| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

DQ3 そして現実へ…~もう一人の転生者(別視点)

作者:あちゃ
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

打倒 中間管理職!

敵が強い…
中間管理職の居城のクセに、敵の強さがハンパない!
それともこのパーティーが弱いのか?

少し離れた場所でアルルさんが『ライオンヘッド』と戦っている。
その隣ではハツキさんが大きなオッパイを揺らしながら『エビルマージ』と戦っている。
さっさとそっちを片付けて、此方の加勢をお願いしたい…

なんせこっちは『動く石像』が2体も相手なのだ!
カンダタとモニカさんが頑張って攻撃してるけど、ちょっと苦戦気味…
私とウルフも魔法援護してますけど、やっぱり強いのですわ、ここの敵は…




なんとか戦いを終え、お父さん達の下へ戻ると、ラーミアとミニモンが喧嘩をしている。
こっちは疲れてるのだから止めてもらいたい…
戦闘してないのだから年長者として喧嘩を止めろよ。

「今度は何の騒ぎを起こしてるんですリュカさん!?」
アルルさんも同じ気持ちなのだろうか、ジト目でお父さんを睨み付ける。
「何で僕を睨むの?どう見たって僕は関わってないよね?」
「ラーミアの事はリュカさんに一任してあるんですから、全責任はリュカさんにあります」
そうだそうだ!

「2人とも喧嘩は止めなさい…」
皆に睨まれ“やれやれ”と言った表情で苦笑いすると、ラーミアを抱き上げ喧嘩を止めるお父さん。
もっと早く行え!

「ラーミア悪くない!ミニモン、ラーミアをバカにした…それが悪い!」
そりゃ怒るわ…アホの子を馬鹿にしたらダメだよ…アホなんだから。
「あぁそうだよ!全部俺が悪いんだよ!…くそー、お前等全員死んじまえ!」
そう叫ぶと、ミニモンは泣きながらあらぬ方向へと逃げ出してしまう。
「あ、こら!勝手に行動するんじゃない!」

普段ミニモンは、幼いラーミアに気を使ってか、結構我慢しているところがある。
にもかかわらず、アホの子に一方的に悪者にされ、心が折れたのかもしれない。
ラーミアを甘やかしすぎたのかなぁ…子育てって難しい…


私達は急いでミニモンを追いかけます。
すると奥からミニモンの悲鳴が…

ガチ慌てて駆け付けると、3体もの『動く石像』に囲まれ震え上がっているミニモンを発見する。
流石に拙いと思った瞬間、カンダタが驚異的なスピードで動く石像に襲いかかり、ミニモンを救出しようと試みる。

しかしカンダタのバトルアックスは敢えなく砕け、動く石像を少し押し戻しただけだった。
するとカンダタはミニモンに覆い被さり、自らの身体を盾にして守り庇う。
私達も慌てて2人を助けようと身構えるが、突風の様に現れたお父さんが動く石像全てを破壊し、彼等を救出した。

やっぱかっけーわ、この(ひと)
何事もなく身形を整えると、さりげない仕草でカンダタ・ミニモンを立たせ笑顔で語りかける…
「ミニモン…勝手な行動をしてはダメだ!もうお前は、僕等の仲間なんだから、他のモンスターには攻撃されるんだぞ!」
コツンと頭を軽く叩くと、優しく抱き上げ頭を撫でる。

「………ごめんなさい」
恐怖…そして安堵なのだろう。
お父さんの胸に顔を埋め、声を出さずに泣いている。

お父さんはカンダタに目でお礼をし、素直に感謝を表した。
カンダタも予想外だったのだろう…
凄く照れくさそうだ。


だが、そんな照れくさそうな男の向こうに、大事そうに置いてある宝箱を発見する。
袋小路に置いてある三連宝箱…アレだ!
「でもカンダタの武器が無くなっちゃったね」

「そうだな…ま、しょうがねぇさ!体は丈夫だし、みんなの盾代わりにはなれるだろうから、気にすんなよ!」
お前の心配などしとらんわ!
“武器が必要だね!”って事だよ!

「で、でも…」
「大丈夫だって…拳でだって戦えるんだしよ!」
斧が必要だろ…斧が!
えぇい、もどかしい!

「見て!あそこに宝箱があるわ!お父さん、あの宝箱は危険ですかね!?」
パパなら分かるわよね、この意味が。
「ん!?………あぁ!アレね…うん…凄いアイテムの臭いがするね!うん!」
そうよ!流石パパ!

「またですか…父さん、そんなに凄いアイテムが入ってるのなら、アナタが開けてくれればいいじゃないですか!このパーティー内で、最強のリュカ様が開けて下さいよ!」
「え!?ヤダよ…モンスターだったら怖いじゃん!」
ちょっと…大丈夫よ!私を信じなさいよ!!

「ちょ…安全なんでしょ!?そう言いましたよね?」
「そんな事は言ってない!凄いアイテムの臭いがすると言ったんだ!安全とは一言も言ってない!」
うん。確かに言ってない。でも安全だって言え!

「こ、この野郎…危険かも知れない宝箱を開けさせようと言うのか!」
だから安全なんだってば!
「ティミー…大丈夫だ!あの宝箱は安全で凄いアイテムが入ってる!」
めっちゃんこ怒ってるお兄ちゃんに、カンダタは優しく言うと宝箱へ近付いて行く。

「カ、カンダタさん!危ないですって…そんな確信は無いんですよ!」
あるのよ…言えないだけであるんだって!
「自分の父親を信じろよ!お前の親父は信頼出来る凄い人だぜ。そんな人が宝箱を開けろと促すのなら、大丈夫って事だよ」
「し、しかし…」

腹を据えたカンダタに、不安げな声で呟くお兄ちゃん。
だがカンダタはそれを無視して宝箱を開け放つ。
そして中に入ってたのはゴツイ斧…

「それは『魔神の斧』ですわ!以前に図鑑で見た事がありますぅ!」
「魔神の斧…」
図鑑など見たこと無いが、取り敢えずは説明を付け足しておく。
「うん。カンダタにお似合いの武器だね!丁度良かったじゃん…武器が無くなったところだったし!」
『臭いがする』など、勝手なことを言っていたお父さんが、最後は綺麗に纏めて終わらせた…
ずるい!!



中間管理職(バラモス)の邸宅で半日以上スパーキングした為、1人以外お疲れモード。
丁度良い袋小路だし、ここで一家団欒タイムとしけ込みます。
お母さんが食事の容易をし、お父さんが子供達をからかい団欒する…

「父さん…本当は安全だと確信してたんですよね!?」
「確信は無い!何事も結果を見なきゃ分からないじゃん!?でも大丈夫なんじゃないかなぁ~…とは思ってたよ」
こう言う時こそ嘘でも『当然だよ』って言えば良いのに…

お兄ちゃんは頭を押さえ首を振ってる。
本当は信じたいんだと思う…尊敬したいんだと思う…
でも、それをさせないのが私達のお父さん。

「父さん…」
お兄ちゃんも黙ってシカトすれば楽なのに、何かを言おうと言葉を探す。
「ティミーこれで良いんだ!」
だが、今日は何となくダンディーなカンダタが、お兄ちゃんを諭す様に言葉を遮った。

「俺は戦力外になっていた…武器を無くした俺には何も期待出来ないだろ!だから盾として使われても良いと本気で思ったんだ…此処まで来て一旦町へ戻る事は出来ない。俺の事など使い捨ての盾と思い先に進むべきだと!」
「「そんな事出来る訳無い!」」
イチャラブ真面目バカップルが声を揃えて反論する。

「フッ…ありがとう2人とも。そうなんだ…お前もアルルも優しいから、俺の事を使い捨てにはしないだろう!そうなると武器のない俺はトコトン役立たずだ…町に戻れば、バラモス討伐を遅らせる役立たず…強行すれば、戦力にならない上、守らなければならない役立たず…だが偶然なのか必然なのか、直ぐ側に宝箱が!しかも旦那が中身は凄いアイテムだと言い切った!」
しみじみ語るカンダタ…
ガツガツ食事をする幼女…コイツうざい!

「俺はアルル達と共にバラモスを倒し世界を平和にすると誓った。だったら宝箱は俺が責任もって開けなければならないんだ!何故なら、このままでは役立たず…そんな役立たずからの脱却に尽力せねば、俺は何時まで経っても役立たずのままだから!」
何だかんだ言っても(おとこ)ね…モニカさんが惚れたのも頷けるわ。

「でも今の俺は違うぜ!勇者一行の仲間として活躍してやるからな!」
「カンダタさんは最初からずっと活躍してましたよ!役立たずじゃ無い!」
…なんか良いわね、こう言うの。

「そうだよ、カンダタは役立たずなんかじゃ無いよ。身を呈してミニモンを守ってくれたお前は重要な戦力だよ」
うん。私達は良い家族だ!
仲間という素晴らしい家族なのだ!

ミニモンもそれが分かったのだろう…
お父さんに抱き上げられ、幸せそうに膝の上で落ち着く。
しかし…

突然、口の周りに食べ物を付けたアホの子が、お父さんの膝に座るミニモンを突き飛ばし、自らが膝の上に君臨する。
「痛ー!な、何しやがる、このアホウドリ!!」
「ミニモン生意気!リュカに抱っこされて生意気!リュカに抱っこされるのはラーミアなの!」

大爆笑する一同…
苦笑いのお父さん…
ラーミア…どうでもいいけど口の周りを拭け!







翌朝…
新たに手に入れた強力な武器で、大幅に戦力アップしたカンダタの勢いに乗って爆進する私達。
そして遂に中間管理職の居る部屋の前まで辿り着いた。

「ま、間違いなく…この向こうにバラモスが居るわ…」
強烈な妖気が漏れ出す部屋…
緊張気味に呟くアルルさん…

どうしよう…私まで緊張して来ちゃった…
堪らずギュッとウルフの手を握る。
彼が側に居るのだから怖くない…そう自分に言い聞かせ。

すると彼は私にだけ聞こえる声で囁いてきた。
「やばい………昨晩はシてないから溜まっててムラムラして来ちゃった………みんなバラモスに集中してるし、人気のない場所にしけ込んでヌかない?」

…………………………
お兄ちゃんやアルルさんに聞かれたら、大激怒しそうな台詞を言う私の彼…
思わず周りを警戒する私。

アルルさんはお兄ちゃんと寄り添い、2人だけの世界に酔いしれている。
取り敢えずセーフの様だ…
安全を確認できたところで、すかさずウルフを睨む!

だが彼は優しい笑顔で微笑むばかり。
…もう、緊張が無くなっちゃったわ!
そんな所も師匠に似てきたわね!



「魔王バラモス!お前の悪行もこれまでよ!アリアハンの勇者アルル…お前を成敗しに参上!」
私と彼のイチャイチャを余所に、勢い良く乗り込む勇者カップル。
恐怖心を取り去る最高の薬はイチャラブだ!

「遂に此処まで来たかアルルよ…この魔王バラモス様に逆らおうなど、身の程をわきまえぬ者達じゃな」
だけど、そんなイチャラブを吹き飛ばしそうな低い声で、侵入者を威嚇するのは中間管理職(バラモス)
「此処に来た事を悔やむが良い!再び生き返らぬ様に、そなたらのハラワタを喰らい尽くしてくれるわっ!!」

すんごい威圧感に漏らしそうになった瞬間…
「何かアレ可愛いね…アレだアレ、動物の『(バク)』みたい!何か凄んでるけど、それがちょ~かわいい!」
「「「……………」」」
あの威圧感を一気に吹き飛ばしてくれるお父さんの一言。

「な…ば、(バク)…だと…!?」
い、言われてみれば…そう見えなくも…ないかな?
「ちょっとリュカ…もうダメよ!これ以上は飼えないからね!」
お、お母さんまで!?
「か…飼う…?ワ、ワシを!?」

「お父さん…お母さん…みんな真面目に戦おうとしてるんだから、ダメだよ…邪魔をしちゃ」
やばい楽しい!
自分より強いと分かっている相手を馬鹿にするのって楽しい!

「お、おのれバカにしおって!!き、キサマら全員、滅ぼしてくれるわ!!」
「それ、さっき聞いた!」
ボキャブラリーが乏しいのよ。
だって(バク)だもん!(笑)

しかし怒った(バク)は猛然と攻撃を仕掛けてきた!
だが狙いはお父さん…
馬鹿にした人間を躍起になって狙ってる。

しかし全然当たりはしない。
素人が見ても分かる…実力が違いすぎるのだ。
何だあの男は?

思わず戦うのを忘れてしまった私達…
少し間を置いてアルルさんが思い出す…そして慌てて攻撃を開始するのだ。
それでも(バク)はお父さんだけを攻撃する。
余程頭にきたのだろう。

「おのれ…チョコマカと動きおって!」
だがヤツも馬鹿じゃない。
広範囲魔法を唱え纏めて吹き飛ばすつもりのようだ。

いち早く気が付いたお母さんが速攻でマホカンタを唱える。
私も細波の杖でマホカンタを作り出し、ウルフにマホカンタを唱える様目で合図する。
数瞬遅れたが、(バク)のイオナズンより前にマホカンタを張る事が出来た。

「イオナズン!」
強烈な爆発が周囲を吹き飛ばす。
マホカンタを張った私達は問題なく無事だった…

しかしマホカンタを張ってない方々は無事ではすまない……ハズなのに、軽やかなステップでアルルさんやハツキさん・モニカさん・ラーミア・ミニモンを爆心地から救い出すお父さん!

被害にあったのはお兄ちゃんとカンダタだけ。
しかもお兄ちゃんは掠り傷程度だし…
大被害はカンダタだけだし…
そのカンダタも、直ぐ様お兄ちゃんに回復してもらってるし…

中間管理職(バラモス)中間管理職(バラモス)で、跳ね返ってきたイオナズンで満身創痍。
ちょっと中間管理職(バラモス)が哀れに感じてきたわ…

トドメにゃ背後からアルルさんにグサリとやられ、
「ぐはぁぁぁ………!!」
と叫んで崩れ落ちた。

「終わりよ、魔王バラモス!」
「ぐぅ………お、おのれ…アルル……ワ、ワシは諦めぬぞ………」
そうね…ホネホネになって復活するわよね…しぶとい。




「…や、やったの…?私達…バラモスを倒したの?」
禍々しい妖気が少し緩み、アルルさんが呆然と呟く。
「あぁ…そうだよアルル、君はバラモスを倒したんだ!おめでとう勇者アルル。遂に悲願を達成したんだよ!」
お兄ちゃんはここぞとばかりにイチャつき、熱いキスでポイントを稼ぐ。

カンダタもモニカさんと共に抱き合い喜び叫んでる。
勿論ウルフもハツキさん達と共に喜んでおります…
しかし私は喜べない。
ヤツが中間管理職であることを知っているから…

「あ、あの…リュカさんは何故嬉しそうじゃ無いんですか?」
何故か喜んでいないお父さんへ、一緒になって喜びたいハツキさんが問いかける。
きっとお父さんも気付いてるのだろう。
これが中間地点である事に…



 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧