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【完結】戦艦榛名に憑依してしまった提督の話。

作者:炎の剣製
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0100話『オペレーション・チャーハン』

 
前書き
更新します。 

 

新たな日が昇る前にとある二人は食堂へとやってきていた。

「ふふふん! きらりーん☆ それじゃ始めよっか、長波ちゃん」
「はいはい。………もう、声がでけぇっつうの阿賀野さん」

そう、食堂へと入ってきていたのは阿賀野と長波の二人であったのだ。
なぜ二人がこんな朝早くに食堂へとやってきたのかというと……、

「もう! 長波ちゃん、そんなことじゃ全国にいる私達に笑われちゃうよ? 作るんでしょう? チャーハンのおにぎりを……」
「そうっすけど……はぁ、なんでこんな事になったのか」

それで長波は少しばかり回想をする。
それはほんの出来心だった。
明日からあたしと阿賀野さんにちなんだおにぎりが全国で発売されるって……。
しかも先行で戦闘食糧を炒めることでうちでももうそのおにぎりはゲットしているという。
なるほど……工廠ではなく食堂でなにかをやっていたのはそれだったのかと。(実際、今後は工廠で改修をするからいい匂いがもしかしたら漂ってくるかもしれない……)
なにより青葉さんの情報では全国で発売するおにぎりのタイトルが『長波サマも大満足! 提督の大きな炒飯おにぎり』という少しこっ恥ずかしいものが発売されるとかなんとか……。
それならあたしでも作れるようにならないとなと奮起したところを阿賀野さんに目撃されて現在に至るという……。
なぜ阿賀野さんもこんなに協力的なのかというと特別なおにぎりにも妖精さんがついていてその妖精の姿が阿賀野と長波にそっくりなのだという。
だからか余計に一緒に作りたいという感じなのだそうだ。

「話は分かったっすけど、阿賀野さんって料理ってできましたっけ……?」
「え? ううん、まったくできないよ。てへっ☆」

あっけらかんとそう舌を出して言う阿賀野に長波はつい眩暈が起きそうになるのを必死に我慢しながらも、

「そ、そうっすか……それじゃ参考書を片手になんとか頑張るしかないか」
「うん、そうだね!」

阿賀野のどこからそんなに無駄な元気が湧いてくるのか長波には理解できなかった。
だけど手伝ってくれるに越したことは無いんだから今は手を借りるしかない。
それで二人は手頃な調味料とご飯を取り出そうとするのだがそこに声が響き渡る。

「こらー! 勝手に食堂をいじっちゃダメよ!」
「ダメですよー!」

そこには食堂を任されている間宮さんと伊良湖さんの姿があった。
それで阿賀野は慌ててしまい、長波はそんな阿賀野の手を取りながらも、

「す、すみませんでしたー!」
「ご、ごめんなさいぃ!」

二人は速攻で謝っていた。
そんな二人の姿を見て間宮は「もうっ、しょうがないですねぇ」と言った後に、

「それでは阿賀野さんに長波さん。どうして急に食堂へと侵入していたのかを説明してくれませんか?」
「そ、それはー……」

間宮の追及の言葉に思わず阿賀野は目を泳がせる。
だけど長波の方はもうあらかた諦めている為に、

「ごめんなさい、間宮さん。でもちょっと悔しかったんだ」
「悔しい、ですか……?」
「うん。今日から海軍が全国のコンビニとコラボするっていう話があるだろう? それであたしもどうにかして特別なチャーハンを作りたいと思ったんだ」
「ああ、例のあれですね。知っていますよ。そうですか……わかりました。それではお二人とも、朝の食事の時間が終わりましたらまた来てください。私と伊良湖ちゃんでお二人に指導しますね。ね、伊良湖ちゃん」
「はい。私達でお教えしますね」
「ほんとか!?」
「きらりーん☆ やったね!」

間宮の言葉に二人は思わず嬉しい声を上げていた。
だけどそこで終わるほど話は早くない。

「ですが……勝手に食堂を使おうとしたのは見過ごせませんので反省の意味も含めて掃除の手伝いをしてもらいますからね?」
「うげっ……」
「ガーン……」

ただでさえ大勢の艦娘が食事をする場所だ。
それだけ中は広いのだ。
それを掃除するとなるとかなりの労力になる。
まぁ、それを鎮守府周辺に住む地元の人達の手伝いもあるけどだいたいは間宮と伊良湖の二人で切り盛りしているから頭が上がらないのは明白だ。
二人はしぶしぶだけど頷くしなかったのであった。

「わかりましたぁ……」
「頑張りまーす……」
「はい。それではこれでお話は終わりです。朝の支度を始めますのでお二人は一度出て行ってちょうだいね」
「「はーい」」

それで食堂を出される二人。
二人は顔を見合わせながらも、

「まぁ当然の報いとして受け入れるしかないよなぁ阿賀野さん」
「そうだねぇ……」

二人はとぼとぼと食堂の始まる時間まで時間を潰していたのであった。
そして少し時間は過ぎて朝食後に二人は再び食堂へと顔を出していた。

「はい。それでは今からお二人にチャーハンおにぎりの調理法を教えますね」

間宮は笑顔でそう言った。
間宮の隣では伊良湖が拍手をしていた。

「「お、お願いします!」」
「はい。それと二人ともやる前からそう肩に力を入れないの。自然体でやりましょうね」
「それとゲストとして提督さんもお呼びしていまーす!」
「「えっ!?」」

伊良湖のセリフの後に提督が食堂へと入ってくる。

「はは。まぁこんな事だろうとは思ったけどまさか二人が食堂に忍び込んでいるとは思わなかったよ」

どうやらすでに事態は把握済みらしい。
それで長波は深いため息を吐きながらも、

「なんか、少し脱力した感じだな」
「阿賀野もちょっとそんな感じかも……」
「まぁまぁそう言わずに。提督がお二人の味を採点してくれるそうですから元気出して!」

間宮が二人を元気つける。
そこに提督も続くように、

「まぁ美味しいものを期待しているよ二人とも」
《頑張ってくださいね、お二人とも》

それで長波は頭を掻きながらも、

「仕方ないな。提督に榛名さんに応援されちゃ頑張らないといけないよな」
「阿賀野も頑張るよ!」
「その意気ですよお二人とも。それではまずはチャーハン作りから始めていきましょうか」

それで始まる間宮のチャーハン調理法。
二人は意外に集中力があったためにチャーハン作りに関してはなんとなくできていた。

「うん。お二人は意外に筋はありますね。チャーハンに関しては合格です。でも次は難しいですよ? チャーハンはパラパラしていますからおにぎりにするにはちょっと手間が必要なんですよ」

そう間宮は言いながらもチャーハンからどうやっておにぎりにするのか丁寧に説明していき、二人はそれで初めて作ったにしては少し不格好だけどそれでも見た目は悪くないチャーハンおにぎりが出来上がっていた。

「はい。お二人とも、よくできましたね。形はまだまだですけどしっかりと出来ていますよ」
「あははー……。意外に集中力が必要だったな」
「阿賀野、もう疲れたよう……」
「それでは提督。お二人のおにぎりを試食してみてください」
「わかった」

それで提督の前に差し出されたおにぎりを提督は口に入れていく。
それを固唾をのんで見守る長波と阿賀野。
そして、

「……うん。二人とも美味しいよ」
「よかったぁ……」
「やったぁ……」

提督のその言葉に安堵の息を吐いた二人だった。

「これなら練習すればもっとうまくなるんじゃないか?」
「そ、そうかな?」
「ああ。間宮さん達も試食をお願いします。美味しいですよ」
「わかりました」
「それでは失礼しますね」

それから二人の作ったおにぎりはみんなで美味しく試食していったのであった。
そして自身がついた二人は姉妹たちに作ってあげる事にしたのであった。
だけど阿賀野に関しては能代達には信じられないといった顔をされたとかなんとか……。


 
 

 
後書き
第100話目になる話は長波と阿賀野に務めてもらいました。
コラボの商品は買えるか不安ですけど頑張ります。



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