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艦隊これくしょん~男艦娘 木曾~

作者:V・B
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第二十話

 
前書き
東京からどうも、旅行中のホテルよりの投稿です。今晩は徹夜かな……。 

 
俺は自分の部屋に戻っていた。貼り紙のおかげかただ単に朝早かったからか分からないが、誰かと遭遇することはなかった。
 
これを良かったと言うか残念と言うかは知らないが。(無論だが、俺は良かったと言おう。)
 
さて、いつもならこれから走りに行くのだが……どうも身体が重い。
 
「やっぱり疲れてんだろうな……。」
 
いつもなら寝たらすぐに疲れも取れるのだが、かなり緊張してたからだろう。
 
「だからといって二度寝ができるわけでもなし……。」
 
完全に覚醒しちゃってるもん。
 
「これはどうするかな……。」
 
俺は少し考えながら、窓の外を見てみた。
 
「…………………嘘だろ。」
 
俺の部屋は海側に接していてるのだが……、そのそばの道を走っている人影がひとつ。
 
「化け物かよ…………。」
 
半袖にハーフパンツという動きやすい格好に、いつもの眼帯。
 
木曾だった。
 
木曾は、恐らく百メートル走だったら十二秒位のスピードで走っていた。あのペースに着いてくの大変なんだよな……じゃなくて。
 
「………そういえば、今日は調べ物しなきゃな。」
 
アイツの事について。
 
アイツがなんであそこまで強さにこだわるのか。それを調べてみろって言われたんだった。
 
無論だが、調べなくても良いのだろうが……それは俺のプライドが許さない。
 
取り合えず。
 
「走りますかね……。」
 
木曾が走っているのに俺が走らないのは何となくだが悔しい。
 
俺はドアノブを掴んだ。
 

―二時間半後 大会議室―
 


「んで、木曾と一緒に走り込んできた、と…………バカだろお前。」
 
机に突っ伏している俺に天龍は容赦なく言い放った。
 
「いや、だって、木曾にできるから、俺でもついて、いけるかと。」
 
「うん、やっぱりバカだろ。」
 
それでもやっぱり容赦は無かった。厳しい。
 
「出撃から帰ってきて、その翌日にトレーニング始めるとか、俺は木曾位しか知らねぇな。」
 
まぁ、今日はもう一人いたがな、と天龍は付け加えた。嬉しくねぇ。
 
「お、もう来てたんだ。早いな。」
 
噂をすればなんとやら。そう言って俺達の近くの席に座ったのは、木曾だ。
 
「お疲れさん、今日はこのあと調べもんだろ?」
 
「……まぁな。」
 
俺は木曾の顔を改めて見た。よく見てみると、なかなか整った顔立ちをしている。
 
「ま、精々頑張ってみな。探し出せたからと言って何かあるわけでもねぇけどな。」
 
何も期待してねぇよ。
 
そんなことを思ったとき、大会議室の扉が開いた。提督と大淀さんだ。
 
「敬礼!」
 
俺達は立ち上がって、提督に向かって敬礼する。
 
「えー、取り合えずもう全員知っているだろうが、前回の作戦が成功したため、リランカ島周辺に出撃できるようになった。今回はその偵察に行ってもらう。」
 
部屋にざわつきが生まれる。まぁ、殆ど駆逐艦だけど。
 
「静かに。それで、今回の編成は、鈴谷、川内、龍田、吹雪、望月、皐月だ。遠征組は昨日と同じだ。以上だが、何か質問は?」
 
「提督ー、や」
 
「夜戦なんてもってのほかだ。」
 
川内はいつまで同じことを聞くのだろうか。恐らく聞き入られる可能性はかなり低いだろうに。
 
「それでは解散。」
 
そう言い残すと、提督は大淀さんとそそくさと出ていってしまった。
 
さて、と。
 
「んじゃ、どうしますかね。」
 
俺は立ち上がって、回りを見渡した。誰かこの鎮守府に詳しい人………。
 
「おーい、青葉ー。」
 
俺は前の方に座っていた青葉の近くに歩いていった。
 
「どうしました?二号さん。珍しいですね。」
 
「いやな?実は…………。」
 
俺は青葉に調べものの事を話した。
 
「なるほどー。それで、私に聞いてきたと言うわけですね?」
 
「おう。そーゆー事だ。頼めるか?」
 
青葉は「うーん。」と、少し悩むような仕草をした。まぁ、青葉の仕草はなんか芝居がかってて、考えている事が読めない。
 
「そうですね……交換条件と行きましょうか?ただ、私もそこまで木曾さんについては詳しくないので、そんなに大それた事ではありません。」
 
「……交換条件ってのは?」
 
青葉はイタズラっぽく笑った。うーん、なかなか可愛いな。
 
「今日、図書室の方に新しい本が入りましてね?それを借りてきて欲しいんですよ。本当は私が行けばいいんでしょうけど、今日は用事が有りましてね……早くしないと他の人に借りられそうですし、ここはひとつ、お願いしたいなと。」
 
成る程。本当に大それた事ではないな。
 
「いいよ、そんくらいなら。」
 
「ありがとうございます!昼頃になったら、工廠に居ますので、そこに届けて下さいね?『暗殺少女の連人』って題名ですので!」
 
それではと、青葉は大会議室から出ていった。
 
……何となく掌の上で転がされてる感覚だ。明らかにラノベのタイトルだし。
 
「ま、早く行ってきますかね。」
 
俺はそう言い残して、図書室へ向かった。
 
―図書室―
 
図書室に来るのは初めてだったか、場所を覚えているか自信がなかったが、何とかたどり着けた。
 
「えっと、暗殺少女の連人……あった。」
 
入ってすぐのところの新刊コーナーに置いてあった。
 
「さてと、持ってくかな……ん?」
 
俺が本をカウンターに持っていこうとすると、奥の方に誰かが要ることに気付いた。
 
「なにやってるんだ?春雨。」
 
そこには、机の上に何やら本とノートを開いている春雨がいた。
 
「あ、二号さん。昨日はお疲れ様でした。」
 
多分、出撃の事だろう。
 
「おう、ありがとな。」
 
「えっと、私はちょっと用事があって……。」
 
机の上の本を見てみると、何かの参考書みたいなものが開かれて置いてあった。えっと……。
 
「コナン・ドイルはシャーロックホームズシリーズの作者である、か……ドイツ語なのにロンドンかよ。」

それは、ドイツ語の参考書だった。入門書みたいなものだが。
 
すると、春雨は驚いた顔をしてこちらを見た。
 
「え!?二号さん、ドイツ語読めるんですか!?」
 
「あー、一応人並みには。」
 
ドイツ語に人並みとか有るのだろうかは分からないが。
 
「そうなんですか……すごいですね!」
 
なかなか破壊力のある笑顔だった。
 
「それで、なんでドイツ語の勉強なんかしてたんだ?」
 
そう聞くと、春雨はばつが悪そうに笑った。
 
「えーっと……私の友達にドイツ人の人が居て、その人は日本語を話せるからいいんですけど……単純に私がドイツ語でお話がしたくて、それで……。」
 
「…………成る程な。」
 
なかなか友達思いのいい子だ。
 
「そういえば、二号さんはどんな用事でここに?」
 
俺がそんなことを思っていると、春雨が逆に質問してきた。
 
「えっと、交換条件で、青葉から情報を貰う代わりにここに本を取りに来たんだ。まぁ、これから昼頃まで暇だけどな。」
 
「へぇ、どんな情報ですか?」
 
俺は少し悩んだ。正直に話そうか……。
 
「木曾にな、アイツの昔話を調べてみろって言われてな。その事についてだ。」
 
結局、話すことにした。
 
「それは、確かに気になりますね……。」
 
すると、春雨は少し悩むような仕草をした。さっきの青葉のものとは違った、考えているという事が伝わってくる仕草だった。

「あの、私もご一緒しても宜しいでしょうか?」
 
春雨は、少し声を強めてそう言った。 
 

 
後書き
読んでくれてありがとうございます。二十話目です。飽きっぽい僕がここまで続けるとは。正直驚きです。これからもゆるりと頑張っていきたいです。
それでは、また次回。 
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