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とある科学の裏側世界(リバースワールド)

作者:偏食者X
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second contact
  ep.046 血に濡れた刃は

 
前書き
さて今回は操作くんのほうに筆を進めます。
彼は鈴菜さんを助けるのに間に合うのか。
そして操作くんの真の実力が発揮されるのも
そう遠くないです。 

 
鈴菜と別れて暗闇を進むこと数分。
操作は1つの広場に着く。
そこには明らかに体格差のある男がどっしりと構えた状態で待機していた。

「あらまぁ、可愛い僕ちゃんねぇ。 どう料理してあげようかしら。」

操作は男の見た目に似合わない女々しい喋り口調に猛烈な嫌悪感を抱く。
アナコンダにいた当初から多くの種類の人間を見てきたが、中でも今回の相手に対する嫌悪感は格別だ。

「君の趣味趣向に一切の興味はない。 箱部さんを助けに行くためにさっさと通してもらうよ。」

操作は腰辺りに差してある鈴花を抜く。
それを左手に逆手で持って相手の腕を狙う。
低い前傾姿勢を取り、地を蹴ると同時に右手で体を引っ張るようにしてより加速する。

一撃の重さこそ悠持には叶わない操作だが、暗殺時代に培ったその俊足は悠持に引けを取らなかった。
視界から消えるくらいの加速でジグザグステップをしながら相手との間合いを詰める。

「せっかく私好みの坊やが来たんだからすぐに果ててもらっちゃうとつまらないのよね。」

男は操作が攻撃に入ろうとした瞬間、こちらと視線を合わせてきた。
そして完全に視界に捉えると、操作と拮抗できるくらいの速度で掴みに掛かってくる。

「じゃあ頂きまーす!!」

男は奇怪な顔付きで操作に手を伸ばす。
だが操作は掴まれるまでの僅かな間に能力を使い、相手の視界に映る自分の位置情報を僅かながらにずらす。
男はその微妙な変化を察知できず、操作が居る地点より少し前の空間に手を伸ばした。

「あら?」

気が付くと男の腕には2箇所ほど小刀で斬られたような傷が出来ていた。
男は斬られたことを痛みによって知ったのだ。
つまり痛みさえなければ相手は斬られた事にすら気付かなかったかも知れない。

「どうしたんだい? 君の腕に付いているのは使える筋肉というよりは使えない重りのように見えるけど。」

操作は相手を煽る。
相手は頭から血管が浮き出て、まるで鎧のような筋肉にもムクムクと血管が浮き出てくる。
そして衝撃的なことに斬撃を加えた部分を強引に止血して見せたのだ。

「やるじゃないのクソガキ。 どうやら全身バキバキにされたいみたいね!!」

男は鬼の形相になる。
そしてクラウチングスタートを切るようなポーズを取ると、空気抵抗をものともしない速度で急接近。
その凄まじさに操作は一瞬時間が止まったかのように反応が遅れてしまう。

「遅いわね!! もらったわ!!」

操作は咄嗟に防御をとったが男の一撃は防ぎきれず、勢い良く吹き飛ばされた。

「うぐっ!!」

さらに男の猛攻は終わらず、吹き飛ばされる操作に追い付くとまるで四股を踏むかのように操作の左腕を踏み付け骨を砕く。

「あああ!!!」

操作はその激痛に叫び声を上げる。
腕を押さえながらうずくまる操作の頭を男はボールを掴むように片手で鷲掴みにする。

「このまま林檎の如く握りつぶしてあげるわ。」

「ぐぅ..........................」

どんどん強くなっていく力に操作の意識が遠ざかる。
頭を掴む腕を払おうとするがそれは不可能だ。

「箱部さん................................................................僕はここで終わってしまうのか.............................もう君を助けられない...........................ごめん......。」

「という夢を見ているようなんだけどどうかな?」

そこには直立不動のままで動かない男と、その男の反応を確認する操作の姿があった。
男は無意識のうちに操作の能力で幻術を掛けられ、脳内だけの仮想現実で操作に対して有利に戦っているように錯覚させられていただけだった。

「もう少しもすれば最悪な悪夢に変貌して脳内に焼き付けざるを得ないような恐怖を味わうだろう。 ひょっとしたら現実(リアル)で悲鳴をあげるかもね。」

操作は観察に飽きて広場を観察する。
すると、次のルームに進むための道はここにはないことが分かった。
操作は理由は分からないが無性に嫌な予感がして、能力を使って周辺の生体反応を探った。
すると、鈴菜の生体反応が極端に悪くなっている事に気付いたのだ。

「まさか、このポイントは罠か!!」

操作は慌てて来た道を激走する。
息を付く暇すらない。

「イギャァァァァァァアアアア!!!!!」

操作が先程までいた部屋から断末魔と言っていい程の男の叫び声がした。
だが操作にとってそれはどうでも良かった。
彼女の絶体絶命の状況に一刻も早く向かわなければならない。

『頼む...保ってくれ箱部さん!!』

電光石火の勢いで鈴菜が向かった部屋に着く。
そこには痣だらけで気を失った鈴菜とそれを踏み付けながらニタニタと笑う男の姿があった。

「箱部.....さん.......!!」
 
 

 
後書き
今回はここまでです。
戦闘中の脅威の余裕感は流石は操作くんですね。
そして次回はいよいよ操作くんが本領発揮します。 
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