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ドリトル先生の名監督

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第九幕その九

 先生は食事のことも楽しむのでした、そうしたお話をお家でもしてです。稽古の時も相撲部の皆に言いました。
「僕も色々食べてるね」
「お好み焼きに洋食とですね」
「イギリス料理も」
「本当に色々召し上がられてますね」
「食べてるね」
 笑顔で皆にお話します。
「何かとね、それで君達もね」
「偏食はよくないけれど、ですね」
「それでもですよね」
「食べることはいい」
「そうですね」
「そう、お好み焼きも洋食も」
 そしてイギリス料理もです。
「食べていいよ」
「ただ、偏食はよくなくて」
「栄養バランスを考えるべきですね」
「そして力士の身体のことを考える」
「そういうことですね」
「そう、お相撲をするのならね」
 何といってもというのです。
「お相撲に相応しいものをバランスよく食べることだよ」
「だからお好み焼きも洋食もいいんですね」
「そうなるんですね」
「力士の身体を作るのなら」
「それがいいんですね」
「そうだよ、ただこの前読んだ本ではね」
 先生は大変な読書家です、そしてその読む本の中にはスポーツのものもあってその本からお話することです。
「野球の本だけれど」
「野球ですか」
「そちらのお話ですか」
「管理野球っていってね」
 その時先生が読んだ本に書いてあったことはです。
「徹底した練習と作戦だけじゃなくてね」
「食事もですよね」
「そっちも」
「そう、君達も知ってるのかな」
 その管理野球についてというのです。
「食事も白米やお肉を食べなくてね」
「昔の西武ライオンズですよね」
「ヤクルトスワローズでもでしたね」
「広岡達朗さんですね」
「あの人の野球ですね」
「そう、その人が監督の頃の野球だけれど」
 それが管理野球だというのです。
「お酒も煙草も当然なくてね」
「お魚も小魚で」
「玄米ですよね」
「炭酸飲料も禁止で豆乳飲んで」
「お昼は軽食ですね」
「当然ハンバーガーとかも禁止でね」
 そうした食事もというのです。
「食べたらいけないんだ」
「厳しいですよね、管理野球って」
「何かと」
「凄く厳しいですよね」
「軍隊みたいで」
「僕は体調管理はしっかりとしないといけないって思ってるけれど」
 それでもというのです。
「それでもね」
「管理野球までは、ですか」
「考えておられないですか」
「そこまではなんですね」
「うん、幾ら何でもね」
 先生は皆に言います。
「考えていないよ」
「あそこまではですか」
「厳しくはないんですね」
「力士としてどうあるかは考えていても」
「管理とまではですね」
「軍隊でもね」
 先程軍隊みたいという言葉が出てもです。
「そこまで厳しい部隊はまずないから」
「ですよね、自衛隊でもですよ」
「そこまで厳しくないですよ」
「レンジャー部隊ならともかく」
「そこまで厳しい部隊は殆どないですよ」
「そこまでしたから西武は強かったんだろうけれど」
 それでもというのです。
「軍隊でもそこまでする部隊は殆どないから」
「ですよね、広岡さん呉出身ですけれど」
「広島の」
「あそこは海軍の街ですけれど」
「海軍式だったんですか?」
「帝国海軍は厳しかったので有名だね」 
 帝国陸軍もそうでしたが鋼鉄の如き軍規軍律と過酷な訓練で知られています、その厳しさたるやだったのです。 
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