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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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12部分:第一話 関羽二人の少女と会うのことその十二


第一話 関羽二人の少女と会うのことその十二

「しかしだ」
「しかし?」
「言い方があるだろう。ナコルルが聞いたらどう思う」
「?悪いのだ」
「自分で考えることだ。だがいい」
 関羽はここでこうも言った。
「寝るか」
「そうするのだ。それに」
「それに?」
「久し振りなのだ。こうして寝るのは」
「久し振り?」
「そうなのだ。一緒に寝るのはなのだ」
 彼女が言うのはこのことだった。
「随分と久し振りなのだ」
「あの子供達はどうなのだ?」
「あいつ等は自分の家族がいるなのだ」
 こう言うのだった。残念な顔になっているのが暗がりの中でも見える。
「だから鈴々はいつも一人だったのだ」
「そうか。一人か」
「けれど寂しくなんかないのだ」
 一応こう強がりは言う。
「それでも今は」
「そうだな。同じ布団で寝よう」
「そうするのだ」
 こうして二人で布団に入って眠りに入った。関羽は張飛のその安らかな寝顔を見て微笑んでから自分も心地よい眠りに入るのだった。
 そして次の日に三人で県長のところに訪れて謝罪した。県長にしても確かに怒っていたがそれでも子供のしたことなので彼女を許した。
 街の者達も彼女を快く許した。そのうえで山賊団は解散となった。そうしてだった。
「これからどうするつもりだ?」
 関羽はこのことを張飛に問う。ナコルルも一緒である。
「それで一体」
「もう山賊団は解散したのだ」
 彼女が最初に言うことはこのことだった。
「子分達ももういないのだ」
「そうだな。しかしまたあの山で暮らすのか?」
「それはもうしないのだ」
「ではこれからどうするつもりだ?」
「関羽はどうするのだ?」
「私か」
「そうだ。どうするのだ?」
 このことを彼女に問うのであった。
「これからは」
「私は旅を続ける」
「私もです」 
 関羽だけでなくナコルルも答えてきた。
「これまでと同じだ」
「私にはやらないといけないことがありますし」
「やらなければいけないこと?」
「どうしてこの世界にいるのか」
 ナコルルはこう張飛に述べた。
「それを確かめることも必要ですし」
「そうだったな。貴殿は他の時代から来たのだな」
「はい、そしておそらくは他の世界から」
 このことも関羽に話すのだった。
「この世界に来ています」
「それが何故かだな」
「それを確かめないといけません。それに」
「それに?」
「禍々しい気配も感じます」
 語るナコルルの顔が曇っていく。
「これは私達の世界にもあったものですが」
「同じものか」
「違う時代、違う世界にあったならそれはある筈はないものですが」
「そうだな。世界が違えば別の存在がいるのも道理だな」
 関羽もナコルルのその言葉に頷いた。
「それで同じ気配を感じるというのは」
「普通はありません」
「それを確かめるのか」
「そして必要とあれば」
 ナコルルの言葉が引き締まる。
「それを封印します」
「そうするのか」
「はい、その為に旅を続けます」
 まさにそうするというのである。
「そうします」
「では私と一緒に来てくれるか」 
 関羽はここでナコルルを誘った。
「この御時世だ。貴殿も確かに腕が立つが一人より二人の方がいい」
「そうですね。それは確かに」
「だからだ。それでどうだ?」
 またナコルルに声をかけた。
 
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