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Fate/magic girl-錬鉄の弓兵と魔法少女-

作者:セリカ
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A's~STS編
  第百八話 魔導師ランクの獲得試験 後編

 士郎がゴールを目指して駆ける。

 既に地上本部陸戦武装局員も一人残らず撃沈され、行く手を阻むとすればクロノだけの状況。

 何よりも異常なのは多少汚れてはいるものの本局武装局員、地上本部陸戦武装局員という空と陸のエリートを相手にして一切の被弾が無く、息すら上がっていない士郎だ。

 本局武装局員を撃墜した後、士郎はそのまま地上本部陸戦武装局員に突撃した。
 無数の矢と共に

 身を潜めていたが気配を消しきれず、士郎から位置はばれており先手を取るはずが逆に先手を許す事となった。

 地上本部陸戦武装局員が潜んでいた所に矢が降り注ぎ、粉塵に紛れて士郎が突入。

 そこからは本局武装局員達と同じ運命を辿る事となる。

 粉塵が舞い視界を封じられた場は士郎の一方的な狩場となり、赤い外套が誰かの視界に映るたびに一人、また一人と倒れていく仲間。

 恐慌状態に陥り手当たり次第に攻撃を放ち同士討ちまで起こし、粉塵が晴れる頃には士郎以外立っている者がいない状況であった。

 そして、ゴールまで五百メートル。

 士郎は速度を落しその歩みを止めた。

 そこは障害物が他に比べ少なく視界も開けている場所。

「クロノ、出てきたらどうだ?」

 士郎の言葉にビルの中からクロノが歩み出てくる。

「予想はしていたが、とんでもないな君は。
 空と陸のエリート達が手も足も出ないなんて」
「自身の得意な戦い方で戦う事を当然と思いすぎだ。
 空を駆けるのが得意な魔導師相手に空戦を態々挑んでやる気はない。
 そういう意味では俺にとっては陸の魔導師部隊の方を警戒していた。
 後、忠告するなら魔力を用いない戦闘技能不足と言わせて貰おう」
「それは闇の書事件、ベルカの騎士達を見て僕も感じた事だから素直に受け入れさせてもらうよ」

 お互いの挙動に警戒しながら言葉を交わす。

 士郎の忠告はクロノ自身、闇の書事件で感じた事だ。

 今回、士郎は矢のみで近接戦闘は魔法を使っていない。
 単純な身体能力と戦闘技術で魔導師を倒している。

 そして、ベルカの騎士達はその得物が近接戦闘向きであるが故に魔力を用いない格闘技能も高い。

「さて、おしゃべりもこの辺で始めようか」
「ああ、今回は僕も本気で行かせて貰う」

 クロノが既に握っているデュランダルを構える。

 対する何も持たない士郎は手を広げ、何かを掴める様にする。

(シュミーデアイゼンを握った瞬間来る!)

 士郎の姿にそう警戒したクロノだったが

 予備動作も無くシュミーデアイゼンを握る事無い士郎の踏み込みに間合いを半分潰された。

 読みの裏をかかれたことに驚愕しながらも即座に攻撃を放とうとし、クロノの足元に魔法陣が浮かぶ。
 だがその時には士郎はもう一歩踏み込み間合いはゼロになる。

 武器を持つと見せかけての奇襲。
 士郎とクロノの戦いを汚い手を使うと思っている上層部もいるが、それは戦いを知らない者の理想論である。

 戦い互いの手の読み合いと騙し合い、虚を突けた者が優位に立つ。

 クロノとて経験があり読み合いが出来るだけの技量を持つが、それを持つが故にデバイスを展開しないで突っ込んでくるという暴挙に等しい行動が思いつかなかった。

 即座に迎撃の攻撃を放とうとするクロノの技量は大した者だが、士郎の速度には間に合わない。

(まだ士郎を過小評価していた。
 だが反省は後だ!!)

 迎撃と平行し、間合いを開けるために地を蹴りながらシールドを展開する準備を行う。

 放たれる士郎の掌底を辛うじてかわすクロノ。
 踏み込まれ沈んだアスファルトと掌底の風圧にかわしていなかったらと冷や汗が流れる。

 だが、士郎は更に手を用意していた。
 士郎の左手が握られると共に具現化するのは

「Bogenform,Explosion」

 シュミーデアイゼンの弓と装填されるカートリッジ六発。

 引かれていた右手に三発の螺旋弾が収まり、弓に番えられた状態で顕現する。

 近接状態で弓を出すという予想外の行動。
 弓を使用した零距離射撃なんてクロノが聞いた事があるはずも無い。

「Spirale Kugel」

 放たれる螺旋弾。

「スティンガースナイプ!」

 スティンガースナイプを放ちながら回避行動と共に準備をしていたシールドを展開する。

 螺旋弾の一発をスティンガースナイプで迎撃し相殺する。
 螺旋弾の一発をシールドで受け流す。
 最後の螺旋弾を

「はあっ!!」

 念のためと持ってきていたS2Uを自信の持てる最大速度で展開し魔力を纏わせぶつける事で軌道を逸らす。

 その衝撃でS2Uが手から離れ、クロノ自身も吹き飛ばされる。

 転がり立ち上がる暇があれば士郎が次の攻撃を放つ事はできる。

「スティンガーブレイド・エクスキューションシフト!」

 狙いなどほとんど出来ていない。
 士郎がいた周囲を爆撃するかのように百以上の剣型の魔力弾を放つ。
 さらにトラップ型のバインドを周囲に展開する。

 これにより受身が遅れる、最初に落ちた背中が痛むが歯を食いしばり、即座に立ち上がる。

 対する士郎は向かってくる剣の群れにこの試験で初めて

「ミーデ!」
「Zwei schwertform
 Explosion,Scharlachrot Wirkung」

 双剣形態を握り、カートリッジを一発装填し赤い魔力を全身に纏い駆ける。

 魔力弾を回避し、回避が難しいものは双剣で迎撃していく。
 さらにトラップ型のバインドが発動するや否や拘束されるよりも早くバインドを切り裂いていく。

 士郎の魔法が発動する直前の僅かの空間の揺らぎと反応速度あっての技。

 駆ける士郎と立ち上がったクロノの視線がぶつかる。

 今回の戦闘における読み合いでクロノは士郎に及ばなかった。
 だから勝てないかといわれるとそういうわけではない。

 殺し合いではなく魔導師として戦いならばデュランダルの凍結魔法、エターナルコフィンを放てば士郎に防ぐ手立ては無い。
 だがこうして正面からの戦いで士郎が魔力のチャージと詠唱を許すはずが無い。

 此度の戦いでは士郎に軍配が上がるだろう。
 だからといってこのまま抵抗無く斬られるような性格ではない!

「ブレイズキャノン!!」

 士郎に向かって一矢報いようと砲撃が放たれる。
 だがそれを迎撃されるのはクロノはわかっている。

 そのクロノの予測通り

「Explosion」
「紫電双牙!!」

 二発のカートリッジを使い、ブレイズキャノンが切り裂かれる。

 付け入るとしたらこの瞬間。
 カートリッジがあと一発しか残っていないこの状況。

 使用できるのは残り一発。
 士郎の魔力量の関係で大技のためには再装填のための隙が生まれる。

「スティンガーブレイド・エクスキューションシフト!」

 叫ぶように百の剣弾を展開し士郎に向かって殺到させる。
 先ほどのように一定範囲を吹き飛ばすのではなく、士郎に向かって剣が降り注ぐ。

「ミーデ、剣弾、全展開!」
「Explosion,Schwertkugel ganz Entwicklung」

 士郎であれば剣型の実体弾の魔力弾を展開するのにカートリッジは必要ない。
 だがそれで展開できるのは五十ほどが限界だ。

 故にクロノの百の剣弾に対応するためにカートリッジを使用し剣弾を展開する。
 その数、百三十

 そのうち百がクロノの剣弾の迎撃に、残りの三十がクロノに殺到する。

 クロノのミスは剣弾という士郎がもっとも得意とする魔術と似た魔法で攻撃してしまった事。

「はあっ!!!」

 最後の抵抗とバリアを張って士郎の剣弾を防ごうとするが、防ぎきれなかった。

 百の剣弾と百の剣弾のぶつかり合いという壮絶な爆発で周囲のビルが吹き飛び、崩れ落ちる。

 その光景を見ながらクロノの意識は暗転した。



 そして、次に感じたのは光

「う……」
「目が覚めたか?」

 荒れ果てた大地の上で倒れていたクロノの声に反応するように士郎が近づき見下ろしてくる。

「気絶していたのか?」
「ああ、とっていも数分だ」

 クロノが横たわったまま周囲に目をやると刃の壁、鋼の軛が周囲に展開されていた。

 爆発で崩れたビルやら何やらの粉塵避けに士郎が展開したものだ。

「お節介焼きだな」
「性分でね。
 さすがにここまで激しくした後に放置するのは気が引けただけだ。
 それと」

 士郎が差し出したのはS2U。
 ちゃんと回収してきたらしい。

「本当にお節介焼きだな。
 だけど感謝するよ。
 長い間の相棒だからな」

 S2Uを受け取りながら立ち上がるクロノ。

「僕は大丈夫だから速く行くと良い。
 制限時間があるだろう」
「ああ、そうさせてもらおう。
 じきに回収班が来るはずだ」

 背を向けて歩いていく士郎。
 クロノはモニターを起動するとまだ制限時間に余裕はある。

 結局、空と陸、さらに執務官であるクロノを含めて制限時間を使い切る事ができなかったということだ。

「まったく、とんでもないな。
 士郎!」

 改めて考えるととんでもない友人を呼び止める。

「次は勝たせてもらうぞ」
「いつでも受けて立つ」

 士郎はそう言い残し、ゴールに向かって跳躍する。

 その姿をクロノは見送る。

「魔導を用いない近接戦闘能力。
 一からだな」

 未だ高みにある友人への挑戦を目指しながらも、強がりも限界だったようで、座り込んでしまうクロノ。

 回収と救護に来た管理局のメンバーの慌てようを背後で感じながら、ゴールの方を見つめていた。 
 

 
後書き
あけましておめでとうございます。

少々遅くなってしまいましたが、本年もFmgをよろしくお願いいたします。

さて今回は予定通りクロノとの戦闘回
無印の時は互いに手を抜いていたので、模擬戦ですがガチンコ勝負は何気に始めてでした。

次回は士郎の魔導師ランクの確定関係のお話です。
また今回登場したSchwertkugel(剣弾)については「オリジナルデバイス&魔法関連」に追加しております。


それではまたお会いしましょう。

ではでは 
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