英雄伝説～運命が改変された少年の行く道～（閃Ⅰ篇）

～旧校舎・最下層・終点～



「みんな、行くわよ！！」

「全員、俺に続け！！」

戦闘開始早々リウイとエステルは号令で仲間達の闘志を大幅に高め

「「コォォォォ…………ハアッ！！」」

リィンとエリゼはそれぞれ気功技で自らの身体能力を上昇させ

「我らに魔の加護を！―――魔法領域の付術！！」

「フェミリンスよ、英雄達に加護を！―――英雄領域の付術！！」

「光よ！―――みんな、受け取って！！」

プリネとエクリアは魔術で様々な上昇効果を付与させ、アリサは光の加護で仲間達を『心眼』状態にさせるクラフト―――ヘブンズギフトを放って仲間達を『心眼』状態にし

「アークス、駆動……！」

エマはオーブメントを駆動させた。



「―――――」

するとその時敵は巨大な腕を振り下ろしたが

「受け止めて、パラスケヴァス！！」

「―――――！」

プリネの指示によってパラスケヴァスが巨大な槌で敵の巨大な腕を受け止めた！

「カファルー！今の内に攻撃しちゃいなさい！」

「グオオオオオオッ！！」

そしてエステルの指示によってカファルーは敵の側面から灼熱のブレスを口から吐き

「――――！？」

側面からの灼熱の炎をその身に受けた敵は怯み

「――――――！！」

怯んだことによって力が抜けた事に気付いたパラスケヴァスは槌を一端引いた後槌に水を纏わせた強烈な一撃――――水流スマッシュを敵の巨体に叩きつけた！



「――――――！？」

パラスケヴァスの強烈な一撃をその身に受けた敵は悲鳴を上げるかのようにその場で怯み

「それっ！クラウ・ソラリオン！！」

「―――――！？」

そこにオーブメントの駆動を終えたエマが幻属性のアーツの中でも最高火力を誇るアーツを発動し、アーツによって発生した異空間から現れた巨大な腕から解き放たれた銀色のレーザーが敵に直撃してダメージを与えた！



「今だ！二の型――――疾風！！」

「二の型・改―――雷鳴剣！！」

「大地の力よ！闘土！！」

「暗黒の力を受けるがいい！―――ダークカイザ！！」

その隙を逃さないかのようにリィン、エリゼ、プリネ、リウイがそれぞれ攻撃を仕掛け

「まだよっ！聖焔(せいえん)の裁き！ブラストエッジ！！」

「隙は見逃さない！レイ＝ルーン！！」

「漆黒の魔槍よ、我が敵を貫け！デモンズランス！！」

「たぁぁぁぁぁっ！百烈撃！！」

それぞれのARCUSと戦術リンクで結ばれているアリサ、エクリア、エマ、エステルはリィン達が攻撃を終えると同時に戦術リンクの効果によって追撃した！

「――――――！！」

「グオオオオオオオオ―――――ッ！！」

パラスケヴァスとカファルーは敵を挟み込んでパラスケヴァスは水の魔力を纏った突進――――鯨獣の強襲、カファルーは灼熱の翼で突進するクラフト―――紅蓮の翼で攻撃した！



「――――――！！」

リィン達に総攻撃されてダメージが蓄積した敵は何と強烈な吸い込みを始めた！

「キャアアアアアアッ！？」

「に、兄様―――ッ！？」

「そ、そんな……！？」

「吸い込まれる……！？」

「アリサ！？エリゼ！？委員長！？」

「プリネ！？」

そして自分に仇名す者を自分の身体に取り込み、体力を奪う敵のクラフト―――アーク・ゾック・オンケイムによって敵の体内に吸い込まれたアリサ、エリゼ、エマ、プリネを見たリィンとエステルは声を上げて驚き

「――――――――！！」

心から慕っている優しき主(プリネ)を吸い込んだ敵に怒ったパラスケヴァスはクラフト―――水流スマッシュを敵に叩きつけた！

「強烈な衝撃を与えて吸い込まれた仲間達を吐き出させろ！―――エクリア！！」

「はいっ！リウイ様！」

リウイは仲間達に指示をした後エクリアに視線を向けてエクリアと共に敵を挟み込み

「「ハァァァァァァ…………！！」」

膨大な魔力や闘気、そして神気が籠った剣撃の嵐を放ち

「これが……！」

「姫神の力です………！」

そして剣撃の嵐を放ち終わった2人はそれぞれの武器にさらに膨大な魔力や神力を込め、エクリアは左下から右上に、リウイは右下から左上にクロスに斬った！すると斬られた部分から超越した大爆発が何度も連鎖して起こり、さらに星をも貫く巨大な光と闇の柱が上がった！



「「姫神乱舞！！」」



「こんの～！プリネ達を返しなさい！ハァァァァ……金剛撃！！」

「燃え盛れ……！滅！！」

「グオオオオオオオオ――――ッ！！」

リウイとエクリアの協力技(コンビクラフト)が叩きつけられた後エステルとリィンもそれぞれ強烈な一撃を敵に叩きつけ、カファルーは灼熱の炎のブレスを吐いて追撃した！



「―――――！！？？」

強力な攻撃を受け続けていた敵が悲鳴を上げると敵の体内に取り込まれたアリサ達が突如空中に現れて落下し

「へ―――キャアアアアッ！？」

「な―――キャアアアアッ！？」

「アリサ！？」

「今、受け止めます……！」

空から落下して来たアリサとエマをリィンとエクリアが受け止め

「ハッ！！」

「セイッ！ムッ………」

落下した際プリネと共に受け身を取って着地したエリゼはリィンに受け止められて『お姫様抱っこ』の状態になっているアリサを見て頬を膨らませた。



「大丈夫か、アリサ？」

「う、うん。ありがとう、リィン。」

「怪我はありませんか？」

「はい、おかげで助かりました。」

そして受け止められて地面に下ろされた二人はそれぞれ仲間達と共に反撃を開始した。



「さっきはよくもやってくれたわね……！メルトレインッ！！」

「踊れ、焔よ！―――アステルフレア！！」

「ハァァァァ……！一の型――――竜破斬！！」

「浄化の光よ、悪しき者に裁きを！救世の聖輝！！」

「―――――」

アリサ達に攻撃された敵は多くの配下達を召喚した。



「下らん！エクステンケニヒ！！」

「魔力解放！――――薙ぎ払え！ルン＝アウエラ！！」

「二の型―――洸破斬！！」

「朱雀！衝撃波！！」

しかしリウイ達の広範囲攻撃によって配下達は瞬く間に殲滅されると共に追撃され

「――――――！！」

「グオオオオオオオッ！！」

自分を挟み撃ちにしたパラスケヴァスはクラフト―――水流スマッシュ、カファルーはクラフト―――爆炎スマッシュを同時に叩きつけられた！



「――――――――――――！！」

リィン達との攻防により次々と傷を増やしていた敵は両手に莫大なエネルギーを溜め込み、空に向かって解き放った！すると超越した大爆発が戦場全体を襲って来た！

「結界を張ります！私に集まって下さい！」

襲い掛かってくる大爆発を見たエクリアは忠告したが

「いや――――あれは俺が何とかする。お前は大魔術の準備をしろ。」

「え―――承りました！」

リウイの指示に呆けた後魔術の詠唱を開始した。



「オォォォォォォ………！我が誇り高き父の力、その身に受けるがいい！魔血の目覚め！！」

全身に溜め込んだ闘気と魔力を紅き魔剣に集束したリウイが紅き魔剣を振るうとリウイに秘められし”魔神”のエネルギーが津波と化して、リウイ達に襲ってきた爆発とぶつかり合って相殺した！

「す、凄い……！」

「まさか相殺するなんて……！」

「これが陛下の―――”魔神”の力……！」

その様子を見ていたアリサとエマ、リィンは驚いた。



「汝…………美の祝福たまわらば………我､その手法､紫苑の鎖に繋ぎとめん！」

するとその時魔術の詠唱を終わらせたエクリアが放った大魔術により敵の身体は巨大な氷に包まれて凍結し

「アブソリュートゼロ！！」

「―――――――！！？？」

エクリアの大魔術―――アブソリュートゼロの最後の一撃である巨大な氷柱が肩に刺さった敵は悲鳴を上げると共に怯んだ！



「今だ！一気にたたみかけろ！蒼き焔よ……！ハァァァァァァァ……！斬！！」

敵の様子を見たリィンは号令をかけた後蒼き焔を太刀に纏わせて敵を斬る”焔ノ太刀”の強化された奥義―――蒼焔ノ太刀を敵に叩きつけ

「これで決めるわ……！オーバルエネルギー……リミットブレイク！！フェニックス――――アローッ！！」

「これで”最後の試し”は終わりですっ！―――元始にて清浄なる炎!立ちはだかる全てを焼き尽くせ！！オリジネイトブレイズ！！」

「これが”私達”の魂の”力”！―――ソウル！クロス！！」

「我が奥義、耐えきれるか！？オォォォォォ……ッ！奥義―――フェヒテンガロ！！」

「これで沈みなさい！燃え上がれ、鳳凰よ！奥義！緋凰――――絶炎衝！！」

「―――――――！！」

「グオオオオオオオオ――――――ッ！！」

リィンの号令を合図にアリサ達もそれぞれSクラフトで攻撃し、アリサ達の総攻撃によって敵は満身創痍の状態になっていた。



「サティアさん、フェミリンス！今こそあたしに力を！ハァァァァァァァ……！たぁッ！」

その時その身に秘めたる”正義の大女神”の力を解放すると同時に棒に込められているフェミリンスの加護を受けたエステルは鞘から神剣を抜いて敵に斬撃を叩きこんだ後、空高くへと跳躍した！するとエステルの背には巨大な6対の魔力の翼が現れ

「浄化と裁きの神槍よ！今こそ顕れよ！！」

さらにエステルが片手を上げるとエステルの棒は天をも貫くかのような巨大な神槍に変化し

「神技――――ニーベルン・ヴァレスティ―――――ッ！！」

巨大な神槍となった棒を構えたエステルは突進して敵の頭の部分に神槍を刺し

「行っけ――――――――ッ！！」

大声で叫ぶと共に神槍を輝かせ、戦場全体を輝かすほどの光の大爆発を起こした！

「――――――――――――――――！！！？？」



コ……テ……『最後ノ試シ』……スル――――”起動者”……心……ヨ―――コレ……”巨イナルチカラ”…………―――世界……呑ミ……”焔”……”顎”ナ――――



そして光の大爆発に巻き込まれた敵はリィン達の頭に直接途切れ途切れに声を送りながら消滅し、敵の消滅を確認したパラスケヴァスとカファルーはそれぞれの主に戻った。するとその時リィンの目の前に一瞬何かの文字が現れた後文字はリィンの左胸のアザへと吸い込まれ、戦場全体が輝いて真っ白になった！



「……っ！」

「エマ……！最後まで見届けなさい……！」

そして眩しそうに眼を閉じているエマに忠告する娘の声が聞こえた瞬間、リィン達の意識は途切れた。

～旧校舎・最下層・終点～



「しっかりしなさい！」

「だ、大丈夫っ！？」

「しっかりしてください！あなた、エクリア姉様！」

「エステル！姉さん！」

「起きるのじゃ、エリゼ！」

「ん…………」

自分達を呼び起こす声に気付いたリィン達が目を覚ますと待機メンバーに加えてトワ達も地面に倒れて次々と起き上がるリィン達を囲むように集まっていた。



「ここは……元の場所？」

「夢でも……見ていたのでしょうか……？」

起き上がったアリサとエリゼは周囲を見回して目を丸くした。



「やれやれ、一応無事みたいだな。」

「お兄様達が無事で本当によかったです……！」

「心配したんだからね、ママ！」

「マスターがご無事でよかったです……」

「ツーヤ、呼び方が”マスター”に戻っているよ。」

「フッ、まあ状況を考えれば仕方ないだろう。」

ガイウスとセレーネ、ミントは安堵の表情をし、ツーヤの言葉に指摘したエヴリーヌにレーヴェは苦笑しながら指摘した。

「ビックリしたよ……いきなり倒れてるんだもん。」

「みんなも……」

そしてリィン達は立ち上がってそれぞれ考え込んでいた。



「その、委員長。さっきの出来事は……」

「おそらくは何かの”幻想”……現実では無かったんでしょう。ですが、皆さんが”試練”に打ち勝ったのは確かみたいです。トワ会長達がこの場所にいるのが何よりの証拠でしょう。」

「え――――」

エマの話を聞いたリィンが呆けて周囲を見回してトワ達がいる事に気付いて驚いた。



「先輩方がここにいるという事は……」

「……”異変”が収まったのか？」

「はいっ！鐘の音も止まりましたし、旧校舎を包んでいた謎の光も無くなりました！」

プリネとリウイの問いかけにトワは嬉しそうな表情で頷き

「ちゃんと調べてみないとわからないけど……旧校舎内部も今まで通りに戻ったみたいだね。」

「まあ、何はともあれ一件落着と言った所だよ。」

ジョルジュとアンゼリカが説明を続けた。



「そうですか……よかった。……これで、明日の学院祭を中止にしなくて済みますね？」

「―――それは無理ね。」

「え……」

「そ、そんな……異変は収まったのに！？」

「オイオイ、サラ。そいつはあんまりだろ？」

「そうよ！さすがに酷過ぎると思うわよ、サラさん！」

「何か心配事があるんですか？」

サラ教官の口から出た予想外の答えに仲間達と共に血相を変えたリィンは呆け、アリサは信じられない表情をし、クロウとエステルは反論し、エオリアは不思議そうな表情で尋ね

「た、確かに再び異常事態が発生しないとも限りませんが……」

マキアスは困った表情で考え込んでいた。



「もう、サラ教官……意地悪言ったら駄目ですよ～。」

「”明日”の学院祭は無理でも、”今日”の学院祭なら開かれる。つまり、そういう事さ。」

「現在24:15――――”今日は10月24日だ”。」

「ハハ……サラさんが”無理”と言った理由はもうわかっただろう？」

その時互いの顔を見合わせたトワは苦笑し、ジョルジュとレーヴェは説明し、ヨシュアは苦笑しながらリィン達を見回した。



「あ……」

「そうか……もう日が変わっていたのか。」

「はあ～……ビックリしたぁ。」

「心臓が縮むかと思いましたわ……」

「サラ、紛らわしすぎ。」

「ぶーぶー！ボクも本当にビックリしたんだからね～！」

「あんまり冗談ばっかり言っていたら、その内誰にも信じられなくなるよ。」

「おおっ！？エヴリーヌの口からそのような言葉が出てくるとは……成長しているではないか！」

「もう、リフィアったら……」

「うふふ、学院に通っている甲斐はあったようね、エヴリーヌお姉様♪」

「クスクス……」

仲間達と共にサラ教官に突っ込んだエヴリーヌの言葉に驚いたリフィアの様子を見たエリゼは呆れ、レンとペテレーネは微笑み

「やれやれ……悪趣味としか言いようがないな。」

「全くじゃの。」

呆れた表情で呟いたセリカの言葉にレシェンテは頷き

（……”試練”か。）

（あの時、”何か”がリィンさんの左胸に吸い込まれたようですが……）

リウイは真剣な表情で考え込み、エクリアはリィンを見つめていた。



「ふふっ……学院長の言い付けもあるし、今夜はとっとと帰って寝なさい。本番はあくまで”今日”の午後……ステージでの出し物でしょう？」

「はい……！」

「ふふっ、それじゃあシャワーでも浴びに早めに―――」

そしてアリサが嬉しそうな表情で提案しかけたその時、地震が起きた！



「ふえっ！？」

「扉……！？」

「そう言えば……あの赤い宝玉はどこに行ったの！？」

「わ、わかりません……いつの間にか消えていたみたいで……」

エステルの疑問に戸惑いの表情のエマが答えたその時扉は勝手に開いた！

「開く………！」

「こ、これは……！」

「あ――――」

そしてリィン達は自分達の目の前に現れたその場で地面に膝をついてジッとしている巨大な人形兵器らしき存在を見て驚いた！



こうして……旧校舎の”異変”を解決したリィン達の活躍によって、翌日の学院祭も無事開かれる事になった……！