| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

歌集「冬寂月」

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

二十六




 氷雨降る

  冬そ纏いし

    野辺の風

 春ぞ待ちける

     花見月かな



 もう春も近いと言うのに、初冬のような霙混じりの氷雨が降る…。

 風も冬そのもののように冷たく…まるで春を拒むかのようだ…。

 三月…故郷は未だ雪の中…。

 想い思うは…未練か…。



 もの思ふ

  夕の帷の

    枯れ野原

 人とばかりに

    侘しさぞ増す



 夕暮れの紅い陽射し…あれこれと物思いに耽ってしまう…。

 夕に染まる枯れた野原は静まり返り…まるで誰かをじっと待ち続けているように思えて…。

 私が人ゆえか…こんなにも侘しく思ってしまうのは…。


 こんなにも淋しいと思ってしまうのは…。



 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

感想を書く

この話の感想を書きましょう!




 
 
全て感想を見る:感想一覧