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魔女に乾杯!

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6部分:第五話


第五話

                 第五話 得意不得意
 五人は今日は塾で楽しく先生の授業を受けていた。華奈子もその中にいた。今日はシャボン玉を使った魔法についての授業である。
「ううん」
 しかしどうも上手くいかない。華奈子は首を傾げていた。
「華奈子ちゃん、どうしたの?」
 春奈がそんな彼女の側に来て尋ねてきた。
「上手くいかないの?」
「うん」
 隠し事は嫌いである。素直にそう答えた。
「何かね、シャボン玉って苦手なんだよね」
 そして苦笑いを浮かべた。実際に彼女はシャボン玉を使ったものはあまり得意ではないのだ。他の魔法も得手不得手が激しいのであるが。はっきり言うと不得意なものの方が多いのである。
「あら、困りましたね」
 そこに先生がやって来た。
「それじゃあ華奈子さんの得意なふうにしてみますか」
「どうするんですか?」
「はい」
 華奈子の問いに応えた。そして一つのシャボンの壺を差し出した。
「これをどうぞ」
「先生、これって」
 華奈子はそのシャボンを受け取って先生を見た。
「あたしが今使ってるのと変わりませんけれど」
「やってみたらわかりますよ」
 けれど先生はそんな彼女に対して笑ってそう言った。
「さ、やってみて下さい」
「わかりました」
 騙されたと思ってやってみることにした。実際に騙されていた。
 やってみる。ストローを壺に入れ吹く。すると上手くできた。シャボンが華奈子の念じたまま動くのだ。
「あ、あれ!?」
 驚いたのはそれだけではなかった。何とシャボンの色が普通のものと違うのである。
「あ、赤い」
「はい」
 先生はにこやかに笑ってそれに答えた。
「華奈子さんは火を使った魔法が得意ですよね」
「はい」
「だから赤くしてみたんです。そうしたら上手く使えるかな、と思いまして」
「そうだったんですか」
「ええ。実際に上手くいきましたよね」
「はい」
 華奈子は嬉しそうに頷いた。
「嘘みたいです。さっきまで全然上手くいかなかったのに」
「こうすれば上手くいきますね。要は相性です」
「相性」
「火は赤ですよね。ですから赤い色にすれば」
「あっ」
 それを言われて気付いた。
「だからなんですね。じゃああたしは赤を使っていけば」
「これまでより魔法がずっと上手くいきますよ」
「先生」
 それを聞いて他の女の子達も尋ねてきた。
「それは私達もですか!?」
「勿論ですよ」
 先生は笑って答えてくれた。
「皆さんにもそれぞれのシャボン玉をあげましょうか?」
「はい!」
「是非!」
 こうして他の子達にもシャボンが渡された。春奈は青、赤音は白、美樹は緑、そして梨花は黄色であった。それぞれシャボンを吹く。
「うわあ・・・・・・」
 するとさっきまでとは比べものにならない位多くのシャボンが出た。そしてそれが彼女達の思うがままに動く。五色のシャボンがその場を支配したのである。
 それから女の子達はそれぞれの色を決めた。シャボン玉の色に倣った。それが魔女の服にまでなるのにそうそう時間はかからなかった。

第五話   完


                                           2005・5・30


 
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