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とある科学の傀儡師(エクスマキナ)

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第85話 開戦の笛

 
前書き
やっと開戦か

長かった...... 

 
「サソリのチャクラがプンプン感じるね~」
「ありゃりゃー!先輩って生きているんすか?どこどこ?」
学園都市崩壊計画を打ち立てているゼツ達が偶然迷い込んで来た湾内達を前後で挟むように立ち塞がっている。
「そう焦らないで良いよトビ......この娘達に訊けば済む話だからね」
そう言うと白ゼツは腕に装着している音響装置を起動させるとダイアルを変更し周波数を変える。

「君らの能力を手に入れるのは後になるかな。早めに吐いた方が身のためだと思うよ」
白ゼツのチャクラを吸い取るように液晶パネルが光り始めて、歯車が軋む音が唸りを上げると白ゼツは音響装置を構える。
「テレポート」

一瞬にして間に存在して距離を移動して白ゼツが振り上げた音響装置を力任せに3人の頭上へと振り下ろした。
キィィィン
即座に3人のバッジが燃えるようなチャクラを出しながら、黒い砂が集まり出して白ゼツの細身の真っ白な腕を受け止めて庇う。

「さ、サソリさん」
攻撃が受け止められるのを確認して一息だけ安堵の息を漏らすと
「やはりね」
ニタリと鋭利な歯先をチラつかせると湾内達の耳の奥深くから呻き出すように高音域の大音量の音爆弾が炸裂して三半規管を揺さぶり始める。
「っ!?」
まるで自分の顔のすぐ側で大規模な爆発があったかのような音が染み出すように鼓膜をダイレクトに震わせていて、独特の込み上げてくるような恐怖感がこびり付いて離れない。

「世間知らずなお嬢様は血生臭い戦場は始めてみたいっすね~」

人間や他の生物にとって恐怖の信号は視覚情報でもなければ匂い等の嗅覚でもない。
『音』だ。
群れで生活する生物は迫る危険を察知すると独特の周波数の鳴き声を発して伝える。
視覚は多くの情報を持っているが直接的な危険を把握する能力は低く見積もられており、パニックを起こしてフリーズしやすい。
これは進化上仕方ないが日常生活をする上でありとあらゆる物に恐怖を抱いてしまえば支障が出るからであろう。

事故で目の前にトラックが突っ込んで来ても訓練を受けていない人は混乱してしまい、『何が起きた?』と考えてしまい動けなくなってしまう。

人間も例外ではなく音が恐怖の対象になりやすい。
叫び声を上げれば、周りにいた人々は竦み上がって逃げ出したい衝動に駆られる。
『何が起きたか?』よりも『その場を一刻も早く離れる』という事を最優先事項として処理して命を守ってきた。
音は恐怖と非常に親和性が高い。
取分け高い音は特に......

「確実に葬っておかないとね。一片のチャクラも遺さずに」
歯車が回り出すように耳鳴りが響くと白ゼツの目玉が燐光と発して球状に衝撃波が拡がっていく。
「最初っからこの世界は捨て石っすよ~。オイラ達の大いなる復讐の為に」
華奢な腕を広げてさながら尊師のように悦に浸るトビは横目で青い顔をしている3人を見下した。

「さ、サソリさんをどうしたの......ですわ?」
「ふふふ、元の世界に送り返してやったよ。僕達とサソリはこことは別の世界から来たからね」
「邪魔ばっかりしてきやがるからうざかったっすね」
「これでサソリも元の世界に戻れたから満足だろうな......かつての同胞だからね。所詮サソリがして来たことなんて無意味だ」

「無意味じゃありませんわー!」
頭をフラフラさせながら湾内が拳を突き立てて声を荒げて抗議をすると、白ゼツがいる屋上のブロックを突き破るように大量の水を噴出して押し流す。
「っ!?」
流される白ゼツを眺めるとトビは爪を立てるように反撃してきた湾内達に追撃するべく走りだす。
「悪いですわね」
婚后が扇子を広げて舞うように突風をぶつけて屋上の圏外から追い出した。
「!?油断したっすね~。よっと」
トビがベクトル変換をして空中歩行をしようと空気を圧縮させるが思いの外集まらずにフラフラとしている。

「??」
「そのまま落ちてくださいますと助かりますわ」
泡浮が能力を解放してフェンスの一角を持ち上げると上手く操作出来ないトビに向かって構えた。
「あらまー」
「わたくし達は貴方達の言葉になんか惑わされないですし、最後まで諦めるつもりなんて毛頭ないですわよ!」

強能力(レベル3)
『流体反発(フロートダイヤル)』
使用者とその周囲の浮力を増減させる能力

泡浮は浮力を上げてフェンスに掛かる重力を相殺し、軽々持ち上げると不安定に飛行しているトビ目掛けて投げ落とした。
「やっば!?有刺鉄線付きだから痛っすよね......でも」
トビにフェンスが当たる寸前に障壁が出現して跳ね返した。
「反射~」
「!!」
跳ね返されたフェンスは初期入射角を忠実に守るように戻り始めて、泡浮の身体に襲いかかろうとしていく。
「あ、泡浮さん!」

すると、銀色の流動している金属が人の形となり泡浮の前に来ると鋭利な腕で
真っ二つにしてそれぞれ軌道を変えて屋上から払い落とした。
「ん!?」
「いきなり何するのよ?」
凛とした女性の声が響き出して、3人は思わず背後を見やると。
黒髪ツインテールの黒ナース服の少女が怠そうに立っていた。

「......おやおや仲間の警策だね」
「こんな計画だったなんて聞いてないんだけど」
警策が液体金属人形を崩しながら首を傾けて半眼で睨みを効かせる。
「よっと。まあ、オイラ達にとっては調和予定......予定調和?そんな感じっす」
空中を蹴り上がりながらトビが屋上に舞い戻ってきた。
細い手足に反発するかのように周囲の空気が圧迫されてパァンと乾いた破裂音がして過敏となった湾内達の身体が強張る。
「大丈夫?」
ツインテール少女が申し訳なさそうに屈み込みながら訊いた。
「は、はい」
「巻き込んでごめんね......」
「?!」
寂しげに前に出るまだ幼なさが残る中学生の背中に重く枝垂れ落ちる衣服の乱れが夜の僅かな陰影をより濃く浮き上がっている。

「随分お優しくなったね~警策。君の復讐にも一役買っていると思うし」
「そうっすよ~。憎くて憎くてしょうがない研究者達もろとも世界が崩壊するっす」
「この世界の人間をどう思っているのかしら?」
「ククク......そっち側に行くんだね~。新世界の養分になる下等生物の分際で」

ニタニタしながら白ゼツが虫ケラでも吐き捨てるかのように言い放つと警策は静かにニヤリと笑った。

「安心したよ......昔から変わっていなくてな!」
「っ!?」
印を高速で結ぶと屋上の床が迫り上がり額が紅く光る緑の服を着た少女が出現して、腕を大きく振り回した。
「ゲロゲーロ。転送!」


白ゼツとトビは周囲の背景が変化したかのように体感しながら、それぞれ車が一台も走っていない高速道路と石が敷き詰められている橋が見える線路上へと投げ出された。
「時空間忍術!?ま、まさかサソリはいないはず......?」
「お待ちしておりました」
「!?生きていたのか」
白ゼツを待ち構えていたのは木山の教え子であり六道の3人達。


橋の下の線路上に落下したトビはコンテナをへし折りながら起き上がると腕を鳴らす上条とカエルの格好をした外道。
「予想外の反撃っすね~」


そして屋上に独りだけ残された黒ゼツは印を結ぶとゆっくりと立ち上がり、確かめるようにマダラのチャクラを高めていく。
「マサカ......サソリカ」
腕を組んで静かに佇む黒ゼツは警策姿のチャクラを精査した。
「始めようぜ......ゼツ」
両者の万華鏡写輪眼が光り出して、チャ
クラが絡み合うように燃え上がる。


サソリvs黒ゼツ

天道、修羅道、餓鬼道vs白ゼツ

上条当麻、外道vsトビ

学園都市を巻き込んだ闘いがいよいよ開幕の笛が鳴る! 
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