ドリトル先生の名監督
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第七幕その六
「僕は暴力は絶対に振るわないよ」
「自分が弱い人って自分で言ってる様なものでもあるから」
「だからですか」
「暴力は振るわない」
「そうした意味もありますか」
「体育会系にはよくあるけれど」
日本のです。
「それはよくないよ」
「桑田さんも言ってますしね」
「暴力は何もならないって」
「卑怯だって言ってますね」
「反撃出来ない相手だからするって」
「桑田さんは僕も名前や発言を知ってるよ」
元野球選手でピッチャーでした、この人は理知的で冷静なことで知られています。先生も学者として注目しているのです。
「いいことを言ってるね」
「科学的な考えする人ですからね」
「高校時代からスポーツに真面目で」
「苦労もされてますし」
「いいことを考えてますよね」
「桑田さんの言う通りだよ」
まさにとです、また言った先生でした。
「暴力は卑怯でもあるよ」
「抵抗出来ない相手だから殴る」
「立場や力が上であることをいいことにしてですか」
「親方や先生や先輩がそうする」
「だからですね」
「そうした人こそ自分より強い相手には低姿勢だからね」
立場や力がです。
「そして逆らわないね」
「ですね、先輩とかには」
「そうした人には絶対服従ですね」
「そして後輩や生徒に暴力を振るいますね」
「うん、顧問の先生の体罰、暴力の話も多いけれど」
日本にはとです、先生はこのことには心から残念そうなお顔で言います。そのことを知っているからこそです。
「立場や力が上だからするからね」
「腕力や罵りで従えさせる」
「恐怖で、ですね」
「それって全体主義国家と同じですね」
「変わらないですね」
「そうだよ、一緒だよ」
そうした国と、というのです。
「それこそね」
「だから余計にですね」
「したら駄目ですね、暴力は」
「誰に対しても」
「自分より立場や力が弱い人にそうしたら」
「絶対にね、僕はこのことをいつも心に留める様にしているんだ」
それこそというのです。
「絶対にしたらいけないことだと思っているからね」
「それで竹刀も持たれないで」
「見ているだけですか」
「そうされてるんですね」
「そうだよ、そんなことはしないよ」
また心から言った先生でした。
「何処でもね」
「その先生のよさがですね」
「きっと誰からも好かれる理由の一つですね」
「公平ですし温厚で」
「しかも穏やかですから」
「これなら絶対にいい人来てくれますよ」
学生さん達からこうした言葉も出ました。
「結婚相手に」
「そうそう、先生ならな」
「絶対にそうした人出て来るよな」
「もういるかもな」
「とっくに」
こう学生さん達の間で言いますが先生はこの話題についてはもう答えが決まっています、それで笑って言うのでした。
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