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カードファイト!!ヴァンガードG ネクステージジェネレーション

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turn:0 ニュージェネレーション

 
前書き
ギアクロニクル
惑星クレイ、ダークゾーンに所属する時間と空間の旅人
ある日突然手にした誰も知らないそのクランを手に取った少年
そしてその仲間たち
様々な思いが渦巻いた戦いから時が経ち
今、新たな時代を迎えようとしていた 

 
「ねぇ、いつまでそうしているの?」
水の中にでもいるような不思議な場所
響き渡る声はまるで少年のような
「もうすぐ始まるんだよ、新しい時代が」
小さな青いドラゴン………クロノ・ドランが見つめる先
俯くようにして動かない赤い獣のようなユニット

一つの時代の終わり

「カムイさん!ご結婚おめでとうございます!」
ヴァンガードを通じて出会った様々な人々に祝福され照れながら頭を下げる礼服姿の葛木カムイ
その隣にはオレンジがかったウェディングドレスを着たカムイの想い人の先導エミの姿が
「エミちゃんもおめでとう」
「えへへ、ありがとうマイちゃん」
かつてヴァンガードを通じて出会い、様々な戦いを潜り抜けてきた伝説のファイターたち
大人になった彼らはそのほとんどが家庭を持つようになり
新たな時代を築こうとしていた

「本当に幸せそうだな、カムイさん」
「当然ですよ、カムイさんは子供の時からずっと夢見てきたんですから」
少し離れた場所でカムイたちの様子を見るクロノ
彼のつぶやきに答えたのは丸メガネの青年、右野レイジ
「あの頃はまさか実現するなんて思わなかったけど」
彼の言葉を繋いだの礼服に身を包んだミサキだった
「そういえば、また新しいお店が経つって」
「うん、一号店も二号店も、立派なファイターが育ってくれたおかげでいい宣伝になってね、カムイにはそこの店長
をやってもらうつもり」
そう言っていまだに照れくさそうなカムイを笑顔で見るミサキ
「あいつ一人じゃ不安だけど、エミちゃんもいずれは手伝うつもりでいるって言ってくれてるし」
「そっか、やっぱりすごいや、カムイさんは」

そして数年後、クロノ達も新たな時代への階段を上り始めた
純和風の礼装で腕を組み歩く一組の男女
綺場シオンと蝶野アム
色々因縁もあった二人だが今こうして結ばれた
式場は綺場が代々行ってきた伝統ある場所
司会をやっているのは新婦アムの友人であるルーナ
ブーケトスを行おうとしたタイミング
ルーナが腕を高々と上げ振り返ったアムがブーケを思いっきり投げた
背後ではなく真横に
司会をしているルーナのもとに飛んできたそれを戸惑いながら受け止める
「え?アム?ちょ?何で!?」
「あんたはいっつも私の事考えてくれて、自分の事全く考えてなかったから」
そう言って彼女の抱えるブーケを指さすアム
「さっさといい相手見つけちゃいなさいよ、私なんかのこと気にしてる暇があったら、少しでも自分の事、考えちゃいなさいよ」
「アムー!」
感激したルーナが思いっきりアムに飛びついて会場は一時大混乱

シオンと共に式に来てくれた人々にあいさつをして回っていたアム
そんなアムに花束を差し出すのはトリニティドラゴンのケイ
アムのファンだった彼が険しい表情のまま頭を下げ花束を差し出していた
「あの、俺、いつまでも応援してます!だから………」
そんな彼の言葉を聞いて笑顔で花束を受け取るアム
「ご結婚、おめでとうございます」
「ありがとう、長良ケイ君」
「うぅ、う~」
憧れの人に名前を呼ばれ、その人が今心の底から幸せそうにしている
感極まったケイはそのまま泣き始めてしまった
「よし泣け、思いっきり泣けケイ、お前には俺たちがついてる」
ツネトの励ましを受け我慢できなくなったケイはその場に崩れ落ちて大泣きを始めた
その光景に苦笑していたシオンのもとにグラスが差し出される
「おめでとうシオン」
「ユウヤ」
烏森ユウヤ
シオンの幼馴染ではあるが実力主義者で何度も衝突した間柄だが
「今日はめでたい日、お互い昔のことは言いっこなし、こいつで水に流そうぜ」
そう言って壁に寄りかかり自分のグラスを掲げるユウヤ
「………ああ」
受け取ったグラスで乾杯をするシオン

シオンとアムの結婚式の帰り道
一緒になって歩いていたクロノとトコハ
「素敵だったなぁ、アムのドレス姿」
「お前もやっぱそういうのに憧れるとこあんだな」
「当然でしょ、女の子だもん」
頭の後ろで腕を組みながらぼやくトコハ
「でも、今日アムみてると自信なくしちゃうなぁ、本当にきれいで、私もあんな風になれるのかな」
そんなトコハの目の前に小さな箱が差し出された
「なにこれ?」
「だったら俺が、お前を負けないくらいきれいにしてやるよ」
首を傾げながら箱を手に取ったトコハは中身を空けて目を見開いた
「馬鹿」
涙を浮かべながら笑顔でクロノに寄り添い、ただ一言そう呟くトコハ

そして新たな時代へ
「ねえ、また一緒にファイトしようよ」
クロノ・ドランは未だに沈む赤い獣に声をかけ続けていた
「あの頃のような力強い君の姿を、また見せてくれよ」
獣はドランの声に答えることなくただその場から動かなかった
「一緒に行こうよ、新しい時代へ」

かつてヴァンガードを通して出会い、共に戦ったファイターたちが新たな道を進んで数年
病院の廊下を慌てて走る男性の姿
「トコハっ!」
髪を乱し必死の表情で駆け込むトコハの兄、安城マモル
いきなり飛び込んできた彼に病室にいた人々は口々に指を口の前に立てた
「兄さん静かにして、やっと寝た所なんだから」
トコハが抱いている小さな命、先ほど生まれたばかりの新たな命
「す、すまない、つい取り乱して」
そう言ってトコハの抱いている赤ちゃんをのぞき込むマモル
「これで兄さん、この子の伯父さんね」
「ははっ、手厳しいな」
苦笑するマモルは正面にいるカムイを、そのカムイがおんぶしている別の赤ちゃんを見た
「カムイ君の所も女の子だったよね、名前なんだっけ?」
「うちのはメグミです、奥さんが、女神が与えてくれた、恵んでくれた宝物、だからメグミです」
「そうか、クロノ、名前はもう決めているのかい?」
マモルの問いかけにクロノは窓の外を見た
「こいつが産まれて、改めて思ったんです、もう俺たちの時代は終わったんだって、これからはこの子たちが新しい時代を、未来を築き上げていくんだって」
その言葉に全員が笑顔になった
「だから、ミライ、その子の名前は、新導ミライ」

クロノ・ドランがいくら呼び掛けても動かなかったはずの赤い獣が顔を上げ、その瞳を光らせた

ある工事現場
鉄骨の影から現れた陰に振り返る作業員
一人が駆け寄るとそれは幼い男の子
「おい!こんなところに子供がいるぞ」
「いったいどこから、おい坊主!しっかりしろ!自分が誰だか言えるか」
少年の眼にははっきりとは作業員の姿が映っていなかった
映っているのはおぼろげな記憶
そして聞こえるかすかな声
「………ファ………」
「タ」
少年は消え入りそうな声で呟いた
辛うじて脳裏に聞こえるその言葉を
「タ………イ………ガ」

あれから数年
大きくなったミライの手には一枚のカードが握られていた
「ミライは大好きだね、そのカード」
母親であるトコハの言葉にうれしそうに声を上げるミライ
「かわいいからかな、それとも大好きなパパと同じ名前だからかな?」
トコハの問いかけに答えるかのようにミライが握りしめているクロノ・ドランのカードが嬉しそうに振られた

次回予告
突然の不思議な出会い
少年のもとに届いた謎のカード
その出会いは運命か偶然か
今、新たな時代が幕を開ける
【turn:1 本城タイガ】 
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