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【完結】戦艦榛名に憑依してしまった提督の話。

作者:炎の剣製
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0140話『決戦前の小休憩』

 
前書き
更新します。 

 



……時には休息も必要である。
私達の艦隊はE-7『ドーバー海峡沖海戦』と銘打たれた最終海域にいきなり突入せずにまずは一日休息をとることにしたのである。
それはなぜか……?
資材の回復の意味もあるけど連日の出撃でみんなが疲れに疲れていたからだ。
だからまだ期間はあるので少しでも回復できるように今日一日だけを鎮守府は休みにした。

「それでは提督。大和以下数十名は近くのビーチに行ってまいります」
「ああ。特にこれまで出撃してきた者も含まれているからゆっくり休んできてくれ」
「はい。私は今回はどうやら出撃はお預けになるようですけど、楽しんできますね。それでは失礼します」

そう言って大和は執務室を出ていった。
そして数分してゲートを出ていくみんなの姿を見て、

「少しでも休んでもらいたいものだな」
《そうですね、提督》

私と榛名でそう願っていた。
別に作戦が終了した後でも休息は出来るだろうけど今回の最終海域はかなりの難関らしいからみんながストレスを感じてしまうかもしれないしな。
そんな時だった。
誰かが扉をノックしてきた。

「入っていいよ」
『失礼するわ』

声的にウォースパイトかな……?
そして扉が開かれて入ってきたのは紅茶セットを持ってきているウォースパイトだった。

「どうしたんだいウォースパイト? みんなと一緒にビーチに行かなかったのか?」
「ええ。どうも騒ぎすぎるのは苦手でして……それでしたらMy admiralと一緒にゆっくり過ごすのもいいのではないかと思いましたので。コンゴー達はビーチの方に行ってしまいましたから話し相手を探していたのもありまして……」
「そうか。わかった、それじゃ準備をするよ」

それで私は執務室に置いてあるカップとかを戸棚から出し始めた。

「Thank you.」

ウォースパイトに感謝されながらもカップを出して、後はウォースパイトが紅茶を作ると言うので任した。
やはり本場の人が入れた方のが美味しいしな。
それから少しの間、ウォースパイトの精錬された紅茶の淹れ方を見学しながらも時間は過ぎていき、

「どうぞ、My admiral。本場でも正式な紅茶ですわ」
「ありがとう、いただくよ」

それで零さないように口へとカップを運んでいき、一口飲む。
夏だからというのも関係なくやはり紅茶というのも美味しいな。
金剛が淹れるのとも一味違うものだしね。

「ふぅ、美味しいな……」
「そうですか。よかったですわ」

それで笑顔を浮かべるウォースパイト。
だけどなんとなくだけど私にはウォースパイトがなにかを話したそうにしているのも感じた。
それなので聞いてみる事にした。

「ウォースパイト? なにか心配事があるのか……? 少し表情が優れないようだけど……?」

そう聞いてみるとウォースパイトは少し驚いた顔になった後に、

「……そうですね。別にこの休みに不満はあるわけではないの。適度に休みを入れてくれるMy admiralには感謝すらしているわ。だけどそれと同時に思ってしまうの。
今頃は祖国はまだ深海棲艦の脅威に晒されていて苦しんでいるのではないかと……」
「ウォースパイト……」

それで私は少しばかり言葉を失っていた。
そうだよな。早く救援したいものな。
だからこんなに呑気に休養している場合ではないのだけど私も万全の姿勢で挑みたいからな。
そんな私の気持ちを察してくれたのか、

「sorry……。別にMy admiralの判断を批判しているわけではないの。でもそう思ってしまったら少しでも早く助けてやりたいと願ってしまって……」
「そうか。いや、ウォースパイトのその気持ちは間違っていないよ。私も早く欧州周辺の国を救援したいとは思っているからな」
「そう……」

それで少し安心の表情を浮かべるウォースパイト。

「少し、紅茶が冷めてしまったわね。淹れなおすわ」

そう言ってそそくさとウォースパイトは私の分も淹れなおしてくれている。
その気持ちに感謝しながらも、

「そうだな。ウォースパイト、この作戦が終了したらイギリスから一隻空母の艦娘が来るというのはもう知っているよな?」
「ええ。アークロイヤルが来るのでしょう?」
「そうだ。だから早く彼女とも会えるように頑張らないとな」
「そうね。私も気合を入れていくわ!」

それで笑顔を浮かべあう私とウォースパイト。
そこに榛名がおずおずと言った感じで会話に入ってきた。

《ウォースパイトさん》
「オー、ハルナですか。どうしましたか……?」
《はい。提督との会話を盗み聞きしているようで心苦しかったんですけどウォースパイトさんの気持ちも分かりまして……もし日本が困難な目にあいましたら救援したいですからね。だから! 必ず欧州の国々をお救いしましょうね!》

榛名はそう言って握りこぶしを作って気合を入れている。
そんな榛名の姿を見て勇気をもらったのかウォースパイトは強気な笑みを浮かべながらも、

「そうね……。必ず救いましょう。私達には救うための力があるんだから……ハルナ、Thank you」

そう言って榛名にウォースパイトは感謝の言葉を贈っていた。
そんな時だった。

「ヘーイ! テートク! やっぱりテートクも一緒にビーチに行きましょうヨー!……あれ? ウォースパイトじゃナイデスカ! どうしてここに……?」

金剛が水着姿で執務室へと入ってきたのであった。
そんな姿に先ほどまでのいい雰囲気を壊されたのか私も含めて金剛に呆れた視線を贈ってしまう。

《金剛お姉さま……》
「金剛……」
「コンゴー……あなた、せっかく執務室内がいい空気だったのにいい感じにぶち壊してくれたわね……」
「ワッツ!? なにかワタシ、粗相をしちゃいましたか!?」
「ええ、そうね。まずはあなたのその恰好をどうにかしないといけないわね」

それからウォースパイト直々に金剛は徹底的に矯正されたのは、まぁ仕方ない事として諦めた。
終始金剛は悲鳴を上げていたけど今回ばかりは擁護できないしな。
まぁウォースパイトと改めて話が出来てよかったな。
前にショッピングに一緒に出掛けた時は暁が一緒にいたこともあってなかなか切り込んだ話はできなかったからな。
そう言う意味では今回休みの日を入れた私もナイス!
そんな感じで戯れる金剛とウォースパイトの二人を見ながらも和んでいたのであった。


 
 

 
後書き
今回はサブタイトル通り休息の回でした。
そしてウォースパイトの心の内を書いてみました。
オチは金剛でしたけど仕方がないですよね。



それではご意見・ご感想・誤字脱字報告をお待ちしております。 
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