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提督はBarにいる・外伝

作者:ごません
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提督はBarにいる×熾火 燐・その3

 さて、作っていこうか。まずはセオリー通り、原料と同じトウモロコシを使ってサッと出来る一品。炒めるだけのお手軽『コンビーフコーン』を作るぞ。

【お手軽、美味い!コンビーフコーン】※分量2人分

・ホールコーン缶詰:1缶

・コンビーフ:1缶

・バター:10g位

・塩、胡椒:少々

 さぁ、作るぞ。フライパンを軽く熱してバターを溶かす。バターがある程度溶けたらコンビーフを投入し、ほぐしながら炒めていく。ある程度コンビーフがほぐれたら缶詰から出して軽く水気を切っておいたホールコーンを入れ、更に炒めていく。ホールコーンなら茹でてあるから手軽だが、収穫して茹でた物を使う場合は150g位を目安に。

 コンビーフとコーンがよく絡んだら塩、胡椒で味付け。コンビーフって奴は大体が長期保存の為に塩や香辛料なんかで味付けして、缶詰にしてあるモンだ。味見をしつつ、調整してくれ。塩分が気になる人は塩、胡椒はいらねぇかもな。味が整ったら完成。

「ハイお待ち、まずは軽く『コンビーフコーン』だ。それと、ワイルドターキーはどうやって飲む?」

「そうだな……『ミストスタイル』で貰えるかな?冷やして飲みたいのでね」

 ほぅ、ミストスタイルなんて飲み方知ってる辺り、中々に通じゃねぇか。ミストスタイルってのはグラス一杯にクラッシュドアイスを敷き詰め、そこにウィスキーを注いで飲む飲み方だ。ジムビームのCMでディカ〇リオとか〇ーラがやってた飲み方、って言やぁピンと来る奴もいるんじゃねぇか?俺は壬生森の言葉を受けて、タンブラーにクラッシュドアイスを詰めていく。俺も自分用にハイボールジョッキを用意し、クラッシュドアイスを詰める。

「そういや、そちらのお嬢さんは何をご所望で?」

「そうねぇ……あ、こっちの娘もカクテルとか作れるのよね?」

 俺に尋ねられた叢雲が、早霜もカクテルを作れるのか、と聞いてくる。答えは勿論YESだ。俺が調理で手が離せない時には、客の注文を受けてこなしてくれる優秀な助手だ。

「えぇ、大概の物は作れますが。何をお作りしましょう?」

「じゃあ『コモドール』を2杯お願い。こんな楽しい夜だもの、貴女も付き合ってくれるわよね?」

 叢雲がにこりと微笑む。

「えぇ、お誘いあらばお供します」

 早霜も微笑みで返した。さぁ、宴を始めよう。






「では、乾杯」

 4つのグラスが打ち合わされ、清涼な音が店内に響く。その打ち合わせた反動を活かしたまま、グラスを口まで運ぶ。グビリ、グビリ、ゴク、ゴク、ゴク。口いっぱいに広がる香ばしさを逃したくなくて、ついつい一気飲みしてしまった。『ワイルドターキー』は決して弱い酒ではない。スタンダードな物でもアルコール度数40度を数える強烈な奴だ。クラッシュドアイスのお陰でキリッとした飲み口になり、香ばしさが更に際立って殊更美味い。一瞬にして顔がカーッと熱くなるが、ぶっ倒れる程に酔いが回った訳でもない。世の中にはコイツの1リットルの瓶を一気に飲み干す、なんて化け物みたいなヤクザも居るんだ、俺なんてまだまだよ……って、あれは二次元の話だな。お客の2人は唖然としてるが、一体どうしたってんだ?

「随分と君は強いんだな……」

「そうかい?美味い酒を目の前にするとどうにもな。我慢が効かなくて困る」

 呆れたような口振りの壬生森に、苦笑いで返す。……おっと、冷める前にコンビーフコーンを口に放り込む。コンビーフの強い塩気と牛肉の旨味に、バターの風味とコーンの甘味と焼いた事による香ばしさ。こりゃ堪らんわ、急いで樽からおかわりのターキーを注いで流し込む。相性バッチリ、口の中に広がる幸せ。

「おいひいぃ~♪」

 見ると叢雲が口いっぱいにコンビーフコーンを頬張って破顔している。先程までの高圧的な顔から一転、ユルッユルに弛みきっている。壬生森も静かにではあるが、堪能してくれているようだ。




 さて、コンビーフコーンで胃が活発になりだした所で、お次は少しボリュームのある物にしようと思う。実はバーボン、その香ばしい薫り故に脂っこい料理や肉料理ーー特に、鶏肉との相性がいい。中華を食べる時にバーボンを紹興酒代わりに飲んだりしても、口の中をリセットしてくれるので他の料理に手を伸ばしやすくなる。しかし今回は中華ではなく、中南米はジャマイカの鶏肉料理『ジャークチキン』を提供してみようと思う。

 あまり聞き慣れないジャークチキンという料理だが、特に決まったレシピはなく、魚や肉、野菜、フルーツ等をスパイスで味付けして調理した料理……という、なんともおおらかな中南米っぽい料理だ。味付けの仕方も、酢や油にスパイスを加えてマリネしたり、スパイスの粉を直接すりこんだり、色々なやり方がある。そんな中で今回は、スパイス入りの野菜ペーストに鶏肉を漬け込んでおいた物があるのでそいつを焼くだけなのだが、レシピを載せておく。

《アメリカンスパイシー!ジャークチキン》※分量3人前

・鶏モモ肉(骨無しがベスト):3枚(600g位)

・ライムまたはレモン汁:大さじ3

(漬け込みダレ)

・玉ねぎ:1/2個

・長葱の青い部分:10cm分位

・オールスパイス:大さじ1/2

・乾燥タイム:小さじ1

・乾燥オレガノ:小さじ1

・クミンパウダー:ひとつまみ

・ナツメグ:小さじ1/2

・ガーリックパウダー:小さじ2

・しょうがパウダー:小さじ1/2

・黒胡椒:適量

・カイエンペッパー:適量

・岩塩:小さじ1

・サラダ油:大さじ1

・バーボン:大さじ1

 さぁ、作っていくぞ。鶏モモは1枚を半分に切り、味を染みやすくするためにフォークで全体に穴を開け、レモン汁かライム汁を揉み込む。

 玉ねぎをすり下ろし、長葱の青い部分は包丁でよ~く叩いてペースト状にする。そこにスパイス類を混ぜ込んだら漬け込みダレは完成。そこに下準備した鶏肉を入れて混ぜ、冷蔵庫で寝かせる。3~6時間置けば食べられるようになるが、理想は一晩くらい寝かせよう。

 本式だと屋外で炭火でじっくりと焼くのだが、今回は室内ver.で。天板にクッキングシートを敷き、200℃に余熱したオーブンで15~20分焼く。フライパンでもいいが、じっくりと焼かないと焦がすのでかなりしんどいぞ。



「さぁ出来た、中南米の鶏肉料理『ジャークチキン』だよ」

「邪悪チキン?なんだか弱そうね」

「その邪悪じゃないですよ、叢雲さん……」

「うっ煩いわね!そんなの解ってるわよ!」

 早霜の苦笑混じりのツッコミに、真っ赤になって反論する叢雲。ホントに食べ物絡みだとポンコツなんだなぁ、この娘。第一世代型艦娘の生き残りだろうに、こんなんでいいのか。

 何はともあれジャークチキンにガブリ。うん、普通のチキンソテーよりもスパイスの複雑な旨味を感じる。それなのにライム果汁のお陰でくどくない。さっぱりスパイシーという新しい感じだ。そしてそれが恐ろしく鶏肉を美味くしている上に、酒に合う。最高だねぇ、こりゃ。

「ふむ、美味いが……これは相当手間がかかるようだ。もう少し簡単なレシピは無いのかね?戻ってからも作りたい」

「そういう事ならスパイスすりこむだけのお手軽バージョンもあるぜ。これよりは多少味が落ちるがな」



《お手軽ドライタイプジャークチキン!》

・鶏モモ肉:3枚(600gくらい)

・塩:小さじ1~1と1/4

・チリペッパー:小さじ1

・パプリカパウダー:小さじ1

・クミンパウダー:小さじ1

・おろしにんにく:1片分

・オリーブオイル:小さじ4

 今度は漬け込みダレを使わず、スパイスを直接材料にすりこむ、ドライタイプと呼ばれる作り方だ。モモ肉は身の方を上にして、肉の厚みのある所に数ヵ所切り込みを入れる。こうする事で、火が入りやすくなるし、味も染み込みやすくなるぞ。

 次に、鶏肉の両面に材料表に書かれた順番通りにスパイスや調味料、油を揉み込んでいく。この順番通りじゃないと上手く味が付かないから注意しろよ?味付けが終わったら10分程寝かせる。

 さぁ、焼いていくぞ。フライパンを熱し、鶏肉を皮目から焼いていく。味付けの際に油を揉み込んであるので焦げ付きにくくなっているとは思うが、不安なら少しオリーブオイルを垂らしておこう。強火で皮目をじっくり焼いたら蓋をして、焼き目が付いたらひっくり返す。焦げ付かないように注意しながら、何度かひっくり返しながらじっくり火を通していく。

 焼き上がったら食べやすい大きさにカットして完成だ。 
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