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『2つの南天』

作者:零那
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『六つ葉』



私は四つ葉を見つけるのが得意だった。
田んぼの畦道には沢山のクローバーが在る。
葉が4枚から13枚在るものまで見つけた。

悪魔の数字の6。
六つ葉を沢山集めた。
国語辞典に挟んでく。
どれだけ集めたなら願いは叶うのだろうか。

そんな事を考えていて、ふと気付くとアナタが居た。
私の国語辞典を手に取り言う。
『なんで四つ葉ちゃうん?』
私は答えた。
『悪魔的な願いやから6にしただけや』

アナタは『綺麗...』と、呟いた。
私には其の言葉の意味が解らず、国語辞典を返してもらった。

『生きてるのが苦しい』と言うアナタ。
私は聞き間違いだと思い、聞き返す。
聞き間違いでは無かった。

幼かった私は、自分の事すらどうにもならないのに他人を助けるなど無理だった。
『ごめんな、何も出来ひん。生きてたく無い気持ち、おんなじやな...』

アナタは、父親の新しい愛人から暴力を受けてることを打ち明けてくれた。
私は、母親の新しい旦那から暴力や性的悪戯を受けてることを打ち明けた。

何かがスーっと溶け出した気がした。
お互い、顔を見合わせて笑い合った。

アナタが言う。
『六つ葉もっと見つけて願い叶えよ。呪ったろ!』
私は、笑顔で頷いた。


 
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