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和-Ai-の碁 チート人工知能がネット碁で無双する

作者:笠福京世
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第一部 桐嶋和ENDルート
  第10話 Ai login

H11年初夏

 前世では大学1年の時は家庭教師をやってたんだけど、転生(移転?)してるから受験勉強って何?って状態だったので諦めて高額の短期アルバイトを探した。社会人歴××年のアラサーに高校受験の問題は無理です。

 大学の先生には英語と中国語の語学力は認められていたので、学生課に相談に行くと親切な事務員さんのお陰で北斗通信システムでバイトをすることになった。3年後に行われる北斗杯のスポンサー企業じゃん。

 最初はオフィスソフトを用いた書類仕事とかの雑用が中心だったのに、……いつの間にかやら海外サイトの翻訳や情報収集、気がつけば技術文章の翻訳まで任されて、臨時の通訳やら海外の取引先企業の接待にまで引っ張りだされることもあった。
 新進気鋭のITベンチャーって感じ?というか流石に時給が平均より高いとはいえ、仕事内容に比べて割に合わないので待遇の改善を要求。時給も上がり臨時の仕事についてはボーナスまで頂けるようになった。
 直属の上司である戸刈さんからは卒業したら就職しなよと内定まで貰っている。まあ自分で言うのもアレだけど普通の大学生のスペックじゃないよね。

 そんなことがあって、ようやくアパートにパソコンとインターネット環境が整った。
 世界最大級のインターネット囲碁サロン(当時)であるWWGOに登録する。

 まずは自分用にsoraのログイン名で登録を行って何局か早碁で打って操作に慣れる。

 いよいよ本番のAiの登録を行う……少し緊張する。
 メールアドレスもsoraとは別の海外のサーバを介した匿名性の高いもの使用する。

 いよいよ広大なネットの海に囲碁AIの和-Ai-が入り込む。

 ただし手動だけど(苦笑)

 なのでパソコンとノートパソコンを二つ並べて交互に操作して打つ。
 めちゃくちゃめんどくさい。操作ミスでもしたら、この世界に残る和-Ai-の棋譜が汚れると思うと責任も重大だ。

 ミスを減らすために早碁ではなく標準の持ち時間で対局を行う。
 残念なことに開発中の和-Ai-では棋力の指定ができない。つまり手加減ができない。
 持ち時間は設定できるので持ち時間を減らせば棋力は下がるはず?
 持ち時間を早碁で設定したけど当たり前のように中押勝ちが続く。ネット碁無双だ。

 中学の囲碁大会が終わるまでの間に何度か対局を続けてAiのレーティングを上げていった。
 基本的に自分より低いレートの相手とは対局しないようにした。saiのように誰とでも手当たり次第に打つようなことはしない。

 zeldaとかichiryuとかは探したけどいなかった。ちょっと残念だ。

 考えた末に夏休みを利用したsaiとの対局は見合わせることにした。和(ホンモノ)に出会っていない段階では、物語への過度な干渉は出来る限り避けたいと考えていた。

 作中でsaiはネット碁で対局を重ねるうちに強くなったとあった。
 saiは現代に蘇り、現代の碁を習得していた。
 Aiとsaiはできるだけ最高の舞台で戦わせたいと思ったから僕はsaiがネット碁を辞めた後、Aiと戦う機会を作る方法を考えることにした。

 その為に新藤ヒカルが利用する林檎マークのパソコンが並んだネットカフェを調べて見つけておいた。 
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