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相談役毒蛙の日常

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九日目

「リンクスタート!」

視界が白く染まり、やがて部屋の天井が見えた。

「はぁ…そろそろ整理しねぇと…」

部屋を見回すと様々なアイテムが散乱している。

レアリティの低い物からコレクターが喉から手が出るほど欲しがるアイテムまで…

視界の端にあるクロックを見る。

現在時刻…日本時間17:02。

アルン標準時11:02…

作戦決行はアルン標準時12:30から…

あと一時間半か…

あぁ、装備の確認しないと…

近くのストレージボックスをタップする。

今現在装備している"第一装備"…

ストレージの奥から"第零装備"を引っ張り出す。

第一装備はカオスブレイブズ結成後、俺が副長ではなく相談役になって以降に使っている物。

第零装備は…それ以前の戦国時代を戦い抜いた装備。

それらの特徴は…凶悪なスペック…

全てのステータスがUPする。

そして…

「"コレ"は使いたくなかったが…しょうがないか…」

ボックスから取り出したのは…

「ヘルマプロディートスのピアス…」

効果は単純。

男性なら女性専用装備を、女性なら男性専用装備を装備出来るようになる。

所謂ネタアイテム。

ただし値段の割にはレアリティも買い取り価格も低い。

その上買ったら買った店の掲示板に乗ってしまうと言う明らかに悪意のあるアイテム…

だが…

「ブリージンガメン・レプリカ…コイツを装備する為なら仕方がない…」

そう言って純金のネックレスを装備する。

「問題無いな…次は…」

ドーピングアイテムの確認だ。

ん?ピアスとネックレス以外の装備?

第零装備は現行装備よりも強いから大丈夫さ。

そうやって30分程アイテムを整理し、混沌の館の庭に出た。

そこでは今回の世界樹攻略作戦に参加する各員が装備の確認を行っていた。

「よう、トード…ん?そのピアス…お前…まさか…」

「待て、テルキス。コレには事情があるんだ」

真っ先に俺に声をかけたのは団長のテルキスだった。

「冗談だ。大方、女性専用のレアアイテムでも装備するんだろう?」

「ああ、コイツをな」

と言って首元のネックレスを指差す。

「ほう…それは確か…」

「ああ、ヒーラー連中には昨日の内に話は通してある。
いいだろう?」

ステータス倍加とは言え、HPスリップ500%/4分は支援無しではキツイ…

「ああ、いいぞ。お前以上に突破力がある奴は居まい」

「お前だって…いや、なんでもない」

テルキスは強い、俺よりも、確実に。

だがテルキスは後方で指揮を取らなければ行けない。

「なぁ、灯俊」

「なんだ照秋?」

リアルネームで呼ばれたので、こちらもリアルネームで聞き返す。

「お前は覚えているか?あの日学校で…
『多種族混合ギルドを作ろう』
お前がそう言った日を…」

「ああ、覚えているとも…相棒」

カオスブレイブズ…

その創立はある日ある学校の昼休みだった。

「灯俊、あの時のお前の言葉が忘れられんよ」

ああ、またその話か…

「『今のアルヴヘイムをどう思う?』」

俺が何時ものように言い…

「『戦国時代だな』」

照秋が返す。

「「『そうだ、あんなのが妖精郷であってたまるかよ!』」」

最後に二人声を揃えて言う。

「なぁ、トード…」

「なんだよテルキス?」

「カオスブレイブズも…いつの間にか最大派閥になっちまったな…」

「お前の人徳さ…」

その後、イクシードで符丁の確認などをしていると出立時刻になった。

「総員!整列!」

テルキスの声で全員が整列する。

そして俺達は世界樹へ向かった。

「よう、サクヤ、アリシャ…昨日ぶり」

「ああ、そうだな」

「おー?トード、装備はどうしたのサ?」

「後で着るさ…」

途中で同盟軍と合流。

世界樹へ向かう。

各々が各々の代名詞とも言える装備を纏ったカオスブレイブズの団員。

全員が伝説級武具に身をつつんだシルフの最精鋭部隊…フェンリルナイツ。

噂だけだと噂されていたケットシーのドラグーン隊。

アルン在住のプレイヤーは何事かと俺達を見ていた。

やがて…世界樹が見えた。

しかし…

「おい!門が空いてるぞ!?」

ナニィ!?

クッソ!アイツ等か!

「テルキス!」

「ああ!総員!突撃!体形を崩すな!」

テルキスの号令でカオスブレイブズが世界樹に雪崩れ込む。

「我らも行くぞ!フェンリルナイツ!突撃!」

「ドラグーン隊!突入だヨ!」

領主の命令で同盟軍が雪崩れ込む。

見上げるとそこにはキリトとリーファともう一人…

さて…俺も行きますか!

素早くウィンドウを開き、第零装備を纏う。

イクシードを初めとした古参プレイヤーはそれに少し驚いている。

それに構わず口上を述べる。

「行くぞお前ら!あの勇者達を死なせるな!
シルフ隊!ケットシー隊!恩人を死なせるな!
前衛隊!俺に続け!
突撃ぃぃぃぃぃぃぃ!」

「「「「「「「「ウォォォォォォォォ!!」」」」」」」

全員が雄叫びを上げ、突撃した。

「前衛隊散会!フェンリル・ストーム!放て!」

「ドラグーン隊!ブレス攻撃…撃て!」

ここに、世界樹攻略作戦が幕を開けた。
 
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