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ソードアート・オンライン~白と青の軌跡~

作者:叶愛
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月夜の黒猫団

 
前書き
今回は長いと思います。
次回はどうなるのかは考えてません(笑)
では、本編へ! 

 
「ライアー、これであってるかー?」

「そうそう、それで腕の力を……」

今、俺達はフィールドに出て弱いモンスターで正しい武器の使い方を確認していた。

「おー!ありがとな、ライア!」

「俺は何もやってないよ。」

「ライア、私もこれであってる?」

「んー、このタイミングだと少し隙ができるから……」

俺は槍をオブジェクト化して、隣に立ち動作をする。

「前に突いたままだと横からの攻撃に対応出来ないから、引きながら攻略するイメージでやってみてくれ。」

「わかった、やぁ!」

ぷぎゃぁぁ!とモンスターの叫びが聞こえ、ポリゴンへと姿を変えた。

「上手いな、そんな感じだ!」

他のメンバーの戦い方も見ては直してを続けていると、気づくと夕方になっていた。

「時間が経つのって早いよなー」

「そうだね。」

ダッカーとサチが呟いた。

「そろそろ帰るか!」

「よっしゃー、飯だー!」

テツオとササマルが元気よく転移門に駆け出した。

「おいおい、お前らはー。」

そんな光景をケータが笑ってみていた。

──俺は、こんなにも幸せな時間を過ごしていいのだろうか……

ただ1人、ライアだけは遠い空を見ていた。





「なぁ、ギルドホーム買わないか?」

夕飯を食べながら、ケータが呟いた。

「お、いいじゃん。」

ダッカーが食べる手を止めて反応した。

「そうだな、コルも溜まってきたし!」

「私もいいと思うよ、皆で帰る家があったら素敵だもん。」

「ライアは?」

サチ、テツオ、ササマルも賛成し、俺に振ってきた。

「俺もいいと思う。」

「よし、じゃあ決まりだな!」

ギルドメンバーで話し合った結果、明日にはケータか第1層にギルドホームを探しに行くために申請をしに行き、俺達はその間フィールドに出て実践の練習をすることになった。







「ライア、入ってもいい?」

「あぁ、いいよ。」

ガチャっと音がして入ってきたのは、サチだった。

「どうしたんだ?こんな夜に。」

もう寝る準備を済ませているサチは枕だけを持って来ていた。

「あのね……その。」

「怖い夢でも見たのか?」

「うん。」とサチは頷きながら、顔を伏せた。

俺はサチに近付いて微笑みながら言った。

「大丈夫だ、俺が必ず君を君達を守るから。」

「ライア……。」

「だから、そんな顔するなよ。」

「うん。」

だが、やはりサチは怖いと言って今日だけは一緒に寝てほしいと言われたので一緒に寝ることにした。

隣ではスゥーと規則正しく寝ているサチがいる中、俺はウィンドウを開き考えていた。

──今の剣だとこれからがキツイ…か。

そーなると、こっちの剣に……。

「必ず守ってみせる、そのために俺は剣術を習ってきたんだ。」

俺は天井に向けて腕を伸ばして、拳をつくった。






そして、朝起きるとサチはいなかった。

下に階段を降りると、ギルドメンバーは既に集まっていて後は俺だけだった。

「ごめん、遅くなった。」

「いや、今全員集まったとこだよ。」

宿を出て俺達は転移門に向かった。

「それじゃあ、俺は第1層に行ってギルドホームの申請を出してくるから。後で合流しよう!」

「「「おー!」」」

「皆を頼んだぜ、ライア。」

「あぁ。」

そうして俺達は別れた。






「やぁ!」

「せやぁ!」

「おりゃぁぁぁ!」

「凄いな……この短期間でこんなに……。」

俺は今、ダッカーとササマル、サチの強さに驚いていた。

ついこの間までは頼りなかったのに、今となっては俺が助けるどころか助けられている。

「お、俺levelアップした!」

「私もしたよ。」

「俺もだ、これでまたライアに近づけたぜ!」

3人は仲良くハイタッチした。

「もう俺から言う事無いよ、3人とも強い。」

「何言ってるんだよ、まだまだあるぜ!」

「そうだよ、ライアには適わないもん。」

そう話していると、ケータが来た。

「申請してきた!」

「おーし、ケータも来たし頑張るぞ!」

「「「「おー!」」」」

──本当に俺要らないよな。

俺はそのまま4人の戦闘を見ていた。






「全員、何レベまで上がった?」

「俺は30!」

「私は29かな。」

「俺も29。」

「俺はダッカーと同じで30だ。」

──サチとササマルが29で、ケータとダッカーが30か。

「頑張った甲斐があったな。」

そんな楽しい雰囲気の時、俺の後ろから冷たい視線が来た。

「誰だ!」

俺は腰から勢い良く剣を抜き、4人を庇うように構えた。

「流石は”青の剣士”だ、ヘッドの殺意に気づいてるぜぇ。」

「………。」

「会いたかったぜ、青の剣士。黒の剣士はどーした?」

”青の剣士”

それは俺の二つ名だった。

そして、この特徴のある格好と口調は……。

「俺は会いたくなかったけどな、PoH。キリトならここにはいないぜ、お帰り願おうか笑う棺桶。」

”笑う棺桶”

殺人者(レッドプレイヤー)と呼ばれるオレンジ色のカーソルプレイヤーの大規模なギルドで有名なギルド。

「はは、帰んねぇよ。オレサマはそこにいるギルドを潰しに来たんだからなぁ。」

──は?今コイツは。

「何つった?」

「おぉー、キレた青の剣士様は怖いぜぇ?」

後ろの4人は訳が分からないのか固まっていた。

「な、なぁライア……お前……青の剣士なのか…?」

ケータが震える声で聞いてきた。

「……あぁ。」

「まさか招待隠してたのかぁ~?ヘッド、コイツ俺が殺したい。」

「何言ってやがる、俺の獲物だ。」

──どうする、どうする!

「さぁ、It’s show time」

そこからは一方的な殺意だけだった。

俺は4人を守ることに集中し、剣を振るう。

だが、3対1の時点で不利になることは分かっていた。

「負けるわけにはいかねぇーんだ!!」

「くっ、そがぁぁぁぁ!」

俺はジョニーの腕を切り落とし、動けなくする。

「次だー!」

ザザの細剣が鋭く突き刺さる。

「っ……はぁぁぁぁ!」

だが、その突き刺さった部分を手で握り、剣でザザの身体を刺す。

「あめぇーだよ、青の剣士。」

「ぐはぁ!」

ダッカーの声が聞こえた。

「え…?」

次に聞こえるのはポリゴンの音。

サチの叫び声、ケータの怒号、テツオの罵声。

「PoH、貴様ぁぁぁぁぁ!」

俺はザザを突き飛ばして、Pohに向かって走り出した。

だが、腕を切り落としたはずのジョニーとザザによって邪魔をされる。

──やめろやめろやめろ!

「そこを……退けぇぇぇ!」

俺はがむしゃらに剣を振るう。

だが、次に視界に映ったのは─────。

テツオがポリゴンへと変わり、ケータのHPが削られていく。

PoHの手によって、目の前で。

『約束する、必ず君を君たちを守る。』

──約束……した……んだ……俺は彼らを……!

そして、ケータがポリゴンへと変わった。

「ケーター!!!!!」

俺は、ジョニーとザザの首を飛ばしPoHに向けて剣をふるった。

グサッ

「え……」

だが、サチには剣が刺さっている。

徐々にHPが減っていく。

──何故だ、何故彼女のHPが……

「ざまぁだな~、青の剣士!」

PoHが投げた投剣によってだった。

俺はサチと目が合った。

そして──────。

『────────────。』

パリン

「あ……あぁ………。」

俺の中で何かが壊れた。

──彼女は最後、何て言ったんだ…?

俺は膝から倒れた。

──守れなかった、約束した、必ず守ると……だが!

「じゃあな、青の剣士。」

そう言ってPoHは消えた。

残ったのは俺と負の感情。

この日、月夜の黒猫団は一人のプレイヤーを残して壊滅した。

笑う棺桶の餌食となって。
















それから間もなく、アインクラッドにある噂が流れた。

”青の剣士”が笑う棺桶を潰したと。 
 

 
後書き
長かったですかね。
では、また次回で! 
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