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和-Ai-の碁 チート人工知能がネット碁で無双する

作者:笠福京世
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第一部 桐嶋和ENDルート
  第06話 いない世界

 昼前に目が覚めても悪夢からは覚めなかった。
 携帯電話で実家に電話をして両親と話したが……よくわからない。
 彼女の携帯番号に電話をかけようとしたが使われていなかった。

 彼女の実家へは怖くて行けなかった。

 調べれば調べるほど違和感が募る。
 過去の歴史とか、一般常識とか、物理法則とか、そういうのは一緒っぽい。
 けど、会社の名前、有名人の名前、商品の名前、少しずつ違う。
 ここが異世界-ヒカルの碁の世界-だということ。それだけは疑い様も無かった。

 神様を殴ってやりたい。いや殺したい。
 ヒカルの碁は好きな漫画だけど……この世界で何をやれと!?

 大学生の頃からとはいえ10年近くプロ棋士の彼女に教わったにも関わらず囲碁の腕前はアマチュア初段レベルを超えることがなかった僕に何ができる??

 とにかく元の世界へ帰りたい。帰りたい。
 どうやって、どうやって……。必死になって考える。

 この世界に碁の神様がいるなら、佐為がヒカルの為に存在したように……
 きっと僕の存在にも佐為のように何か役割があって、役割さえ全うしたら……
 ヒカルの元から消えた佐為ように僕も消えることができるのだろうか?

 神が用意した一局を果たせば元の世界に戻れるはず――たぶん。

 そんな薄い希望を強引に信じて何とか絶望することなく前向きに生きることを決めた。

 引っ越しのダンボール箱を開き、荷物を片付けて部屋を整理しながら今後のことを考える。

 とりあえず春からは大学に行こう。あとアルバイトもしよう。
 そして落ち着いたら本気で彼女を探してみよう。
 再び中国語会話サークルに入れば、いつか飲み会で出会うかもしれない。

 もし碁の神様がいて僕の役割が“神の一手”とやらに繋がってるとしても――
 僕と囲碁の関わりは彼女-桐嶋和-にしかないから……。

 そう思うと少しだけ気が楽になった。

 彼女は高校生でプロになるくらいの大の囲碁好きだ。
 そしてヒカ碁に出会って4年でプロになっちゃうくらいのヒカ碁ファンだ。
 彼女がこの世界に来てたなら喜んで漫画の登場人物たちと囲碁を打つだろう。

 まあ仮にもタイトル挑戦するほどのトッププロ。
 今の進藤ヒカルや塔矢アキラでは相手にならないだろう。
 でも当代最強の棋士である塔矢行洋が相手なら?
 現代によみがえった本因坊秀策-藤原佐為-が相手なら?

 見てみたい。彼女の碁を。彼女の戦いを。この目で。
 そう気持ちを新たにして、最後の段ボール箱を開く。

 中から出てきたのはA4サイズのノートパソコン。
 手に取った真新しいノートパソコンは薄くて軽い。……おかしい。
 これは絶対に……この時代のノートパソコンじゃない!!

 僕は恐る恐るノートパソコンの電源を押した。 
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