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銀河英雄伝説〜ラインハルトに負けません

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第四十七話 引っ越しはローエングラム


グタグタかも。

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第四十七話 引っ越しはローエングラム

帝国暦479年4月28日

■銀河帝国辺境星域

 帰還中の帝国兵に対して、再度救恤品が配給されたが、
今回はワインが入ってない為に失望する者と、
あんな不味い酒は飲みたくないと言う者に分かれていた、

何処の船もほぼ同時に噂が流れた、
皇帝陛下の救恤品には463年物のワインが一人1本ずつ挿入されていたと。
何人もが騒ぎ出す、『俺達はワインなんか飲んでない』
『あんな不味いワインが463年物だって嘘付け』
『1人一杯ずつだったぞ』
『俺達はちゃんと旨いワインを1本ずつ貰ったぜ』

皆バラバラである。
その騒ぎに先任下士官が現れ、正式な話をグリンメルスハウゼン少将がすると教えていった。
固唾をのんでモニターに喰いいるなか少将から、
皇帝陛下の救恤品の中身が教えられた。

多くの兵が自分が受け取った品が少なくなっていた事に気がついた、
特にワインはかなりの兵が無くなっていた事が判った、
憤慨する兵達、すると『叛徒共がネコババしたんだ』と言う声がどこからとも無く沸き上がり、
その声はたちまち艦内に木霊したのであった。
『あいつら向こうは平等だとか言いながら俺達の物を盗んでやがるんだ!』
ヒートアップしていく兵達。

其処へ今度はケルトリング中将がモニターに現れ。

『皇帝陛下が折角卿達を慰めようと送ったワインが叛徒共に掠め取られていたとは、
小官も非常に憤りを感じるモノである、
奴らは皆が平等と言いながら他人の物を平気で盗む盗賊の集団である。
卿等の無念を思うと胸が痛む、よって今より各艦にある酒類の飲酒を自由とする、
皆楽しんでくれ以上』

話が終わると多くの兵達が食堂へ向かった。
食堂では食事はバランス良く豪勢な食事が支給されていた、
また酒類も飲み放題でになり、飲兵衛連中には堪らない状態であった。 
そして各艦の監視モニターが一部始終を記憶しているのであった。

5月5日、捕虜交換により帰国中の帰還兵の中で同時進行的に奇妙な噂が流れ始めていた、
噂の出所は噂好きの看護婦達であったが、
何かにつけて診療施設に入り浸りたがる兵達が噂を聞いてきたのである。

噂によると皇帝陛下が帰還兵の恩赦を決め無事に臣民として遇すると仰っているのにも関わらず、
社会秩序維持局が皇帝陛下の勅命を無視して動こうとしているとの事であった。

多くの兵達は皇帝陛下の勅命を無視する訳がないと安堵していたが、
輸送艦と病院船がオーディンへ近づくにつれて噂が噂を呼び次第に不安になる者達が増えていった。
オーディンまで数日の決定的な噂が流れた、社会秩序維持局が帰還兵家族の身辺調査を始めていると、

しかもその噂の出所が、艦隊の高級幕僚から聞いたと、
しかも幕僚の愛人である看護婦から話が流れた為、
事実として艦隊内に流れ、大騒ぎになっていった。

青ざめる者、絶望に沈む者、家族を心配する者、途方に暮れる者、
怒りに震える者、多くの兵がパニックに成りつつあった。

その時である、ケルトリング中将による放送が流された。
『オーディンまであと数日であるが、恐れ多くも皇帝陛下の御心を無視した、
社会秩序維持局が卿達と卿達の家族を政治犯として収容しようと画策している事が判明した、
皇帝陛下の御心を土足で踏みにじる行為を行おうとしている、

社会秩序維持局はその詔を曲解し卿達の家族親族を政治犯として検挙し、
連座として卿達を捕らえようとしている、
皇帝陛下はお怒りであるが、その様な行為を行われては卿達の家族数百万を守りきれるものではない。

皇帝陛下が御心をお痛めになり、なんとしても卿達と卿達の家族親族を守る為に、
先頃皇女殿下の所領と成った、ローエングラム領に家族共々移住を進めるとのお心である。
卿達の古里から離れる事は断腸の思いで有ろう、

其処で皇女殿下にお話になり、卿等家族共々移住を殿下自ら快諾なさって頂いたのである。
皇帝陛下は卿等の忠誠心を忘れはしない、皇帝陛下は卿等を決して見捨てはしない、
見知らぬ土地へ向かうのは辛かろうが、皇帝陛下と皇女殿下の御心を信じて貰いたい』

この放送が流れると、今までのドンヨリとした空気が晴れ始めたと同時に、
誰が叫んだか判らないが、皇帝陛下万歳、皇女殿下万歳の歓声が響き始めた、
『皇帝陛下万歳、皇女殿下万歳』

そして逆に社会秩序維持局《ゴキブリ》に対しての怒声と怨嗟の声が響きまくったのである。
『くたばれゴキブリ野郎!!』 

帝国暦479年4月

 帝国臣民に、皇帝陛下がお慈悲を持って叛徒に捕らえられた臣民に救恤品を下賜し、
さらに100万人もの兵を帰還させるそして兵達は一切の罪に問われないと知らされたのは、
4月20日の事であった。

貴族や政府関係者はまたぞろ陛下の我が儘が始まったとあきれ顔であり、
軍部は渋い顔であったが、陛下の勅命では仕方ないと諦めていたが、
臣民の考えは違っていた、此で家族が帰ってくるかも知れない。
皇帝陛下のお慈悲が嬉しいなど、好意的に取られる方が多かったのである。

5月に入ると帝国では市井において、
ある噂が流れて始めていた。
『皇帝陛下が帰還兵の罪を問わないと言うのに反発した社会秩序維持局が、
勅命の盲点を突いて家族や親族を反帝国活動として捕らえ、
連座として帰還兵を拘束する』

まことしやかに流れたのである。
人々は社会秩序維持局の怖さを知っている為、確実にあり得ると震え上がっていた。
そして誰が帰還するのか、戦々恐々に家族達はおびえていたのである。

そして5月12日帰還兵のリストが公表されると、
喜ぶ者より不安がる者が増えていったのである。

帰還兵の家族や親族は毎日が不安になっていった、
人影が見えると身構えてしまうのである、
社会秩序維持局の局員では無いかと。

そんな中、帰還兵家族親族に接触する者が増えていった、
グリンメルスハウゼン旗下の特殊宅配便部隊である。

時間がかかるが、彼らは宅配便として帰還兵の無事と、
社会秩序維持局が狙っている事、
そしてそれを逃れる為に、ローエングラム領への移住を勧めてきたのである。
またその際に移住する場合のIDカードを作る為と称して少量の血液を貰う事も行った。
無論其れはDNA鑑定の為であった。

多くの家族親族は躊躇したが、ローエングラム領では十分な生活保障を受けられると聞くと、
好意的に考える者達が増えていったし、
家の廻りに怪しげな人物が蠢き始めるのをひしひしと感じていった為、
移住を行う気になる人々が多数出てきた。
決定的なのは、有る士官の家族が社会秩序維持局に捕らえられたという噂が流れた事であった。
此により殆どの家族親族が移住を行う事と成った。

実は社会秩序維持局もこの頃動き始めていたが、合法的にリストを手に入れれれず、
軍務省から手に入れたのは、実在しない偽リストで合った為、
全く動き損ねていたのである。

実は捕らえられた士官の家族と言うのは存在しておらず、只流された噂であった。
つまり家族の元にいた怪しい影は、殆どが勘違いかグリンメルスハウゼンの部下達だったのである。
社会秩序維持局が正式なリストを手に入れた6月には、
既に帰還兵の家族親族はローエングラム領へ引っ越しを終えた後であり、
全く手が出せない状態だったのである。

その後市井の噂で、皇帝陛下が社会秩序維持局が行おうとした陰謀を自ら潰し、
犠牲になりそうだった臣民を皇女殿下の領地のローエングラム領へ逃がしてくれたと、
その数400万人以上だと、其れを聞いて多くの臣民が皇帝陛下の慈悲を感じ始めていた。


帝国暦479年5月30日

■オーディン  宇宙艦隊第3宇宙港

 この日オーディンの空は青空に澄んでいた、
帰還兵100万を乗せた輸送艦病院船が相次いで到着したのである。

皇帝陛下、皇女殿下ご臨席の中、
まずケルトリング中将がタラップから降りてくる。
そして、輸送艦病院船から次々と帰還兵が降りてくる、

当初は不安げな顔をした帰還兵達も、皇帝陛下、皇女殿下の姿を見ると、
明るくなり興奮したように『皇帝陛下万歳、皇女殿下万歳』と言い始めた。

皇帝陛下と皇女殿下はにこやかに手を振り始めた。
100万人が広場に降り立つまで実に二時間以上かかったが、
その間皇帝陛下と皇女殿下はにこやかな笑みを絶やさずに見守り続けた。

その姿に感動する帰還兵達と現役の将兵達。
『皇帝陛下万歳、皇女殿下万歳』が響き渡る。

帰還兵100万が整列し終わると、皇帝陛下からのお言葉が述べられた。

『我が親愛なる臣民達よ、よく帰ってきた、
予は卿等の忠誠を決して忘れはしないそして卿等と卿等の家族を守ろう』

すでに兵達には家族がローエングラム領へ移転した事が知らされていた為、
安堵した声が聞こえ、社会秩序維持局に対する怒りが上がっていた。

皇帝陛下と皇女殿下が退席の後、
ケッセリング中将からは、家族のビデオメールがそれぞれにあるから、
名簿順に順次受け取るようにとの話があり皆喜んでいた。

傷病兵は速効で軍病院の特別病棟に入院し、
確りと守られたのである。

その他兵士は、その日から3日間は宇宙港の宿泊施設に泊まり、
3ヶ月の休暇と俘虜に成った時間分の俸給と一時金を受け取り、
希望する者から順次家族の待つローエングラム領移動して行ったのである。

大半の将兵は3日目にはローエングラム領へと旅だったのにもかかわらず、
一部将兵がオーディンに残る事を申告した、大半が身寄りのない兵達であった。
結局残った兵は205名であった。

その中に多数の諜報員が紛れ込んでいた。
同盟は帝国が劣悪遺伝子排除法により遺伝子研究がおざなりになっている事、
DNA鑑定を殆ど行われて居ないことで、

血液検査自体を余り気にしていなかったが、
テレーゼの知識によりDNA鑑定されてしまった為、
諜報員の大半が判明してしまったのである、その数95名。

それでも5名は元々帝国の兵士だった者が寝返った為にチェックに引っかからなかったのである。
しかし95名は監視を付けて泳がせることとしたのである。
何れ決定的な証拠とする為に。



帝国暦479年6月5日

■オーデイン  ノイエ・サンスーシ  小部屋   テレーゼ・フォン・ゴールデンバウム

 俘虜達が帰還して慌ただしい日々も終わり今日は総括です。
何時ものようにケスラーが進行役です。

「陛下今回の帰還により多くの民が陛下のご威光のたまものと噂しております」
「そのようなものかの」
「まあ良いことをしたと思いましょう」

「帰還兵のうち傷病兵は軍病院の特別病棟に入院させ守っています」

「帰還兵の話を聞きますと、テレーゼ様のご指摘のように案の定、
叛徒共は救恤品の搾取を行っておりました、
手口は全く安物のワインと交換するモノ、数人で1本にするモノ、全く与えないモノなどが有りましたが、マーロヴィア収容所では確りと配られたようです」
「ふむ人それぞれと言うことか」
「まったくですな」
「こちら側が噂の為を蒔いたところ、帰還兵達が思い出してくれまして、
口々に救恤品の話を行い、続けてくれました其れを全て記憶してあります」

マーロヴィアって言えばこの頃はビュコック爺さん任地か、爺さん睨み効かせたのかもね。
「確かに此で、前提条件が整い始めていますね、あとは諜報員の所在ですね」
「其れについて既に95人を確認し監視を続けています、しかしその他に居る可能性も否定出来ません」
「そうよの、ダブルスパイなんぞは、必ず居るモノじゃ」
「努々油断無きようにせよ」
「御意」

「しかし女医と看護婦を使い健康診断に自発的に行かせるとは儂等男では考えつかんの」
「噂を流すのも看護婦と来れば、話しに来たくて集まりますの」
「しかも傑作はそちの息子マンセルよの、看護婦の愛人が200人もいるそうじゃの」
「ホホホ、まあたまには良かろうと思いましてな」

演技とは言え気の毒なマンセル、此じゃロイエンタールかシェーンコップかポプランに並ぶスケコマシの渾名が付けられるな。

「社会秩序維持局も予想道理動いたの」
「御意陛下の勅命を搦め手から曲解し動くとは一筋縄ではいきません」
「まあ此は副次的なモノですからね、警告程度の処置には成るでしょう」
「取りあえずは内務尚書には釘を刺しておこう」

「ローエングラム領への移住もほぼ済みました」
「移住者の生活環境や仕事の準備はどうでしょうか?」
「既に居住区は完成しており、それぞれの職に合わせた作業所も稼働しております」
「よかったです、これで皆安心して暮らせるでしょう」

「移住した帰還兵は予定ではローエングラム領の防衛隊として再編成させ、
ある程度経った後で正規艦隊へ異動希望者が居れば移動させます」

「あとは、放送ですね」
「御意、救恤品から諜報員などの動きを鏤めて、放送を行います、
此により叛徒共の主張の浅はかさと信義を無視する悪辣さ、陛下と殿下の御優しさ、
などを主張する事ができます」

「そうですね、叛徒共がどう出るかですね」

6月20日銀河帝国国営放送で驚くべき放送が流された。
今回の皇帝陛下の俘虜に対する御心と救恤品下賜、
その輸送を頼んだ叛徒共が品物を窃盗したこと、

また帰還した臣民の中に諜報員を混ぜていたこと、
そしてその諜報員が各種事件を起こしたこと、
そして帰国した臣民を守ったことなどが放送された。

帝国臣民は大いに驚き内容を噂し合った。
しかし証拠を重ねて放送が成されると、
同盟が聞くような理想の国であると言う幻想が曇っていったのである。

 
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