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生徒会”執行部”と”捜査部”  ~舞い散る桜STKとの出会い~

作者:猫丸
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6.株急上昇↑からの株急降下↓




「オッシャー! ハルゥ着いたぞ! 我らの天竺(てんじく)だぞー!!」

「はぁ…はぁ…ぜぇ…」

体躯の授業でもこんなに走った事ない…久々に全力疾走したせいで息はぜぃぜぃ足はガクガク、生まれて手の小鹿みたい…これ明日筋肉痛確定だよ。
まだまだ元気いっぱいの会長にツッコミを入れるだけの体力は残ってない。

「ほらほらっぜーぜぇー言ってナイデ見てってよ」

「…はい?」

バシバシッとわりと強めに背中を叩いてくる会長にイラっときつつ、指さす方を視線を送る。

「…ほぇ??」

春たちの前には大きな館が建っていた。いや春たちが大きな館の前に立っていた。

『カァーカァー』

バサバサッと沢山の(からす)が空を黒に覆いつくす。多すぎでしょっ!
古い洋館…。緑の苔があちらこちらに生えている。雑草…草花も自然のまま伸び放題。
この館を一言で言い表すのなら

「…お化け屋敷?」

「んまっ!? シツレイナ」

「…あ、すみません」

反射的に謝ったけど

「ボクもそう思う」

と会長がボソッと独り言のようにつぶやいた。あっやっぱり会長もそう思いますよね、この見た目なら誰だって。

「でもそんなことイッたら泣く人がいるからシィーね。

 あと今日からここがハルゥとボクの愛の巣なんだから、自分の巣を悪く言うのは良くないんだぞぃ」

「…新しい寮ということれすね」

「ささっ中へどうぞ。お姫様~」

「…はい」

会長のボケはいちいちつっこんでいたらきりがないみたい、適度に流しつつたまにツッコミを入れるのがベストかな?

ヂリリッン。

大きな扉を開けると備え付けの鈴が揺れて鳴った。鈴なのに透き通るような綺麗な音じゃなくて、なんだか…濁った水みたいな音だなぁ…。 
「はやくはやくぅー」と会長が手招きしているので、春も屋敷の中へと入って行く。




【で】



「わぁぁ…」

外観がかなり広かったけど中の玄関ホールもかなりの広さだ。天井まで突き抜けになっていてすごく広く感じる。
紅い絨毯廊下いっぱいにひかれている。踏んでみるとなかなかの無味心地、正面にある横に広い階段の近くにある生け花も見事な物だ。
なにが凄いとか芸術性的なことはわからないけど、素人目でもなんかすごいことはわかるそんな生け花。

「その花すごいっしょ」

「…あ…はい。綺麗れす」

生け花に見とれていたら横からひょっこと会長の顔が現れ声をかけられた。

「そっれアンコがイけたんだよ」

「小林先輩が…」

大和奈史子のような外見の先輩ならピッタリの趣味だ。イメージ通りってやつだ。

「ハルゥのお部屋案内するよん」

「…おねがいするれす」

案内してくれると言う先輩の跡を付いて階段を上がっていく。
階段を上がりながら

「この洋館デッカイっしょ~。
 これ左側は執行部の連中が、右側を我ら捜査部メンバーが使ってんだよん」

右と左で陣地分けしてるの?

「部活のメンバーで使ってるのれす?」

「うん。ボクが伯母上(おばうえ)…学園長に頼んで部活メンバーで使わせてもらってるんだ。
 
 みんなでひとつ屋根の下に居た方がなにかと便利だしね。…執行部はついでにだよん」

「…へぇ」

あれ? 伯母上? さっき中原会長、学園長先生のことを伯母上って……気のせい?

二階に到着。

「一階は共同スペース、二階は男子フロア、三階が女子フロアだお。あともういっこ上ね」

「は~い」

と返事をした後会長は「女の子は女神だから、天に高い所で暮らさないといけないんだよ。男が女神よりも高い所で寝泊まりするなんて論外なんだ」と熱く語り出したけど、ここは華麗スルーするとしよう。
…だってめんどくさいから。


【で】




三階に到着、春の部屋の前に捜査部メンバーの部屋の位置を紹介。

階段を上がってすぐ隣にある、舌を出したビーグル犬の名札看板に[あや]のとひらがなで書かれたドアの場所が会長の部屋。

会長の部屋から三部屋進み向かい側にある、お腹を叩いている狸の名札看板に[あんこ×あこ〇]とかかれたドアの部屋が小林先輩の部屋。

小林先輩の向かい側斜め右階段よりにある、何故か山嵐(ヤマアラシ)名札看板に[ともこ]とひらがなで書かれたドアの場所が茨音さんの部屋。

そして最後に春の部屋はというと…

「ここだよん」

みんなの部屋からは少し離れた場所、会長の部屋からは十部屋くらい離れた所にあった。ドアにはお鍋の中で丸まって眠る猫の名札看板に[はる]とひらがなで書かれていたる。

「鍋猫だよ可愛くない?」

「…そうですね」

猫はべつに嫌いでも好きでもない。どちらかというと好きかな? という程度。

「お部屋との初対面~」

と言いながら会長がドアを開ける。部屋の中へ入ってみると中は意外と

「ふつう…れす」

勉強机とシンプルなベットとランプがあるだけどのずごく質素で清楚な部屋だった。

「アリャ? ガックシ?」

「そうじゃないれす…ただ外が…あんなだったので…」

「あ~なるる」

外観がお化け屋敷で中も西洋風だったのでてっきり部屋も、そっち系だとばかり思っていた春だったが、
意外と普通な洋風だったので一安心。
欲を書けば和風じゃなかったのがすこしばかり残念か。

「この部屋はもうハルゥのモノだから好きに使って良いよ。あっでも改築はダメダメヨン?
 
 まえにボクもやろうとしたら、四方八方から叱られたからニャー」

「…ソウナンレスカ」

いや…怒られて当然だと思う。

クゥ~

「あっ!」

安心したらお腹が鳴ってしまった!! 恥ずかしいぃぃ~~~。

「////」

「………。ごっめ~んボクのポンポコさんがご飯ーだってさ、食堂へゴーゴーカレー!」

気を使ってくれたみたいだ。部屋には春と会長二人しかいなかった。誰のお腹の音なのかすぐにわかるのにあえて自分の音とごまかしてそっと部屋を出て行ってくれた。

春は小さな声で

「……ありがとうございますれす。…中原部長」

とささやいた。
部長の跡を追って階段を駆け下り、部長を見つけ追いつくと

「…お先です!」

「なぬっ!?」

追い越して先に食堂へと走り出す。負けるもんかと部長も一緒になって走り出す。

さっきあんなに走って全身痛かったのに、どうしてだろう…なんで私また走ってるんだろう

…でもなんか…気持ちいい! 

すっごく変な人だけどなんやかんやでいい人? 中原部長とは仲良くできそうな気がする。

「マテイーハルゥー部長であるボクの前を走るなど、けちからんもんねー」

「もしかして、けしからんれすー?」

「ぬぬぬっ」

「ふふっ」

「ほぅっ?」

ばたんっ! 食堂に着いた勝ったのはー!!?

「…なにしてんですか」

コンソメスープを頭から全身に被り、ほんのりコンソメ味になってピクピクと額に青筋を立てそうとう怒ってらっしゃる茨音様だった…。


「二人ともそこに座りなさぁぁぁぁい!!」

「にゃぶぅぅぅ!!?」「…ぁ」


はしゃぎ過ぎてスープをかやし茨音さんをコンソメ味にしてしまった罰ととして、二時間正座の刑にしょっぴかれた中原部長と春なのであったとさ――






【で】






「ああっ、この脚ビリビリ痺れる感じイイィ! ずっごくイイィよぉー! ハァハァハ」

「これがイイんですか~}

ツンツン。

「あはぁんっ!」

「ほれほれぇ~」

「あ~ん、イィ! いばやんもっとぉ~! もっとつんつんプリーズ!」

「………」

「仲良しさんねぇ~」

会長は特殊な性癖の持ち主だった…仲良くできそうな自信が音を立てて崩れていくような気がする。





――でもまた仲良くなれそうな気がするような、気がする。






「あはぁんっ! イイィ!! モットォ」

「………」

理解は出来なさそうだけど……ね。





                              続く





 
 

 
後書き

今回は中原部長! …なるかと思ったけどやっぱり会長なあや氏株が上げ下げするお話でしたw
悪い子じゃないんデス! ただクセが強すぎるだけなんデス! 変態のドMなだけなんデス! 笑

ボロ屋から古びた洋館にチェンジしたハルルゥ。
果たして住み家は良くなったんでしょうか、悪化しただけなんでしょうか? 笑

次回はついに! あの人のご登場でっす☆ え…? 誰かって? さぁ? 誰だろね? 笑


 
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