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艦隊これくしょん~男艦娘 木曾~

作者:V・B
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第九話

 
前書き
どうも、今二日に一回にして文字数増やそうか少し減らして毎日投稿しようか悩み中。
あと、白露型クッソ可愛い(確信。) 

 
「さて、ここは昨日も来たけど一応紹介しとこう。」
 
俺と木曾はまず始めに建物(本館と言うらしい)から出て、昨日訪れた建物の前まで来た。
 
「ここが工廠だ。ここでは艤装の点検に補給、装備品の開発に艤装の改造をしたりする所だ。」
 
そう言いながら木曾は建物の中に入っていった。俺もそれに付いていく。
 
「うーい、明石さんいるかー?」
 
「あー、ちょっと待ってー。」
 
そんな声が聞こえてから暫くしたとき、昨日と今日の朝もお世話になった明石さんがやって来た。何か機械でも弄ってたのか、全身が煤だらけだ。
 
「お待たせ。今日はどうしたの?」
 
「いやな、朝のおわびにこの鎮守府ん中を案内しようとな。最初にここに来た訳だ。」
 
あ、木曾にとってはそんな考えもあったんだ。まぁ確かにあれは結構参ったけど―頭の形が若干変わったことを除いては―そんなに気にして無いのに。
 
「相変わらず義理とか借りとか作らないのねぇ。ま、別に良いけどね。」
 
と言うと明石さんは、「あっ、そうだ。」と手を叩いた。
 
「ねぇ木曾くん、ちょっと開発のボタン押してみてくれない?」
 
と、なかなか突拍子な事を言った。開発のボタン?
 
「あぁ、説明が要るよね。新しい装備を開発するには、燃料、鋼材、弾薬、ボーキサイトの四種類の資源を使うの。この釜の中に入れてスイッチを押したら、何かできるかも知れないしできないかも知れないし爆発するかも知れないし。」
 
「おいまて最後。」
 
なかなか不安要素の強い説明だった。もしかして明石さんが煤だらけなのってそれが原因なのか?
 
「ま、運試しだと思ってやってみたらどうだ?」
 
木曾はそう勧めてきた。多分爆発はそんなにしないのだろう。多分恐らく願わくば。
 
「んじゃ、やってみるかな。」
 
うし、とガッツポーズすら明石さん。
 
「いやー、流石だな。今ちょっと機械の調子悪いけど男に二言は無いよね?」
 
「オイコラテメェ!ハメやがったな!」
 
もうこれ絶対おかしなことになるフラグだよね!?爆発も視野に入ってきたんだけど!?

……仕方ねぇ、覚悟決めっか。
 
「おう!男に二言はねぇ!開発したらぁ!」
 
「お前……半分ヤケになってんだろ。」
 
痛いところをつかれた。しかし、今回はその言葉を無視してその釜の前に立つ。
 
「さて、入れる資材はどれくらい?」
 
「取り敢えず様子見で全部十個ずつ。」
 
よしきた、と明石さんはそれぞれの資材を釜の中に入れた。すると、何やらテコテコ歩く音が聞こえた。
 
なんだ?と思って下を見たら、何やらものごっつちっさい人みたいなのが歩いてきていた。
 
「ちょ!?なんだコイツ!?」
 
「あぁ、妖精さんだよ。艦娘の艤装だったりに憑いてるんだよ。」
 
そんなもんが居てたまるか。と思ったが深海棲艦が居る時点でそんなものは戯言に過ぎないか。
 
妖精はそのまま釜の前に行き、釜の中身を見た。そして、早く押せとも言わんばかりにこちらを見てくる。
 
「うん、もう押して良いよ。」
 
おし、ういじゃ男七宮 千尋。いっちょ行きますか。
 
「そぉいっと。」
 
俺がボタンを押すと、妖精が釜の中に入って行った。そして、中でドンカン鳴ってた。
 
いやまて、何かできるかも知れないしできないかも知れないし爆発するかも知れないしってそう言うことか。そりゃあ何ができるか分からんわ。
 
少しの期待と大きな不安を抱えながら待つこと一分。
 
よっこらせという感じで妖精が出てきた。
 
「さーて、何ができたかなーっと。」
 
明石さんは、釜の中を覗いた。
 
「…………また中途半端に運いいな…。」
 
明石さんはそう呟いて中身を出した。
 
「…………えっと、これってドラム缶?」

それはどう考えてもあの良くあるドラム缶だった。
 
「このドラム缶高性能でねー。遠征とかに持ってくと通常よりたくさんの資材を運べるんだよ。」
 
「ドラム缶に高性能もへったくれもねぇだろ。」
 
ドラム缶はドラム缶だ。何か入れるための物だし。
 
「くっくっ……いやいや、初めての開発でできたのがドラム缶って!お前持ってんな!」
 
と、爆笑する木曾。うるせぇよ。俺だって正直今微妙な気持ちなんだからさ。
 
「も、もう一回!もう一回させてくれ!」
 
流石にこんな結果ではなんとも後味が悪い、と思って明石さんにお願いする俺。
 
「ま、別に良いけどね。ただ、本当にあと一回だけだからね?」
 
OKが出た。
 
今回は燃料と弾薬とボーキサイトを十個、鋼材のみを三十個にしてみた。
 
「うしこい!」
 
俺はボタンを押した。
 
―――――――――――――――――
 
「いやー、良かったなー。できた装備貰えて!」
 
「おう。」
 
「俺もこの装備は自分で作ったもんだしな、お前も大切にしやがれよコンチクショウ。」
 
「おう。」
 
「このドラム缶ふたつ。」
 
「………おう。」
 
今俺は自分の部屋に居るのだが、部屋のまん中にはふたつのドラム缶が置いてあった。
 
……要するにさっきの開発でもう一個ドラム缶ができたというわけだ。どうしてこうなった。
 
「全く!こんな重いもん部屋まで運ばせやがって!」
 
「いやだってもう一個ドラム缶ができるとか思わないじゃんか!もっと言えば明石さんが持って帰っていいとか言うと思わねぇだろ!」
 
もはやガキのケンカレベルのしょーもない言い合いだった。今俺達は俺の部屋から外にでて、次の目的地……と言うかもういつの間にか十二時を過ぎていたので、昼飯を食いに行く所だ。
 
「全く…。今度ジュース一本な!」
 
どうやらそれでチャラにしてくれるらしい。安くね?とも思ったが木曾がそう言うなら甘えとこう。
 
「あいあい、んで、ここが食堂か?」
 
「ん?あぁ、そうだ。ここでメシ食ったり休憩したりするんだ。」
 
そこの鴨居にはプレートが掛かっていて、そこには『堂食』と書かれていた。最早右読みなのは気にしないでおこう。
 
「うーい間宮さん、ぶっかけうどん二杯ちょうだーい。」
 
と言うと、「はーい。」と言う声が聞こえてきた。
 
「ちょっと待っといて下さいね。」
 
そうカウンターの向こうに居る割烹着のお姉さんが声を掛けてくれた。この人が間宮さんか。お世話になりそうだ。
 
「お待たせしました。」
 
と、ふたつのお盆の上にそれぞれうどんが一杯づつ乗っていた。うむ、旨そうだ。
 
「ういじゃ、その辺座るかね。」
 
「うーい。」
 
俺と木曾は部屋のまん中位の机に向かい合って座った。
 
「「頂きます。」」
 
俺と木曾はうどんを口に運ぶ。流石に本場香川が近いだけあってか、コシのあるいい麺だ。旨い。
 
「あのー、木曾さん、一緒に食べて良いですか?」
 
と、声を描けてきた人が居た。女の子の三人組の様だ。服装から見ると、同型艦の様だな。
 
「おう、いいぜ。ついでにコイツに挨拶しとけ。」
 
はーい、と言う三人。それぞれ椅子に座った。
 
「それじゃ僕から。僕は白露型駆逐艦二番艦 時雨だよ。これからよろしく。」
 
ふむ、まさか僕っ子をこの目で見ることになるとはな。
 
「んじゃ次私!白露型駆逐艦 四番艦の夕立です。よろしくっぽい?」
 
いや、疑問形にされても知らん。
 
「それじゃ最後に、白露型駆逐艦 五番艦の春雨です。よろしくお願いします。」
 
いい子だ(確信)。
 
という感じに一通り自己紹介が終わった所で夕立が話しかけてきた。
 
「ねーねー、本当に二号さんって男なの?」
 
まぁ、そりゃそうだろうな。普通はそこが一番の疑問だよな。
 
「そんなことで嘘言ったって仕方ねぇだろ。」
 
「えー、でも最近男の人になる女の人もいるっぽいし、二号さんは女の子になった男の人かって思ったっぽい。」
 
ほほぅ、このガキなかなか失礼な事を平気で聞きますなぁ。一回締めたろかな。
 
「ってさっき提督が言ってたっぽい!」
 
それを聞くやいなや、時雨が箸を置いて立ち上がった。
 
「あ、みんなごめん。ちょっと提督の所行ってくるね?」
 
ヤバイ、目が座ってる。顔は満面の笑みなのだが、大人でもビビってしまいそうな笑顔だった。
 
「ちょっと時雨姉さん!?落ち着いて下さい!」
 
慌てて止めようとする春雨。なんだろうかこのほのぼの四コマのワンシーンみたいな風景は。癒される。
 
「取り敢えずメシを食い終わってからにしとけ。行儀悪りぃぞ。」
 
これ程お前が言うなと言う台詞が似合うパターンってあるのだろうか、と疑問にもなるが本人は全く気にして無いの様子だ。
 
「うぅ………分かったよ……。」
 
と、大人しく座った時雨。どうやらこの子は木曾に弱い様だ。
 
「ま、アイツは俺が後で締めとくから。」
 
と、こちらもなかなかどす黒い顔の木曾。思わず目を背けてしまった。
 
「ほら、さっさと食え。午後からもすることあるんだからさ。」
 
と、今度はいつもの顔に戻った木曾。女って怖い。
 
俺は何となく早く食べなきゃいけない気がして、箸を進める。ただ、駆逐艦の三人組達との話がそこそこに弾んでしまった。麺類に二十分も掛けてしまった。
 
「うい、ごちそうさん。」
 
「ごっそさん。」
 
「「「ごちそうさまでした。」」っぽい!」
 
でもまぁ、色々な事がしっかり分かったし、なかなか有意義な時間だった。
 
「んで、お前らはこれからどうするんだ?俺はコイツの案内をもうちょいしようかなって思ってるんだけど。」
 
「それじゃ私もついてくっぽい!二時までひまっぽいし!時雨と春雨はどうさるっぽい?」
 
「それじゃあ僕も付いていこうかな。夕立だけじゃ不安だし。」
 
「それじゃ私もお邪魔させて頂きますね。」
 
どうやら三人とも付いてくるらしい。ま、この大人数も悪くないな。
 
「ういじゃ、行きますかね。」
 
と席を立つ木曾。それに釣られて俺達も立つ。そしてお盆を持って返却口まで持っていく。
 
「ごちそうさまー。」
 
と、おのおの言いながらお盆を置いていく。
 
「どういたしましてー。」
 
しかし間宮さん、一人でこれだけのメシを準備するのだろうか。大変そうだな、と思って俺達は食堂を後にした。 
 

 
後書き
読んでくれてありがとうございます。ドラム缶二連発は僕が実際にやらかした実話です。流石に艦これ辞めようかと思った。今でも続けてますけどね。
それでは、また次回。
追記 五月二十三日 誤字修正しました。 
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