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ソードアート・オンライン~剣と槍のファンタジア~

作者:白泉
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ソードアート・オンライン~剣の世界~
1章 すべての始まり
  5話 武器調達と再会2

 
前書き
 どうも、白泉です!予定ほぼ一週間も遅れてしまい、本当に申し訳ないです…。まさかここまでかかるなど僕も思ってもみませんでした。予想外です…。

 さて、気を取り直して、最近の僕といいますと、やらかしてしまいましたw間違えてスマホのSIMロックをかけてしまい、焦って解除の試行回数0にしてしまって、ショップに持っていく羽目に…!SIMカードを取り換えでお金(3000円くらい)もかかりますし、皆さんもお気を付けください~。

 なんて僕のくだらない失敗談はさておき、一つご連絡を。前回の話の最後の最後に、セリフを一言入れさせてもらいました。いただいた感想の返事を読んでいて、「しまった。伏線張るの忘れた!」と気づきましたwなかなかに重要なセリフなので、ぜひご確認ください。

 さて、前回、次回はボス攻略会議かな?なんて言っていましたが、伏線張っていたのをすっかり忘れていました。今回はツカサの武器。そして再会2。誰と誰の再会!?(勘のいい人はこれでわかるかもしれませんがw)

 では、本編のほうをどうぞ! 

 
 キリトと別れた後、リアはツカサと合流し、連れ立って村にある鍛冶屋を訪れた。大量のリトルペネントと戦った二人の武器の耐久値はかなり減っていて、あと数回戦闘をしたら、ポリゴンと化してしまうだろう。新品のアニールブレードを手に入れたリアはよいが、ツカサはもう少し初期装備である“ノーマルスピア”で戦闘を行わなければならない。
 

 鍛冶屋を営んでいるNPCも、またもや老齢の男性だった。しかも、やたらと白い髭が長く、これでもっと身長が低くて、でっぷりとしていたらもはやドワーフと見間違うだろう程に。どうやらこのホルンカ村は、少子高齢化という設定らしい。細かいことにこだわることだ。


 ツカサは慣れた手つきでおじいさんに槍を預け、やはり彼も慣れた手つきで(プログラムなのだから当たり前なのだが)カウンターの奥の隅に置いてある回転砥石で槍の槍身を研ぐモーションをする。それも数十秒で終わり、すぐにノーマルスピアはツカサの手元に帰ってきた。これが武器の耐久値回復である。


 武器は耐久値が減れば減るほど、見た目にも変化が出てくる。刃がこぼれたり欠けたりするのはもちろんのこと、その一歩前の段階として“曇り”というものがある。それらも耐久値回復の手順を踏めばもとの新品の状態に戻る。さすがは天才が作ったSAO。そんなところも実に忠実だ。
 
  
「お次はあれか」
 リアが鍛冶屋を出ると、そう言った。
「だな。まあ、今回のアニールブレードのあれよりは時間はかかるだろうけど、精神的にはありがたいよな」
「それは言えてる。今回はすぐに“胚珠”が出てきたからよかったけど、βのときは最悪だったしね」


 そう。2人がβテストの時も、もちろん“森の秘薬クエ”はやった。その時、2人のリアルラックのなさは恐ろしいほどで、1パーセント以下の確率でポップするはずの“花付き”が1日中狩り続けても出なかったのだ。結局“実付き”を割るという最終手段でなんとか胚珠を得たものの。2人が倒したネペントは2000ほどまで達しただろう。もちろん、彼らは数を数えるなど途中で断念した。
 
 

 


 さて、2人が向かった先は、先ほど2人がいた“西の森”とは真逆、“東の森”というところである。ここはモンスターが“西の森”に比べ、少々レベルが高く設定されているにもかかわらず、獲得経験値は“西の森”とは変わらないという、思わず「は?」といいたいようなフィールドだ。言うまでもなく、そのフィールドに訪れる者はβのときでも少数の物好きしかいなかったし、デスゲームになった今、わざわざ命の危険を冒してまで来るものなどいない。

 
 が、なぜそんな2人がこのフィールドに来たのか。それは、あるダンジョン攻略のためである。

 
 このダンジョン、実はかなりオイシイもので、獲得経験値も、コルも、そしてドロップ品もこの層ではボスを除いてトップだろう。

 ではなぜ、ほかのプレイヤーが来ないのか。もちろん、このダンジョンになる洞窟は“東の森”の奥のほうにある上に、そのダンジョン情報は3層に行って初めて判明する。しかし、すでにホルンカに到着しているβテスターたちはなぜここに来ないのか。なぜなら、このクエストは一回限定のもので、なおかつ、ダンジョンがクリアされたらそのNPCも情報の提供をやめるからだ。さらに、NPCが情報提供するのにはかなり面倒で、普通の人なら彼らに向かってそんなことはしない行動をしなければならず、その情報を貰ったのも2人以外にいるのかも怪しいところだ。




 あたりにモンスターがポリゴンへと変化する、この世界特有の効果音が響いた。
「お疲れ」
「ありがと」

 リアとツカサは、昔からお決まりのハイタッチを交わす。すでに8回目となる戦闘は、ツカサの手によってあっけなく終わった。西の森よりも少しレベルが高いとはいえ、2人にとってはほとんど関係ない。問題の一つもなく、さくさくと進む。
 
 だが、2人の表情は、消して明るいとは言えない。もくもくと迷路のような鬱蒼とした森を、索敵スキルで油断なく見回しながら、リアが口を開いた。

「…ねぇ、ツカサ君も気づいてる?」
「…ああ」

 長い付き合いのせいだろうか、ツカサには主語がなくとも伝わった。それは、二人が思っていたことが一致していることを指す。

「βの時と少しずつ違う…」

 ツカサは、無言で肯定した。
 
 大方の攻撃パターンは変わっていない。だが、例えば攻撃力や、回避能力、そして一番はHPバーが赤く染まったときのパターンの変化。リアとツカサは今のところ、そのような変化があっても、持ち前の運動能力の高さと適応力の高さでそれをカバーしている。

 だが、ニュービーが多かったβテスターはどうだろうか。βテストの時だとまったく同じだと甘く見て、戦闘をしている彼らは。小さな変化だが、この世界ではそれが命取りとなる。ここで最も重要なのは、強力な武器でも、防具でもない、ほかでもない情報なのだ。


「…どうする?」
 
「そうだな…一番いいのは、やっぱり…」
「「鼠のアルゴ」」

 2人の声がシンクロした。思わず2人の顔には笑顔が浮かんだ。



 
 
 
 モンスターをなぎ倒しながら、迷路のような道を歩くこと約1時間。目の前に、大きな口をぽっかりと開けた洞窟が現れた。入口上部には、クロスされた松明が赤々と燃ており、まるでこの洞窟に入るものを脅しているかのようだった。しかし、2人は迷うことなくその洞窟の中へと足を踏み入れた。




 まるで黒曜石のように光沢をもった壁が、定期的に壁にかかっている松明の光を照り返し、実に幻想的な風景だった。横も縦も広さがあり、ツカサのスピアも十分振り回せるほどだ。

 
 ここでポップするモンスターは、モグラのような姿をしている“モールラッシュ”や、こうもり型の“ブラックバット”などが主である。リトルネペントほどの攻撃パターンしかないのだが、何分レベルが少々高いので、2人も突っ走らずに、慎重に進んでいく。

 そうすること30分。2人の前には、巨大なモグラがいた。その名も”The Mole King”。

「…ねぇ、ツカサ君」
「ん?」
「…名前、変わってないね?」
「……」

 武器を構えながら、リアのつぶやいた言葉に、ツカサも無言で同意した。彼の顔にも呆れの色が見え隠れする。“モグラの王”とは、そのまますぎやしないだろうか。しかもβテストと変わらず同じ名前だ。ホルンカを少子高齢化設定にするぐらいに暇があるなら、もう少し名前をどうにかしてほしい。

「まあ、名前なんて別に関係ないけど、ねっ!」

 リアはそう言いながら、アニールブレードの先を向け、巨大モグラに突っ込んでいく。

「それにも同意」

 ツカサもノーマルスピアを構え、リアの後を追った。その瞬間、モールキングは、その巨体を大きくのけぞらせた。




 戦うこと1時間半以上。モールキングはやっとその身をポリゴンと散らせた。

「結構かかったな…」
「まあ、βの時よりもレベルが低いから一応予想はしてたけどね」

 少々の疲労の色を滲ませ、ツカサは壁に寄りかかりながら、始まりの街で購入しておいたポーションを煽った。リアもそんなツカサの様子に苦笑し、自身もポーションを口に含む。

 何とも言えない、消しておいしいとは言えない薬臭い味に、リアは顔をしかめる。これがもう少し上の層になれば少しずつ飲めるものになるのだが、まだ一層。正直なところ味的にもあまり飲みたいとは思えないものだ。

 
「そういえば、LA、ツカサ君だよね?ドロップした?」
「ああ、そうだった」

 ツカサはポーションを飲み干し、空の瓶を地面に抛ると(一定時間たつと放置されたものは消滅されるため、悪くははない)、メニューウィンドウからアイテム欄を確認する。

 ちなみに、リアの言ったLAというのは、ラストアタックのことだ。ラストアタックをとると、獲得経験値も同じダメージを与えた場合よりもかなり多くなるうえ、上質なドロップ品がドロップする確率が跳ね上がる。

 ツカサがトン、トンとリズムよくウィンドウをタッチする。すると、ツカサの手に一本の槍が収まった。

「久しぶりだな…」
 感傷に浸っているような声を出しながらツカサは、その手に収まっているその槍を若干の笑みをたたえた顔で見つめた。

 ノーマルスピアよりも重量が増し、なおかつ槍身も柄も長く、そしてがっしりとした“アイアンスピア”。なんとこれは、強化すれば四層まで使えるという優れものだ。

 
 実はこれ、一度しか行えないこのダンジョンの目玉品であり、ラストアタックをとったものに送られるらしい。所謂ユニーク品である。

「無事にドロップしてよかったね」
「ああ。ありがとう」
「いえいえ、経験値も結構もらえたしね」

 リアもツカサの様子を見て嬉しそうに笑う。激マズのポーションで下がっていた2人のテンションはすでに回復したようだった。

 

「じゃあ、アイアンスピアも手に入れたことだし、村までダッシュで帰ろっか!」
「そうだな、そうするか」

 割と気分屋なところがあるツカサも、すぐにリアの提案に乗り、2人の姿はあっという間にその場から掻き消えた。






 2人はそのあと、始まりの街へと続く道を歩いていた。すっかり日も沈み、月明りがフィールドを照らすのみであるが、そこは仮想世界で、前が見えないほどの暗さではない。

 
 夜の始まりの街周辺のフィールドには、夜型モンスターである“ダイアー・ウルフ”が出現する。猛烈な突進を受けると、ノックバック状態になる上に、“遠吠え”スキルという、ものをもっていて、これは近くにいる仲間を呼ぶスキルであり、かなりやっかいなものだ。ニュービーには危険が伴うだろう。それに加え、現実世界よりは明るいとは言っても昼間よりも視界が悪いことは確かであり、視界が悪い。索敵スキルをとっていないと少々心配なところがある。


 
 2人が始まりの街に再び戻ってきたのは複数理由があるが、その中の一つが、「モンスターの攻撃パターンを確認する」ことだった。東の森のクエストで彼らが気が付いたβテストとの違い。2人はそれが始まりの街の周辺で起こっていないかどうか確かめに来たのである。もし変わっていたとしたら、即刻皆に通達しなければいけないだろう。特に、βテスターたちには。


 2人が戦ってみたところ、ダイアー・ウルフには手が加わってはいないようだった。攻撃パターンもアルゴリズムも同じもの。2人の顔には少しの安堵の色が浮かぶ。

 それにしても、もっと強いモンスターと戦うことができる2人にとって、経験値を稼ぐには少々効率が悪い上に、今日は朝から動きっぱなしで脳に負担をかけたため、それなりに疲労が蓄積されている。攻撃パターンも確認したことだし、倒した数が10体にも満たないところで引き返そうとした時だった。

 かすかに、ソードスキル特有の、風を切るような音がした。
「今の音…」
「ああ、俺にも聞こえた。…誰か戦ってる」

 
 リアがあのチュートリアル後に、昼と夜ではモンスターが違う上に難易度も上がることを話したせいか、今までプレイヤーには会わなかった。しかし、どうやらその忠告を無視して戦っているものがいるようだ。命の危険がある上に、昨日の今日でよくそんな危険なことをできるものだ。神経がよほど図太いプレイヤーだろう。


 もちろん、あれは単なる忠告であり、アドバイスというだけで、義務ではない。だから、忠告を無視して夜のフィールドに出るのも結構だ。だが、そうわかっていてもやはり2人の足は戦闘音のほうへと進んでいった。今朝のキリトのことが頭の中に残っているせいもあるかもしれない。





―◦―◦―◦―◦―◦―◦―◦―◦―◦―◦―◦―◦―◦―◦―◦―◦

 あのチュートリアルから2日がたった。アスナは夜のフィールドを歩きながら、ぼんやりとそんなことを考えていた。

 

 アスナは親に決められた線路をただ走る乗り物のようなものであった。そのレールが、いい大学に入って親に決められた婿をとって、家族を作るというものが一番幸せだと信じ、ただ言われるがまでに突っ走ってきた。時々で与えられる大きな山も、難無く突破してきた。

 しかし、それは一瞬にして、今まで積み重ねてきたものも、この世界のログインしたあの瞬間に崩れ去った。チュートリアルを聞いた後、アスナはその場に突っ立っていることしかできなかった。あの日、もしSAOに興味を示さなかったら。ナーヴギアをかぶらないでいたら。「リンク・スタート」という言葉を発しなかったら。そんな後悔の念が押し寄せてくる。思ったところで何も変わらない。そう頭ではわかっているが、そう簡単に切り替えられるはずがない。

 
 そんなときの、あの一人の少女の演説。自分より少し年上であろうという、人間離れの美貌を持つ彼女は、この世界で生きていくことを前提に話していた。なぜあんなに早く現実を受け止められるんだろう。そう思った。

 
 気づいたときには、彼女が開いた戦闘講習会のようなものに参加していた。今まで一度もネットゲームに手を出したことがない彼女には、ありがたいものであった。剣の構え方や振るい方、ソードスキルの発動の仕方などをを教わり、フィールドに出た。その手で初めてモンスターをポリゴンに変えた瞬間、アスナは心に決めた。



 この世界で命が尽きるまで戦おうと。



 もし、それで死んでも、後悔は残らないはずだ。

 
 そう思って、次の日の朝からずっと始まりの街周辺でレベル上げをした。夜になって、あの少女の忠告通りに街に戻るプレイヤーには混じらず、ひたすらレベル上げをした。

 確かに、少女が言っていた通り、昼間のモンスターとは全く違うし、何よりステータスが高く設定されている。だが、昼間よりも効率が上がることは確かだ。

 ダイアーウルフはなにやら空に向かって吠えているようだ。いったい、何をしているのかどうかわからないが、無防備になったその体に渾身のリニアーを叩き込む。ダイアーウルフは一瞬身を硬直させると、その身を爆散させた。


 暗い中、警戒しながら歩き、そして戦闘をするというのはなかなかに疲れるものであった。精神も消耗していたが、街に戻るという選択肢はまだなかった。レイピアの耐久値はまだかなり残っているし、ポーションだってまだある。

 また新たなモンスターを探して、歩き始めた時だった。いきなり、その視界が反転し、体に鈍い衝撃が走る。痛みもないために、自分が倒れたと認識するのに数秒の時間を要した。目の前に広がる仮想世界の星空を見て、アスナはようやく自分はあおむけに倒れているということを理解したと同時に、モンスターに攻撃されたということも理解した。

 そして、同時に視界の右上にあるHPバーにも目が行く。さっきまで8割がた残っていたHPは、今やオレンジゾーンまで落ちている。ほとんど初期装備のままだったために、ダメージが大きい。もう1、2回、さっきの攻撃を受けたならば、自分は現実世界からも永久退場することになるだろう。そのうえ、細剣も先ほどの衝撃で、数十メートル離れた場所へと弾き飛ばされてしまった。

 そこには先ほどと変わらぬダイアーウルフ。だが、それが4頭、自分を取り囲むようにして牙をむいている。

 もちろん、それは先ほどアスナが倒したダイアーウルフが行った遠吠えのせいであるが、この世界が初めてのアスナは知る余地もない。ただ、頭の中にあるのは、「自分は死ぬかもしれない」ということだった。

 しかし、命の危機だというのに、アスナの頭は冷静だった。自分は、この世界にほんの少しだけあらがって、そしてすぐに命を散らす。

 脳裏にちらりと、現実世界の母親のことが頭に浮かんだ。自分が死んだらいったいどんな顔をするんだろう。それでも、後悔はなかった。

 狭い来るダイアーウルフの大きくあいた口を見ながら、最後に思ったのは、小さいころからの憧れであり初恋の人であった。死ねば異国の地でその身を散らしたあの人に会える…



 




 しかし、衝撃はいつまでたっても来なかった。その代わりに、一陣の風がアスナの髪を揺らし、ダイアーウルフのいたたましい悲鳴が静かなあたり一帯に響き渡っただけだった。

 アスナは、ゆっくりと目を薄く開けた。そして、目の前の光景に、目を大きく見開く。そこには、濃紺のハーフコートを纏い、肩上で切りそろえられた漆黒の髪を揺らした人物が、ダイアーウルフからアスナを守るように立っていた。

「う、そ…」

 アスナの口から、小さなつぶやきが漏れた。それは、先ほどアスナの脳裏によぎった人物を彷彿とさせた。


「リア!」

 そんなアスナにはお構いなしに、彼がそう叫ぶと、今度は視界のはじから見たことがあるダークブラウンの長い髪の少女が飛び出してきて、隙ができたダイアーウルフの体に突き系統のソードスキルを叩き込んだ。そのダイアーウルフの体が四散する前に、2人はほかのダイアーウルフにとびかかる。

 先ほどまでアスナが苦戦していたやつらを、彼らはいとも簡単に葬り去っていく、圧倒的強さ。そして、まったくといっていいほど無駄のない動きは、見る者を魅了させる力がある。



 彼らはものの数分で残りの3頭をポリゴンに変えた。
 そして、2人はアスナのほうを振り返った。

「よかった、間に合って…」

 少女はそう言いながら、アスナのほうに歩み寄ってきた。しかし、アスナの視線は、もう一人の青年へと注がれている。否、彼から話せなかった。





 …ありえない。







 アスナの頭は混乱していた。アスナが10歳の時、異国の地へと旅立ち、その数か月後に彼女のもとに訃報が届いた人物が、今、目の前にいる。いや、もちろんあのころより、ずっと大人びているし、昔からの顔立ちの良さはさらに磨きがかかっている。だが、アスナが大好きだった強い光を宿した漆黒の瞳や、目頭からきれいに通った鼻筋や、少し薄めの唇は、忘れようもなく、彼だった。



「司、さん…?」

 
 アスナの唇からこぼれたその一言に、彼の瞳もわずかに大きくなった。そして、やがて彼に口からも、一人の名前が紡ぎだされた。


「明日、奈…?」

 


  
 

 
後書き
 はい、いかがでしたか?ものすごく大変な回でありました。心理描写を出そう出そうと意識してたら大変なことでした。やはり僕はまだまだ勉強不足のようです。

 さて、ツカサのβ時代、かなりの時を共にした“アイアンスピア”が再び彼のもとへと!リアのアニールブレードの回があるなら、ツカサの武器もきちんと出しておかないとと思って書きました。

 ちなみに、あのモールキング、僕がほんとにネーミングセンスがなくて、ほかに思いつかなかったので、リアとツカサにディスってもらうという形で採用という形をとりましたwいや、ほんとに。自作モンスターはなかなかに難しいです。改めて実感しましたね。

 そして、再会2!リアがキリトなら、アスナはツカサだろ!ということで、ぶち込みましたwアスナとキリトには、リアとツカサに最大限かかわってもらおうと思っていたのでw

 今回、最後はアスナ視点から書きました。なにやら、ツカサに対しての感情が…!?という、なかなかに気になるところですw

 というわけで、次回はツカサとアスナの関係、そして今度こそボス攻略会議、だと思われます!

 たぶん二週間はかからないと思う…いや、必ず、今度こそ予定通りに書きあげますので!気長に待っていてくださるとうれしいです!

 では、次回をお楽しみに!感想、評価等、首を長くしてお待ちしています!


 
  
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