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とある科学の傀儡師(エクスマキナ)

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最終話 エクスマキナ

 
前書き

この話で一旦終わりです。

ではではー 

 
サソリの傀儡人形が放った月読は満月を起点にして学園都市全体にその影響を及ぼしていた。ここで少しだけ忍世界の術に明るくない方々の為に今回の騒動の一幕について軽くであるが触れておきたいと思う。
なぜここまでサソリ達が劣勢に追い詰められたのか、詳しい感情があまり出てこないのか。
ここからは貴方がた読者は現在学園都市で起きている事件について正確に把握をして頂きたい。

術の確認から行こう。
月読……万華鏡写輪眼による幻術。目を合わせた相手を空間、時間、質量すらも術者によりコントロールされてしまう世界にひきずり込まれて精神的な拷問を受ける術。時間を関係無しに相手にダメージを与えることが可能。

そこへ満月を使った月読……「無限月読」を発動させたのはサソリの傀儡人形『マダラ』であった。
無限月読……全人類に幻術を掛けて永遠に幸せな夢を見せ続ける幻術。
だがサソリが掛けたのは無限に続く回廊に全人類を貶めるのではなく限定的に発動された月読であり、サソリによりある程度操作された世界。
もしかすると戦闘をこよなく好む『黒ゼツ』の願望を写した世界なのかもしれない。


学園都市のあちらこちらでひび割れが起きており何もない空間から断層が観測され始めて困惑する住民が居る中で病院では続々と患者が目を覚まして何事も無かったかのように医療関係者に説明を始めていた。

尾が増えるごとに生を取り戻すマダラには近づいてくる満月により瞳術の力が倍増して黒ゼツでさえも己を制御できないように激しく息切れを起こしていた。
「ぜぇぜぇ……」
涎を垂れ流しにしながら乗っている影の九尾が時折形を崩して地面に固着している。傍目から見ても限界はとうに超えているだろう。彼を突き動かしているのは呪われた『うちは』の血であり『マダラ』の意志だった。マダラという名前こそが力の象徴であり絶対的な勝利を渇望しなければならない宿命だった。
「ゼツ……充分だろ」
「黙れ!!はぁはぁ……あと少しだ……あと少しで十尾が復活を……する。ここまでやってきた……進めてきた……貴様らが邪魔をしなければ!!」
黒マダラは従えた九尾の腕を振り上げて垣根を払うようにするが翼が鎧のように攻撃を弾くとビームを連発を浴びせるが黒マダラは黒いチャクラで異空間に飛ばすと九尾の口を大きく開けて巨大な渦巻く尾獣球を発生させると一回飲み込んで一気に吐き出した。
「ちっ!!」
垣根が翼を広げて受け止めると演算能力で攻撃の解析を行い、未元物質で相殺とまで行かないが受け流して学園都市の上空へと逃がした。
「やるな……」
「余所見してると来るぞ」
「だな。千手操武」
マダラの傀儡の腕の表層が開いて次々と腕が出現し、更にサソリが腕を下に落とすとスサノオの刀が傀儡の腕一本一本に備えられて蛇行するようにカーブして九尾の狐ごと黒マダラを切りつけた。
「おっ!なかなか面白れぇ技を使うな」
飛び上がっていた垣根が悠然と着地をすると隣で人形を操作しているサソリを関心したように眺めると不敵に笑みを浮かべて言葉を続けた。
「お前さあ、俺のところに来る気はねえか?」
「あ?」
「お前なら俺の右腕にしてやってもいいぜ。どうだ?」
「……断る。一応まだ別の組織に所属しているからよ」
「そうか……今度は素手でやり合おうぜ」
「傀儡を使っていいならな」
「それもそうか」

ドロドロに溶けだした黒マダラが九尾と一体化して輪廻眼が液体のような管一本で身体の前部分に干し柿のようにぶら下がっている。
「悲しいな……それでまだ死ねないか。穢土転生は考えものだな」
「だま……黙レ……」
溶けたことによりやたらと表面積が拡大した尾を振り回して最後の抵抗を見せる黒マダラだが頼みの尾も千切れ始めた。
「ん!?……やっとか」
サソリは一度傀儡の術を解いて指先全部からチャクラ糸を伸ばして反転したサソリの身体は灰塵へと消えて黒か白かも分からない砂粒となり掻き消えた。
「酔うような衝撃が来ると思うから備えておけ」
「!?」

ピシピシ―――――――――――
反転したサソリが消え去ると同時に月から反射されている万華鏡の世界にまでヒビが走るだしてそのヒビはダムが決壊するかのごとく時間の経過と共に大きく修復不可能になっていく。
「!!?」
後ずさりをしながら壊れゆく世界にしばし茫然となり、足元に出現した九尾さえも例外でなく空と同じように、世界と同じようにヒビが入りだしていく。自重を支えられないように九尾を有した黒マダラが触手が伸びた不定形のスライムのように一部分を膨張させたり、収縮させて芋虫のように動いている。

どこからかサソリの声が夏の風鈴のように響く。
「解……」

******


世界の横っ面に強烈なブローが炸裂したかのような衝撃が大通りで集まっていた御坂達に襲い掛かりひび割れたコンクリートに尻餅をついた。
「な、なに……?」
尻餅をつけば自然と視点はやや上向きになり、上空に一直線に飛んでいく不気味な怪光線が飛行機雲のように突き抜けていくのが見えたがその見かけの速度は鈍く遅くなり液体のような衝撃波が出ており、夕焼けのように赤くなっていくとピタっと止まった。
「??」
光のドップラー効果のような現象のあとでカサブタでも剥がれるように空間からボロボロと空気の切れ端が落ちてきて砂のような煤けた欠片が崩れたビルの割れた箇所へと補完するように拡がりだしていき、夕焼けが差し込んでいる。
「時間が戻っている?いや……」
麦野が時計を確認しているが時刻は夕方の午後五時を二分程過ぎた辺りで正常に動いていた。
沈み行く夕陽が空を貸し切っているのがこれほど不可解に思えるほどだ。いや既に夜を通り抜けて暁にでもなったかのような錯覚を受けるが色合いから見れば黄色から橙色の配色が強く経験則からある程度は夕方だとわかる方角も夕陽と断定できた。

超常現象に見舞われる中で集まっていたメンバーに同時刻、携帯のメロディが鳴り始めてバイブレーションが作動した。頭がパニック状態の時にこのような刺激が来ると身体は正直に反応してしまうもので「きゃあ!?」と黄色い声を出して小ジャンプしてしまう。
メロディの長さからメールのようだが客観的な状態から暁派閥のメンバーがそれを受け取ったと言える。

パソコンからの一斉送信のようだ。
「??地面に手を置け???」
御坂が怪訝そうな顔をして携帯電話から目をずらして考え事をする素振りを見せた。
「どういう意味?」
「さあ?超分かりませんね」
絹旗が首を傾げて腕を広げる中で滝壺は世界を覆っていた拡散力場が解けていき、サソリの反応が完全に絶ったのに気が付いた。
不気味な圧倒的な力は確かにあのマダラという男が放っていたのだが途中から塗り替わるように上書きされたような印象を受けていた。
何か起点となる点が存在するはずだ。これほどの大規模な能力を使うにはどうしても何か大きな点が必要になる。

路地裏からは婚后が慌てて息を切らしながら走ってきてサソリからの伝言を伝えるが息が上がっている分意志伝達が多少不便になっている。
「み、みな……はぁつ……月が???」
婚后の目の前には路地裏の閉鎖的な空間から外へと飛び出したのだが捲れあがっていたコンクリートが元通りに修復されて折れ曲がった信号機が歩行者とバイク、車の棲み分けの一助をしていて普段と変わらない学園都市だった。
なんなら音楽プレーヤーを片手に仲間とつるんで歩道一杯に広がって歩いている学生も見掛ける程だ。
「あれ?……元に?」
「ん?!ほ、本当だ!?どうなってんの?」
御坂も違和感に気付いたように振り返って混乱する頭に通常の学園都市に自らの記憶が曖昧模糊となる。
更にメールが届いて画像添付されたデータを展開すると輪廻眼の波紋状の画像が開かれると力が抜けて地面に手をついていく。

あれ……?
何と戦っていたんだっけ?
サソリ?

口寄せの術 発動!

消えかかる過去の戦闘による傷口から流れる血や瓦礫による掠り傷の血が風に飛ばされるように流れていく空に万華鏡の紋様を生み出して空間が歪みだしていき、学園都市中に散らばっていた人形のパーツが意志を持ったかのように組み合わさり首が半回転して傀儡のサソリが呼び出された。
「ふぅ……間に合ったか」
粉々になったはずの身体から懐かしくも罪深き傀儡人形の身体になっていた。戻っていた。
サソリの手に持っていた水晶玉に細かいヒビが入っていき粉々に砕かれると学園都市に付けられた痕跡、被害者、時間の経過が全て消え去っており何事も無かった世界へと収束していった。
「アガガ……ナガガ???」
ただ一つ例外を除いて……
九尾のドロドロとした膨張した腕や腰を引き摺りながらマダラとはかけ離れた姿となってしまった黒ゼツがサソリが出現したビルの横を這いずりながら近づいてきた。
「限定月読……解除だな」
「??ウウガ!?」
「これでもうちは一族に関しては調べてあってな……運命さえも変える力が存在することも知っていた。マダラを復活させるのを逆手に取ってお前に術を掛ける事が出来ないかとかな」
「!?ッ」

サソリはわざと穢土転生体となる事を選んだが写輪眼や輪廻眼は幻術に掛けるのが本業であり、マダラと真っ向勝負をするのは称賛が薄い。
そこで黒ゼツの思考を読み取ってそのように振る舞う。うまい具合に相手を打ちのめせるのが理想だと言う考えに嵌らせてそこを幻術に掛けた。
幻術空間に生み出した架空の学園世界に御坂達ごとコピーして置いておけば力に己惚れる黒ゼツは持ってこいだからだ。
だがそれでもマダラの身体を持って来られて対処の仕様がないので幻術空間へと閉じ込めて時間を稼いで貰って『あれ』の移行をしていてそれが今しがた終わった所であったのだ。

「……ヘバ」
「確か瞳術では自分に取って都合の悪い現実を幻術で移し替えて自分に取って都合の良い現実はそのままになるのがあったな……お前のような醜い代物はこちらから御断りだな」
僅かに残った理性で黒ゼツは暴れだすがサソリは掌の歯車を回して筒を取り出すと火遁の術を放出して太った黒ゼツを燃やしていき、腕を回転させて刀を取り出すと最後の介錯の為に間合いを詰めて黒ゼツの頭部を落としに掛かった。

だが……
ドスッ!!?

分裂していた黒ゼツがサソリの弱点である心の臓を背後からスライム状に伸ばした腕で貫通させて握りつぶした。
「ハァハァ……マ、マサか貴様ガココ迄ヤルトハナ……ダガコレデ終ワリダナ……マタヤリナオシダ!貴様ノ身体ヲ使ッテナ!!」
更に力を入れて黒い塊をサソリの中に浸透させて行こうとする黒ゼツ。しかし直後にチャクラの乱す制御棒を巻物から取り出して目の目にいる太った黒ゼツと背中に張り付いている黒ゼツに自分の身体ごと突き刺した。
「!?力ガ……」
「あと40秒……」
「ア?」
「あと40秒だったな……ゼツ。それが過ぎたらオレに勝ち目は無かった」
サソリはクルリと振り返ると万華鏡写輪眼の片目を閉じて冷たく見下した。

ナ、何故……コイツハ片目ヲ閉ジテイル?

嫌な予感が二人の黒ゼツの前を通り過ぎて行った。それは戦争の歴史で最も戦果を上げたとされる最強幻術の存在だった。
その考えが過る寸前にグニャリと世界が歪み出して、制御棒に刺された黒ゼツだけが動けずにもがいていた。
壁伝いにサソリが五体満足の人形姿で片目を瞑り、ゆっくりと語り掛けるように手を伸ばした。
「キ、貴様ー!?マ、マサカ……イザナギヲ!!!」
「惜しかったな……マダラごと倒すならこの方法しかねえからな……うちは一族ではないオレのイザナギの効果時間は片目で60秒、両目合わせて120秒」
サソリは掌から呼び出したのは黒い球体の塊だった。
「確かこの求道玉は穢土転生体をも消滅させる奴だったな。コイツを持ってくるのに時間が掛かった」
「マ、待テ!」
サソリは求道玉をチャクラ糸で引っ掛けて黒ゼツの前で振り下ろす寸前で止めた。
「待つ?オレは人を待つのも待たせるのも嫌いだ……そんなオレがさっき待った」
「……!?」
求道玉を大きくして二人に分裂した黒ゼツを射程に収めてゆっくりと狙いを定めていく。
「お前は40秒辛抱できなかった……だが、オレはお前の倍の80秒辛抱した!」
「ギガッ…………!!?」

全ての性質を合わせ持つ神の力と呼ばれる『血継淘汰』の力が穢土転生の身体ごと黒ゼツの身体を貫いて砂塵として消えていった。
黒ゼツを求道玉の消滅よりも先にビルに吸着していたチャクラ切れにより地面に落下をした。
徐々に視力を失っていく左目で沈んでいく夕焼けの横で見ながらサソリはビルの間にある路地裏へと落下していき、カーンと乾いた音を鳴らして叩きつけられた。
「あー、しんど」
何処かの銀行で爆発があったようでサイレンの音が妙にうるさく感じた。
身体中が鈍く痛いが、視力は無くなり真っ暗な中で静かに力を抜く。

******

エピローグ
サソリが血だらけで運びこまれて今日で三日目だ。何か激しい戦いをしてきたかのように傷だらけで両目の視力は無いに等しい事が分かった。
何故か知らないが身体は一瞬だけ傀儡人形になってからここまで運ばれるまで人間の姿に戻っていて驚いた。
視力だけは戻らずに包帯でグルグル巻きにされてベッドで横になっていた。
「全く……喧嘩に巻き込まれたならあたしに言いなさいよね!」
「サソリさん具合はどうですか?回復しましたら今度デートに」
「そこは貴方の目になりますですわよ。湾内さん」
「はう」
「力の使い過ぎですわよ。あの眼に頼り過ぎですの……そういえばサソリのお父様に逢ったような」
「眼にはブルーベリーが良いらしいよ!買ってこようか?初春が奢るって」
「言ってませんよー!!」

そこへ麦野達もお見舞いにやってきてサソリの病室はいつも以上にやかましくなっていく。
「旦那ー!具合はどうかしら?」
「何気に身体が弱いわけ?」
「いや、超強い方ですよね」
「前よりもAIM拡散力場が弱くなった?」
「あー、プリン見つけたー」
「勝手に食うな!」
「先輩ちゃんと休んでくださいっすよ~。一応尊敬しているんすから」
病室に木の仮面がフワフワ浮いていてサソリの布団でゴロゴロとしている。
「病室では静かにしなさい!!!」
「やば!!軍曹が来たわ」
「退却よ!退却!」

終わると思っていたこの世界。終わらせなかった自分。
サソリは耳からの立体的な音をじっくりと自分のペースで聞いていた。
「パパ~!へへへ早く元気になってね」
再び記憶を封印したフウエイがサソリに頭を撫でて貰って満足そうに微笑んだ。

その後の事を言えば。
幻術の中とは云え、サソリこと第一位が何かとんでもない悪と戦ってこの学園都市を守ったと多くの人に刷り込まれており、一部の不良の中では熱狂的なサソリの信者が居ると分かったり、結構大きな組織から誘いがあったりとしばらくは変装無しでは出歩けそうになさそうだ。
木山と六道は白ゼツを捕縛した事でゼツの悪事が明るみに出て他の同級生と再会して学園都市の研究施設で割と快適に暮らしているらしい。
時々、木山研究室に遊びに行っているみたいだ。
ゼツは堀の中で罪を償うらしい。
テレスティーナは次元の歪みを発見して論文や研究で国内外を飛び回ったりと多忙な生活を送っているようです。
暁派閥で今度集まるような事したいと言っていました。

誰もいなくなった病室に第二位の垣根帝督がやって来て、やや真剣に試すように包帯を巻いたサソリに言っていた。
「お前ならいつでも大歓迎だからな」
まだまだこの学園都市で波乱の予感が……

でもここでお話は一旦終わりとさせていただきます。
また何処かでお会いしましょう。

とある科学の傀儡師(エクスマキナ)   完 
 

 
後書き
どうも作者の平井純諍です。

無事完結出来て感無量です!!
これも読者の方々が応援してくださるからです。

色々とハプニング(急病で倒れました)がありましたが最後まで走り抜けて満足です。
終わったので感想をドシドシ待っております。

また原作のストックが溜まったらこの続きを書くかもです。

本当にありがとうございました!
 
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