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終末なにしてますか?忙しいですか?救ってもらっていいですか?赤き英雄

作者:ゼロs
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太陽の傾いたこの世界で
  走る黒猫と灰色の少女

 
前書き
昨日投稿間に合わなかったので今日2話分投稿します。 

 
迫《せま》る気配を感じたか、黒猫が振り返る。その口元に、きらりと何かが銀色に光る。
両腕《りょううで》を広げて、全身をぶつけるようにして、黒猫を捕《つか》まえる。
全身を包む、不自然な浮遊感。《ふゆうかん》
足元に、何もなかった。
「……え?」
寄せ集めの市場街《マーケット・メドレイ》は、上下左右の区別なく入り組んでいる。平坦《へいたん》な道を歩いていたはずが、いつの間にか集合住宅の屋上に出ていたなどということも珍《めずら》しくない。
「あれ?」
青い空が見えた。
白い雲も見えた。
黒猫を抱《だ》きかかえたまま、少女は、掴《つか》まるものの何もない中空に飛び出していた。
真下方向に見えるのは、西第七ブリキ露店《ろてん》街。主に鍋や包丁を扱《あつか》う露店が並ぶその細い小道まで、建物の高さに直して、おおよそ四階ほどか。
「うそおっ……」
少女が体を力ませる。
その小さな体を取り巻くように、淡《あわ》い燐光《りんこう》が浮《う》かび上がる。
呪脈視《じゅみやくし》の才を持つ者が見れば、少女の体の内にある魔力《ヴェネノム》が熱く熾《お》き上がろうとしていたのが分かっただろう。そしてまた、少女がその魔力で何を起こそうとしていたとしていたとしても、既に間に合わないだろうということも。
魔力とは炎《ほのお》のようなもの。小さな花火でできることはたかが知れているが、大きく燃え盛る炎であれば大きな力を振るうことができるとはいえ、そこまで火を大きくするには手間と時間がかかる。こういうとっさの返事に対応するには、向いてない。
一人と一匹《いっぴき》の体が、落下を始める。
少女の体から引きはがされた燐光が、むなしくその場を漂《ただよ》って、すぐに消える。
悲鳴をあげる暇《ひま》もない。はるか下にあると思えていたはずの石畳《いしだたみ》が、いつの間にか視界いっぱいに広がっている。思わず両腕に力がこもる。黒猫がギャアと悲鳴を上げる。固く両目をつぶる。
そうしている間にも地面は近づいてきて、


頭上から、女の子が降ってきた。 
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