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英雄伝説~菫の軌跡~(零篇)

作者:sorano
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第19話

4月2日―――創立記念祭 2日目―――



~特務支援課~



「―――さて、お前ら。休暇はちゃんと楽しめたか?代わりと言っちゃなんだが、今日から最終日までの4日間………タップリ働いてもらうつもりだからよろしく頼んだぜ。」

休暇の翌朝課長室に集合したロイド達はセルゲイの休暇明けの最初の言葉を聞くとそれぞれ冷や汗をかいた。

「ふう………わかりました。」

「しっかし、5日あるうちの初日だけしか休暇がないとは………正直、ケチすぎるんじゃないッスか?」

「まあ、それだけ警察全体が忙しいという事なんでしょうし。警備や巡回の仕事は、初日が一番忙しかったんじゃないかしら。」

「遊撃士協会も初日が一番忙しかったと思うわよ。昨日パパたちと一緒にミシェルお兄さんの所に顔を出したら、『この忙しい時期に元S級とA級二人が一度に全員揃って休むなんて、”ブライト家”って自由過ぎよ。エステルとヨシュアを見習って一人でもいいから、ヘルプに入ってよ!』って恨み言まで言われたくらいだもの♪」

ロイドと共に疲れた表情で溜息を吐いたランディにエリィが指摘し、レンは小悪魔な笑みを浮かべて答え、それを聞いたロイド達は冷や汗をかいた。



「ま、そういうことだ。一応、市長暗殺を未然に防いだご褒美ってわけだな。本部も、記念祭中は雑用を回すつもりはないらしいぜ。」

「その分、支援要請の数もかなり来ていそうですけどね。観光客も普段の数倍はいそうですし。」

「クク、せっかく名前を売って遊撃士の人気の足元くらいには届くようになってきたんだ。ここらが頑張りどころじゃねえか?」

「まあ、それは確かに。」

「なんか上手い具合に騙されてる気がするんだが………ああ、本当なら看護師の子達と”ミシェラム”あたりに遊びに行きたいんだけどよ~。」

「”ミシェラム”というと………港湾区からの遊覧船で行けるテーマパークですね?”みっしぃ”がマスコットとして働いているそうですけど………」

セルゲイの指摘にロイドが頷いている中疲れた表情で呟いたランディの口から出たある単語に反応したティオはランディを見つめて問いかけた。



「”みっしぃ”って………ああ、あのネコのマスコットか。あのキャラは前から知ってるけどテーマパークってのは3年前には無かったはずだよな?」

「”ミシェラム”そのものは昔から保養地として知られていたけど………そこにテーマパークができたのは2年くらい前だったかしら。それ以来凄い人気らしいわね。」

「おお、前に一度行ったけどあちゃあ大したモンだったぜ。ま、普段から人気のスポットだから記念祭中はごった返してそうだけどな。」

「なるほど………ちょっと興味深いです。」

「ちなみにレンは昨日の夜は”ミシェラム”の”デルフィニア”でパパたちと一緒に泊まったわよ♪」

「え………”デルフィニア”って”ミシェラム”にあるホテルの中でも最高級の?よく記念祭の初日に部屋がとれたわね………」

「………………」

ロイド達がそれぞれ話し合っている中何かを思い出したセルゲイは目を伏せて黙り込んでいた。



「………課長?」

「ん、ああ……とにかく、最終日までの4日間は支援要請だけに専念していいぞ。ま、何をどれだけやるのかはいつも通りお前らに任せておく。毎日、要請も更新されるだろうからせいぜい楽しみにしとくんだな。……そうだ。それと今後の戦闘ではコイツも使え。」

ロイドの声に我に返ったセルゲイはロイド達に指示をした後ロイドにレンを除いた人数分のARCUSを手渡した。

「へ………」

「おいおい、この戦術オーブメントって確か小嬢が使っている………」

「”ラインフォルトグループ”が開発した戦術オーブメント――――”ARCUS(アークス)”ですね。何故これをわたし達に?」

手渡されたARCUSにロイドは呆け、ランディは目を丸くし、静かな表情で呟いたティオは真剣な表情でセルゲイに訊ねた。

「……お前達、”Ms.L”という人物を知っているか?」

「え、ええ……性別を除いたすべてが謎に包まれたゼムリア大陸一の資産家ですよね?何でもレンちゃんと”Ms.L”は知り合いだとの事ですけど………」

セルゲイの問いかけにエリィは戸惑いの表情で答えてレンに視線を向けた。



「何?……それは本当なのか?」

エリィの答えを聞いて眉を顰めたセルゲイはレンに視線を向けた。

「ええ、”Ms.L”お姉さんとは遊撃士の仕事の関係で偶然知り合って、それから色々な依頼を引き受けているわ。」

「……なるほどな。それで話の続きだがどういう訳か”Ms.L”が”特務支援課”指名宛に”ARCUS(アークス)の実戦運用”という”特別支援要請”を代理人を通じてクロスベル警察に依頼してきたんだ。」

「”特別支援要請”?何なんッスか、それは。」

(何を考えているんだよ、レン……!?)

セルゲイの説明にランディが不思議そうな表情で首を傾げている中ロイドは表情を引き攣らせてレンを見つめた。



「”ARCUS(アークス)の実戦運用”という事は既に”Ms.L”からの依頼で”ARCUS(アークス)”を実戦運用しているレンさんのようにわたし達にも”ENIGMA(エニグマ)”と並行して”ARCUS(アークス)”を使った実戦運用をするという事でしょうか?」

「ああ。しかも運用期間は無期限でお前達に支給した”ARCUS(アークス)”並びには”ARCUS(アークス)”専用のクオーツは”捜査手当”としてそのまま自分達の所有物にしていいとの事だ。」

「マジッスか!?太っ腹ッスね~。」

「確か戦術オーブメントは一つ数十万するとの事ですけど……それをレンちゃんの分も含めて5つも無料でくれるなんて、さすが”Ms.L”ですね………」

ティオの質問に答えたセルゲイの説明を聞いたランディは目を丸くし、エリィは信じられない表情をしていた。

「”ARCUS(アークス)”は”ENIGMA(エニグマ)”とは異なる点がいくつかあるが詳しい事や支給した”ARCUS(アークス)”専用のクオーツ以外の”ARCUS(アークス)”専用のクオーツの入手の仕方についてはレンに全て聞けばわかるとの事だ。それと”Ms.L”に提出する運用レポートも必要との事だが、それも全てレンがやってくれるとの事だから、お前達はただそいつを実戦で使って、使い具合をレンに教えるだけでいいそうだ。」

「え………それだとレンちゃんにばかり負担がかかる事になりますけど………レンちゃんはそれでいいの?」

セルゲイの話を聞いて目を丸くしたエリィは不安そうな表情でレンに問いかけた。

「全然問題ないから気にしなくていいわよ。レンは”天才”なんだから、そのくらいの事は片手間でできるもの♪」

(いや、それ以前に”Ms,L”は君自身だから、レポートを作る必要もないだろう!?)

レンの自信満々な台詞にエリィ達は冷や汗をかいている中ロイドは疲れた表情で心の中で指摘した。



「……ヨナみたいにそんな自信過剰な事ばかり言っていたら、その内痛い目にあいますよ。」

「うふふ、レンは自分の力を決して過信せず、努力もする”真の天才”だからそんな事にはならないわ♪それよりもティオはエプスタインから出向しているのに、”ARCUS(アークス)”の実戦運用の結果をエプスタインに報告していいかどうかをレンに聞かなくていいのかしら?」

ジト目になって自分を見つめるティオの指摘に笑顔で答えたレンは意味ありげな笑みを浮かべてティオに問いかけ

「わざわざ自分から仕事を増やすようなめんどくさ過ぎる事をするつもりはありません。」

ジト目になったティオの答えを聞いたロイド達は冷や汗をかいて表情を引き攣らせた。



そして通常業務を始めたロイド達は普段の倍以上に来ている支援要請を片付ける為に二組で手分けして要請を片付け、その後エリィと共に担当している支援要請を片付け終えたロイドのエニグマにフランから”特務支援課”発足時の翌日に起こった事件によって知り合いになった旧市街の不良集団の(ヘッド)――――”テスタメンツ”のワジ・ヘミスフィアと”サーベルバイパー”のヴァルド・ヴァレスが手下達と共に港湾区で喧嘩をしている為それを止めて欲しいという緊急要請が入ったので、喧嘩を止める為に港湾区に向かった――――




 
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