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NARUTO日向ネジ短篇

作者:風亜
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【兄さまと姉さまと時々ナルト】

 
前書き
二部で、ハナビがネジ兄に色々やらかす話です。 

 
ある日の日向家にて────

「ヒナタ姉さま! わたし……ネジ兄さまのことが好きになっちゃったの。いいよね、わたしがもらっても。姉さまは、ナルトのことが好きなんだもんねっ?」

「えっ、え…? ハナビ、どうしたの急に……」

「ちょっと昔は───ほら、あんなにツンケンしてたから近寄りがたかったけど、あれから雰囲気変わったでしょ? その頃から、何だか気になり出しちゃって……目で追うようになったの。上忍になって、ますますカッコよくなって…! 何ならわたし、宗主の座をネジ兄さまに譲って結婚したいくらいなのっ」

「ちょ、ちょっと気が早いんじゃない、かな? ハナビはまだ、11歳だし……」

「姉さま知ってる? 17才のネジ兄さまは、日向家でいうと結婚適齢期なんだよ。最近見合いの話がすごい来てるらしいの……。中には勘違いしてる男もいるくらいだよ? そんな中で次期宗主の期待をかけられてるわたしが兄さまと婚約関係になれば……見合いの話も全て、はたき落とすができるのっ。実際にはまだ結婚できなくても、手元に置いておくことはできるのよ!」

「ハナビ、そこまでネジ兄さんの事を───」

「父上に、近日中に進言しようと思うの。じゃないと、誰かに取られかねないし!」

「ネジ兄さんは、そう簡単にお見合いの話は受けてないはずだから、そんなに焦らなくても……」

「なあに、姉さま。わたしと兄さま応援してくれないのっ?」

「そういうつもりじゃ、なくて…!」

「───あ、向こうからちょうど兄さまが…!! ネジ兄さま~!」

 普段と変わらず涼しげな表情で、ハナビとヒナタの元にやって来るネジ。

「……ハナビ様、俺の事を様付けするのはよして頂けませんか」

「わたしがそう呼びたいんだからいいの! 何なら兄さま、わたしにタメ口きいてもいいんだからねっ?」

 上目遣いでかわいく言ったつもりのハナビだが、ネジは軽くあしらった。

「遠慮します。───ヒナタ様、顔色が優れぬようですが、どうしました?」

「…あ、いえ! 私は平気だから、気にしないでネジ兄さん」

 すぐ姉の方を気遣ったのでハナビはムッとしたが、ある事を思い付いた。

「ねぇ兄さま、これからわたしとお出かけしない? 父上は今日会合だから稽古ないし、付き合って!」

「……自主的に修業でもなさっては如何ですか」

「気分転換くらい、いいでしょ?」

「でしたら、姉上であるヒナタ様と行かれてはどうです」

「姉さまとじゃ意味ないのっ!」

「……ケンカでもなさいましたか?」

 少し怪訝な表情をヒナタに向けるネジ。

「ち、違うの、そういうわけじゃないから…!」

「む~、いいよもう、わたし1人で行くからっ」

「…付き人としてなら、お供します」

「あのねぇ、そういうカタいこと言わないで、"兄さま"として付き合ってよ!」

「───判りましたよ」

 ネジは、やれやれといった様子で了承した。

「やった! じゃあ一緒に行こ、ネジ兄さまっ」

 嬉々としてハナビは、ネジの片腕にまとわり付いた。

「くっ付きすぎです、離れて下さい。…ではヒナタ様、行って来ますね」

「あ、はい…。行ってらっしゃい……」

 ヒナタは、親子のようにも見えてしまう二人の後ろ姿を、どこか切なそうに見送った。




 ───商店街散策、小物売り場にて。ハナビはピンクの花柄の髪飾りを手に取り、髪に付けて見せた。

「この髪飾り、どうかなネジ兄さまっ?」

「……似合いますよ」

 ネジは、特に何とも思っていないような無表情をしている。

「ほんとにそう思ってるぅ?」

「買いましょうか?」

「う~ん…、やっぱりいい。兄さま素っ気なさすぎだし、ただの付き人すぎるっ」

 つまらなそうにピンクの花柄の髪飾りを元に戻すハナビ。

「───これの方が、ハナビ様に似合うと思います」

 向日葵を象った髪飾りを手に、ネジはさりげなくハナビの髪の片側に付けてやった。

「…ふふっ、兄さまがそう言ってくれるならこれにする!」

「では、俺が買ってあげますね」

「うん、ありがとうネジ兄さまっ!」

 ハナビが嬉しそうにしているのを見て、ネジは微かに優しげな笑みを浮かべた。



 ───甘味処では、横長の座る場所で隣り合って団子のみたらし、あん、ごまなどを一緒に食した。

「……ハナビ様、口の周りにタレが付きすぎですよ。少しは工夫して食べなければ」

「そういう兄さまだって、ほっぺに付いてるよ?」

「え、そうですか…?」

 手拭いで片方ずつ丁寧に頬を拭くネジを見て、ハナビは可笑しくなった。

「あははっ、うそうそ、付いてない! 兄さま食べるの上手だよねぇ」

「───しょうがないですね」

 ハナビの口周りを手拭いで半ば強引に拭き取るネジ。

「わっぷ?! もごもご……っぷは! もう少し優しく扱ってよぉ」

「あぁ、すみません。……ヒナタ様も、以前までよく口の周りにタレなどが付いたりしていましたが、最近ではそれも無くなってきましたね。とはいえたまに、頬に付いてますが」

 ネジはそれを思い出して、僅かに笑みをこぼした。

「───ちょっと兄さま、わたしの前で今姉さまの話をするのは反則だよっ?」

「…やはり、ケンカでもしたんですか?」

 首を少し傾げて、ネジは心配そうにハナビの顔色を窺い、当のハナビは何だか恥ずかくなって顔を逸らした。

「そうじゃない、けど……まあいいや、次行こ! てゆうか兄さま、おんぶして?」

「ハナビ様、疲れているようには見えませんが……」

「ネジ兄さまに背負われたいの!」

「次期宗主としての自覚を持って下さい」

「それはわたしが宗家の生まれで、姉さまより才能があるとか言われてるだけでしょ? 兄さまの方がよっぽど宗主にふさわしいのに……分家って理由だけでなれないなんて、おかしい」

「…………」

「───えいっ!」

 不意に後ろからジャンプして、ネジの背中に飛び付き首周りに両腕を絡めるハナビ。

「あ、こら、ハナビ様」

「わたしまだヒナタ姉さまより重くないでしょ? …でも、姉さまよりおっきくなってみせるよっ」

「まぁ、背が高ければ宗主として威厳があるでしょうが……」

「そっちじゃないよ! ムネの話っ」

「────は??」

 ネジの思考が、一瞬止まった。

「ヒナタ姉さまと一緒にお風呂入ったりするともう、スゴいんだから…! でも、まだおっきくなったりするのかな? わたしじゃ姉さまに追いつけないかも……」

「─────・・・」

 背に飛び付いているので、ハナビからは滑らかな髪ばかり目についてネジの表情はよく見てとれないが、沈黙したままになっている。

「あー、兄さま今やらしいこと考えてたでしょ!」

「違いますよ。大体、あまりに大きいと柔拳に支障が出るのでは────」

「ほらぁ、考えてるじゃない! 兄さまもやっぱり、オトコだねぇ?」

「……からかわないで下さい」




「───お? ネジじゃねーか、何やってんだ?」

 前方から、両手を頭の後ろに組んだうずまきナルトがやって来た。

「あれ、背負ってるその子、ダレだっけ?? なんかそうしてっとお前、その子のカーチャンみてぇだなッ」

「バカを言うな。…ヒナタ様の妹君の、ハナビ様だ」

「あぁ、そういやそーだったな!」

「失礼しちゃうわねナルト、しばらく会う機会なかったからって、ヒナタ姉さまの妹でネジ兄さまの従妹のわたしを忘れるなんて」

「ん~、ハナビってどっちかっつうと、ネジの方に似てると思うんだよなぁ。何かその、上から目線的な感じとか、見た目の雰囲気とかな!」

「え、ほんとっ? ナルトってば、少しは見る目あるじゃない…!」

 恥じらったハナビは、ネジの首周りに絡めている両腕に力を込めた。

「は、ハナビ様、ちょっと苦しいのですが……それよりナルト、余計な事は言わないでもらいたいものだな。実の姉のヒナタ様より、従兄でしかない俺がハナビ様に似ているなどと───ぐッ」

「ちょっと兄さま、そこは否定しなくてもいいでしょ…!?」

「───ハナビ、後ろから両腕で首絞めんの、やめてやれってばよ。ネジの顔、青ざめてきたぞ?」

「あっ、ごめんね兄さま。つい、力が入っちゃって…!」

「いえ、大丈夫、ですよ。……コホコホッ」

 と言いつつ軽く咳き込んだため、ハナビはようやくネジの背中から離れ降りた。

「なぁ、ヒマだったらオレと一楽のラーメン食べに行かねぇ?」

「いや、ハナビ様とはついさっき甘味処で───」

「いいじゃない兄さま、ナルトのおごりで食べに行こ!」

「へ? オレが奢んの…!? 上忍で1つ上の年なんだし、ネジが奢ってくれってばよぉ」

「誘ったのはあんたなんだから、ナルトがおごりなさいよねっ」

「ハナビ様、先ほど団子を何本か……ましてその前にも他に頂いたでしょうに」

「え? あれくらい別腹に決まってるじゃない! ラーメンくらい軽く食べれるよ?」

「……やはり、ヒナタ様の妹君ですね」

 呆れるよりも感心したように、ネジは少し目を見開いた。

「ねっ、姉さまよりは食べれないから!」

「遠慮せずに、ハナビ様の思う通りに頼んで下さい。どうせ、ナルトの奢りですから」

「どーせって何だよネジ! あーぁ、マジでオレが奢んのかよ。今持ってんので足りっかな…??」



 ─── 一楽で、ハナビは結局の所一杯しか頼まなかったので、さすがに姉のヒナタの様にはいかなかったのか、一杯だけで我慢したのかは定かではなかった。

「ねぇナルト、あんたってヒナタ姉さまのこと、どう思ってるわけ?」

 一楽を出た後、ハナビは突如ナルトに問いかけた。

「ヒナタ? オレにとって同期の仲間の1人だぜ!」

「……まさかそれだけじゃないよね」

「ん~、意外とよく食べるよな? それによくオレのこと心配してくれるし…、いい奴だってばよ!」

「いい奴ってあんた、女の子としてすら見てないのっ?」

「───ハナビ様、こいつにまともな答えを求めても無駄というものですよ」

「何だよ、オレは正直に言ってるんだぜ? じゃあネジ、お前はヒナタのこと、どう思ってんだ?」

「分家の立場としてだけではない俺の意志で、ヒナタ様やハナビ様を守りたいと思っている」

 その淀みない毅然とした答えに、ハナビはネジに釘付けになった。

「ネジ兄、さま………」

「どうしたハナビ、顔赤くなってんぞ? 熱でもあんのか??」

 ナルトがハナビの顔を覗き込み、片手を横にして額に宛がった。

「ちょ…!? 何であんたがそれをするわけっ? 余計なお世話よ!」

 ナルトの手を払いのけたハナビを見て、ネジはハッとした。

「───しまった、今のはナルトの魔の手からハナビ様を守れていなかった。申し訳ありません、ハナビ様」

「全くだよ兄さま、自分の意志でわたしの事も守りたいって言ってくれた矢先これだもん…!」

「オレの魔の手ってどーゆう意味だってばよ! つーか、オレのことはどう思ってんだネジ?」

「ヒナタ様の心を乱す厄介者ではあるが……同じ里の仲間として、守ってやらない事もない」 

「そうか! オレにとってもヒナタもネジもハナビだって、他の奴らもそうだから、みんなオレの仲間だってばよッ!」

「…そういうこと言ってるから姉さまの気持ちに気づけないんじゃないの、ナルトってば。───あれ? 向こうにいるのってヒナタ姉さまと……だれ、あの男」




 ふとハナビが視線を向けた先に、通りの端の辺りでヒナタと見覚えのない背の高い男が向かい合っており、何か話しているようだった。

…不意に男がヒナタの手首を強引に掴み、その瞬間ネジが素早く動き瞬時に男との間合いを詰め、片腕をへし折らんばかりに引っ掴んで、ヒナタの手首から男の手を離れさせた。

「い゛ってェ?! 何だ、テメェ……ひッ」


「───失せろ」


 動脈がみしりと浮き出た白眼で鋭く睨み、普段よりさらに低い声で凄みをきかせ、それでいて腕を掴んでいた手を緩めてやった途端、相手の男は観念したように一目散に走り去った。

「……大丈夫ですか、ヒナタ様」

 白眼を解いて、ネジはヒナタに向き直る。

「はっ、はい。ありがとうネジ兄さん、助かりました……」


「ハナビ、オレ達もヒナタとネジんとこに───」

「待ってバカナルト…! ここは兄さまに任せましょ」

 ハナビはナルトを制して、少し遠目から二人の様子を見守った。


「───買い出しに、来ていたら、声を掛けられて……行商人の方らしくて、道を聞かれて教えていたら、急に手首を掴まれてしまって」

「その者は、行商人を装っていた可能性のある不届き者です。…気安く声を掛けて来た見知らぬ者に対しては警戒するよう、ずっと以前から言われているでしょうに。せめて、世話役を伴っていれば良いものを───」

「誰にも声を掛けずに、1人で出て来てしまった私が悪いんです。ごめんなさい……」

「先ほどのように、すぐ駆けつけられるとは限りません。自分の身は、自分で守って頂かないと」

 ネジの声音はあくまで落ち着いていたが、内心気が気ではなかった。

───出来る事なら常に傍に居てお守りしたいとはいえ、そういうわけにもいかない。

ネジは上忍故に、長期任務も多く里を離れがちで、まして同じ白眼使いが共に任務につく事は例外的にほとんどない為、ヒナタと離れている間は任務に支障をきたさない程度に心の内で案ずるしか出来なかった。

「…姉さま、ほんとはわたしと兄さまが気になって1人で出て来ちゃったんじゃないの?」

「ん? そうなのかヒナタ、だったら一緒に出かけりゃよかったのによ!」

「は、ハナビ、ナルト君」

 少し遠目に様子を見守っていた二人がヒナタとネジの元にやって来て、この時ヒナタは以前と違いナルトを前にしてもまごつかなくなっていた。

ハナビはそれを見て、やはり姉の気持ちがナルトではない方向に行きつつあるのを察してライバル心を燃やしかけたが、口をついて出たのは自分でも意外なものだった。

「ヒナタ姉さま! ネジ兄さまの件は保留にするから、わたしに気をつかわなくていいよ? 兄さまは、姉さまの買い出しに付き合ってあげて! わたしはナルトに家まで送ってもらうからっ」

「へ? 何でオレがハナビを───」

「か弱い女の子を1人で帰らせるつもり? …ほら、連れてけナルト!」

 ハナビは強引にナルトの背に飛び付いた。

「しゃあねぇなぁ…。んじゃネジ、ヒナタ、またなッ!」

 ナルトはハナビを背負って跳躍し、すぐに姿が見えなくなった。

…残された二人は顔を見合わせ、ヒナタの方が紅くなって下向き、ネジの方はナルトにハナビ様を任せて良かったものかと思案しつつ、ヒナタの用事に付き合うのだった。

───ハナビはナルトに背負われながら、姉と従兄を思いやった。

(わたしは兄さまも姉さまも大好きだ、それはこれからも変わらない。そんな二人が結ばれることになったら、とても素敵なことだと思う。でもやっぱり、姉さまがナルトと一緒になったりしたら……その時は全力で、ネジ兄さまをもらうからねっ)



《終》

 
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