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ソードアート・オンライン ~白の剣士~

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死する覚悟

 
前書き
ゴジラを倒すのは良質な歌らしい・・・

なるほどシンフォギアの出番か・・・(小並感) 

 
スリュム討伐後に形成された階段で更に下の階層へと来ると、そこには台座に突き刺さった黄金のエクスキャリバーだけで、他には何もない殺風景なフィールドが広がっていた。
そのエクスキャリバーを引き抜こうとキリトが現在力を込めているのだが、一向に抜ける気配がない。

「まるでおとぎ話に出てくるカブだね」

「中々抜けない点で言えばまさにソレだな。次は何だ?全員で引っこ抜くか?」

「意外とすんなり抜けるかもね」

そんな冗談を言いながらキリトの様を眺めていると当人は名一杯力を込めた。

「ふんぬぅうううッ!!」

筋力パラメータを限界まで引き出したその力によって引っ張られたエクスキャリバーは台座の根元を境に剣先が折れてしまった。そして同時に最下層の床が一気に崩れ始める。

「スリュムヘイムが!」

「崩れ始めています!」

瓦解していく氷の柱が出入り口である階段を塞ぎ、完全に帰るアテを失ったシオン達。外を見ると10数メートル先にまだ崩れていないエリアがあった。

「根っこに跳ぶのは・・・」

「やれなくはないが、全員は無理だな」

「だね・・・」

シノンの無茶な提案に対し、シオンとエリーシャは冷静に判断するが、その間に意気揚々と挑む者がいた。

「よし!こうなりゃクラインさんのオリンピック級超絶ハイジャンプを見せるっきゃねぇな!!」

「あ、おいッ!?」

誰かの制止を振り切ったクラインは今にも崩れかけの床を強く蹴り上げるが、距離は出ず、代わりに崩れかけの床は一気に崩壊の一途を辿った。

「クラインさんの、ばかぁああああッ!!!」

おそらくシリカであろう甲高い悲鳴は虚しく響き、落下とともに消え去る。飛行ができずバランスが取れない中、唯一動ける存在がいたことをわかっていたシオンは指示を出した。

「ちっ、シュー!!」

「分かってる!」

シュタイナーは雷電を纏った状態で足場となる瓦礫に片脚を着けると、力を込めた。

「雷切、《独歩》!」

そう言うと、シュタイナーは瓦礫から一瞬で空中にいるシリカ、リズベットまで移動し、回収。すぐさま大きな足場となる瓦礫に避難させる。

「あと7人!」

最優先すべき対象を判断し再び飛翔、今度はアスナ、キリト、クラインを半ば強引に回収して先ほどの瓦礫に移動させる。
残るは4人、次に距離的に近いリーファとエリーシャをすぐに移動させ残るは2人、シノンとシオンがまだ残っている。

「す、すげぇ・・・」

「あと2人!」

シュタイナーは残り2人を助け出すために飛び出そうとしたその時、全身に異常なまでの倦怠感が現れた。
この状態が何を表すのか、彼は知っていた。

「くそッ、こんな時に・・・」

時間切れ直前の倒れそうな身体に鞭を撃ち、無理やり二人の元へ飛び込む。

「シノン!」

「シュタイナー!」

シュタイナーはシノンの右腕を掴むと、『すまない』とだけ言って強引に投げ飛ばした。避難させられたみんなの場所に投げ飛ばされたシノンはすぐさま弓を構え、詠唱を唱える。

『お願い、間に合って!』

願いと共に放った矢はやや放物線を描く形としてシュタイナーに向かっていく。しかし今のシュタイナーは背を向けている状態、そんな体制で矢が見えるはずもなくそのまま横を通り過ぎようとした。

『不思議だ。力を使い果たしたのに、身体が軽い・・・。いつも以上に









よく見える(・・・・・)

それは一瞬だった。

シュタイナーの右側面から通過するはずだった矢はシュタイナーが背を向けた状態のままキャッチして残った左手でシオンの手を掴んでいたのだ。

「今!」

「待ってたぜ!!アルモニー、全エネルギー回すぞ!!」

『了解!』

シオンは左腕を後方に伸ばすと同時に内側に捻ると手が微かに光り出した。

『内に残っている全エネルギーを一点に集中。拡散させるんじゃなく、凝縮させた力を後ろに推進力として放出させる。イメージしろ、理想の軌道、距離、力加減。引くな、攻めろ!!』

「いっけぇッ!!」

バシュウンッ!という音とともに放たれたエネルギーは2人を押し出し、狙った場所へと飛んでいった。
体制は崩れているもののそのまま真っ直ぐに向かっていき何とか届かせることに成功、不格好ながら瓦礫の上を転がった。
2人とも力を使い果たし、荒い息で胸を上下させその場に倒れている。

「ガァ、ハァ、ハァ、ハァ・・・」

「ハァ、ハァ、ハァ・・・」

「大丈夫?」

エリーシャが心配そうに覗き込むとシオンもシュタイナーも精一杯の声音で答えた。

「だぁ〜、もう無理・・・」

「指一本、満足に動かせない・・・」

「あぁ。すまないがエリー、雷電に乗せてくれないか?」

武装が解けたことにより実体化した雷電の二人をエリーシャたちが運ぶと、下の方から大きな影が迫って来た。その影はつい数時間前に会ったあのクラゲもどきのものだった。

「やっと来たか・・・」

「トンキーーーー!!」

リーファがブンブンと手を振ると、トンキーはゆっくりと上昇、そして目の前で止まり鼻を差し出した。乗れと言っているのだろう、その鼻に次々とみんなが乗り込んでいくなかシオンはキリトに声をかけた。

「キリト、キャリバーをこっちに乗せろ。どうせ重くて飛び乗れんだろ?」

「あぁ、頼む!」

エクスキャリバーを雷電に括り付ける形で乗せ、キリトがトンキーに乗り込みその場を離れると今も崩れ去っていくスリュムヘイムの姿があった。
その光景を目の当たりにしたメンバーは、少々寂しさを感じるものがあった。

「制限時間があったとはいえ、もう少し中を見て回りたかったな」

「うん、未開拓のエリアがまだまだ沢山あるしね」

「多分、全体の7割は回ってないんじゃないかな?」

そんな他愛もない話をしているとシオンたちの目の前にはクエストを依頼した湖の女王ウルズが光とともに姿を現した。

「見事に、成し遂げてくれましたね。《全ての鉄と木を斬る剣》エクスキャリバーが取り除かれたことにより、イグドラシルから絶たれた霊根は母の元へ還りました。樹の恩寵は再び大地に満ち、ヨツンヘイムはかつての姿を取り戻しました。これも全て、其方たちのお陰です」

「いや・・・そんな。スリュムは、トールの助けがなかったら到底倒せなかったと思うし・・・」

キリトの言葉に対しウルズが頷くと更に言葉を続けた。

「かの雷神の力は、私も感じました。ですが……気をつけなさい、妖精たちよ。彼らアース神族は、霜の巨人の敵ですが、決してそなたらの味方ではない……」

「それは、どういう事だ?」

シオンは問いかけるが、そこからはどうやらシステム上答えることはなくただ黙っていた。
そこからは彼女の妹であるベルザンディとスクルドから御礼の意味を込めた報酬を受け取り、三人の女神たちは天へと還って行った。クラインがスクルドから連絡先を聞こうとするという無茶苦茶な行動をとったが、スクルドはくるりと振り返り、気のせいか面白がるような表情を作り、小さく手を振った。何かきらきらしたものが宙を流れ、クラインの手にすっぽりと収まった。それを大事そうに眺めているクラインに対してリズベットは首を横に振りながら言った。

「クライン・・・あたし今、あんたのこと心の底から尊敬してる」

「あぁ、あの熱意を不特定多数の女性に振り撒かなければなお良いんだがな・・・」

シオンが同意すると、キリトからある提案が出された。

「あのさ、この後、打ち上げ兼忘年会でもどう?」

「賛成!」

「賛成です!」

「そうだね、なんだかお腹減っちゃった!」

女性陣は緊張が解け、今後の予定に話の花が咲いていた。

〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜

唐突に始まった打ち上げ兼忘年会、会場となったダイシーカフェでは雑談や料理を摘むなどして各々楽しんでいた。
キリトもとい桐ヶ谷和人はユイのために現実世界の光景をリンクさせる感覚器のプロトタイプ開発し、現在そのテストをしている真っ最中。

「しかし、凄いもんだな。マジであんなもんを作っちまうなんて・・・」

「そうだね、メカやシステムに関しては専門外な僕にとっては羨ましい才能だよ」

バーカウンターで対面する形でソフトドリンクを煽る雪羅とシューは遠くでその光景を微笑ましく見ていると、ふとシューが問いかけて来た。

「ねぇ。あの言葉、どう思う?」

「あの?ああ、ウルズの・・・」

二人が話していること、それはウルズたちが去る前に個人的に言われたことについてだった。

『槍拳の妖精、私は雷神の力を感じるのと同時に貴方の力も感じました。それは大きく、雷神に匹敵するほどの・・・。しかし、気をつけなさい、過ぎた力はいつか身を滅ぼします。貴方がそれでも戦うのであれば・・・』

「『死する覚悟をせよ』か・・・。なんというか、非現実的な話というか・・・」

「所詮はシステムが話していると言えばそれまでだけど・・・」

「だが、とてもそんな感じではなかった・・・」

システムにしては真に迫っていたあの言い方、二人にはそれが気がかりだった。
まるで実際に生身の人間に直接言われているかのような–––––

「死する覚悟・・・正直死にかけた経験は嫌という程してきたつもりだけど、まさかこんな余命宣告を受けるとはね」

「余命宣告って、そんな死ぬ時期も未定な宣告があってたまるかよ」

シューの言葉に雪羅も苦笑いで返す。

「でも、もしそんなことがあるとしたら・・・僕は、それでもこの拳を振るうよ」

「・・・・・」

その拳は力強く握られ、彼の想いを感じられた。

「僕には親がいないから、いないからこそ人との繋がりをもっと大切にしたいんだ。だから大切な人を守るためなら、僕は・・・死ぬこともいとわない」

「・・・そうか」

そう言った雪羅の表情は俯いたことにより読み取ることはできない。その時クラインに呼ばれたシューはバーカウンターからその姿を消した。
一人となった雪羅はグラスに入ったドリンクを一気に飲み干しコトッ、とグラスを置いた。氷はカランと鳴り、グラスの中で静かに溶けていく。

「悲しいな。お前も俺も・・・

































同じ死に方しか選べないなんてな・・・」

生きるべきか、死すべきか。それが疑問だ。
〜ウィリアム・シェイクスピア〜

青年たちの向かう先は死か、それとも–––––


Remaining until the update(更新まで残り).....90%.....  
 

 
後書き
どうも、今年最後の作者です。
最近どうもマンネリ化してきている気がします。
来年の抱負は少しでも多くの人にこの作品に触れてもらうことです!

それでは良いお年を

ではでは〜三( ゜∀゜)ノシ  
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