっつってんだろーが!悪いがまだ奴は終わっていないぞ」
「「ですが、我々全員の攻撃を直撃したのですよ?奴は流石に……」」

 チェスマリーモの言葉を皮切りに前方の爆炎と爆煙が吹き飛び、アキトがその中から現れた。
 周囲の大気はアキトを取り囲むように螺旋を描き天へと吹き荒れる。

 アキトの身は攻撃によって受けた傷は皆無であり、埃の一つも見受けられない。
 正に五体満足の状態のアキトがその場に佇んでいた。

 チェスマリーモは顎が外れそうなほど口を大きく開け、アキトをまるで化け物が如く畏怖した様子で見ている。
 ムッシュールは予想通りそれ程動揺はしていない。

「……」

 アキトは冷静に敵戦力の実力を分析する。

 一連の奴らとの攻防
 これで奴らの個人の実力は把握した。
 
 戦闘を開始した当初から無意識に感じていた違和感の理由も今、理解した。
 何故、能力による膜を周囲に張っている自分が回避行動を無意識に取っていたのか。

 ジカジカの実の能力の前ではあらゆる物理攻撃は通常ならば意味をなさない。
 だが、アキトは本能とも呼べる己の直感に従い回避行動を行っていた。

 特にあのおかっぱ頭のムッシュールには最初から細心の注意を払っていた。
 能力は勿論のこと、奴の身体能力も目を見張るものがあったが、違和感の正体はそんなものではない。

 奴との一連の攻防で今、確信した。
 間違いなくムッシュールは覇気を使用している。

 偉大なる航路(グランドライン)へと入って早々覇気の使い手に遭遇することになるとは思わなかったが、自身の判断は間違ってはいなかったようだ。
 
 しかし、別段焦る必要はない。
 覇気の熟練度もジカジカの実の能力を突破する程のレベルには至ってはいない。
 まだまだ奴も、そして自分も井の中の蛙の存在だ。

「ムッシッシ~!楽しいな!対等の力を持つ者同士の戦い!これぞ正しく俺が求めていたものだ!お前もそう思うだろ、なあ、おい!」

 見ればムッシュールは己と張り合える実力者であるアキトの存在に喜び、歓喜に打ち震えている。

 無論、アキトはそんなムッシュールに付き合うつもりは毛頭なかった。
 アキトの目的はこの国の守護であり、第一優先はナミの治療に他ならない。

「さあ、もっと俺を楽しませろ!」

 両者の攻防はより過激なものと化し、地を駆け、互いの拳と能力をぶつけ合い、周囲を置き去りにしていく。
 空気が震えているが如く大気は震え、地面には小規模のクレーターを次々と作り上げていく。

 しかし、アキトにとって最早、ムッシュールは敵ではなかった。
 今、此処でアキトは自身の体のギアを挙げた。

 突如、アキトは身体の構造上不可能な動きを意図的に行う。
 今まさにムッシュールと並走し前傾していた身体を突如後方へと跳ばした。

「何ッ!?」

 驚きの声を上げるムッシュール
 アキトはムッシュールの声を背に雪の上を走っているとは思えない程の速度で一気にワポルとチェスマリーモの両者へと迫る。

「「くっ、この!?」」

 チェスマリーモは迫り来るアキトを撃退しようと弓を構え、万感の思いを込め、全力で弓を引き絞る。

「っ!?」

 しかし、突如、不自然な程に自身とアキトの距離が狭まった。
 自分の意思とは無関係に奴との距離が近付いていく。

距離を見誤ったのか、自分が?

 いや、違う。
 自分の体が何か不可視の力で引き寄せられているのだ(・・・・・・・・・・・)

 弓とは謂わば距離感を測ることが命とされる。
 距離感を狂わされてしまえば矢が当たる可能性が極端に減少することは自明の理だ。
 
 宙に浮かび、体勢を崩されたチェスマリーモにアキトの攻撃を避けることなど出来るはずもなかった。

 アキトは引き寄せたチェスマリーモの腹に掌底を叩き込む。
 そして、苦痛に歪む顔面を掴み、眼下の地面へと能力を用いて深く沈み込めた。

 出来上がる大規模のクレーター

 続けざまに能力を用いて地面を強く踏み締め、雪を宙へと舞い上がらせる。
 一種の大きな壁が出来上がり、ワポルはアキトの姿を完全に見失ってしまう。

 その刹那の瞬間にワポルの背後へと回り込んだアキトは躊躇することなくその側頭部を蹴りぬいた。
 チェスマリーモが沈むクレータへ仲良く吹き飛び、両者共に力なく倒れる。

「貴様ッ!よくも俺の弟を……!?」

 続けて、アキトは背中から斥力の力を爆発的に噴出させ、ノーモーションで大地を飛行した。
 怒りに狂い、隙だらけのムッシュールへとアキトは先程とは一線を画す速度で近付き、その胸元へと掌底を力強く叩き込む。

 吐血するムッシュールの顎を蹴り抜き、上空へと吹き飛ばす。
 そして、宙へと跳躍し、奴の顔に手をかざし不可視の衝撃波を近距離で放った。

 為す術無くその身に衝撃波をもろに受けることになったムッシュールは眼下のワポルの元へと勢い良く墜落する。
 雪が大きく巻き上がり、爆音と共にムッシュールは完全に再起不能に陥った。



「おーい、アキト!」

 アキトがワポル達を片付けた終えた折に、丁度ウソップ達がこの場へと到着していた。

「勝ったんだよな、アキト!?あのワポル達に!?」

 どこか興奮した様子でウソップは此方へと詰め寄ってくる。
 アキトは静かに首肯し、肯定の意を示す。

「アキト君、本当にありがとう。心からお礼を言わせてもらう」

 ドルトンは真摯に頭をアキトに下げ、涙を流しながらお礼の言葉をは述べた。

「そんなにかしこまらないでください、ドルトンさん。俺は当然のことをしたまでです」

 何かを嚙み砕き、咀嚼する不快な音が響いた。
 その音の発生源はアキト達の背後、ワポル達を沈めたクレーターからだ。

「まっはっはっは!最初からこうすれば良かったのだ!」

 チェスマリーモの時と同様、互いに合体した姿でワポルは現れる。
 ワポルは自身の兄であるムッシュールを食し、自身の力の糧としたようだ。

 ルフィが凄いだの何だと言っているが、それには全力で否定する。

「本当に馬鹿な兄貴だぜ!少し頼ればまんまと俺の思い通りに動いてくれちゃってよ!」

 己の兄を罵倒するワポルにアキトは呆れを通り越して軽蔑を感じてしまう。

「こうなったら俺が兄貴の力を有効活用してこの国の国民共を皆殺しにしてやるぜ!」

 正に外道
 独裁者にして最低の国王だ。
 国民のことを一切顧みない悪政の王である。

「ワポル、貴様ッ!」
「まっはっはっは!ドルトン、その場を動くなよ~?後もう少しで胞子爆弾(フェイタルボム)を発射……ッ!?」

 しかし、ワポルが次の言葉を発することはなく、その場から姿を消失させた


「「なっ…に…!?」」

 アキトは瞠目するムッシュールワポルキャノンの顔を掴み、ドラムロッキーから勢い良く飛翔した。

 彼らは瞬く間にドラムロッキーの山頂から離れ、ドラム王国の沿岸まで辿り着く。
 島の上空に差し掛かった瞬間、アキトはムッシュールワポルキャノンを突き落とした。

 大気が震え、一直線に眼下の地面へと奴は堕ちていく。

 落下の衝撃により地上に積もっていた雪が大きく舞い上がるのと同時に大きなクレーターも出来上がった。

 アキトも続けて上空から眼下へと降り立つ。
 この場に自分と奴以外の人の姿はない。

 この距離ならば戦闘の余波をチョッパー達が受けることはないだろう。
 直に発動する胞子爆弾(フェイタルボム)の処理も此処なら容易に処理することが出来る。
 そして、これから起こるであろう惨状をルフィ達が見ることもない。

「「貴様ァアアー!」」

 ムッシュールワポルキャノンはアキトを憎々し気に睨み付けた。
 アキトは再び臨戦態勢に移行し、一瞬でこの戦闘を終わらせることを決意する。

─ 長きに渡りドラム王国を苦しめてきたワポル達との決着が今此処で付こうとしていた ─ 
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