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グランバニアは概ね平和……(リュカ伝その3.5えくすとらバージョン)

作者:あちゃ
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第105話:因果と言う言葉がある。ヤればデきる。そこんところ解ってる?

 
前書き
きました、久しぶりのサブタイトル。
そうです……そういう感じのエピソードです。 

 
(グランバニア城)
マリーSIDE

リューノが瞳に涙を浮かべて困惑しながら私に相談してくる。
一人で悩み、考え抜いた末に出した結論として、私の下に相談しに来たのだろう。
何も知らされず変化に気付いて知るよりは良いのだろうけど、最初に相談されるのも凄く困る事柄なのも事実だわ。

私に如何しろと言うのだろうか……?
こんだけ不安を溢れ出しながら涙ながらに相談されれば、『知るか!』なんて言う訳にもいかないし、そんな人でなしな事など言う訳にもいかない。

「わ、私以外には……誰かに相談したの?」
「………」
瞳に溜めてた涙を溢しながら、首を左右に振って否定の意思を私に伝えてくる。

困るわよ、私だって。
急にディープな相談を受けたって、何もしてあげる事なんて無いし……
如何すれば良いのよ……むしろ私が相談したいわ。

「わ、私にも如何すれば良いのか判らないし……お父さんに相談しに行く……ってので良いかしら?」
「お、お父さんに!? で、でも……怒られないかな? 迷惑じゃないかな?」
少なくとも私は迷惑してるから、多分迷惑な相談だと思う。でも……

「大丈夫よ……お父さんが私達の事で迷惑に思う事なんて無いわ」
ってか私に相談されても困るし……
面倒な事はあのオッサンに押し付けるに限るのよ。

「じゃ、じゃぁ……一緒にお父さんの所に行ってくれる?」
お断りしたいですわ……でも、上目遣いで私の手を握ってくるリューノが可愛い。
どうしよう……この()こんなに可愛いかったっけ!?

マリーSIDE END



(グランバニア城・国王執務室)
ピピンSIDE

軍部の報告事項をウルフ閣下に報告へ行ったら、今は仕事をサボって中庭でティミー殿下とティータイムを楽しんでると言う事だったので、何も閣下の手を煩わせることも無いと思ったので、直接陛下の下へ報告しに来た。

ある程度報告が済んだところで、マリー様とリューノ様が深刻な表情で現れた。
マリー様が先頭に進んでた為、ノックせずに突然乱入する感じで……
重要事項を話し合ってることだって有り得るのだから、もう少し考えて欲しい。

「どうした、突然入ってきて!?」
「ちょっとピピンは出て行ってよ。凄い深刻な相談事があるんだから!」
本当に凄い娘さんだ。いくら深刻な相談事でも、礼儀は守ってもらいたい。

「あの陛下……私は失礼致します」
「……すまん、ピピン」
申し訳なさそうに陛下が私に頭を下げる……陛下の所為ではないのに。

「では……」
私が陛下の執務机から離れるのと同時に、陛下も娘さん二人の方へ近付いた。
そして私の視界の隅で身を屈めて悩み苦しんでる様子のリューノ様に視線を合わせて頭を撫でる。

「!!」
すると陛下は一瞬驚いて身体をビクッとさせた。
どんな深刻な相談事なのか気になるが、私が首を突っ込むべきでは無いので、部屋から出る。

「ウルフには相談したのかい?」
「ううん……まだ……」
と最後に聞こえて扉が閉まった。

あの二人が困っていて、陛下が直ぐに悩みに気付き、ウルフ閣下に相談したのか問うたのか?
また閣下が何か陰謀を巡らしてるのだろうか?
やはり巻き込まれるのは拒絶したい。

早いとこ自分の執務室に帰ろう。

ピピンSIDE END



(グランバニア城・中庭)
ティミーSIDE

「如何ですか……娘さんに対する奥様の誤解は解けましたか?」
休憩時間と言う事で、僕もウルフ君も寛いでいると、先日の夜に尋ねてきた時のトラブルを聞いてきた。君が問題を拗らせたんだろ!

「大丈夫だよ。僕は君と違って妻に信頼されてるからね」
「俺じゃぁないでしょ……信頼されてないのは。彼女に疑われてるのはレクルトですよ(笑)」
僕も彼のトラブルの話しは聞いたけど、申し訳ないけども笑えたね。

二人で他人(ひと)の不幸に笑ってると、この中庭に父さんがやって来た。
深刻な表情のマリーとリューノの手を引いて……
何があったのだろうか?

「? 如何したんッスかリュカさん。マリーとリューノも深刻な顔をしちゃって?」
僕同様、三人の存在に気付いたウルフ君が何時もと変わらない様子で来訪を尋ねる。
すると父さんとマリーの視線がリューノにだけ集まった。

「リューノが何か?」
その視線に気付いたウルフ君も、何事かを尋ねながら視線をリューノにだけ向ける。
本当にウルフ君には何用なのか解らないのか、マッタリ寛ぎながらコーヒーを飲んで……

「あ、あのね……その……ゴメンなさい……」
「何が?」
視線の集まったリューノは泣きそうな声で謝ってくる。何をしでかしたんだ?

「お前、身に覚えがないのか?」
「……………ねぇッスよ!」
父さんが満面の笑みでウルフ君に身に覚えがないのか聞いた為、何時もの悪ふざけだと思ったらしく、ウルフ君は身体ごと僕の方を向いてコーヒーを飲み干そうとした。

「ウルフ……お前、パパになるんだよ!」
「ぶーーーーっ!!!」
父さんの突然すぎる発表に、口に含んでたコーヒーを全部僕に吹きかけるウルフ君。
驚くべき報告ではあるんだけど、コーヒーを吹きかけられて、それに慌ててしまう僕。

「いやぁ~おめでとう、ウルフパパ」
「な、ちょ、ちょっと……え!? 何……ちょっと!」
コーヒーを口からポタポタ垂らしながら狼狽えるウルフ君を横目に、僕は僕で吹きかけられたコーヒーに慌てている。白めの服を着るんじゃなかった……

「マ、マジでリューノ!?」
「ゴメンなさい……如何して良いのか解らなくて……マリーに相談して……お父さんにも相談して……それで……ゴメンなさい」

「リューノが謝る必要無いんだよ。ウルフが欲望を満足させる為だけに、性欲の全てをお前の中に流し込んだ結果なのだから」
『お前が言うな!!』って表情を浮かべながらも、事態の深刻さに狼狽えて何も言えないウルフ君。

「それでウルフは如何したいの?」
「ど、如何したいって……如何いう意味ですか?」
子供を産ませるか産ませないかって意味かな? 産ませないって選択肢は嫌だな……

「認知するのかしないのかだよ。リューノの父親として、子供を産ませることは絶対確定だけど、今をトキメク宰相閣下は認知したくないって選択するかもしれないだろ。女なんて他にも大勢居るのだし、孕んだ中古物件なんてポイ捨てして、財産も父親の愛情も分け与えずエリート街道を爆進するって事も……」

「お前、何俺を最低男に仕立てようとしてんの!? そんな事する訳ねーだろが!」
そりゃあしないだろうけど、じゃぁ如何するの?
本当は服を着替えに行きたいのだけれど、この騒動が気になってこの場から離れられない。

「……え~っと……その~……ちょ、ちょっと待って」
チラチラとマリーの事を気にしながら、ウルフ君は頭をフル回転させながら今後の事を考えてる。全てを丸く収める選択肢って何だろうね?

「……リューノ……その……け、結婚……しよう」
「え!?」「えぇぇ!?」
何を如何考えた結果かは解らないけど、ウルフ君はリューノの瞳だけを見詰めてプロポーズを敢行する。当然プロポーズされたリューノは驚くし、先に付き合ってたマリーも凄く驚いている。

「い、いや……ダメよ……まだ学生だし……マリーも居るし……」
マリーに遠慮してなのか、今はその気が無いだけなのか、リューノはウルフ君からのプロポーズを拒絶。
「だ、だが……俺は責任をとらないと!」
「……………」

「せ、責任って……」
「べ、別に責任問題だけで結婚したいと言ってるんじゃない……リューノの事が好きだからではあるぞ!」
「……………っ」

激しく狼狽えるウルフ君はリューノとの結婚を頑なに決意し、マリーの事が気になるリューノは彼のプロポーズを素直に受け入れられず、どちらにも遠慮して何時もの我が儘を言えないマリーが苦しそうに顔を顰めてる。

他人(ひと)の修羅場って……何か退屈。
家に帰ってアミーと戯れようかなぁ……
チラッと父さんに視線を向けて、僕は帰って良いのか確認する。

すると父さんは小さく首を横に振り、この状況を見守るように黙って指示する。
……面倒臭いなぁ。
注目の3人に視線を戻すけど、先刻(さっき)と変わらない感じで言い争っている。

ウルフ君はこの状況を覚悟した上で、2人の女性と付き合ってきたのではないのだろうか?
こんなに狼狽えるのなら、僕のように真面目な恋愛を心掛ければ良かったのに。
アミーは、こんな男に惚れないように育てないと。

まぁ僕とアルルの娘だから、そんな馬鹿男には惚れたりしないだろう。
父と母を手本に育てば良いだけなのだからね。
そうなるとお祖父ちゃん(リュカ)には近づけないようにした方が良いな。

僕が真面目な好青年になったのも、8歳まで父親(リュカ)を知らなかったからだ。
『お祖父ちゃんの愛人になる♥』とか言い出されたら困る……
コイツ(リュカ)は存在自体が女誑しだからね。

帰ったら今日の事をアルルに伝えて、今後の子育ての指針にしないと……
でもアルルに話したら、また『キモい』とか言って取り合ってくれないかも。
アミーの将来については真剣に考えないとならないのになぁ……

僕がシッカリしてるから大丈夫だろうけど……
なんせ僕には妹が大勢居るからね。
赤ん坊の育て方は手慣れてるんだよね。

さてと……
そろそろ彼等の修羅場も終わってくれないかな。
僕はもう帰りたいんだよ。

ティミーSIDE END



 
 

 
後書き
次回、初めてラングストンSIDEを掲載。
今後増えるかも?
冒頭はポピー様からです。 
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