| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

とある科学の傀儡師(エクスマキナ)

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第89話 灯り

 
前書き
遅くなって申し訳ありません

やっとできました 

 
やはりか......

予定通りマダラの身体を奪った黒ゼツを砂分身体のサソリの場所まで誘き寄せた。
純粋なチャクラだけの存在となったサソリは黒天の空にまるで細かい雷のように走行する膨大な光輝く見覚えのある線を見上げる。

マダラの力で厄介なのは並外れた瞳術。
それを一時的にも麻痺させるには......
あの時ゼツ達にヤラレタ方法だな
今度はこちらから使わせて貰うぞ

サソリは両手を合わせると一拍置いて高速で印を結ぶ。
一気にしなければ......

******

荒涼とした砂漠の原風景の中を警策はフード付き羽織りを着用しながら彷徨っていた。
大切な友人を喪失した事による哀しみを封じ込めて学園都市に歯向かったが圧倒的な力の前に自分は無残に敗れた。
実験の為にはデータ上でも身体上でも簡単に死を享受させる狂った連中を相手にしている。

今まで生きてこれたのは科学者にオベンチャラお世辞を言ったり、実験に協力して理想の女児として振舞ってきたからだろう。
逆らったり逆上させたりしてしまえば思いつくままの被験体となり抹消されてしまう。

失敗しちゃったよね......
威勢の良い事を言って結局死んじゃうのよね
ばっかみたい
私もアンタも......

警策の目の前には焚き火をしているララの姿があった。
朗らかで優しく笑う彼に一目逢えただけでもなんとなく生き方は間違えていなかったと錯覚する。

「久しぶりね。相変わらずのアホ面だこと」
「い、いきなり!?」
「ふふふ」
やはりこの雰囲気は懐かしい。
近くにいるとホワホワ暖かくなるし、弄りがいがあるキャラだ。
「さてと、さっさと連れていきなさい。天国だろうが地獄だろうが何処でも付いていくわよ」

座ってキョトンとしているララに手を差し出してあの世へのエスコートを要求するが、腕の物陰から蒼色に光るチャクラ糸が伸びており身体の節々に丁寧に張り付けられているのに気がつく。

「っ!?」
「残念だけど、まだ来れないみたいだね」
慌て蜘蛛の巣のような糸から逃れようと手で払う動作をするがチャクラ糸は蜘蛛の巣よりも少ない質感でどんなに払ってもまとわりついてくる。
「な、何よこれ?」
「やはりあの人を呼んで正解だった。いよいよ反撃するみたいですよ」

地平線の先から夕陽のような穏やかな光が映り出す。
伸びたチャクラ糸は一点透視図法の線のように振る舞い、物理的にも心理的に引き込まれていく。
「ララ?」
「明かりを灯して......君達が積み上げてきたものを想いを奴らにぶつけて」
「あ、明かり?」

糸が巻き取られるように身体全体が引っ張られていく。
警策は抵抗する事も無く、首だけを動かして虚ろい行くララの影を懸命に追った。

大丈夫
奴らの好きにはさせないから
私も手を貸すよ

******

「!?」
気絶をしていた警策が身体の重量感と戦いながらユルリと目を覚まして起き上がった。
「だ、大丈夫ですの?こちらに!」
心配そうに湾内が警策の腕を取ると屋上への出入り口の扉へと引っ張り込んだ。
「......?」
気だるい感覚に痛みに近い神経刺激が強めに影響している中で先ほどの強烈な情景が脳裏を掠めていると目の前に顔にヒビが入った禍々しいオーラを放っている鎧武者が横切っている。

き、危険だわ......
息が上手くできない

力をある者に媚びて、生き残りを画策するのを得意とする警策は一瞬で無理だと判断した。
どんなに力があろうと、どんなに覇権を握っていようが関係ない。
相手は人の命を虫けら同然に扱う恐ろしき猛獣に近い。
根本的に人の価値観、倫理観が欠如もしくは皆無の人間......いや、人間ではない何か。

「サソリさん一人で大丈夫ですの?」
「分かりませんわ......どなたか助けを呼んだ方が宜しいかと思いますが」
「携帯電話は繋がりませんし、この暗闇を走っていくのも無理そうですわ」

鎧武者の禍々しいオーラで辺りが辛うじて照らされているが扉から先の階段やフロアは一寸先は闇状態でとてもではないが壁伝いで確かめながらしか進むことができない。
「せめて停電が復旧してくだされば手立てはありますのに......」
婚后は扇子を開くと伏し目がちに口元を隠した。

停電......
それにサソリって確か

「こいよ寄生虫野郎が!」
ビルにチャクラ吸着で垂直に立っている赤毛の少年が舌を出して、不敵な笑みを形にすると華奢な腕で手招きをしている。
その双眸に見覚えがあり、一瞬だけ焚き火の燻った匂いが鼻をツーンと刺激した。

明かりを灯して

その眼は間違えようとしても間違えようのない代物。
彼女の動機でもあり、原因でもある存在だ。

「ラ、ララ?」

何かを察したかのようにポケットから繋がらないはずの携帯電話を取り出す。
見てくれなんか気にしていない非常に強い電波を発信する携帯だ。

理性的じゃないってバカにするが良いわ
自分の目的が叶うならどんな悪魔にだって魂を渡してやる!
あれが私の幻覚だろうが
亡霊だろうが関係ない!

「点けてやるわよ......こんな腐った世界が終わるんなら何個でも点けてやるわよ!」

パスコードを入力すると規則正しい電子音が流れていく。
それはソプラノ声のように高く。
遠くまで響きそうな旋律だった。

『了解しました。電力を復旧をします』

電話口から聴こえてきたのは電気系統を担当する御坂妹。
配電盤を操作し、グリーンランプが完全に点灯しているのを確認するとスイッチの切り替えをした。

学園都市の中心から電力が復旧して波飛沫が伝わるように暗黒を打ち消し始めるオフィスや学校、街灯の灯りが強く光りだす。
「ッ!?」
サソリを縊り殺す為に飛び出したマダラの身体を奪った黒ゼツは不意に接したビルの明かりに視界から光だけしか認識出来なくなっていた。
慌てビルの側面に着地して目を開くがサソリの姿が一瞬だけ消失し、写輪眼の機能を失う。

「キ、貴様ラ......」
眩んだ写輪眼を必死に回復させようとチャクラを目に集めているのだが、いつの間にかサソリが黒ゼツの背中を取り右手を突き刺そうと振りかぶっている。

ゾクッ!
黒ゼツの規格外の感知能力がサソリの右手に住み着く悍ましい何かを察知して着地しているガラス窓を思い切り踏み切り回転しながらサソリの気配から距離を取る。

シュゥゥゥゥゥ!
「!?」
仄かに辺りに火薬の匂いが充満して黒ゼツの鎧の背部に起爆札が発動しており燃え始めていた。
「クク......」
サソリが印を結ぶと起爆札が余韻も待たずに爆発し、辺りが吹き飛んでバラバラになる。
「......」
サソリは構えをゆっくりと解きながら目を閉じて、周囲の環境へと自身のチャクラを馴染ませていく。

「オノレ......」
突如としてサソリの背後に出現したボロボロ姿の黒ゼツの上半身が這い出ててきてサソリを貫くために鋭い木の枝を伸ばしていくが。
パチッ!と目を開いたサソリが紙一重で躱すと通り過ぎた木の枝を握り締めて持ち上げた。
「随分と軽いな......死者は総じて軽いようだな」
そのまま木の枝ごと術者の黒ゼツを引っ張り出すと横殴りをするように枝を振り回して、ガラス窓に叩きつけた。
「ガハッ!」
オフィスに並べられたデスクやラックがひしゃげてコピー機が横倒しになって破壊されていきその中心に黒ゼツが苦悶の表情で膝を突いていた。
「ハァハァ」
「流石のマダラも印と眼を封じられたら普通の人間だな」
割れたガラスを踏みしめながらサソリはゆっくりと隣の窓ガラスに手を掛けた。

「テメェの痛覚がどうなっているか知らねぇが......痛かったら我慢しろよ」
「?」
サソリは万華鏡写輪眼を開くとガラスを一点に凝縮させて一枚だけ飛ばした次の瞬間には一枚のガラス板がマダラの身体を鳩尾から下に出現して腕と下半身を切断した。
「......!?」
「ガラスだとチャクラ感知が出来ねぇよな」
サソリは一気に間合いを詰めると写輪眼の巴紋を回しだすと右手で少しだけ握り締めた。
「マ、待テ!ソレハ!?」
「さっさと死ね」

写輪眼
幻想殺し(イマジンブレイカー)

拳を振り抜くと黒ゼツごとマダラの上半身を強制的に打ち消して塵芥へと戻した。
「さっきコピーした術だが......割と役に立ったな」
手の埃を払いながら踵を返して破られたガラスから外に出ようとする。
「さてと......他の場所は終わったか?」

だが、上半身が塵芥となって白い肉塊になっているマダラの両腕に刺青のような黒い筋が入ると震えながら印を一つずつ結び始めていく。

子..........丑......申......寅............辰..........亥


穢土転生の術 契約 解 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

感想を書く

この話の感想を書きましょう!




 
 
全て感想を見る:感想一覧