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英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~(閃Ⅰ篇)

作者:sorano
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第179話

同日、21:00――――



それぞれの出し物の準備を終え、生徒達が寮に帰っている中、トワは一人最終チェックをしていた。



~校門~



「トワ、お疲れ様。」

トワがチェックをしているとジョルジュが近づいてきた。



「あ、ジョルジュ君。そっちもお疲れ様ー。難しそうな設営も何とかなったみたいだねー?」

「ああ、大変だったけどね。その分、去年以上に楽しいものになりそうだ。」

「そっか……えへへ。………………………」

ジョルジュの言葉を聞いて嬉しそうな表情をしたトワだったがすぐに心配そうな表情で黙り込んだ。



「アンのこと、心配かい?」

「うん……絶対に見に来てくれるとは思うけど……クロスベルであんな事があってその前にもテロ事件があって……帝国が大変になりそうな状況じゃやっぱり難しいかもって……アンちゃんの話ではレン姫は優しくて話がわかる人だって話だけど、周りの人達が許してくれるかどうか……」

「……そうだね。それもアンが今いるのは外国だ。普通に考えれば帝国がそのような緊張状態でありながら、いくら出身が祖国とは言え大貴族から預かった子女をそのような危険地帯に行かせるなんて、普通に考えればありえない。でも、どうしてかな?僕はあまり心配してないんだよね。こんな楽しそうな集まりにアンが顔を出さないなんて……そんなの想像すらできないから。」

「ジョルジュ君……うん、そうだよねっ!……えへへ……でも、やっぱりジョルジュ君……」

ジョルジュの言葉に嬉しそうに頷いたトワはある事を察して微笑ましそうにジョルジュを見つめ

「え?」

トワに見つめられたジョルジュは不思議そうな表情をした。



「ううん、何でもないのっ。そう言えば……”Ⅶ組”―――リィン君たちの所がまだ残ってるみたいだけど……まだ練習をやってるとか?」

未だ帰らないクラスを思い出したトワは不安そうな表情をし

「うーん、どうなんだろう?昼間覗いた時は、もう結構な完成度だった気がするけど……」

ジョルジュは首を傾げて考え込んでいた。



「うーん、でもクロウ君がプロデュースしてるから……ちょっと心配じゃない?」

「むう、言われてみれば。」

「あはは。ちょっと遅かったみたいね。」

そしてトワとジョルジュが互いの顔を見合わせたその時、サラ教官の声が聞こえ。声を聞いた方向へと振り向くとそこにはⅦ組の面々とシャロンがいた。



「リ、リィン君たち!?」

「おいおい……ずいぶんと消耗してるな。」

疲れた表情で肩を落としているリィン達を見たトワとジョルジュは驚いた。



「あ、ありえない……」

「……無茶すぎ……」

「づがれだ……ガーちゃん呼ぼうっと……」

「ええい……やめんか……」

「さ、さすがに私達も疲れたわね……ツーヤ……エヴリーヌお姉様……」

「はい…………影の国の時の修羅場並みでした……」

「全部……終わったら……クロウを半殺しにしてやる…………」

「エヴリーヌさん……クロウさんは……わたくし達の為に提案してくださったんですよ……?」

「ぐう、セリーヌ……おばーちゃあん……」

「ちょ、ちょっとエマ……ここで寝ちゃだめよ……?」

「そうだな……寝るならベッドだろう。」

Ⅶ組の面々はそれぞれ満身創痍の状態になり、その様子を見回したトワは冷や汗をかいた。



「えっと…………大丈夫なの?」

「ステージの方は何とか仕上がったのかい?」

「はは……何とか。」

「ギリギリでしたけど……」

「フッ、結社の”強化プログラム”すら真っ青な練習だったな。」

「全く、そんなもんと比べるんじゃないわよ。」

静かな笑みを浮かべて言ったレーヴェの言葉を聞いたサラ教官はジト目で指摘した。



「クハハ……後は本番次第って所だな。」

「大丈夫だろう……良い風が吹くに違いない。」

「やれやれ。やり切った顔をしちゃって。」

「ふふっ、皆様。本当にお疲れ様でした。」

「フッ、俺でも驚くレベルの練習だったぞ。」

クロウとガイウスの言葉を聞いたサラ教官は苦笑し、シャロンは微笑み、レーヴェはリィン達を称賛した。



「えへへ、そっか……」

「明後日の本番が楽しみだね。」

疲れていたリィン達はふと上を見上げた。



「あ――――」

「まあ……!」

すっかり学院祭の雰囲気になっている学院を見回したフィーは呆け、セレーネは興味ありげな表情をし

「ジェニス王立学園での学園祭を思い出すわね……」

「はい……」

「むしろあの時より豪華だね。」

プリネとツーヤは静かな笑みを浮かべ、エヴリーヌは興味ありげな表情で周囲を見回し

「……わぁ…………」

「飾りつけも完了か……」

「ふふっ……いよいよって感じね。」

「クク、去年よりも更に盛り上がりそうじゃねーか。」

Ⅶ組の生徒達もそれぞれ明るい表情をしていた。



「会長、ジョルジュ先輩も。本当にお疲れ様でした。」

「ああ、君達もお疲れ。」

「えへへ、それじゃあ明日は目いっぱい楽しんでね!」

その後寮に戻ったリィン達は明日の学院祭に備えて休み始めた。



~同時刻・ケルディック・風見亭~



「えへへ、学院祭か~。クローゼ達と一緒にやった劇を思い出すわね♪」

「うん!あの時のママ、とってもカッコよかったよ♪」

「僕にとっては忌まわしい出来事だったよ……ハア……」

同じ頃ケルディックの宿屋の一部屋を借りているエステル達は明後日に向かう学院祭の事について話し合っていた。



「そう言えばプリネ達の手紙ではリィン君達が契約している異種族の人達もそうだけど、アイドスさんも演奏会に参加するって書いてあったわよね?」

「えへへ、どんな演奏会になるのか、とっても楽しみだね♪」

「ハア……女神が人と混じって、大衆の前で音楽を演奏するなど前代未聞すぎますわ……」

「ハハ、明後日が楽しみだね。(まあ、詳しい事情を説明されていないセリカさんは間違いなく驚くだろうけど……)」

ある事を思い出したエステルとミントは興味ありげな表情をし、フェミリンスは疲れた表情で溜息を吐き、ヨシュアは苦笑しながらある人物を思い浮かべた。



~同時刻・???~



「ハア、リタちゃんがいないとテンション下がるな~。セリカさ~ん。どうしてリタちゃんまで残りの”使徒”の方達をこっちの世界に連れて来る為に一端帰らせたんですか?シュリさんだけで充分だと思うんですけど?」

同じ頃、謎の飛行艇の一室にいるエオリアは溜息を吐いた後不満げな表情でセリカを見つめ

「……リタには”冥き途”のタルタロスに説明してナベリウスを連れて来てもらう為に必要だから帰らせただけだ。それにレシェンテがいるのに不満なのか?」

エオリアの問いかけに答えたセリカはレシェンテを抱きしめているエオリアを呆れた表情で見つめた。



「当然です!という訳でリタちゃんが帰ってくるまで、レシェンテちゃんとメティちゃんがリタちゃんの分を補ってね♪」

「ええい、離せ!クッ、こんな事ならわらわもシュリと一緒に屋敷に戻るべきだったのじゃ……!セリカ!頼むから助けてくれ!”使徒”を助けるのも主の務めじゃろうが!?」

(そんな事になれば、メティが一番被害を受ける事になるだろうが!?)

エオリアに頬をスリスリされたレシェンテは嫌がり、心底後悔した様子を見せ、セリカに助けを求め、レシェンテの言葉を聞いていたセリカの身体の中にいるメティサーナは疲れた表情で声を上げた。



「仕方ないな…………―――エオリア、今から”使徒”としての役目をしてもらうぞ。」

レシェンテに助けを求められたセリカは溜息を吐いた後エオリアに近づき

「え”。ま、まさか……」

セリカの言葉を聞いてある事を察したエオリアが表情を引き攣らせると共にレシェンテを抱きしめていた両手の力を緩めた。

「今じゃ!―――セリカ、エオリア!わらわはリースの部屋に泊まらせてもらうから、今夜は帰ってこんからな!」

「あっ、レシェンテちゃん!?」

するとその瞬間、エオリアから抜け出したレシェンテは脱兎のごとく部屋を出た。



「え、えっと……本当にここで”する”んですか?さすがに”七耀教会”が保有している飛行艇で”性魔術”をするのは罰当たりな気がするんですけど。」

そしてエオリアは冷や汗をかいてセリカに問いかけたが

「逆に聞くが”神殺し”の俺が”神罰”を今更恐れると思っているのか?」

「で、ですよねー、アハハ……んんっ!?ちょっ、セリカさん!?前触れもなくいきなりするのは……ふぁ……ひゃんっ!?……ビックリするから……あ……あぁ……あんっ!?や、やめて……!」

逆に問いかけで返して来たセリカの言葉に苦笑した後セリカに押し倒されて深い口付けを交わしながら、セリカに抱かれ始めた。



「フウ、助かったのじゃ……全く、これからの事を考えると頭が痛くなってくるのじゃ……ブツブツ……」

一方自分達が泊まっている部屋を出たレシェンテはブツブツ呟きながら歩き出し

「?どうされたのですか、レシェンテさん。」

対面側からリースが近づいて来てレシェンテに話しかけた。



「おお、リースか。ちょうどよい。今夜はお主の部屋に泊めてくれ。」

「?別に構いませんが、何故ですか?」

「セリカの奴がエオリアに”性魔術”を施しておるから、今夜は帰れん。」

「!!!??……………………あの。貴女達は”メルカバ”を何だと思っているのですか?その内罰が当たりますよ。」

レシェンテの答えを聞いたリースは顔を真っ赤にして驚いた後ジト目になってレシェンテを見つめたが

「クロスベルの”至宝”の件で手伝ってやるのじゃから、そのくらいの事は見逃せ。というか”神殺し”のセリカや”女神”であるわらわが神による”罰”を恐れると思っているのか?しかもお前達が崇める女神はあのエステルの先祖じゃぞ?」

「………………………………さすがに、我らの主神エイドスがエステルさんのような性格ではないと思うのですが。どちらかと言うと母親であるフィーナさん似かと思います。」

レシェンテの指摘に冷や汗をかいて黙り込んだ後静かに呟いた。



「そうかの?――まあいい、明日はさっき伝えた通り、夜にケルディックの郊外に送ってくれ。宿はレンが用意してくれた領主の屋敷の部屋の一室を使わせてもらう事になっている。」

「ええ、それは構いませんがよろしいのですか?士官学院には遊撃士協会と連絡を取り合っている元遊撃士の教官がいるとの事ですが。遊撃士協会にエオリアさんの事は勿論、表向きは帰国したはずの貴女達の事まで判明してしまいますよ?」

「仕方ないじゃろうが。アイドスが学院祭の出し物とやらに参加するという話をエクリアの便りで知ったセリカがどうしても見ると言うからの……」

リースの問いかけにレシェンテは呆れた表情で答え

「……………………女神が人と共に学院祭に参加する等、歴史上初でしょうね。アイドスさんはサティアさんの妹……まさかとは思いますが将来サティアさんを産む事になっているエステルさんの影響を受けたのでしょうか?」

冷や汗をかいて黙り込んでいたリースは疲れた表情で推測し

「フェミリンスの事を考えると洒落になっておらんぞ、その推測は……」

リースの答えを聞いたレシェンテは表情を引き攣らせた。



そして翌日、”トールズ士官学院祭”が始まった……!




 
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