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提督がワンピースの世界に着任しました

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第23話 革命軍

 オハラ島の出来事に関わった俺達は、海軍本部から指名手配が掛けられ世間一般の人達にとっては極悪人として知られるようになった。その影響で、付近にある島の利用がしにくくなったり、今まで利用していた商人たちの何人かに手を切られる結果となってしまった。

 しかし、そんな俺達にとっての真実はオハラ島の学者達を無事に島から脱出させるという、人助けをしただけだ。あの日、俺達は海軍や世界政府の軍船に向けては一度も攻撃しないで逃げただけだし、あの丸メガネの海軍兵に対しても襲ってきたから反撃しただけの正当防衛だと考えている。
 神威鎮守府に到着してから、クローバー博士の話を改めて聞いてから判断しても、世界政府のオハラ島に対する行動は間違っていると感じさせられた。つまり、海軍に指名手配される正当な理由には足りないはず。

 だが世間に知られている事実としては、世界征服を企むオハラの悪魔達の仲間として、同じように世界征服を行おうとしている極悪人と認知されてしまう結果となった。

 もちろん、今でもクローバー博士や学者達を助け出した事に関して後悔は無いし、間違った行いだとは少しも思っていない。


 幸いなことに、海軍に指名手配を掛けられたのはオハラ島に向かった俺と天龍、吹雪、夕立に舞風の5人だけ。あの日、鎮守府に待機していた他の艦娘達は、未だに世間に知られない存在だという事。

 そしてもう一つ、俺達と同じように世間からは極悪な組織として知られているのが革命軍と呼ばれている組織について。
 世界政府を打倒する事を目的として世界中で暗躍している彼らの評価は、世間一般から見ると平和を脅かす悪い組織であると認識されている。

 どこかの国で内乱が起きれば、裏で手を引いているだろう革命軍の仕業だという陰謀論が起こるくらいには有名であるらしい。


「革命軍からの協力要請?」
 神威鎮守府にもたらされた現状をクローバー博士に話したところ、確認するように俺の言葉を繰り返し言った。

「えぇ、そうなんです。今も取引を続けてくれている商人から、間を取り持って伝えられたんですが、ぜひ一度会って話がしたいと言われたんです。それで、向こうの目的は私達と協力関係を結びたい、と言う事らしんですが……」

 俺が商人から伝えられた事実を、クローバー博士に説明する。ちなみに、クローバー博士はオハラ島から助けて神威鎮守府に連れてきた後、助けた学者達一同に生活するための部屋を用意し彼らを保護する代わりに、この鎮守府で参謀のような情報処理や情報収集を担当してもらうことになっていた。

 その為に、今後の神威鎮守府の取るべき行動について、革命軍との関係をどうするべきか判断に困ったので、助言してもらおうと相談していた。

「彼らと、協力関係を結ぶべきだと思いますか?」
「革命軍の目標は、政府打倒と言われておる。それが真実だとしたら、現状、海軍と世界政府に指名手配が出されている我々は、革命軍と一緒に行動を共にするメリットは有ると思うんじゃが……」

 敵の敵は味方、という理論で単純に考えるならば、たしかに力を合わせて進んだほうが有利に働くだろう。

 艦娘という規格外の戦力が有る神威鎮守府ならば、島に海軍が攻めてきたとしても硬い防御戦力で守りきれる自信はあった。
 けれど、数の暴力を用いて連日に渡って攻めて来られたら、いつかは島の守りも崩壊するかもしれない。それに結局は、海軍本部と世界政府という事態の根本を解決しなければ、いつまで経っても極悪人として知られた生活をしていくしか方法がない。

 ならば、どうするべきか。仲間を増やして、大多数を集めて、世間にどちらが正しいのか判断してもらえるように、より良い結果になるように行動しないといけない。その一歩目として、目的意識が近い革命軍という存在は都合が良いのかもしれなかった。

「ただ、彼らの行動の仕方は暴力的に過ぎる。世界各地の不穏な国に潜入して内乱を誘発させ、内乱が成功するにせよ失敗するにせよ行動した人間達が、行き場のなくなった所を革命軍が勧誘して仲間を増やしているらしいんじゃ」
 クローバー博士も彼らの事については、そこまで詳しいわけでは無いらしく、あくまで噂で知られている情報ぐらいしか知らないという。

「世界中で活動しているみたいだけれど、彼らも私たちと同じように仲間が少ないのから、そういう方法しか取れないのかもしれない。何にせよ、一度顔を合わせて話してみるしか無いか……」
 革命軍の情報は今のところ少ないから、結局は予想で判断するしか出来ない。ならば、一度会ってみてから判断するしか無いだろう。

「すみませんが、クローバー博士にも革命軍との会談に参加してもらいます」
「了解じゃ」

 後日、商人に革命軍との会談を了承する事を伝えた数日後に、彼らとの話し合いの場が設けられた。


***


 会談の場所は、今回俺たちを引き合わせようとした商人の持つ店の一室を用意してもらった。神威鎮守府から少し離れた島であり、何度か足を運んだことのある場所だった。

 場所の指定は革命軍から、自由にという一言を貰っていて、こちら側で決めた。神威鎮守府に迎え入れるには、まだ彼らのことを知らなすぎるので、結局は神威島の外で会うことにして商人に部屋を準備して貰う形となった。

 今回に会談には、秘書官の加賀も一緒に引き連れてきた。彼女が居れば、余程な事がない限りは死ぬことは無いだろうという余裕もあった。そして、外には吹雪を控えさせて逃げ出す準備も怠っていなかった。

「待たせた」

 その男は、そう言って室内に入ってきた。黒いローブを身に纏っているが、その身から漂うオーラから只者ではない存在であると感じさせられる。後ろに一人、体格の良い男を引き連れているようだった。護衛か何か、だろうと思う。

 部屋に入ってくると、男は頭に被っていたフードを外した。それによって、隠されていた眼光鋭い瞳と、顔が見えるようになった。まず目につくのは、その男の顔の右半分に有るひし形が3つ連なった大きな入れ墨。

「革命軍の総司令をしている、ドラゴンだ」
「大日本帝国軍の平賀です。よろしくお願いします」

 差し出されたドラゴンの手を、俺も手を差し伸べて握手する。そして、彼の顔を近くで確認して内心で間違いないという確信を得ていた。

 ずっと以前から、俺は彼を知っていた。それは原作で、海賊王が処刑された町、ローグタウンでスモーカーという煙を扱う悪魔の実の能力者の海兵に捕まった主人公のルフィを助け出して逃したシーンによって。
 そして少ない登場場面ながらに、かなり重要そうな登場の仕方や台詞がインパクトとして残っていた。その後どういったキャラクターだったのか、原作では詳しい説明がなかったハズだから、彼がどういう立ち位置の人間なのかは知らなかった。

 まさか、革命軍の総大将という重要なキャラクターだったとは。そしてこんな場所で出会う事になるとは。

 だがしかし、今は原作の情報を重要視しすぎるのは良くないだろう。意識をリセットして、会話をしながら相手の為人を確かめるべきだと思い直す。
 何よりも、革命軍側は総大将という最重要とされる人間を寄こしたのだから。気持ちを引き締めるべきだろう。

「こちらが、クローバー博士です。今は、私達と一緒に行動してもらっています」
「クローバーじゃ」

「オハラ島での騒動は聞いている。あなた方が無事に生き残れたのは、世界にとって本当に良かった」
 一緒に同行してもらったクローバー博士の事も、ドラゴンに紹介する。ドラゴンとクローバー博士も、俺と同じように握手をしてから3人は席についた。

 革命軍側はドラゴンが一人、大日本帝国軍側として俺とクローバー博士の二人が分かれて、向かい合わせになって座る。護衛に付いて来てもらった加賀には、席に付くこと無く俺の後ろに控え立ってもらっていた。そして、向こうの護衛と思われる男も同じようにドラゴンの後ろに控えて立っていた。

 こうして、話し合いが始まった。 
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