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英雄伝説~光と闇の軌跡~(3rd篇)

作者:sorano
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異伝~未来への系譜~

~残され島・ハーシェル家・ナユタの部屋~



「………ここは………僕の部屋か。」

「やっと帰ってこれたの~!」

”影の国”から帰還したナユタは自分にとって馴染み深い部屋の様子を見て呟き、ノイは安堵の溜息を吐いた。

「あ、ナユタ、ノイ。部屋に戻っていたのね。ちょうどよかったわ。食事ができたわよ。」

するとその時クレハが部屋にある階段から登って来て姿を現してナユタ達に微笑み

「ク、クレハ!あ、あわわ……!?」

「ただいまなの、クレハ様!」

クレハを見たナユタは顔を赤らめて慌て、ノイは嬉しそうな表情でクレハを見つめた。

「え?ノイったら、どうしたの?それにナユタの様子も何だか変………」

一方事情がわからないクレハは首を傾げてナユタ達を見つめ

「あのね、クレハ様。実は私達………」

「ノ、ノイ!」

ノイは嬉しそうな表情で”影の国”での出来事をクレハに話し始め、ノイの行動を見たナユタは慌て出した。





<星の英雄> ナユタ・ハーシェル

<星の紡ぎ手> ノイ・ステラディア



”影の国”から帰還した2人はその後、故郷である”残され島”で穏やかで平和な生活を送った。なお、全ての事情を聞いたナユタの姉やシグナは同じようにナユタ達の事情を聞いたクレハとナユタの幼馴染に答えを迫られ、日々慌てるナユタをノイと共に微笑ましそうに見守っていた。その後ノイ達に相談しながら悩んだ末、ナユタはクレハを選び、クレハと結ばれ、子をもうけた。ノイはナユタとクレハの子やその子孫達を命つきるその時まで見守っていた………





~某大陸~



「っと!………どうやら帰ってこれたようだな……」

”影の国”から帰還したアドルは自分と自分の旅の相棒であるドギが用意した野営の準備を見て呟き

「フフ……アドルさん♪これからはずっと一緒ですね!」

同じように”影の国”から帰還したエレナはアドルの片腕に豊満な胸を押し付け、嬉しそうに抱き付いた。

「エレナ………ああ。これからよろしく。」

抱き付かれたアドルは微笑みながらエレナを見つめ

「はい!ん………!」

見つめられたエレナは嬉しそうな表情で頷いた後、アドルに口付けをした。

「おーい、アドル。獲物を仕留めて来たぜ。」

その時男性の声が聞こえ、口付けをしていた2人は離れた。するとドギが森の中から食事の為に仕留めた獲物を片手に持って、現れ

「ドギ。」

「フフ………久しぶりね、ドギ!」

ドギに気づいたアドルとエレナはそれぞれドギに微笑み

「ハア?お前一体誰……………なっ!まさかエレナか!?何でお前がここに………ってその格好や剣は何なんだ??」

エレナを見たドギは驚いた後、エレナの服装や剣を見て戸惑った。その後アドル達は事情をドギに話し始めた。



~イース・中枢~



「………………………………」

清らかな雰囲気に包まれた神殿内で石化しているフィーナは幸せそうな表情で姉と共に漆黒の宝珠に寄り添い、使命を果たし、愛する人との間にできた新たなる命を産むその時を待ち続けていた………





<空の勇父> アドル・クリスティン

<空の聖母神> フィーナ

<光の白騎士> エレナ・ストダート



”影の国”から帰還したアドルは”影の国”で再会し、共に着いてきたエレナと相棒のドギと共にさまざまな冒険をし、50歳を過ぎると生家にエレナと共に戻り、自身やエレナの体験を振り返って百余冊を超える冒険日誌を執筆し、生家の地下室に大切に保存した。また執筆した冒険日誌の中には”外伝”という形で”影の国”の出来事を執筆し、後の世に残した冒険日誌も保存されていた。アドルの妻となったエレナは常にアドルを傍で支えると共に戦い続けたが、3年後にアドルの子を身籠ると剣を置いて戦いから身を退いた。その後アドルと自分の子供を育てる事に専念し、子供が自立するまで成長すると再び剣を取り、アドルやドギと共に戦いを潜り抜け、さまざまな冒険をした。そして受け継がれていくアドルとエレナの子孫は遥か未来に先祖の腹違いの娘であり、後に”空の女神”と称される女性と運命的な出会いを果たし、女性と共に混迷に満ちた世界を光へと導き、その後女性との間に子をもうけ、共に幸せな余生を過ごす。これが世界に危機が訪れた時必ず現れ、混迷に満ちた世界を光へと導く英雄”ブライト”の系譜の誕生である………





~センタクス領~



「………どうやら、戻って来れたようだな。まるで夢のような体験だったな………」

「はい。……ですが”影の国”の事は現実……その証拠に”影の国”での私達の記憶があり………”影の国”に取り込まれた後に変更した私達の装備やティータさんからもらったオーブメント………そして皆さんが映った”写真”があるのですから。」

”影の国”から帰還したヴァイスは周囲の状況――――戦場跡を見回して呟き、同じように帰還したリセルは頷いた後微笑みながら懐から”アルセイユ”に乗船する前に撮り、思い出の品として渡された自分や仲間達全員が映った写真を出した。

「………そうだな。」

リセルの言葉に頷いたヴァイスも懐からリセルが持つ同じ写真を出して静かな笑みを浮かべた後、人の気配を感じ、表情を戻してリセルと共に懐に写真をしまった。するとその時、一人のメルキア兵がヴァイス達に近づいてきて、跪いた。

「ヴァイスハイト将軍、斥候に出ていた部隊が戻りました。センタクスの状況を報告します。」

「ああ。……報告を頼む。」

「センタクスは完全にユン・ガソル軍の制圧下にあります。守備隊は壊滅し、ノイアス元帥もまた生死不明の状態。そして、東門付近にてユン・ガソル軍のの指揮を執る敵将、三銃士エルミナ・エクスの姿を確認したとのことです。」

「噂に名高い三銃士が相手か………」

メルキア兵から情報を聞いたヴァイスは考え込み

「エルミナ・エクス、三銃士の中で軍務全般を担当する才女。私達とそう歳は離れていませんが、幾多の戦場で勝利を収めた歴戦の名将………敵に対しては一切の容赦をしない苛烈な性格だと、軍の報告書で見た記憶があります。」

リセルは自分が知る敵将の情報を説明した。

「なるほど、鋼鉄の軍師とはよく言ったものだ。一筋縄ではいかない相手のようだな………報告ご苦労、作戦は追って指示する。準備を怠るな。」

「承知しましたッ!失礼致します!」

ヴァイスの指示にメルキア兵は会釈をした後、走り去った。

「俺達の存在は気付かれていると思うか?」

「今しばらくは大丈夫でしょう………ですが、時間の問題とは思います。敵兵との遭遇こそ避けられましたが、強行軍であったため痕跡を隠す余裕がありませんでした。」

「ならば優位に立てる時間は短いな。別働隊である俺達の戦力は決して多くない。それに比べ、先の一戦で消耗しているだろうが、未だユン・ガソル軍の戦力は我々を上回っている。今回の目的は都市の奪還。攻め手は相手の数倍の戦力を用意するのが定石だ。少数で挑むにはあまりにも無謀な作戦………だが、今と言う状況ならば、その無謀が勝利へと繋がる。」

「ユン・ガソル軍は籠城を行おうにも、センタクスの防御力は2日前の決戦で大きく削られています。補強は行われているでしょうが………この短期間で、失った防御力を完全に回復させることは不可能です。街には数万の市民がいるとはいえ、ユン・ガソル軍に従う人はそう多くないでしょう。また、ユン・ガソル連合国の主力は攻城兵器です。あらかじめ襲撃に備えていたのならばともかく、この状況ではその性能を活かすことはできないでしょう。」

「さらに、ユン・ガソル軍の意識は本隊に向いている。別働隊である俺達の存在には、未だ気付いてはいない。本隊の戦況が思わしくないことがセンタクスの街を前線から遠ざけ、油断を生んでいるはずだ。そこを突き、南からユン・ガソル軍に奇襲を仕掛ける。北から来る本隊への警戒を強めている以上、南からの奇襲への対応は、僅かながら隙を生む。奇襲の混乱から回復する前に敵将を討つ。」

リセルと作戦を相談し終わったヴァイスは不敵な笑みを浮かべ

「ヴァイスハイト様………何だか、嬉しそうですね。」

ヴァイスの様子に気づいたリセルは口元に笑みを浮かべて言った。

「ん……顔に出てしまっていたか?」

「いえ………ですが長い付き合いです、雰囲気でわかります。」

「ならば俺が考えていることもわかるだろう。眼前に広がる大舞台………格好を付けさせて貰おうか。………遥か未来の仲間達に誇る俺達の活躍の第1歩として。」

「はい。………どこまでもお付き合い致します、ヴァイスハイト様。」

ヴァイスとリセルが会話をしていると、ヴァイス達の背後に大勢の兵士たちが整列していた。

「ヴァイスハイト様、部隊の配置が完了したようです。………ご命令を、ヴァイスハイト様。」

状況を見たリセルはヴァイスに視線を向けて報告し、報告を聞いたヴァイスは静かに頷いた後兵士達の方にリセルと共に振り返り

「待たせたな、諸君。然るべき時が来た。我々は任務を忠実に遂行するのみ。……………目標はメルキア帝国センタクス領、東の都センタクス。ユン・ガソルに奪われたこの地を奪還する。狙うは三銃士エルミナ・エクス!他には目もくれるな!頭を叩き潰せ!全軍、前進ッ!!」

覇気を全身に纏い、拳を空へと上げて大声で号令をかけ

「オオオオオオオォォォォォォ――――――――ッ!!」

メルキア兵達はそれぞれの武器を天へと掲げて咆哮を上げ、ヴァイスとリセルの指示の元、戦闘を開始した!





<戦術を極めし覇王> ヴァイスハイト・ツェリンダー

<覇王を支えし副官> リセル・ルルソン



”影の国”から帰還したヴァイスとリセル。センタクス領奪還の戦を切っ掛けにさまざまな人々との出会いや別れを経験しながら数々の戦に勝利し、その結果さまざまな事情の元、ヴァイスは皇帝へと即位し、リセルは宰相として……そして後にヴァイスに求婚されて結婚し、宰相を務めながらも正妃として一生ヴァイスを支え続けた。結婚式で見せたリセルの笑顔はリセルの一生の中で一番の笑顔であった。また結婚式でのリセルの姓は何故か、”ルルソン”ではなくかつて心の底から嫌っていた父の姓に変わっていた。……メルキア帝国皇帝ヴァイスハイト・フィズ・メルキア―ナ。後世の歴史家によって付けられた彼のあだ名の内、最も代表的であるのは二つ。それは真逆の意味を持つ。庶子でありながら帝国に叛旗を翻し、皇帝とその側近である元帥の命を脅かした恐ろしき”簒奪王”。混乱の極みであった国内をまとめあげ、中原東部の国々を平定し、メルキア帝国の全盛期を築いた偉大なる”賢王”。彼が何を思い、何を願って戦いに身を投じたのか………歴史書には一分たりとも記されていない。記されているのはただ、彼が何を成したのかという端的な事実…………ただ、それだけであった…………………


 
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