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~異世界BETA大戦~ Muv-Luv Alternative Cross Over Aubird Force

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月面ハイヴ攻略戦①

 
前書き
いつもながら不定期ですみません。
今回はデュミナス軍にスポットが当たります。 

 
スカール司令が戻られてから5時間後、出撃命令が下り準備完了発進待機に入った。
私の所属する中隊は先行突入大隊の指揮下にあるので、真っ先に発進する事になる。
この間の“ファーストコンタクト”(デュミナスでは異星起源種BETAとの初戦をこう呼んでいる)の時はまだ訓練生だったから後方待機だったけど、正式配属された今は先輩達の足を引っ張らないように、気を付けなきゃ・・・。

デュミナス軍遠征艦隊の第四艦隊に所属するミリーア・ベステル准尉は、逸る気持ちを何とか落ち着けようとゆっくりと目をつぶり、深呼吸をした。
彼女は王国軍士官学校を卒業したばかりの新任士官だった為、着任時は准尉スタートであったが、当然のことながら軍歴上無経験なので部下はおらず、中隊長であるマーカス中尉の直属の部下という扱いだった。
多くの士官学校出の新任士官は普通、ナメられるのを警戒して下士官以下の兵士たちとは壁を作ってしまうのだが、彼女は本来の前向き・社交的かつ生真面目な性格の為、外聞を気にせず本来なら自分よりも階級が下である歴戦の軍曹や伍長に積極的に教えを請うていたので、中隊のメンバーはかなり好意的に見られていた。

「おい、ベステル准尉、あまり力み過ぎると腹痛起こすぞ?まぁ何かの拍子で屁なんかぶっかました日にゃ、思いっきり笑ってやるから安心しろ!」マーカス中尉がミリーアの緊張をほぐそうといつもの冗談を言ってくる(まんまセクハラなのだが)。
「ち、中尉!何を言っているんですか?!私はお、おならなんか・・・・・。」中隊一同爆笑の中、ミリーアは真っ赤な顔で必死に否定するのだった。
「准尉どの、お尻は俺たちがバッチリ守りますからね!安心してぶっかまして下さいよ!むしろご褒美ですからね?」先任軍曹のマテウスがニャニヤしながら更に畳み掛けてまたまた中隊一同は大爆笑する。
「もう!・・・・軍曹まで・・・・。」とは言ったものの、ミリーアは皆が自分の緊張をほぐそうとしてくれているのが良くわかっているし、それだけ自分にも分け隔てなく良くしてくれる中隊のメンバーに心では感謝をしていた。
もう一度愛機であるR2シグナスⅢの兵装システムをチェック・・・OK、シールドの動作チェック・・・OK、エンジンチェック・・・OK、スクワイエルの各システムを再確認して、深呼吸をした。

デュミナス軍遠征第四艦隊のスクワイエルは指揮官機がR1タウロスV、主力はR2シグナスⅢ、火力支援機がR1DガングートⅢである。
いずれも初期型がデュミナス戦役当時に就役しているが、既に第4世代相当となっている。
なお第1世代とは、10年前のデュミナス戦役時に活躍した初期型の総称である。
指揮官機であるタウロスは充実の通信設備をはじめ、極めて汎用性の高い機体だ。
そして主力のシグナスは当初特殊任務に適応性が高い機体であったが、第4世代相当となり、特殊任務もこなせる高機動スクワイエルとして大幅改良されている。
また火力支援型のガングートは当初より重装型として設計されており、主に支援攻撃を担当する機体である。

ちなみにエレミア星系における他の惑星軍における最新の第4世代相当の機体は、オルキスではジグレータMk4とロザイルMk3、アマティスではゼッツァーS4、デトロワではディオールⅡ、ラファリエスではギーンベルンDが該当する。

「さて中隊各員、気持ち悪い宇宙生物退治の時間だ。だが決して無理はするなよ?普段の行いが悪い俺たちは死んでもエデン(天国)に行けるかもわからない。だったらせいぜい足掻き倒してヘルラス(地獄)の鬼どもを悔しがらせてやろうじゃないか?」
「「「「イエッサー!」」」」
そしてその時、
『CPよりマーカス中隊、進路確認、発進どうぞ!』
「マーカス01了解!・・・よし、中隊出るぞ!」
アムレード改級航空母艦エクバトールの艦載機発進口からは次から次へとタウロスVやシグナスⅢ、ガングートⅢが飛び立つ。
そして艦の左右でそれぞれ中隊ごとに編隊を組み次第、月面へと向かっていく。

デュミナス軍の攻略担当区域はオルキス軍が担当しているオリジナルハイヴ周辺から北極方向に隣接した5つのハイヴだ。
遠征軍の機甲師団2個師団をそれぞれ1個師団毎で一か所づつ順に攻略にあたり、最後の一つは2つの師団から戦力抽出し、共同で当たる事になっている。
マーカス中隊を含むデュミナス軍部隊が月の周回軌道付近に達した際に、オリジナルハイヴを単独で潰したというオルキス軍のスクワイエル連隊とすれ違った。
気分が高揚しているのか、一部の部隊は大騒ぎをしながら帰投していった。

「あれは、何なのでしょう?・・・・・。」
お互い友好的に挨拶を交わして通り過ぎて行ったが、生真面目なミリーアはオルキス軍はよほど軍規が緩んでいると感じたようだった。
「ん?確かあっちに見える青い星、地球?だっかな、そこから来たというオルキス軍の傭兵部隊だったと思うが?」
「・・・・ずいぶんとハイテンションと思いましたが、正規軍じゃないなら仕方無いですね。」ミリーアが嫌悪感たっぷりに答える。
おや?さすがにマーカスは他軍との間に争いの種を作るのはマズイと考え、「まぁ敵の本拠地を攻略したんだから、そりゃ気分も高揚するだろうな。」とミリーアに言い聞かせるように言った。
「そういえば中尉どの、敵は本拠地を潰されると動きが鈍く単調になり、攻略しやすくなるというのは本当なのでしょうか?」・・・・だがミリーアは話題をかえてしまい、華麗にスルーされてしまった・・・。
「ああ・・・・・正確には本拠地に総司令官のような奴がいて、そいつを無力化したら、だな。」
一瞬やれやれという表情をしてマーカスが答える。
「・・・・それなら彼らの功績でもあるのですね?では彼らに感謝する事にします!」ミリーアは先ほどの嫌悪感の表情とはうってかわってにこやかになった。
天性の前向きさが前面に出て来て考えを変えたようだ。
「さすが准尉どの!懐が深いですな!」さっそくマテウスがミリーアを持ち上げる。
ホッとしたのはマーカスだけではなかったようだ。
まったくウチの姫様は・・・・と思いながら、マーカスはやれやれと言わんばかりに首を振る。
最早中隊全員でお守りをしているようなものである。

3分ほどで月面に近づくと、平たい板石のようなものを重ね合わせているような形状の明らかな自然構造物ではないものが見えてきた。
その周囲には、大きな鋏がついたカニっぽい怪物や、大古のラファリエスに存在したと言われる頭に鎧を被ったような形状の大型爬虫類っぽい怪物や、そのまわりにわさわさと赤くて小さい生物が大量に動き回っているのが見える。
「うう・・・・ちょっと気持ち悪い光景ですね・・・・。」ミリーアが思わず声を上げる。
「全くだ。科学の片りんも感じる事が出来ない、あんな形状の生物がエレミア星系にも侵入して来たとは信じられん・・・・まずはあれを掃除だな。」マーカスは嫌そうな表情を浮かべながらモニターに映るBETAを見てそう言った。
その総数は30万を超える・・・。

「それが一番ですが、ありゃあ相当な数いますぜ?我々は師団規模とはいえ、あれを相手にしたら敵の巣を攻略するにもエネルギーが保つかは微妙ですな。」マテウスはマーカスに同意しつつも敵の数が多すぎる事が気がかりのようだった。
「ちょっと待て、今CPから指示が入っている・・・・・。」マーカスがマテウス達の話をさえぎる。
15秒ほどの沈黙ののちに再びマーカスが口を開いた。
「中隊各機!この星にいる敵性生物は生体レーザーを装備している種類はいないそうだ。そこで今から2分後に予備爆撃を行う。各自CPから送られてくる座標をロック、使用兵器はズファを選択しろ。」
「「「「イエッサー!」」」」

ジャスト2分後、各自CPから割り当てられた座標に向けて榴弾であるズファが発射される。
1個師団432機からそれぞれ6発ずつ合計2,592発のズファが放たれ白い軌跡を残し、まっすぐに地上へ向かっていく。
そして上空5Kmほどで炸裂し、子弾をそれぞれ100発ずつまき散らし、地上にうごめくBETAへ降り注いで大爆発を巻き起こす。
直撃を免れたBETAも爆風や破片でかなり倒したが真空の環境下で炎は発生しないので、思ったよりは撃破数が少なかったようだ。

「CPから再攻撃の命令だ!もう一斉射する!リロード完了後30秒で発射!」1回目の斉射で半数ほどを撃破したが、まだ相当数残っているため、もう一度攻撃をする事を司令部は決めたようだ。
そして各機からズファが再斉射され、先ほどと同じく爆発と破片の旋風が地上を駆け巡った。
この2回目の攻撃によりBETAをほぼ殲滅、部隊は次々とハイヴの入口へ殺到し、中隊単位の浸透戦へ移行した。

マーカス中隊は突入の順番がちょうど部隊の半ばくらいだったのだが、ハイヴに残るBETAは数において未だその猛威を奮っており、進軍中にたびたび横穴から飛び出して襲ってくる。
突入前のスキャンによる総数は60万を超えていた。
その時は、ひとつのハイヴに総数100万ほどの敵がひしめいているのに改めて驚きをおぼえた中隊一同であった。

「くっ!ちょこまかとお出でなさることで!」マテウスがS-4ライコット(固定ライフル)をぶっ放し、横穴から迫ってきた要撃級BETAの胴体を粉砕した。
「全機、ベステル機を基準に方円隊形を取れ!」マーカスは今の傘型陣形では前方の敵には有効だが、左右上下自在に現れる敵が両端の機を捉える可能性が増した為、陣形の変更を命じる。
途中、損傷した機を僚機2機が護衛しながら後送するのに何度かすれ違い、不意に襲ってくるBETAを撃退し、かなりの深層まで来た、と思った時急に敵がこちらをも顧みず一目散に外に向かいだした。
と同時にCPからの連絡で、先行したいくつかの部隊が深層の核らしきものを発見して破壊した事が告知された。
そしてその後は掃討戦へ移行し、退散しようとする敵を一方的に撃破する「作業」が始まる。
 
 

 
後書き
戦闘シーンってほんとうに描写が難しいです。
毎度下手くそですみません・・・。 
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