リリカルなのはEXE
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第六話 前途多難な出会いなの
side フォルテ
「なんだここは……俺は……」
気が付くと俺は真っ暗な場所に居た。
なにかエラーか破損でも起こったのか俺は自分のメモリーが一切思い出せなかった。
グルル……
獣のような唸り声がしたかと思えば闇の中空、四方八方から声が聞こえてきた。
チ、ヲ……モト……ヨ、ニンゲ、ニ……フク……ュウヲ……
ほとんど何を言っているかわからないぐらいか細い声だったが次第に大きくなっていく
チカラ、ヲモトメ、ヨ……
オレノ、ワシノ、ワシラノ……
チカラヲ、モトメヨ……
オレノ、ワシノ、ワタシノ、ワタシタチノ……
チ・カ・ラ・ヲモトメヨ!!
オレノ、ワシノ、ワタシノ、ボクノ、ワシラスベテノヒガン!!
クヤシイ!復シュウヲ!憎イ!復讐ヲ!満たされぬこの憎悪!復讐を!力を!!
ひと際大きく、暗く、憎悪と怨嗟の声がした瞬間、俺の意識は闇に飲み込まれた。
次に意識が覚醒したときは目の前にぼんやりとどこか電脳世界ではない
現実世界のような景色が広がっていた。
気配を感じたのでそちらに目をやると青い一体のナビが立っていた。
目の前のナビを見た瞬間メモリーのフラッシュバックが起こったが一瞬見えた映像はすくった水が零れ落ちるように消えていってしまった。
どうやらこの青いナビは俺となにか関係のあるナビらしい。
「フォ……テ!!」
青いナビが俺に向かって何か言った瞬間、周囲からあの憎悪にまみれた声が響き俺のちっぽけな意思は塗りつぶされた。
ぼんやりと映像だけが飛び込んでくる。
青いナビは果敢に挑んでくるが俺は事も無げに振り払っている。
何度吹き飛ばされても青いナビは俺に向かってくる。
俺はイラついたのかもう終わらせようと腕に力を収束させていき……
「だめええええええ!!」
力を解き放とうとした瞬間、今まで聞いていた憎悪と怨嗟とは全く違う鮮烈なけれどどこか悲痛な叫びが聞こえた瞬間
俺の意識は真っ白な光に包まれた。
side なのは
「それじゃあ今日はごめんね二人とも」
「謝らないの!それより本当に大丈夫なんでしょうね?」
「無理したら駄目だからね」
「にゃはは、ありがとうアリサちゃん、すずかちゃん本当に大丈夫だからまた明日ね!」
大丈夫だよって伝えるために笑顔で手を振って二人に別れを告げお家に帰宅した。
「なのは、本当に大丈夫か?」
「うん、平気だよ!ちょっと疲れちゃったからお部屋で休むね」
心配そうに体調を聞いてくれるお兄ちゃんに大丈夫だよって伝えてわたしは部屋に戻った。
「ねぇユーノくんあの時なにが起こったか詳しく話してくれる?」
「うん、なのはがあの黒い魔導士の子にやられそうになったときになのはが黒い光に包まれて
まったく知らない男の子になったと思ったらいきなり現れた青い男の子と戦い始めたんだ」
「そっか、夢じゃなかったんだね」
ユーノ君の話を聞いて確信する。わたしが見ていた、ううん体験した事は全部本当のことだったんだ……わたしは真っ暗なところに居てぼんやりと映像と音が入ってくるの
青い男の子の映像が見えた瞬間わたしの全く知らない記憶が見えた。一人ぼっちになった男の子のとっても悲しくて寂しい物語。
「夢?」
「うん、ぼんやりとだけど見えてたの、それとすごく怖くて寂しくて悲しい感じがしてた……」
「精神シンクロでもしてたのかもしれないね」
ユーノ君に精神シンクロについて聞くとどうやら魔導士と使い魔の間で起こる現象らしい片方の感情が少しだけ流れ込んでくるらしい、わたしが体験した記憶を見るような話は聞いたことがないみたい。
「うーん、ねぇユーノ君あの子とお話しできなかな?」
「えっ?」
「あの子とお話してみたいの」
「危険だよ!あの子が何なのかジュエルシードとはどんな関係なのか一切わかってないんだよ!」
「でもっ……」
ユーノ君の言う通りわたしたちは何一つあの子について知らない、確かに危ないのかもしれない
わたしのおせっかいなのかもしれない、けれどひとりぼっちはつらいから何とかしてあげたい。
「……わかった、やってみよう、けど危険だと僕が判断したらすぐにコンタクトをやめてもらうからね」
わたしの思いが通じたのかユーノ君はあの子とコンタクトをとることを了承してくれた。
side フォルテ
俺は相変わらず憎悪と怨嗟の渦巻く闇の中にいた。
こんなところにいれば気でも狂いそうなものだが、俺は自我を保てている。
それどころかどこか心地よささえ感じてるといっていい、いったい俺はどんなやつだったのか。
そんな当てもないことを考えていると
周囲の声が鳴りを潜め、闇の中からまばゆい光を放つ球体が現れた。
「き……こ、てますか?……わた、たか……のは、す」
光から声が聞こえてきたので俺はさらに光の方に意識を向けるとさらに明瞭に声が聞こえてきた。
「聞こえていたら返事をしてください!お願いします!」
「ふん、なんだ貴様は?」
どうやら俺と意思疎通を図ろうとしているようだ、俺も現状を把握するために声を返した。
「っ!よかった!聞こえてるんですね!わたし高町なのは!私立聖祥大付属小学校の三年生です」
「……」
「貴方のお名前は?」
side なのは
「貴方のお名前は?」
「……わからん」
せっかく自己紹介が出来たのに問題の黒い子は名前がわからないみたいどうしよう
とりあえずわたしはお話しをしてみることにした。
「えぇっと自分のことを覚えてないの?」
「あぁ、メモリーに異常が発生しているのか破損しているかはわからんが」
「そうなの……あのね、貴方はフォルテって呼ばれてたみたいだからフォルテが貴方の
お名前なんじゃないかな?」
わたしはユーノ君から青い男の子がフォルテと呼んでいたと聞いていたので名前がフォルテではないかと聞いてみる。
「フォルテ……思い出せん」
「そっか、でも貴方を呼ぶときに困っちゃうから貴方の記憶が戻るまでフォルテ君って呼ぶね?」
「好きにしろ、俺からも聞きたいことがある」
……
う~んフォルテ君の話を聞くとどうやらフォルテ君はわたしやユーノ君とは違うインターネットがすごく発達した世界からやってきたみたい、しかも人じゃなくてネットナビというレイジングハートに近い存在なんだって
ユーノ君曰く記憶がないから何とも言えないけどもしかしたら次元漂流者なのかもしれないみたい
「う~ん、どうしたらいいのかなぁ」
「難しいね、記憶がないと何もわからないしそれにジュエルシードと一体化しちゃってるみたいだし」
「記憶が戻ることはあるのかな?」
「フォルテには自動修復機能とかはついてないの?」
「あるにはあるが、今俺の体には得体の知れないものも混じっている、今は鳴りを潜めているが
あいつらの力、意思は強大だ、今の俺では抵抗すらできんだろう」
フォルテ君の体の中にはなぜか悪意の塊みたいな意思が混ざっていて私がフォルテ君に変身した時も表に出ていたのはほとんどが悪意の塊だったみたい。
「おい、貴様ら俺へのアクセスを解け、あいつらが騒ぎ出した」
これからのことを考えていると急にフォルテ君がアクセスをやめろと言ってきたと同時に……
ニクイ、フク……ヲ!オロカナ、ニンゲ……ニク、イ、ニクイ、憎い!!
これまで聞いたことのないような暗い声が私たちにまで響いてきた。
「っ!なのは!!アクセス切るよ!」
ユーノ君の声を聞いた瞬間わたしはベッドから飛び起きた、最後に聞こえてきたあの暗い声
すこし思い出すだけで体が震えて気分が悪くなってしまった。
「なのは!大丈夫!?顔が真っ青だよ?」
「にゃははなんとか大丈夫、それにユーノ君こそ大丈夫?」
わたしを心配して声をかけてくれたユーノ君も顔が真っ青だった。
きっとわたしたちはお互いひどい顔をしているんだろう。
「あの声がフォルテ君の言ってた悪意の塊なんだろうね」
「うん、ごめん、なのは、僕のせいで……」
「こーらっ、わたしはきちんと自分でユーノ君のお手伝いをしようと決めたんだよ」
「うん……」
「だから、僕のせいで~なんて言わないで?ねっ」
「うん、ごめんなのは」
「も~こういうときはありがとう、だよ!」
「うん!ありがとうなのは!」
まだまだわからないこと、危ないことがいっぱいあるかもしれないけれど頑張って一つずつユーノ君と一緒に乗り越えていこう、そう思いながら今日の一日は終わっていきました。
後書き
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