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銀河英雄伝説〜ラインハルトに負けません

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第七十一話 戦陣訓


第七十一話 戦陣訓

帝国暦480年4月25日

■オーディン ノイエ・サンスーシ 小部屋 テレーゼ・フォン・ゴールデンバウム

 本日も定例総会です。
参加者は何時ものように、私、父様、爺様、ケスラーです。
早くケーフィンヒラー爺さんや信用できる謀略仲間が欲しいです。
カロちゃんは謀略には向いてませんから残念です。

今日もケスラーが司会です。
「今回も小官が牽引させて頂きます」
話しながら色々考えているようです。

今回は多数の報告と新規の提案がありすぎなので大変です。
庭園は未だ建設中だし。
歌劇団も未だ募集前ですからね。

指向性ゼッフル粒子先に開発しようかなと思ってます。
未だ開発どころか構想すら無いようです。
そうすればシャフトの権勢ゼロじゃないですか。

さらにヘルクスハイマーが、アマーリエ姉さん、エリザベート、クリスティーヌ姉さん、ザビーネ達の遺伝情報を仕入れてきてやばい状態になっても、既に出来ていれば持ち逃げされる可能性が減るし。

と言うか、リッテンハイム候がヘルクスハイマー伯を暗殺しようとするぐらいで、
皇位継承どころか門閥貴族としても破滅的なモノなのなら。
ザビーネやエリザベートの遺伝的欠陥が姉上達からの遺伝であるから、

この情報を先に仕入れて両家の首根っこを押さえる。
しかし私自身が遺伝的欠陥があるかもしれない。
これは、諸刃の剣だな。

大体原作、OVAでも結局は内容までは出なかった。
しかしヘルクスハイマー伯が知り得た情報だ、
うちなら比較的簡単に暴けるのでないか。

劣悪遺伝子排除法で破滅する遺伝情報か。
OVAを見る限り、姉上達やエリザベートやザビーネに身体的欠陥は見受けられなかった。
そうなると精神的か、外観に出ない内臓的な欠陥なのか。

色盲という可能性もあるか。
幼年学校生で色盲が原因で放校されたしあり得ることだ。
んー危険すぎるか、暫くは保留にするか。

ケスラーの報告を聞きながら考えていた。
「サイオキシン麻薬については、カール・マチアスの仕入れ元の探索に時間が掛かっております」
ん。判らないのか、ヒントをあげるかな。
「ケスラー、サイオキシン麻薬だけど、オーディンだけじゃなくて全国に広まっているのでしょう」

「はい、全国各地で中毒患者が出ております」
「でそのディーターは出せるかしら」
端末を操作して出してくれます、見た感じ各地に麻薬関連の犯罪や患者数が出てますね。

「ケスラー麻薬犯罪や患者数の多い順に並び替えて」
操作中です。
出ましたね、やはり軍港が多いな。

「やはり、軍港を中心に同心円状に広がってますね」
「なんと」
「そう言う事じゃと?」

みんな驚愕ですね、私は知ってましたけど。
「軍がサイオキシン麻薬を流通させているのではないかと思うのですが」
「しかしその様な事が」
「ありえんのではないか?」

「まず考えて下さい、サイオキシン麻薬の製造には大がかりな施設が必要です、
そんな工場が内務省に見つからないのは可笑しいのではないですか?
あれだけ、でっち上げや冤罪だらけの社会秩序維持局が検挙できないのは何故なのか?
意外な盲点にいるのではないかと」

「其れが軍だと?」
「ええ、軍の補給敞に有るプラントならサイオキシン麻薬制作も出来ますし、
輸送艦を使えば正規の物資に混ぜて各地へ合法的に送ることが出来ます。
まさか軍用艦を警察や社会秩序維持局が調べるわけには行かないでしょ」

みんな考え出しましたね。
「軍と軍に影響のある人物が暗躍している可能性が大だとテレーゼは言うのじゃな」
「はい、お父様」
「そうなりますと、慎重に事を運ばねばなりません」

「そうなのよね、気づかれたらアウトだから。
其れと思うのだけど、マチアスのように金のない貴族で豪遊している連中や強突張りの連中は密売してるんじゃないかと思うのですよね。その辺りも調べた方が良いですね」

「確かにその可能性はあります」
「お父様どうでしょうか?」
「テレーゼの策を取ろう、グリンメルスハウゼン、ケスラー頼むぞ」
「「御意」」

「所でテレーゼや」
お父様が先ほどと違ってにこやかに話しかけてきます。
「だいぶ士官学校の事では色々やったそうじゃな」
ああシュターデンや、憂鬱になるフレーゲルの事ですね。

「まあ色々としましたが」
「テレーゼの事じゃ飛ばされた者にも何かしらするのであろう、
フレーゲルの事はまあ一時じゃ我慢せい」

「シュターデンについては理屈と理論は優れている為、
お爺様の代にイゼルローン要塞建造を監督したリューデリッツ提督のような仕事をさせれば良いかと思います、けれどもブラウンシュヴァイク公の紐が完全に切れたらですけどね」

「なるほど、確かに理論的ならば力を発揮しそうですね」
「ええ、フレーゲルはねー。まあ適当にあしらいますよ」
憂鬱です。

今度も大事なことです。
「お父様、ゼッフル粒子を指向性にする研究をしませんか?」
「指向性を持たせるとは?」
「はい、今のゼッフル粒子は流したまんまです。其れでは大して役に立ちません。
其処で指向性を持たせれば機雷原突破や敵要塞の一部だけ破壊などや敵艦隊にだけ損害を与えるなど出来るはずです」

「しかしゼッフル粒子にそんな事が出来ないじゃろうケスラー?」
「はっゼッフル粒子はコントロール可能なモノではありませんね」
みんなが子供の考えだと思った顔です。けども内容を知っている私は大丈夫です。

「ゼッフル粒子自体を制御するのではなく、
ゼッフル粒子を吸引するナノマシンを開発して其れにより指向性を確保するんですよ。
それならば可能なはずです」

コロンブスの卵的な発想ですから、みんな其れがあったかという顔に変わります。
「なるほど、確かに粒子自体をコントロールするより遙かに簡単かもしれません」
「確かにそうじゃな、研究させてみるか」
「お願いしますね」

「次にですが、帝国軍規はルドルフ大帝がお決めになったモノなので、
変更は難しいのですが、改訂しておきたいというモノが有るのです」
「いったい何じゃな?」

「『俘虜を恥として死を持って矜持を得よ』です。
このせいで降伏もせずに玉砕を遂げる部隊が続出しています。
確かに帝国軍人で有れば、叛徒に降伏は恥辱以外の何物でもないでしょう。
しかし門閥貴族なら鼻で笑うでしょうが、人命を無駄に浪費したくはないです」

「しかしルドルフ大帝以来の軍規を変えるわけにも行かんぞ、
貴族達が騒ぎ出すにきまっておる」
お父様も此に関しては弱いな、まあ暗殺されるかも知れないしね。

「簡単です。晴眼帝マクシミリアン・ヨーゼフⅡ世が劣悪遺伝子排除法を有名無実にしたようにすれば良いのです」
「で内容はどうするのじゃ?」

「はい、お父様に勅命を出して頂きます」
「勅命をか」
「はい勅命であれば、帝国臣民ならば考えは別として須く守らねばなりません、
破れば逆賊ですから」

「出すとしてどの様なモノじゃ?」
「はい戦陣訓と言うモノを出して頂きます」
「戦陣訓?」

「ええ、現在の帝国軍の軍規は非常に低いです、
汚職や横流しなどの犯罪、地方叛乱時などでの略奪暴行等、
そして先ほどの玉砕や自決を強要などです」

「確かに軍規の乱れは酷いです」
「それほどか?」
「はっ」

父様はあまり聞いてないからね。
「其処でです、今上勅命により古い軍規を有名無実化してしまうのです」
みなさん頷いてます。此処は酷いようですが敢えて酷い言い方を言います。

「酷いようですが、はっきり言って人命も資源です。
叛徒撃破ですり潰すならいざ知らず、
無駄な自決や玉砕で捨てるのは、大いなる損失です」

みんな考えてますよ。
「草案はあるのですか?」
「ケスラー考えて有りますので、其れを元に作って欲しいのです」
「教えて頂けますか?」

「ええ」

【昨今の軍規の乱れを鑑み。此処に新たなる詔を示す】

【帝国軍人 心得の条 我が命我が物と思わず 無用なる死、あくまで禁じて 奮戦勇戦し刀折れ矢尽きし時 堂々なりて降伏せよ、無用なる死迎えし者  死して屍拾う者なし 死して屍拾う者なし】

【第一条
軍規の粛正。
略奪、暴行、虐殺等の帝国軍人にあるまじき行為の厳禁、
また其れを行いし者は厳罰を処す。】

【第二条
降伏要項。
帝国軍人として、奮戦虚しく俘虜になりし者の罪は此を問わない】

【第三条
玉砕、自決の禁止。
上記要項に鑑み。
死に逃避する考えを禁じ自滅玉砕を禁ずる。】

「まあこんな感じで作れば良いかと思います、
只逃げ道を無くすように作らないと曲解されます」
皆さん又々考え中です。

「時代掛かった台詞じゃ」
「まあ無用な死を強調したいですからね」
実際は大江戸捜査網からだけどね。

「まあ此を元に考えて見るのも一興じゃ」
「ではその様に」

何とか成りそうですね。
「テレーゼ様」
「ケスラー何かしら?」
「テレーゼ様のシミュレーションの結果を照査した結果、
ご指摘のように士官学校のカリキュラムに取り入れる事が出来るレベルだそうです」

「それでは、来年度から入れて貰ってくれるかしら、
其れと現役士官にも在所でその理論を教えてあげて下さい。
ただし幼年学校は未だ早いので、幼年学校生は士官学校へ行ったら勉強させて下さい。
初めのうちから奇策覚えたら真っ当な思考が出来ませんから」

「なるほど、全士官が知れば作戦を立てやすいですね、
幼年学校生も士官学校で習えばいいわけですから確かにそうです」

「481年度からカリキュラムに入れれば僅か1年で全士官に戦訓を教えられますから。
其処でお仕舞い出来るじゃないですか、あとは士官学校の教育ですから」

みんな関心してるけど。これラインハルトに対する嫌がらせなんだけどね。
幼年学校出のラインハルトはその理論を習ってない、
其処で各個撃破戦法とか中央突破戦法とかしても誰も驚かない。
教科書や授業で習ったのを、自分が発明したかのように言うKYだと思われるでしょう。

「お父様如何でしょうか?」
「いいじゃろうそうしなさい」

「あそうだ、ラプンツェルのように、後方射出型の標準戦艦や巡航艦の設計を出来ないかしら、
それにワルキューレ母艦の建造をお願いしたいです。
横出し式だと火線で殺られる可能性が大きいですから」

「うむ其れの基本図は出来るかの?」
「戦艦に関しては今までの後方砲座部分を延長して格納庫として、
その上面に砲座をもうければいけるはず。
巡航艦は基本から変えないと駄目です。

空母は叛徒の空母のように開放型釣り下げ式だと、腹に火薬を抱いて居る状態ですから、
そこを何とかしないと駄目ですね」

「難しいの」
「秘密研究所で艦艇専門家が居るから其処でゼッフル粒子共々研究させましょう」
「ケスラーそうだね」

やることがありすぎて体が足りません。
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障害についてご意見が有った為削除しました。
原作準拠の物は残しました。
 
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