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和-Ai-の碁 チート人工知能がネット碁で無双する

作者:笠福京世
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第一部 桐嶋和ENDルート
  第12話 疑惑

H11年8月

「国際アマチュア囲碁カップの通訳ですか?」

「突然すまないね。予定の通訳が急患で来日できなくなったらしく至急の代わりを探してるんだ」

 以前バイト探しの相談をしたとき学生課で「囲碁の通訳もできます!」ってアピールした記憶がある。
 突然の電話に驚いたが前世で社会人になってから愛用を始めた手帳を眺めて返事をする。

「分かりました。その週なら4日間とも空いてますから大丈夫です」

「本当にありがとう! これから先方に連絡してから、また折り返すよ」

 悔しいけど碁の神様の手のひらの上か……。

 もしかしたら彼女は日本じゃなくて海外にいる可能性もあるのかもしれない。

 こうして手がかりを求めて物語のイベントに関わることとなった。

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H11年8月某日 国際アマチュア囲碁カップ会場

 国際アマチュア囲碁カップでは、大会の運営者や審判長の森下先生、院生の和谷とも面識を得ることもでき、通訳の仕事はつつがなく終えることができた。

 緒方先生に目をつけられたというアクシデントを除いて。

 原作通り会場はsaiの話題で騒ぎになり通訳としても対応に追われた。
 そしてakiraにsaiが対局を申し込むことを生で目撃し気が緩んでいたのかもしれない。

 アキラくんが会場を颯爽と去った後の出来事だった。

「正体不明のネット棋士saiか……Aiの他にもいるのか……」

 すぐ隣で僕の知る名前を呟いた人物が緒方精次であることに気づかず……。

「え?和をご存じなんですか?」

 迂闊にも呟きに反応してしまった。

 そして混乱した状態で初対面の緒方先生に詰め寄られて……。

「いや、知り合いというか、探しているというか……なんというか」

 しどろもどろに答えてしまい。

 大会の仕事を終えた後は緒方先生に捕まり囲碁サロンへと拉致されることになった。

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同日 囲碁サロン

「君とAiとの関係は?」

「えっと……緒方先生は……和をご存じなんですか?」

「いや、ネット碁で一局打っただけだ」

(しまった!和じゃなくってネット碁のAiか!まさか緒方先生と対局してたなんて知らなった)

 どうやって胡麻化そうかと考えてたところに、緒方先生にお茶を持ってきた市河さんが会話に入ってきた。

 「あいって囲碁サロン……桐嶋和さんのこと? 最初、来た時に岸本くんが探してた女流棋士の」

(えええええっ!?市河さん突然なんてことを!ヤメテ!)

 探し求めていた獲物を見つけた緒方先生の目がキラリと光る。

「女流棋士の桐嶋和? ……聞いたこともない名前だが?」

(もうネット碁のAiで誤魔化せなくなってきた……)

「はい。日本棋院には桐嶋和という女流棋士はいません。
 僕の勘違いで……彼女はプロになっていると思ってましたから――」

「プロになっていると思うくらいに強い?」

「はい。それに彼女はプロになるって言ってたので――」

「さっき探してたと言ったが、もう見つかったのか?」

「いえ。今も探してます。連絡先も何も分からなくて……」

 こうなったら何とか辻褄を合わせて緒方先生を彼女を探すことに利用しよう。

「日本にいないなら、もしかしたら中国や韓国にいるのかも――」

「その桐嶋和という女性と君の関係は?」

「えっと昔馴染みです。以前に囲碁を少し教わりました。
 でも突然いなくなって……プロになるって言ってたから東京にいると思って……」

「ネット碁のAiは知ってるか?」

「はい。ネット碁はやってるので…名前で気になって初夏に対局を何度か」

「ネット碁のAiが君の探してる桐嶋和なのか?」

「……わかりません」

 そう答えると……緒方先生が碁石を手に取り盤上に慣れた手つきで石を並べ始めた。 
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