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英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~ 戦争回避成功ルート

作者:sorano
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第21話

~カレイジャス・ブリーフィングルーム~



「え……まだ妥協案があるのですか?」

「それに”パント卿”とは一体どなたの事でしょうか?」

「しかもメンフィルが我々に恩恵を与えると仰いましたが、それはどういう意味でしょうか?」

レンの答えを聞いたセドリック皇太子は目を丸くし、プリシラ皇妃は不思議そうな表情をし、クレア大尉は困惑の表情で尋ねた。



「まず先にエレボニア側がすべきことを教えるわね。もう一つの”妥協案”………―――それは内戦終結までユーゲント皇帝とプリシラ皇妃がメンフィルの保護を受ける事よ。」

「え…………」

「なっ!?」

「ち、父上と母上が……!?」

「……もしかして人質?」

レンの答えを聞いたプリシラ皇妃は呆け、リィンとセドリック皇太子は驚き、フィーは厳しい表情でレンを見つめて問いかけた。



「”保護”よ、ほ・ご。内戦終結まで人質にして、何の意味があるっていうのよ。」

「―――お二方は内戦終結までエレボニア帝国領と隣接しているメンフィル帝国領の領主の館にて滞在して頂く事になります。行動範囲は警備の関係で滞在するメンフィル領内、もしくは本国内と制限させて頂きますが、当然皇帝夫妻ですので、最高級の待遇で過ごして頂きますし、護衛は親衛隊員を付けますし、外出時は親衛隊の隊長や副長を護衛に付ける予定になっています。」

フィーの指摘にレンが呆れている中、シグルーンは説明を続けた。

「……陛下達を保護する意味は一体何でしょうか?」

「うふふ、それを答える前にエマお姉さんに確認したい事があるわ。」

「え……わ、私にですか?」

アルゼイド子爵の問いかけの後に逆に問いかけて来たレンにエマは戸惑いの表情をした。



「”魔女の眷属(ヘクセンブリード)”に伝わっている最大の”禁呪”の”唄”を知っているかしら♪」

「…………ぇ…………ど、どうして貴女達はそれを知っているのですか………っ!?」

「エマ君……?」

「エマ、何を知っているのだ?」

「顔色が悪いですけど……どこか具合が悪いのですか?」

レンの問いかけを理解した瞬間表情を青褪めさせて身体を震わせているエマの様子を見たマキアスは戸惑い、ラウラは真剣な表情で問いかけ、セレーネはエマを心配し

「!!まさか……ヴィータはこの内戦で”緋き絶望”を呼び出そうとしているの!?」

全てを察したセリーヌは目を細めて問いかけた。



「あ、”緋き絶望”……?」

「一体何の事だ……?」

セリーヌの言葉を聞いたエリオットは戸惑い、ガイウスは考え込み

「…………”魔女の眷属(ヘクセンブリード)”に伝わりし最大の”禁呪”の”唄”――――”魔王の凱歌(ルシフェンリート)”……”緋の騎神テスタ=ロッサ”を核に250年前に顕現した”紅き終焉の魔王(エンド・オブ・ヴァ―ミリオン)”を呼び起こすのに必要な唄なのよ………」

「”騎神”だって!?」

「そ、それに250年前という事は………!」

「”獅子戦役”の頃ですよね……!?」

セリーヌの説明を聞いたリィンは血相を変え、ある事に気付いたアルフィン皇女は信じられない表情をし、エリスは不安そうな表情をし

「…………まさか250年前を再現しようとするとはな。」

「ち、父上……?何か知っているのですか……?」

重々しい様子を纏って呟いたユーゲント三世の言葉が気になったセドリック皇太子は戸惑いの表情で尋ねた。



「――――”緋き絶望”。バルヘイム宮地下深くに封印されてある”獅子戦役”時偽帝オルトロスが操り、破滅と恐怖をもたらした”災厄”だ。”アルノール家”の跡継ぎのみに代々言い伝えられ続けている伝承でな……いつかセドリックにも教える時が来ると思っていたが……」

「そのような存在がバルヘイム宮の地下に…………」

「なお”緋の騎神”の”起動者(ライザー)”は他の”騎神”と違い、兄様や”C”のように何らかの”試練”を受ける必要はなく、”アルノール家”の血筋の方達がいれば起動できるとの事です。」

ユーゲント三世の説明を聞いたプリシラ皇妃が不安そうな表情をしている中、エリゼが静かな表情で説明を続け

「!!」

「ア、”アルノール家”という事は……!」

「……………なるほどね。何故”貴族連合”の”切り札”がセドリックである事に疑問を感じていたが、”そう言う事”だったのか……!」

「どうやら”貴族連合”はセドリック皇太子殿下を”起動者”にするつもりだったみたいですね。」

エリゼの説明を聞いたクレア大尉は目を見開き、アリサは信じられない表情をし、オリヴァルト皇子とサラ教官は厳しい表情をした。



「しかし何でまたそんな皇家でも秘匿されている情報を”貴族連合”は持っているんだ?」

「情報源は間違いなく処刑したユーシスのお兄さんだろうけど、幾ら”四大名門”の長男でもさすがに皇家でも秘匿されている情報を知っているなんて、おかしいと思うんだけど~。」

「……………………」

トヴァルに続くように呟いたミリアムの話を聞いたユーシスは複雑そうな表情をした。

「――――ルーファス・アルバレアの証言によれば、貴族連合の”主宰”であるカイエン公爵は”獅子戦役”でかつての”緋の騎神”の操縦者にしてドライケルス帝に敗れたオルトロス・ライゼ・アルノールの末裔だった為、バルヘイム宮の地下に”緋の騎神”が封印されてある事をカイエン公爵家に先祖代々伝えられていたとの事ですわ。」

「な―――――」

「な……っ!?」

「ええっ!?」

「カ、カイエン公が……あの”偽帝”オルトロスの子孫だなんて……」

シグルーンの話を聞いたユーゲント三世は絶句し、レーグニッツ知事やセドリック皇子は驚き、プリシラ皇妃は信じられない表情をし

「…………それで?話を戻すけど、どうしてユーゲント陛下達の保護と先程の話が関係して来るのよ。」

厳しい表情で考え込んでいたサラ教官はレンを見つめて問いかけた。



「そんなの勿論、肝心の”切り札”である”緋の騎神”の”起動者”の最有力候補であったセドリック皇太子を失ったカイエン公が”緋の騎神”の”起動者”の確保をする為に、焦りのあまりその”起動者”の資格があるユーゲント皇帝がいるメンフィル領に攻撃を仕掛けさせて、レン達メンフィルがそれを”殲滅”する事で”貴族連合”に対する”報復”をする為よ♪」

「何だと!?まさかユーゲント陛下を餌にして、それにつられるかのようにメンフィル領に襲撃する貴族連合を殲滅する気なのか!?」

レンの話を聞いたトヴァルは厳しい表情でレンを睨んで問いかけ

「ま、簡単に言えばそんな所ね♪ああそうそう。今の内に言っておくけど、ありえないとは思うけど万が一その時に出た被害はさすがにレン達の自己責任だから、その件でエレボニアを更に攻めて戦争回避条約の内容を増やすみたいな事はしないから安心していいわよ。」

「レン姫!幾ら何でもユーゲント陛下を囮にする等余りにも非道ですし、領民達も危険に晒される事になるんですよ!?」

レンが説明を続けるとリィンが怒りの表情で反論した。



「や~ね。エレボニアと開戦した時点でエレボニア帝国と隣接している全てのメンフィル領に危険が晒されているも同然だし、今回の襲撃で制圧したオルディスとバリアハートもそうだけど、特にユミルは貴族連合に真っ先に襲撃される可能性がある領地なんだから”今更”よ♪」

「……え……………」

「ユ、ユミルが……!?一体どういう事ですか、レン姫……!?」

レンの話を聞いたリィンが呆けている中、表情を青褪めさせたエリスがレンを見つめて尋ねた。

「あら、わからないのかしら?ユミルの領主――――シュバルツァー男爵夫妻はカイエン公が手に入れたい戦力―――”騎神”の乗り手であるリィンお兄さんの両親がいるんだから、エリスお姉さんの時みたいに二人を誘拐してリィンお兄さんを従わせようとする可能性もあるし、今回のメンフィルの”報復”に対する”報復”として貴族連合がユミルを滅亡させる可能性だって十分考えられるわよ?今回の戦争の一番の原因はユミル襲撃だし。」

「!!」

「……あ…………」

そしてレンの答えを聞いたリィンは目を見開き、エリスは呆けた後表情を青褪めさせて身体を震わせ始めた。



「言われてみれば、その可能性は十分にありますわよね……?」

「………実際カイエン公は”ヴァリマール”の乗り手であるリィンを勧誘する為に”パンダグリュエル”でユミルに襲撃したしな………」

「……リィンがパンダグリュエルに向かう代わりに2度とユミルを巻き込まない事をあの時カイエン公は口にしたが……メンフィルの襲撃と陛下達が奪還された事によって自分達の状況が不利になった今ならわからんな。」

セレーネは不安そうな表情をし、ガイウスは複雑そうな表情でリィンとエリス、エリゼをそれぞれ見つめ、ユーシスは重々しい様子を纏って呟き

「―――そうならない為に我々メンフィル軍がいるのです。本国から派遣されてきたメンフィル軍は当然エレボニア帝国と隣接している各メンフィル領にそれぞれ配置されていますが、ユミルが最重要防衛地点とされている為、今のユミルはエレボニア帝国と隣接している各メンフィル領の中で最も防御並びに迎撃態勢が整っており、最も安全な地帯と言っても過言ではありませんから、そんなに心配する必要はありませんわよ?しかもメンフィル皇家の方が最低一人は常駐する事になっています。」

「加えて冬が訪れた事によって雪山になった今のユミルは天然の要塞と化しています。地面が雪である事に加えて斜面や木々が障害となっている影響で戦車や機甲兵を使っての襲撃は難しく、またユミル領空には絶えず皆さんもその目にした”歪竜”や戦艦を含めた空挺部隊や”竜騎士”のようは飛行手段を持つ騎獣に乗る兵達の部隊が哨戒をしています。勿論山内の到る場所にメンフィル兵が配置されていますので、猟兵達による奇襲も”不可能”と言っても過言ではありません。」

「更に郷には精強なメンフィル軍の中でも生え抜きの実力がある親衛隊員に加えて親衛隊の隊長、もしくは副長が常駐しているわ。どう?これなら心配ないでしょう?」

「それは…………」

「―――例え”結社”の”執行者”や”蛇の使徒”であろうと多勢に無勢ですから不可能ですわ。変装能力が神がかっている”怪盗紳士”か”結社最強”と恐れられている”劫炎”、もしくは”鋼の聖女”でしたら可能かもしれませんが……」

「”怪盗紳士”と”劫炎”はプリネ達に討ち取られ、”鋼の聖女”とやらはクロスベルの上、例えその”鋼の聖女”とやらがシュバルツァー男爵夫妻の身柄を確保する為に強引に突破したとしてもそれまでの道のりに配備されているメンフィル兵達の報告でシュバルツァー男爵夫妻や郷の民達はメンフィル軍によって”鋼の聖女”が郷に辿り着くまでにどこかに避難させられるだろうから、”結社”によるユミルへの襲撃やシュバルツァー男爵夫妻の誘拐も実質不可能ね。」

シグルーンやエリゼ、レンの説明を聞いたリィンは複雑そうな表情をし、静かな口調で呟いたシャロンの後に続くようにサラ教官は真剣な表情で呟き

「うわ~……まさに完璧の布陣だね~。」

「むしろやり過ぎ。」

ミリアムは呆けた表情で呟き、フィーはジト目で呟いた。



「……レン姫。先程陛下達がメンフィルでの保護を受け入れれば、我々にも恩恵があると仰っていましたが、あれはどういう意味でしょうか?」

するとその時クレア大尉が真剣な表情で尋ねた。

「ああ、その件ね。もしユーゲント皇帝夫妻がメンフィルの保護を受け入れれば、”紅き翼”のみんなにもそうだけど、正規軍にも無制限の補給の許可が下りる事になっているわ。」

「なっ!?む、”無制限”!?」

「し、信じられない……!」

レンの口から語られた驚愕の事実にレーグニッツ知事とアリサは声をあげ

「レン姫、どういったものを無制限に補給させてくれるんでしょうか?」

「そ、それに………もしかして補給をしたら、後で凄い高い利子がつくのではないんでしょうか………?」

ある事が気になったジョルジュとトワは不安そうな表情で尋ねた。



「補給をしていいのは食料に弾薬、武器、燃料、破損した兵器に必要な材料、その他もろもろ……まあ、さすがに戦車や機甲兵みたいな”兵器”はダメよ?勿論補給をしたら請求書も発行して渡すけど、支払はいつでもいい事になっている上、利子は0.1%もつかないから安心していいわよ。返済は1年――いえ、10年後でもいいし、何だったら100年だって待つわよ?パパ達”闇夜の眷属”は長生きだし。」

「ハハ………さすがに100年も借りる訳にはいかないよ。父上達を囮にする代償だけあって、私達にとっては魅力的過ぎる提案だね。―――ちなみに父上達はメンフィル領のどこに滞在する事になっているんだい?」

レンの話を聞いたオリヴァルト皇子は疲れた表情で呟いた後すぐに表情を戻してレンを見つめた。

「今日制圧したバリアハートよ。あそこなら”元”アルバレア公爵家の城館があるから、皇帝夫妻が滞在するにはもってこいの場所だしね。加えてバリアハートと隣接している三つの領地の内、ケルディックはメンフィル領、レグラムは”アルノール家”に味方をしている数少ない帝国貴族である”アルゼイド家”の領地なんだから、安全度で言えばユミルの次くらいだと思うわよ。帝都・トリスタ方面から領邦軍が来る場合も考えられるけど……帝都・トリスタ方面からバリアハートに進撃するにはケルディック要塞を超えなければならないから、どっち道帝都・トリスタ方面からの進撃も”不可能”と言っても過言ではないわ。」

「………………」

「占領した領地で保護するとか、陛下達に対する嫌がらせだとしか思えねぇぞ。」

レンの説明を聞いたユーシスが複雑そうな表情で黙り込んでいる中、トヴァルは厳しい表情でレンを見つめた。

「クスクス、さすがにそれは勘繰りすぎよ♪」

「なおバリアハートにはケルディックで臨時領主をしていたプリネ様達が移って来る事になり、以後バリアハートの元アルバレア公爵城館にて領主としての務めをされるそうです。」

「うふふ、リィンお兄さん達の”仲間”であるプリネお姉様達もいるんだから、”色々な意味”で安心でしょう?」

「それは…………」

「……彼女達ならば、父上達が過ごしやすいように最大限に配慮してくれるだろうし、メンフィルが心変わりをして父上達に危害を加えようとした際、メンフィルに内密で父上達を逃がしてくれる可能性もありそうだね。」

エリゼの説明の後に問いかけたレンの問いかけにリィンが複雑そうな表情をしている中、オリヴァルト皇子は僅かに安堵の表情をしながら呟いた。



「―――それともう一つ。エレボニア各地に散っている諜報員達の手によってメンフィル帝国が発行した新聞をエレボニア中にばら撒く事になっているわ♪エリゼお姉さん、シグルーンお姉さん。またお願いしてもいいかしら?」

「はい。」

「御意。」

そしてエリゼとシグルーンは手分けして新聞をリィン達に配った。その新聞の内容は要約すると以下のものであった。





1、貴族連合の数々の愚行によってメンフィルとエレボニアが戦争状態に陥ってしまった事



2、ユーゲント三世を始めとしたエレボニアの皇族達は全員オリヴァルト皇子率いる精鋭部隊によって救出された事



3、救出されたユーゲント三世は自らメンフィル帝国領内に赴いて、メンフィルとの和解に向けて交渉中との事



4、バリアハートとオルディスは既にメンフィルに制圧され、メンフィル領となった事。また制圧の際、貴族連合に加担した貴族の当主達が処刑され、それを後で知ったユーゲント三世は当主達の処刑並びにメンフィルによるバリアハート、オルディス占領を認めた事



5、ユーゲント三世を始めとしたエレボニア皇族達は貴族連合を”賊軍”と認定した事



6、メンフィルと交渉に向かったユーゲント三世に自分の代わりを託されたオリヴァルト皇子、セドリック皇太子、アルフィン皇女がそれぞれ内戦終結に向けて本格的に活動し始めた事





「………これは…………」

「……この内容がエレボニア中に知れ渡れば、間違いなく貴族連合に大打撃を与えるだろうな……」

「恐らく貴族連合から脱退する貴族達も出るでしょうね……」

「そりゃこんな内容の新聞を読んだら脱退したくなるよ~。いきなり劣勢になった上、下手したら自分達までメンフィルに処刑されるかもしれないし。」

新聞の内容を読み終えたレーグニッツ知事は複雑そうな表情をし、アルゼイド子爵は重々しい様子を纏って呟き、クレア大尉は真剣な表情で考え込み、ミリアムは疲れた表情で呟き

「……こんなものまで既に発行していたという事は、最初からユーゲント皇帝夫妻を保護する内容の”妥協案”を呑ませるつもりだったとしか考えられないわね。」

「しかも嘘は書いていないから、余計に性質が悪いね。」

「フィ、フィーちゃん。」

セリーヌは目を細めてレン達を見つめ、ジト目で呟いたフィーの言葉を聞いたエマは冷や汗をかいた。



「フフッ、戦争状態に陥った国にここまで御膳立てをされた内戦なんて、他には絶対にないでしょうね♪」

「むしろあったら、色々と指摘したいところがありますよ……」

「ア、アハハ……でも早く戦争が終わって欲しいと思う民達にとっては希望が持てる内容ですわよね。」

微笑みながら呟いたルイーネにリ・アネスは疲れた表情で指摘し、マルギレッタは苦笑していた。

「というかユーゲント陛下達の救出の件まで書いてあるけど……そのつもりだったら、陛下達を救出する際のあたし達に手を貸してもよかったんじゃないの?もし失敗したらどうすつもりだったのよ……」

「クスクス、そんな心配は最初から……―――あら?――――失礼。ちょっとだけ席を外させてもらうわね。―――こちらレン・H・マーシルン…………」

呆れた表情で自分を見つめるサラ教官の言葉に微笑みながら答えかけたレンだったが、通信の音に気付き、通信機を取りだして通信をしながら会議室から出た。



「父上……先程の”妥協案”、まさか呑むのですか……?」

「………………」

「お父様、わたくしの事を気にする必要はありませんわ!わたくしの場合はレン姫の仰る通り自業自得ですし、それにわたくしのせいでエリスが女学院を去るのにわたくしだけが女学院に通い続けるという厚かましい事なんて絶対にできませんし、そもそもエリスがいない学院生活なんて考えられません!だからわたくしもエリスと一緒に退学する所存です!」

「姫様……」

レンが一時退出すると心配そうな表情で見つめてくるセドリック皇太子の問いかけにユーゲント三世は目を伏せて黙り込み、ユーゲント三世を見つめて意見するアルフィン皇女をエリスは驚きの表情で見つめ

「俺も殿下と同じ所存です、陛下!御身が危険を晒す必要はありません!」

「ユーシス……―――…エリゼ、本当に他の方法はないのか………?」

アルフィン皇女の後に続くように意見をするユーシスをリィンは複雑そうな表情で見つめた後エリゼに問いかけたが

「申し訳ありませんがメンフィル帝国政府内での発言権を持っていない私では不可能です。私はあくまで専属侍女長。エレボニアを本気で滅亡させるつもりでいたメンフィル帝国政府に私がプリネ姫に提案した”救済条約”を採用して頂いただけでも、”奇蹟”と言っても過言ではありません。」

「リィンさん。エリゼは貴方の為に必死に考え、その案を採用する為にプリネ姫に嘆願したというのに、それ以上を望むのは貴方の為に陰で動き続けていたエリゼに失礼ですよ。」

「それは………すまない、エリゼ……」

「姉様…………」

エリゼとシグルーンの正論を聞くとエリスと共に複雑そうな表情で黙り込んだ。

「―――ですが、考えようによっては陛下達がメンフィルに保護される件の妥協案の方が内戦を終結させる一番の近道かと思われます。その案を実行できれば間違いなく貴族連合を衰弱させられますし、メンフィル軍も自国領を襲撃する貴族連合軍を迎撃して貴族連合の勢力を減らしてくれる上我々に無利子かつ支払期限を長期間待って頂くという形で、無制限の補給をして頂けるのですから。しかも話を聞く限り、陛下達の身もエレボニア各地で戦闘が起こっている今の状況を考えれば最も安全な地帯にいると言っても過言ではありません。」

「シャロンッ!!」

そしてその場で進言したシャロンをアリサは声を上げて睨んだ。するとその時レンが再び部屋に入って来た。 
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