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英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~ 戦争回避成功ルート

作者:sorano
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第19話

~カレイジャス・ブリーフィングルーム~





「え…………」

「フム……」

「に、兄様……?」

「リィン、一体何を……?」

リィンの問いかけを聞いたマルギレッタは呆け、リ・アネスは試すような視線でリィンを見つめ、エリスとアリサは戸惑いの表情で尋ねた。



「フフ、それは何故かしら?」

一方ルイーネはリィンが自分達にどう問いかけるかを面白がるかのように微笑みを浮かべてリィンを見つめた。

「―――まず、クロスベル政府によるIBCの資産凍結によって世界各地で起きた経済恐慌……その件に対する”詫び”もせずに、二大国に戦争を仕掛けるのは間違っていると思うのですが。」

「あれは”IBC総裁”であるディーター・クロイスを始めとした”IBC”の独断。”IBC”はクロスベル独立国崩壊後、クロスベル帝国が”管理”する事になっているわ。勿論その際に資産凍結は即座に解放させるわ。それで資産凍結の件は”解決”よ」

「なッ!?資産凍結によって出た損害も賠償しないのですか!?」

リィンの指摘に対して答えたルイーネの話を聞いたレーグニッツ知事は驚いた後すぐに反論した。

「賠償するも何も”IBCが存在しない”のですから賠償のしようがないでしょう?」

「あ、”IBCが存在しない”って……!?」

「……クロスベルが管理する事になっている”IBC”を別の似たような組織に変える事で、”IBC自身は消滅した”事になりますわ……」

レーグニッツ知事の反論に対して答えたルイーネの説明を聞いたアリサは信じられない表情をし、シャロンは真剣な表情で推測した。



「ッ……!じゃ、じゃあガレリア要塞消滅の件はどうなのですか!?」

「あれはエレボニア帝国並びにカルバード共和国が”宣戦布告”をしてクロスベル領地内に侵攻してきた為、”現クロスベル政権”が”クロスベル領内を護る為に迎撃した”だけの事。――それのどこがおかしいのかしら?」

「!!」

「うわっ、そう答えるんだ~。」

「ッ!クロスベルが資産凍結を行わなければ、宣戦布告やクロスベル侵攻も行わなかったと思うのですが!?」

ルイーネの言葉に対して反論できないリィンは目を見開き、ミリアムは真剣な表情をし、クレア大尉は厳しい表情で問いかけた。

「ですからさっきも答えた通りあれは”IBC”の”独断”ですよ。」

「……だが、現クロスベル市長―――いや、クロスベル大統領でもあるディーター・クロイス氏の”判断”でもある。大統領の判断は彼を元クロスベル市長に選んだ”クロスベルの民達の総意”と見て取れるのだが?」

クレア大尉の反論にルイーネが答えたその時オリヴァルト皇子が指摘した。



「オリヴァルト殿下もご存知のようにクロスベル政府代表は『クロスベル市の市長』と『自治州議会の議長』です。これは自治州法で定められています。」

「!!…………なるほど。マクダエル議長は資産凍結の件に反対していた為、『クロスベル独立国』の宣言も含めて全て議長達の意見を無視して実行した為、ディーター・クロイス氏の行動はあくまでも”IBC総裁”としての”独断”だと言いたいのだね?」

「ええ。それどころかディーター・クロイスはマクダエル議長を含めたクロスベル政府の役人を”オルキスタワー”、”ミシュラム”にそれぞれ監禁し、その上犯罪も犯していない私達を不当に”逮捕”する為に国防軍を動かした挙句クロスベル市の民達を街から出さないように監禁して、まさに”クロスベルの独裁者”としてクロスベルを”支配”しています。数々の”犯罪行為”を命じたり実行した時点でディーター・クロイスはもはやただの”重犯罪者”です。重犯罪を犯せば政治家としての権限も消滅する……先程の自治州法も含めた私が口にした自治州法は、クロスベルが自治州として独立した当初に”宗主国”であるエレボニア帝国とカルバード共和国によって決められた自治州法である事をエレボニア皇家の方々は当然ご存知ですよね?」

「そ、それは…………」

「………………」

「………くっ………」

「陛下……」

「ディーター・クロイスに全てを押し付けるつもりか…………」

オリヴァルト皇子の話の後に答えたルイーネはユーゲント三世達に視線を向けて問いかけ、ルイーネの正論に対して反論ができないセドリック皇太子とアルフィン皇女は辛そうな表情をし、唇を噛みしめて無念そうな様子で身体を震わせているユーゲント三世をプリシラ皇妃は心配そうな表情で見つめ、アルゼイド子爵は厳しい表情をした。



「―――なお、ディーター・クロイス並びにマリアベル・クロイスはクロスベル帝国建国の際もしくは、建国後に”処刑”される事になっています。」

「な……っ!?」

「”処刑”ですって!?」

「一体何故……」

「……資産凍結や独立国の宣言等を”独断”で行ったにしても、さすがに処刑はやりすぎだと思うんだけど。」

マルギレッタの説明を聞いたラウラは驚き、サラ教官は厳しい表情をし、エマは不安そうな表情をし、セリーヌは目を細めた。



「”クロイス家”はかの”D∴G教団”という非道な集団の黒幕。そのような集団の黒幕ならば処刑も当然かと思われますが。」

「!!」

「チッ、よりにもよってその件を持ってくるのか……!」

「”D∴G教団”ですって!?」

「ほえっ!?じゃあ、”教団”の大元の資金源ってIBC――――クロイス家だったの!?」

「”D∴G教団”……確か空の女神(エイドス)を否定する集団で、レン姫にとっては……」

「なるほど…………確かにかの”教団”の黒幕ならば、処刑の判決がでてもおかしくありませんわね。」

リ・アネスの言葉を聞いたサラ教官は目を見開き、トヴァルは舌打ちをし、クレア大尉とミリアムは信じられない表情で声を上げ、ガイウスは静かな表情で考え込み、シャロンは真剣な表情で考え込んだ。



「…………それは本当なのかい?」

「ええ。レン達―――メンフィルが”D∴G教団”司祭―――ヨアヒム・ギュンターによるクロスベル襲撃後の復興をしていた事は知っているでしょう?その時にレンが部下の兵士さん達にクロスベルの遺跡―――”星見の塔”にある膨大な古文書を写しとってね。で、本国で解析したらその事実が判明したのよ。」

オリヴァルト皇子の疑問にレンは静かな表情で答えた。

「し、信じられない……あのクロイス家が”教団”の黒幕だったなんて……」

「そ、そんな……」

「僕達は夢物語でも聞いているのか……?」

「けどそれならある意味納得かも。莫大な財産を持つクロイス家がバックにいるから、研究とか色々できただろうし。」

「クッ……外道の集団の資金源に俺達の資産を今まで預けていたと言う事か……!」

アリサは信じられない表情をし、エリオットとマキアスは表情を青褪めさせ、フィーは真剣な表情で呟き、ユーシスは唇を噛みしめた。



「うふふ、話が別の方向に逸れていますわよ?―――それでリィン・シュバルツァー君。他にもまだあるのかしら?他の質問をする前に先に答えておくけど、クロスベルが二大国に戦争を仕掛ける理由は”宣戦布告”をされて領地内に侵攻されたからよ?」

「メンフィルの場合はエレボニアを滅ぼす為にクロスベルが手を貸してくれる事とメンフィル全体に様々な恩恵を与える技術提供をしてくれたクロスベルへの”報酬”としてクロスベルと一緒になってカルバードを滅ぼすのよ。―――それで”筋は通る”し、そもそも戦争は”勝った方が正義”なのだから、”筋を通す必要はない”でしょう?」

その時ルイーネが手を叩いて自分に注目させて話を戻した後微笑みながらリィンに問いかけ、レンは不敵な笑みを浮かべて問いかけた。

「あ………………」

「お兄様…………」

「兄様……」

「リィン…………」

「………………」

(……論破をするべき相手がよりにもよって謀略を得意とするルイーネ様だと分が悪すぎですわ……)

(外交関係の学習もせずにあの年齢であそこまで指摘しただけでも、むしろよく頑張ったほうね。)

反論が見つからず、肩を落として黙り込んだリィンの様子をセレーネやエリス、アリサは心配そうな表情で見つめ、エリゼは複雑そうな表情をし、メサイアは疲れた表情をし、シグルーンは感心した様子でリィンを見つめた。



「うふふ、悲観する事はないわよ?その歳で政治や外交関係に特化した勉強もせずにそこまで指摘できる子なんて、中々いないわ。むしろ私は感心しているくらいよ♪」

「そうね♪これならクロイツェン州の統括領主を務める事になっているレン達がお役御免になる日も案外早くくるかもね♪―――それにしても、”敵国”の留学生が何とか頑張って反論を見つけてレン達に指摘したのに、肝心のエレボニア帝国の皇帝が留学生よりも気付くのが遅いのは、”皇”としてちょっとどうかと思うのだけど?」

「レン姫!失礼ですがさすがにお言葉が過ぎます……!」

不敵な笑みを浮かべてユーゲント三世に視線を向けたレンにラウラは厳しい表情で反論し

「…………返す言葉もない……」

「父上…………」

肩を落とした様子でいるユーゲント三世をセドリック皇太子は辛そうな表情で見つめていた。

「―――それにしてもアリサさんもよかったわね?彼と恋仲の関係だから、貴女の実家も無事でいられるのだし。」

するとその時ルイーネはアリサを見つめて予想外の言葉を口にした。

「え……ど、どういう事ですか!?」

「アリサちゃんの”実家”って……」

「”ラインフォルトグループ”か……」

「何故そこでお二人の関係が”ラインフォルトグループ”に関係してくるのでしょうか?」

ルイーネに微笑まれたアリサは驚き、トワは不安そうな表情でアリサを見つめ、ジョルジュは重々しい様子を纏って呟き、シャロンは真剣な表情で尋ねた。



「あらあら。”ラインフォルトグループ”はクロスベルの民達の命を脅かしていた兵器をエレボニア帝国軍に提供したのだから、もしルーレがクロスベル領になれば、”ラインフォルトグループ”に対しても何らかの形で”制裁”をしてもおかしくないでしょう?」

「!!…………」

「ク、”クロスベルの民達の命を脅かしていた兵器”って、まさか……!?」

「間違いなく”列車砲”だね。」

「チッ、そこで”列車砲”の件を持ってくるのかよ!?」

ルイーネの言葉を聞いてある事に気付いたシャロンは目を見開いた後真剣な表情でルイーネを見つめ、マキアスは表情を青褪めさせ、フィーは真剣な表情で呟き、舌打ちをしたトヴァルは厳しい表情をし

「……………………」

「アリサさん………」

複雑そうな表情で黙り込んでいるアリサをエマは辛そうな表情で見つめ

「……ルイーネ殿。”列車砲”を注文し、ガレリア要塞に搭載したのはエレボニア帝国。依頼されただけである”ラインフォルトグループ”にまで責任を負わせるのはどうかと思われるが。この場合責任が問われるのはエレボニア帝国だろう。」

「陛下……」

”ラインフォルトグループ”を庇おうとしているユーゲント三世の言葉を聞いたアリサは驚いた。



「フフッ、それを決めるのは”クロスベル”ですわよ?ルーレは将来”クロスベル領”になるのですから。”他国”の政治に口を出すのは”内政干渉”ですよ♪」

「……ッ……!」

「………………」

「陛下達の前でもうルーレが自分達の物だと堂々と言えるなんて、さすがは”鉄血宰相”を嵌めただけはあるわね………!」

「宰相閣下………」

ルイーネの答えを聞いたユーゲント三世は唇を噛みしめ、セドリック皇太子は辛そうな表情をし、サラ教官は厳しい表情でルイーネを睨み、レーグニッツ知事は複雑そうな表情をし

「で?そこで何でアリサとリィンが恋仲である事が関係してくるのよ?」

セリーヌは真剣な表情で続きを促した。



「クロスベル帝国建国並びに二大国侵攻の際に色々とお世話になる上、同盟も組んでいるメンフィルの貴族であり、メンフィル皇家からも厚い信頼を受けているエリゼさんのご家族の上将来はクロイツェン州全土の統括領主を務める事になるリィン君と恋仲の関係であり、将来は彼の妻の一人になる可能性が高いアリサさんの実家に、メンフィルにお世話になっている身としては惨い仕打ちをする訳にはいかないでしょう?」

「………………もし、俺とアリサが付き合っていなければ”ラインフォルトグループ”をどうするおつもりだったんですか?」

ルイーネの答えを聞いて複雑そうな表情をしていたリィンは尋ねた。

「そうね……その時は”ラインフォルトグループ”の兵器並びに武器の開発及び販売を禁じていたと思うわ。」

「ッ!!」

「ええっ!?」

「よりにもよって”ラインフォルトグループ”の一番の強みを禁じるなんてことをしたら……」

「と、倒産しちゃうよ……」

「……さすがに倒産はしないでしょうが、倒産を避ける為に多くの失業者を出す事になってしまいますわ。」

ルイーネの話を聞いたアリサは息を呑み、エリオットは驚き、ジョルジュは重々しい様子を纏い、トワは表情を青褪めさせ、トワの推測にシャロンは目を細めてルイーネを見つめながら答えた。



「だから言ってるじゃない。リィン君と恋仲でよかったわねって♪」

「こ、この女……!」

「サラさん、抑えて下さい。お気持ちはわかりますが……」

「貴女は一人の女性として恥ずかしくないのですか!?学生達の恋をも政治に利用するなんて……!」

「お母様……」

微笑みを浮かべるルイーネの答えを聞き、学生達の恋すらも利用するルイーネの性格の悪さに怒り心頭になったサラ教官の様子に気付いたクレア大尉はサラ教官を宥め、ルイーネを睨むプリシラ皇妃の言葉を聞いたアルフィン皇女は目を丸くした。

「フフッ、利用だなんて人聞きの悪い。結果的にそうなっただけの事ですよ、皇妃殿下。これもまた一種の”政略結婚”。政略結婚なんて、上流階級の世界ではよく聞く話ですし、ご子息達も将来はそうなる可能性は高いと思われますが?」

「……確かにそれは否定しませんが、私はできる事ならセドリック達は恋をして、相思相愛の結婚をして幸せな人生を送って貰いたいと思っています……!」

「母上……」

「お母様……」

「………うむ。それは私も同じだ。」

ルイーネに対して反論するプリシラ皇妃を見たセドリック皇太子とアルフィン皇女は明るい表情をし、ユーゲント三世は静かな表情で頷いた。

「ルイーネさん…………それが”本当の貴女”なのですか?」

するとその時ガイウスは複雑そうな表情でルイーネを見つめて尋ねた。



「あら、私は偽りの仮面なんてつけた覚えはないわよ?―――心から敬愛する主にして愛している夫であるギュランドロス様の為に様々な”交渉”や”手段”を取るのが元ユン・ガソル王国の”三銃士”の一人にして今は”六銃士”の一人であるルイーネ・サーキュリーよ。」

「…………………」

「ハハ……とんでもない女性だ……私の知る謀略に関して、天才的な能力を持っているクロスベル警察に所属するもう一人の女性とも同等かもしれないな……」

「クロスベルの警察にあのような女性がもう一人いるなんて……」

(クロスベル警察に所属する腹黒い女……まさか”叡智”の事か?)

「フフ、さすがに”彼女”程ではありませんよ♪むしろ私やエルちゃんも”彼女”からは学ぶべき事があるくらいですし♪」

「あ、相変わらずですね、ルイーネ様は……」

「”謀略皇妃”は未だ健在という事ですか。」

ルイーネの答えを聞いたガイウスは複雑そうな表情で黙り込み、疲れた表情をしたオリヴァルト皇子の言葉を聞いたアルフィン皇女は不安そうな表情をしている中トヴァルは真剣な表情で考え込み、ルイーネは微笑み、マルギレッタは冷や汗をかいて表情を引き攣らせ、リ・アネスは真剣な表情で呟いた。



「フフッ、イリーナ会長の秘書もこなしているメイドの方もいて、ちょうどよかったです。―――シャロン・クルーガーさん、よろしければこちらをどうぞ。」

「……この封筒に入っている書類は一体何なのでしょうか?」

ルイーネに手渡された書類が入った封筒に一瞬視線を向けたシャロンは真剣な表情で尋ね

「―――クロスベル帝国建国後クロスベル帝国は”ラインフォルトグループ”と様々な”契約”を結ぶ考えでして。その契約内容などが書かれてありますので、時間がある時に拝見してください。イリーナ会長と合流した際も、よろしければ会長にも拝見して貰って下さい。”衰退”か”滅亡”が確定しているエレボニア帝国に気を遣っていたら、”ラインフォルトグループ”も”共倒れ”になる事は目に見えているでしょう?」

「……くっ……」

「「………………」」

「ハハ…………事実とは言え、目の前で言われると結構グサッと来るね……」

「幾ら何でも好き放題に言い過ぎじゃねえのか……!?」

ルイーネの説明を聞いたユーゲント三世は唇を噛みしめ、セドリック皇太子とアルフィン皇女は辛そうな表情で黙り込み、オリヴァルト皇子は疲れた表情をし、トヴァルは厳しい表情でルイーネを睨み

「…………我が社の事を考えて頂いた上、お忙しいところ未来の契約内容をご丁寧に用意して頂き、感謝致しますわ。後で必ず拝見させて頂きますし、会長にも拝見して頂きますわ。」

「シャロン…………」

ルイーネに会釈をするシャロンの様子をアリサは複雑そうな表情で見つめていた。



「―――レン姫、”戦争回避条約の救済条約”はいつ発表するおつもりですか?」

「うふふ、”飴”は最後に取っておこうと思っていたのよ。その方が様々な効果が倍増するし♪」

エリゼに指摘されたレンは小悪魔な笑みを浮かべて答え

「え………」

「せ、”戦争回避条約の救済条約”、ですか?」

「……一体どういう内容のものなのですか?」

レンの答えを聞いたリィンは呆け、アルフィン皇女は戸惑い、アルゼイド子爵は真剣な表情で尋ねた。



「名前の通り、さっき発表した”戦争回避条約”の内容を”救済”する”条約”よ。その条約を実行すれば、何と”戦争回避条約”の条約の内4つも実行したと同然の扱いをされてその時点でその4つの条約は消滅して、更に残りの条約の内の一つの条約の内容が緩和されている”救済条約”よ。しかも条件がとっても簡単でこの場で今すぐ実行できる条約よ。勿論今この場にいる誰かを処刑しろみたいな酷い内容でもないわ♪」

「な―――――」

「何っ!?」

「ふえええっ!?よ、4つも!?」

「内容がわからぬが、それを実行すれば”戦争回避条約”の中にあった今すぐこの場で最低二つを実行するという内容をこなした事にもなるな……」

「悪趣味だね。わたし達が困っている所をさんざん見ながらいたぶってからそんなのを出すなんて。」

「フィ、フィーちゃん。」

「今は口を慎んだ方がいいですよ……?レン姫の機嫌を損ねたら、その条約を教えてくれないかもしれませんし………」

レンの説明を聞いたユーゲント三世は絶句し、ユーシスとトワは驚き、ラウラは考え込み、ジト目で呟いたフィーの言葉を聞いたエマとセレーネはフィーを宥めていた。



「……それでその”救済条約”は一体どんな内容のものなのでしょうか?」

「………………」

「エリス……?」

レーグニッツ知事は真剣な表情で尋ね、複雑そうな表情で自分を見つめるエリスに気付いたアルフィン皇女は不思議そうな表情で首を傾げた。

「―――またお願いしてもいいかしら、エリゼお姉さん、シグルーンお姉さん。」

「「御意。」」

そしてレンに指示をされたエリゼとシグルーンは手分けしてユーゲント三世には本物の、リィン達には”戦争回避条約の救済条約”が書かれてあるコピーの書類を配り、リィン達は即座に読み始め

「「………………………………え。」」

書類の内容を読んでいたリィンとアルフィン皇女は同時に呆けた声を出した。 
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