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やはり俺がネイバーと戦うのは間違っているのだろうか

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8.昨今の敵キャラは最初は人間で登場するものである

 結局のところ、メニューはすべて雪ノ下に一任することになった。初日はどれくらい体力があるのか見るためにひたすら体力トレーニングをしていた。走り込み、腕立て、背筋、etc.後なぜか、この練習会に材木座もいるがあえて割愛させてもらう。
 そして、戸塚のテニス強化計画が結成し数日後、







「後‥‥一周‥‥ね」ハアハア
「も、もうあたし、ムリー」チーン
「み、みんな‥‥後、もう少し‥だから、が、がんばろう」ハアハア
「そうですよ!戸塚さんの言うとおりです!それに雪ノ下さん自身が作ったメニューじゃないですか!これくらい楽に、コフッァ!」トケツ!
「医者ァァァァ!」
「衛生兵!衛生兵!」
 昼休みのテニスコートはある種のカオスとなっていた。
 雪ノ下はやはり体力が無く、由比ヶ浜は死にかけ、戸塚が天使で、総司が吐血し、俺と材木座はとりあえず吐血だけを気にしていた。だって、なぁ。仮にも学校の私物だし、さすがに流血沙汰はいかんでしょ。
 というわけで、一応雪ノ下と総司の二人について触れておこう。
 まず、雪ノ下。あいつは基本すべてのことを3日で良いレベルまで修得できる天才肌なのだが、それが災いし継続して運動などもやったことがないため、体力が皆無なのだ。
 次に総司。あいつは昔、結核を患っていたのだ。今はもう直っているがな。あいつが俺とボーダーに入るのがズレたのは闘病生活の反動によるリハビリのせいだ。それでもたまに吐血するのだ。よく生きてるよな、こいつ。
「総司、お前もう休んでろ。あんま無茶はよくねーぞ」
「うぅ‥‥はい。すみません、みなさん。先に休んでます」
 そう言って、あいつは木陰まで肩を貸す。
 木陰まで連れて行くと今度は雪ノ下が来た。今度は何?
「比企谷くん。この場の後続任せていいかしら?」
 そう言う雪ノ下の背後には顔をゆがめている戸塚の姿があった。その周りに由比ヶ浜や材木座が取り巻いている。見るに怪我をしたようだ。なるほど、処置するために保健室にいくのね。わかります。
「わかった。早く戻ってこいよ」
 返事を返さず行ってしまった。なに?なんか怒らせた?
「ただ単に急いでるだけだと思いますよ」
「それもそうだな」
 怪我してるやつをほっといて何が奉仕部だ何でも屋だって話だもんな。それにあいつの性格上見逃せないだろうからな。あいつ俺以外のやつにはツンデレだからな。
(いや、十分八幡さんにもツンデレやってるような気がしますが、言わないで起きましょう。本人に聞いても慌てて否定するだけですし) 
 総司がジト目で俺を見ていた。何?俺こいつらになんかした?
「私は兎も角、雪ノ下さん本人に聞いてみたらどうですか?」
「へいへい。‥‥‥‥‥その、なんだ。何事も最後までやり通すのはいいことだ。でもな、すべてをやり通すのは難しいんだ。お前がやるべきことを見失うなよ」
「‥‥‥やはり、自分に甘いですね」
 世間や社会、人生ってのは厳しいからな。だからコーヒーと自分には甘くていいのさ。
「そうですね。でも、ほどほどに、ですよ!」
「わーてるよ」
 さて、戸塚の方は大丈夫だろうか?怪我をしてたとのことだが。
「‥‥雪ノ下さんのこと、怒らせちゃったかな?」
 コフッ!しょんぼりしてる戸塚も何かかわいいな。でも、それとこれとは別!とりあえず雪ノ下のことを説明して、少し休憩をはさんで練習だな。
「あいつなら大丈夫だろ。保健室に行っただけだからよ。戸塚のこと心配してたぞ?」
「そっか、それならよかった」
「少し休憩をはさむが、雪ノ下がくるまで休むぞ」
 そう言った瞬間、材木座を残した全員が死んだ。由比ヶ浜に至っては口から半霊が出てる。
「それにしても、材木座が生き残るとはな」
「モハハハ!我をただのエンジニアだと思うなよ!そもそも、エンジニアは徹夜などの仕事も多いため体力は必然とつくのだ」
「どっかのライオン頭の直流キャスターが言ってたな」
 あれもうキャスターじゃねーだろ。魔術師だろ?何であんなに肉体出来上がってんだよ。
 とにかく、雪ノ下が戻って来てからはあいつに任せ(ry
「あ、テニスしてんじゃん。テニス!」
 あ”ぁ!
(ちょ、八幡さん!声がヤバいことになってます!あと、若干殺気漏れてます)
 はっ!まずいまずい。殺気なんか出してたら俺の好む平穏な生活から一歩遠のいてしまう。
 殺気を何とか押さえ、声の方向を見るといつもクラスで騒いで、俺と総司がベストプレイスで食うことになった元凶、リア充どもがいた。
「ねぇ、戸塚ぁ。あーしらもここで遊んでいい?」
「み、三浦さん、僕は別に、遊んでるわけじゃ、なくて‥‥練習を‥‥」
「え?何?聞けえないんだけど」
 うわ!こえー。─────どんだけ耳悪いんだよ。難聴か?その歳で。
 でもまあ、さすがトップカーストの人間。戸塚が萎縮してしまっている。助け船を出すか。
「あー、悪いんだが今はテニス部の練習で使わせてもらってるんだ。生徒会の許可をもらってな。部外者はダメだ」
「は?あんただって部外者なのに使ってんじゃん」
「俺とそこの由比ヶ浜と木陰の総司は部活で戸塚から依頼されて、練習を手伝っているんだ。要するに業務委託だ」
「はぁ?何意味分からないこと言ってんの?キモいんだけど」
 あ、総司がキレかかってる。しかし、結構簡潔に説明したのだがな。頭悪すぎだろ。
「まあまあ、そんなに喧嘩腰になんないでさ」
 金髪縦ロールに金髪のイケメン君がとりなすように間に入る。そうか、あれが噂の葉山隼人か。確か、雪ノ下とは因縁浅からぬ関係なのだとか。
 とある姉のY.Hさんの話によると、
『隼人?うーん。つまんない男かな?なんて言うか、あれはもはや演技だね『みんなの隼人』になりきる演技。ある意味仮面だね。え?私?八幡君がはずしちゃったから!責任とってね♪』
 どうとるんだよ。意味が分からんよ。あの人は。
 つまんない男、ねぇ。様子を見るか。
「ほら、『みんな』でやったほうが楽しいしさ」
 はーい。カチンときました。縦ロールが撃鉄を落とし、葉山によって引き金が引かれた。今のは全世界のぼっちへ対する宣戦布告と見なした!よろしい、ならば戦争だ!
「みんなって誰だよ。お母さんに『みんな持ってるよぉ!』って物ねだるときに言うみんなかよ。‥‥誰だよ、いねぇよみんななんて奴。‥‥そもそも、友達いねぇからそんな言い訳使ったことねぇよ」
 そう言うと、総司がむー。と頬を膨らませる。後、保健室あたりからもなんか感じる。ほら、お前等は、友達以上、って何言わせようとしてんだよ。材木座?そんな奴知らん。
「あ、いや、そういうつもりで言ったわけじゃないんだけど‥‥‥‥なんかごめんな?その、悩んでるんだったら相談に乗るからさ」
「‥‥葉山。お前の優しさは正直嬉しい。性格がいいのもよくわかった。それにサッカー部の時期エースとも噂されてるみたいだし?その上、お顔もよろしいときたじゃありませんか」
「‥‥‥い、いきなりなんだよ」
 突然のヨイショに戸惑いを見せる。
 人は褒められることで鼻が高くなる。すると足元を掬いやすくなるんだ。相手を褒めるのは高所から叩き落とすためなんだよっ!
 これを人は褒め殺しと言う。
「そんないろいろと持っていて優れているお前が、何も持ってない俺からテニスコートまで奪う気なのか?それは人として恥ずかしいと思わないのか?」
「そのとおりだっ!葉山某!貴様のしていることは人倫に悖る最低の行いだ!侵略だ!復讐するは我にありっ!」
 他人のふりをしていた材木座までもが乗ってきた。
「ふ、二人揃うと卑屈さと鬱陶しさが倍増する………」
 横で由比ヶ浜が絶句する中、葉山は頭をガシガシと掻き短いため息をはいた。
 よし、いいぞ。この場の主導権はこちらがとった。
 今の『場』とは、俺と葉山と材木座。葉山は争いは好まない。多数決で折れてこの場を納めるだろう。
「ちょっと隼人ー。何ぐずぐずやってんの?あーしテニスしたいんだけど?」
 かぁー!ここでよけいな水差すなよ。葉山に考える時間ができちまっただろうが。
「なら、こうしよう。部外者同士で勝負して、勝ったほうが今後昼休みにコートを使えるってことで。もちろん、戸塚の練習にも付き合う。それに強い奴とやったほうが、戸塚の為にもなるだろ」
 わーお。何?その隙がなさそうで、穴だらけのロジック。
「いや、そもそも。俺らは生徒会の許可を貰ってるの、そしてお前等は貰ってないからそもそもテニスができない。アンダンスタンド?レッツジュウモジヅツカキトリしてクダサーイ」
 だが、ここまで来てしまってはこいつらに理屈は意味がない。せめて、雪ノ下が来るまでの時間稼ぎができればオーケーだ。
「まあ、でも。受けてもいいぜ?少しはチャンスをやらないとつまらないだろ?つーわけだ、由比ヶ浜、戸塚、材木座。しゅうごーう」
 リア充組が何か言う前に、ほかの三人も集めた。
「八幡よ、勝算はあるのか?」
「俺が出る。向こうはおそらく葉山だろ?」
「最早勝算しかないな」
 ひでぇ。何それ。俺ってそんなにチートキャラかよ。公式大会で禁止になるんじゃね?
「あとは、雪ノ下がくる時間稼ぎだ。あいつが来れば万事解け(ry」
「あれ?優美子やんの?」
「はあ?当たり前だし。あーしがテニスやりたいっつったんだけど」
「いやーでもたぶん向こう男子が出てくるんじゃないか?ヒキタニ君、だっけ?彼、そしたらちょっと不利だろ」
「じゃあ、男女混合ダブルスにすればいいんじゃん!」
 はあ!?
「ヤバいぞ!今この場にお主と組める女子は皆無!どうする」
「ちょっ!あたしは!?」
「お前はさっきの走り込みの体力回復してねーだろ」
「うっ」
 しかも、さっきのが無理な時点で戦力的に無理だな集中狙いされるのが関の山だ。
(私が出ます)
 だめだ。もう少しで雪ノ下がくる。それまでの辛抱だ。
(でも、)
 また、吐血したらどうするんだ。イヤだぞ、無理が祟って再発とか。もうだれも、いなくなってほしくないんだよ。
(っ!‥‥‥わかりました。そのかわり絶対勝ってくださいよ!)
 当たり前だ。
 とまあ、啖呵切ったはいいけど、マジでどうしよう。
「でもまあ、ヒキタニくんと組んでくれる子いるの?マジウケる」
「私が組むわ」
 そこには、救急箱を片手に持った、体操服の女子生徒、我らが雪ノ下がいた。ナイスタイミングだ。雪ノ下。
「だって私だもの。で、どういう状況なの?」
「カクカクシカジカ、とまあ、そんなところだ」
「なるほど、大体わかったわ」
 そう言うと、雪ノ下は戸塚のところへ向かっていった。
「はい、戸塚君。悪いけれど、処置は任せるわ。ちょっとコートの異物を清掃をしてくるから」
 と高らかに葉山たちにラケットを突きつけ宣言していた。その姿はあまりにも凛々しく、かっこいいと言わざるをえなかった。もう、こいつを隊長にしね?雪ノ下隊でいいだろ。
「雪ノ下さん、だっけ?あーし悪いけど手加減とかできないから」
「私は手加減してあげるから安心なさい。その安いプライドを粉々してあげるわ」
 やべーよ。なんか女の陰険な争いが始まっちゃったよ。
「なあ、ヒキタニくん。俺、テニスのルールとかよくわかんないからさ、適当でいいかな」
 それでよく勝負使用なんて言えたな。
「別に、点の取り合いでいいんじゃねーの?バレーボールみたいに」
「あ、それわかりやすくていいね。時間も押してるし十二点マッチで、どう?」
「別にかまわん。どうやろうと勝つのは俺らだからな」
「‥‥‥確かに、雪ノ下さんもいるしね。でも、俺だって下手じゃないつもりだし、優美子だって中学の時は県代表の実力者だ。こっちに分があると思うけど」
 普通に考えたら、な。
 だが、俺たちは少し普通から踏み外している。残念なことに。
「人を見かけで判断してはだめだと教わらなかったのかしら?葉山君」
 あ、雪ノ下が戻って来た。
「まあ、そういうことだ。言っておくが、俺らはかーなーり強いぞ」



 
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