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【完結】戦艦榛名に憑依してしまった提督の話。

作者:炎の剣製
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0278話『居酒屋鳳翔でラーメンを……』

 
前書き
更新します。 

 



今日は悲しい事があった。
武蔵建造チャレンジをまた資源がカンスト気味だったので決行してみたんだけど、結果は大損であった。
レーベにも何度もやってもらったんだけどもうビスマルクすら出ないで八回も大型建造を行ってしまい、この感覚ではこのままだと冬の限定作戦に響くぞ!?という事でまだ今月は武蔵の建造率は上がっているのだけど私のチャレンジはここまでだ……という事になった。
レーベには悪い事をしたと思いながらも、少しだけやけ酒をしたい気分だったので居酒屋鳳翔へと足を運んでいる最中だった。

《提督……大丈夫ですよ。まだ資源はそれぞれ20万以上はあるではないですか……。今月の残りの時間を費やせばいいところまでは回復しますよ》
「ああ、分かってるんだけどな……どうしてもこの気持ちを発散させておかないと明日に響くと思ったんだ。だからあんまり飲めないけど少しだけ嗜むことにしたんだ」
《ああ、提督。お労しいです……》

榛名のそんなちょっとした芝居かかったリアクションのようで本音で言っているところにときめきを感じる今日この頃である。
そして居酒屋鳳翔へ到着してみるとなにやら中が少し騒がしかった。

「なんだ? 今日は宴会でもしているのか……?」
《なんでしょうか……?》

少しだけ疑問に思いながらも暖簾をくぐってドアを開けて中に入ってみるとそこでは武蔵と長門、そして大和のうちのトップ戦力三人が静かに、だけど豪快にラーメンをすすっていた。
清霜も武蔵の隣でお子様のラーメンを食べているところが癒しを感じるな。

「あら、提督。どうされましたか?」
「ああ、鳳翔さん。ちょっと今日は大型建造で失敗をしまくってしまったんで少しだけ気晴らしに飲みに来たんだけど……」

チラッと四人を横目で見る。
四人とも種類は違えど美味しそうにラーメンを食している。
そんな光景に私は少しだけ胸をときめかせていた。

「ふふ……。みなさん、良い食べっぷりですよね。提督も無理に苦手なお酒を飲むのはよして一緒にラーメンでもお食べになりませんか? すぐにお作りしますよ?」
「それもいいかもしれないな……」

鳳翔さんの魅力的な提案に私は条件反射で言葉を返していた。
お酒を飲もうとしていた気分ももうラーメンに移行しているところはさすがである。

「はい。それでは席についていてください。すぐに注文を聞きに行きますので決めておいてください」
「わかった」

それで手頃な席を探そうとするんだけど清霜が私に気づいたのか、

「あ! 司令官、清霜の隣空いてるよ!」

そう言って清霜が手招きをしてくるので無理に断るのも気が引けたので清霜の隣に座る事にした。
席に着席するとさすがに他の三人も私の事を気付いたのか、

「ふふ、なんだ提督。浮かない顔をしているじゃないか。さては私の建造に失敗した口かな?」
「つぅ……痛いところを突いてくるじゃないか武蔵」
「はっはっは! まぁいいじゃないか。そういう時もあるさ。それにすでに私はもういるのだからそんなに焦る事もないじゃないか」
「そうですよ提督。今回はもう諦めて冬の作戦に備えましょう?」

大和もそう言ってきたので、

「そのつもりだよ。もう久しぶりに大型建造の闇を味わったからな……今回はもう備蓄に専念する事にした」
「いい心がけだな提督よ。まぁこれで安心したよ。提督代行をしている身としては資源の激変を何度も見せられる様は結構キタからな」
「それは、悪かったな……」

もう苦笑いも出来ない。
そんな私の背中を清霜は撫でてくれながらも、

「司令官! もう大型建造の事は忘れて清霜たちと一緒にラーメンでも食べましょう? とっても鳳翔さんの作るラーメンは美味しいんだから!」
「そうだな」

それで私はメニューを取って何を食べようかと考え始めるんだけど、

「ときに提督よ。提督はラーメンの味は何が好みなんだ? あまりこの世界に来てから提督がラーメンを食す光景は見たことがなかったからな。少し興味が湧いた」
「大和も少しだけ興味があります。提督はもちろん醤油味ですよね?」
「いやいや大和、ここは断然味噌味だろう?」
「塩味やとんこつ風味もなかなか隅に置けないと思うのだが……」
「清霜はー、醤油とんこつ味がいいなー!」

それぞれの好きな味を四人が言った瞬間にブリザードが吹いたのではと思うくらいの視線と視線が交差していた。
清霜は純粋に楽しそうなんだけど長門と武蔵がメンチの切り合いをしていて大和は柔らかい笑みの中に鋭いものをちらつかせていた。
味の好みでそこまで揉めるものなのか……?
私はどう答えていいものかと戦々恐々としながらも、

「私は……どちらかといえば醤油かとんこつ側かな……。どうも味噌味は口に合わなくて。あ、塩も当然好きだけどな」
「そうなのか……」

大和と長門はうんうんと頷いていて一人武蔵だけが落ち込んだ顔をしていた。
そこまでなのか!?
そんな感じで鳳翔さんが来るまで和やか(?)だったところに鳳翔さんがメモ帳を持ちながらやってきた。

「お決まりになりましたか提督?」
「そうですね。それじゃ醤油のチャーシューで少しピリ辛風味をお願いしてもいいですか?」
「わかりました。それでは少しお待ちください」

そう言って鳳翔さんは厨房へと消えて行った。

「なるほど……提督は少し辛めの味が好みなのか? しかし、どうして普通に辛い方を頼まないのだ?」
「あはは……前に一度この世界に来る前に汁が赤い奴を頼んだ事があるんだけど見ただけですでに汗が止まらなかったんだよな。それだから案の定食べてみたらもう大惨事で喰い終わった時には舌がもうヒリヒリして翌日は味覚が少し麻痺していた事があってさ」
「それはまた……」
「それで提督は妥協案として少しだけ辛いのにしたんですね?」
「そんな感じだ。少しのスパイスがある程度でいいんだ」

そして少し時間が経って鳳翔さんがラーメンを運んできたので、榛名の身体になってからというもの持ち歩いているシュシュで髪を結んでいざ参るという感じでラーメンを食べだす。

「うん……やっぱりラーメンは美味しいよな」
「司令官たらとっても幸せそうな顔をしているわね」
「そうだな清霜」
「やはりラーメンは皆共通して美味しく食べられるものなんだな」
「鳳翔さんのお手製ともあればなおさらですね」
「あら。大和ちゃん、ありがとうございますね」
「いえ」

そして榛名もそれに影響されたのか、

《榛名も……食べたくなってきてしまいました……今度、分離する機会がありましたら食べてみたいです》
「そうか。それじゃ今度は一緒に食べような」
《はい!》

その後に少しして酒飲み連中も居酒屋鳳翔に訪れて騒いで気が付けば大型建造の悲しみも忘れていたのであった。


 
 

 
後書き
ネタが思いつかずに深夜まで考えていてふと『ラーメン大好き小泉さん』を初視聴していて飯テロをされてハマったので思わず書いてみました。

もう大型建造は当分はしないと思います。闇が深い……。




それではご意見・ご感想・誤字脱字報告をお待ちしております。 
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