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英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~(閃Ⅰ篇)

作者:sorano
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第162話

課題を終えたリィン達が街に戻ってくると突如サイレンが聞こえて来た!



~ルーレ市~



「え……!?」

「こ、この音は!?」

「サイレン……!?」

サイレンを聞いたリィンとエリオット、ツーヤは驚いた後仲間達と共に周囲を見回すと工場の一角が火事になっていた!

「煙……!」

「まさか火事ですか!?」

「もしかして軍需工場から!?」

「火事かなにかか……!?」

「チッ、とにかく行ってみるぞ!」

そしてリィン達は火事になっている工場に急行した。



リィン達が現場に到着すると、工場から逃げ出して来たと思われる工員や研究員達がいた。

「げほげほ……し、死ぬかと思った……」

「大丈夫ですか………!?」

「一体何が起きて……!?」

「ワ、ワケがわからん……いきなり、工場の中に魔獣が現れたと思ったら……」

「ま、魔獣……!?」

「こんな街中にかよ!?」

「一体何故……」

警備兵の話を聞いたエリオットとクロウは驚き、セレーネは信じられない表情をした。



「い、いや……ありゃ普通の魔獣じゃなかった。何だか、機械仕掛けのカラクリみたいな……」

「それって……」

「も、もしかしてガレリア要塞で見た……!?」

「人形兵器……!」

工員の話を聞いたエリオットやマキアス、ツーヤは真剣な表情で呟いた。するとその時爆発が起きた!



「う、うわああっ……!」

「きゃあっ!?」

突然の爆発にエリオットとセレーネは悲鳴を上げ

「くっ、積んでる火薬に引火したのかも……!?」

「……マズイね。」

アリサは唇を噛みしめて推測し、フィーは厳しい表情で工場を睨んだ。



「ま、まだ中に仲間がっ!!」

「そんな……!」

「チッ、逃げ遅れがいんのかよ!?」

表情を青褪めさせた工員の話を聞いたセレーネは表情を青褪めさせ、クロウは舌打ちをし

「あ、ああ……奥のフロアにまだ残っている。詰めている警備兵も無事かどうか……」

「鉄道憲兵隊や領邦軍はまだ来ないのかっ!?」

警備兵の話を聞いたマキアスは怒鳴った。



「そういえば、サイレンもいつの間にか止まってるけど……」

「爆発で故障したのかもしれないね。」

「……こうなったら、俺達で突入しよう。」

「それって……!」

リィンの提案を聞いたエリオットは驚きの表情で仲間達と共にリィンを見つめた。



「今、この場で動けるのは俺達だけだ。アリサの実家の従業員も大勢いる……放ってはおけない!」

「リィン……」

「ま、待てっ……危険だ!せめて鉄道憲兵隊の応援が来てから……」

警備兵はリィン達の身を心配して警告したが

「……決断は早い方がいい。残されている人の生存率がそれだけ上がる。」

「警備兵のみなさんは、この場の人達の避難誘導を!」

「くっ、確かにそれもあるが……」

フィーとマキアスの話を聞いて反論できなくなった。



「こ、こうなったら兄ちゃんたちに賭けるしかねえ!」

「ああ、なんとか仲間達を助けてやってくれ!」

「クク、まあ任しときな。」

「トールズ士官学院”Ⅶ組”……これより、軍需工場へと突入する!」

「おおっ!」

そしてリィン達は工場に突入した!



「あ、あれは……!」

「なにあれ……!?」

工場に突入したリィン達は今まで見た事の無い一際大きい人形兵器と、工員を庇う警備兵達を見つけた。



「ば、化物め……!」

「くっ、応援はまだか!?」

「く、くそっ……」

「このままじゃ……」

工員や警備兵達が悲痛そうな表情をしていると人形兵器は警備兵達にゆっくりと近づいてきた。

「ひいいいいっ……!」

「め、女神さまっ……!」

「―――待て!」

そして人形兵器が今にも警備兵達に危害を加えようとしたその時、リィンが声を上げて人形兵器の注意を自分達へと逸らした。



「あ、あんたたちは……!」

「ここは僕達に任せてください!」

「工員達の避難を!」

「わ、わかった……!」

マキアスとアリサの指示を聞いた警備兵達は工員達を警護しながら人形兵器から距離を取った。



「くっ、とは言ったものの……!」

「今までとは比べ物にならないくらい、手強そうですね……」

マキアスは目の前の脅威に唇を噛みしめ、セレーネは不安そうな表情をし

「やっぱ”結社”とやらの人形兵器かよ。へっ、ガレリア要塞で見た奴等より厄介そうだな。」

「”結社”の人形兵器と戦った事のあるあたしも始めてみるタイプです。正直、何をしてくるかわかりません。」

「重火力タイプっぽい。油断すると一気にやられそう。」

クロウは不敵な笑みを浮かべ、ツーヤとフィーは警戒の表情で睨んだ。

「攪乱しつつ一気に畳みかけるぞ!」

「ええ……!」

そしてリィン達は人形兵器との戦闘を開始し、協力して人形兵器を撃破した!



「はあっ、はあっ……」

「た、倒せたか……」

「手強かったですわね……」

「やれやれ、さすがに骨が折れたな。」

人形兵器を倒し終えたリィン達はそれぞれ武器を収めた。



「す、すげえ……」

「あんなデカブツを倒しちまうなんて……」

「そうか、その制服……あの”士官学院”の……」

リィン達の戦闘を見ていた工員や警備兵達は驚きの表情でリィン達を見つめていた。



「よかった……みんな無事みたいね。」

「ええ……誰も重傷を負っていないようですから、救出は成功ですね。」

任務完了(ミッションコンプリート)?」

「はは、そんなところだろう。」

無事の様子の工員達を見たアリサとツーヤは安堵の表情をし、フィーが呟いた言葉にマキアスは苦笑しながら頷いた。

「―――無事ですか、皆さん!」

するとその時クレア大尉率いる鉄道憲兵隊が現れた。



「クレア大尉……!」

「鉄道憲兵隊か……」

「……どなたも大事に至ってないようですね。後は我々が対処しますので皆さんは建物の外へと避難してください。」

「えっ……?」

「どういうことですか?」

「あの……わたくし達も手伝いますよ?」

クレア大尉の指示を聞いたエリオットとリィン、セレーネは不思議そうな表情をした。



「ここは軍事機密に属する軍需工場です。例えRF社のご令嬢やメンフィル帝国の貴族の方々でも、関係者以外の立入は本来、許可されていません。」

「それは……」

「微妙に納得はいかねえが……」

「ま、仕方なさそうですね。」

「……ええ……」

クレア大尉の説明を聞いたアリサは複雑そうな表情をし、クロウは疲れた表情をし、フィーの呟いた言葉にツーヤは静かに頷いた。



「………クレア大尉、後はよろしくお願いします。」

「ふふ……ええ、お任せ下さい。―――各員、彼らを迅速に外まで案内してください。要救助者ともども、くれぐれも丁重にお送りするように。」

「イエス・マム!」

こうして、鉄道憲兵隊によって軍需工場はあっという間に制圧された。人形兵器の駆逐や鎮火活動も迅速かつ手際よく進められていき、事件は収束することになるのだった。



「………とりあえずは一件落着みたいだな。」

「残されていた人達もみんな無事に保護できたってさ。あはは……やっぱりさすがだよね。」

「ああ……改めてすごさを実感するな。さすがは”鉄血宰相”直属の組織というべきか。」

「戦いを生業とする兵士の方達なのに、消火活動もできるのは驚きましたわ……」

「ふふっ、兵士は本来民を守る存在だからね。軍隊と言うのは何も戦争や他国からの侵略を防ぐだけの存在ではなく、災害が起これば真っ先に救助に動く組織でもあるんだよ、セレーネ。」

鎮火した工場を見つめたリィンは安堵の表情をし、エリオットの言葉にマキアスは頷き、驚いている様子のセレーネをツーヤは微笑みながら見つめて言った。



「でも……やっぱりこれってテロリストの仕業なのかしら。」

「可能性は高そうだな。」

「そだね……テロリスト自体がここにいない理由がわからないけど。」

「確かに……ちょっと目的がつかめない感じだな。」

「まさか何かを為す為の”囮”でしょうか……?」

「―――それに関しては目下調査中です。」

リィン達がテロリスト達について話し合っているとクレア大尉がリィン達に近づいてきた。



「クレア大尉……」

「その、お疲れ様でした!」

「ふふ、皆さんの方こそ。おかげさまで、そこまで大きな被害を出さずに済みました。」

「はは……大したことは。」

「わたくし達は自分達で出来る事をしたまでですわ。」

「とにかく残されていた人々も無事でよかったです。」

クレア大尉に労われたマキアスは苦笑し、セレーネは謙遜した様子で答え、アリサは安堵の表情で答えた。



「ええ……そうですね。―――あくまで結果論ですが。」

「え……」

しかし真剣な表情で自分達を見つめるクレア大尉の言葉にエリオットは仲間達と共に目を丸くした。



「たまたま人形兵器を倒せたのは幸いでしたが……私達の到着を待たずに現場に踏み込んだのはいただけませんね。機密的な問題もありますし、二次被害の可能性も十分理解していたはずです。」

「う……」

「それは……」

「……………」

クレア大尉の指摘にアリサは唸り、セレーネは辛そうな表情をし、ツーヤは目を伏せて黙り込んでいた。



「”危機”の輪郭を見極め、できれば近寄らないこと―――そう忠告したはずですが?」

「………………」

クレア大尉にジト目見つめられたリィンは返す言葉がなく、黙り込み

「やれやれ、手厳しい姉ちゃんだなぁ。」

「まあ、言えてるかもしれないけど……」

「クレア大尉は”軍人”として、あたし達の身を心配して注意しているのですから、クレア大尉の言う事が正しいですね。」

クロウは疲れた表情で溜息を吐き、フィーとツーヤは静かに呟いた。



「それでも……危険から目を逸らし続けることはできません。」

「え……」

しかし決意の表情で自分を見つめるリィンの言葉を聞いたクレア大尉は呆けた。



「そこに”力”がある以上……どう付き合うか考える必要がある。それじゃありませんか?」

「あ……」

「リィン……」

「お兄様……」

「………………ふふ、仕方がありませんね。」

リィンの話を聞いたクレア大尉はリィンの目をジッと見つめた後苦笑した。



「……え……」

「結果的には大きな被害もありませんでしたし、今回は大目に見ましょう。今後はもう少し気を付けるように。……いいですね?」

「……は、はいっ。」

「ハハ、な~に慌ててんだっつの。」

困った表情をしたクレア大尉の確認の言葉に若干慌てた様子で答えたリィンを見たクロウは口元に笑みを浮かべ

「やっぱり鼻の下伸びてる?」

「クレア大尉は凄い綺麗な方ですから仕方ありませんよね……」

「ギロッ……」

フィーは不思議そうな表情で苦笑するセレーネと共にリィンを見つめ、アリサはリィンをギロリと睨んだ。



「い、いやだからそんなんじゃないってば!」

「あはは……」

「ハア……現状を考えると、そう思われても仕方ありませんよ。」

慌てた様子で反論するリィンの様子をエリオットは苦笑しながら見つめ、ツーヤは疲れた表情で指摘した。



「ところで……あの人形兵器は一体どこから?テロリストらしき人物はいなかったようですし……」

「そういえば……」

「ええ、私達も気になって調べましたが……どうやら、いくつかのコンテナに収納されて搬入されたようです。―――3ヶ月以上も前に。」

「さ、3ヶ月以上前……!?」

「どうして誰も気付かなかったのでしょう……?」

「……俺達がノルド高原に行った6月末くらいの話になるのか。」

クレア大尉の話を聞いたアリサは驚き、セレーネは不思議そうな表情をし、リィンは考え込んだ。



「そして”帝国解放戦線”が帝都で名乗り上げる1ヵ月ほど前でもあります。……正直、我々もチェックをし損ねていたくらいです。」

「と、途轍もない話だな……そんな前から今回の事件を計画していたってことですか?」

無念そうな表情で語ったクレア大尉の話を聞いたマキアスは驚きの表情で尋ねた。



「ええ……恐ろしく切れる相手のようです。テロリストのリーダー格―――”C"と呼ばれる仮面の男。おそらくは彼の仕掛けではないかと。」

「”C”……それって。」

「お前らが帝都で出会ったっていうヤツか。」

「ああ……」

「……”英雄王”と何度か斬り合う事ができていたから、相当の使い手である事は間違いないね。」

「た、確かにあの時はリウイ陛下の強さが目立っていたから、あの仮面の男の腕はよくわからなかったけど、今考えるとあのリウイ陛下と一人で立ち向かえるなんて、腕に自信がある証拠だよね……?」

「ええ……あたしが戦ったスカーレットとも比べ物にならないでしょうね。」

”C”の強さを思い出したフィーとエリオットは真剣な表情になり、ツーヤは推測し

「やれやれ、頭まで切れるとはつくづく化物じみてるな。」

マキアスは疲れた表情で溜息を吐いた。



「そうですね……今後も注意は怠れないでしょう。とにかく、ここは我々に任せてください。皆さんは戻って実習のほうを―――」

そしてクレア大尉はリィン達をその場から解放しようとしたが、何かに気付いた。

「―――ッ――――?」

「クレア大尉……?」

「どうされたんですか?」

突如目を閉じて黙り込んだクレア大尉を見たリィンとアリサは不思議そうな表情で尋ねた。



「……どうして領邦軍はまだ動いていない……!?とっくに事件の報せは行っているはず……しまった、領邦軍の方を―――!」

「???」

「おいおい、どうしたって……」

クレア大尉の独り言を聞いていたフィーは首を傾げ、クロウは戸惑っていた。



「クレア大尉!!」

その時鉄道憲兵隊員が慌てた様子でクレア大尉に近づいてきた。

「ザクセン鉄鉱山の方で動きが!」

「―――どうやらテロリストが急襲した模様!」

「なっ……」

「なんですって!?」

「……やはり。―――総員撤収、鉄鉱山に向かいます!司令部へ伝達!近隣より12個中隊を2時間以内に回るように要請を!」

「イエス・マム!」

そしてクレア大尉と鉄道憲兵隊はその場から慌てた様子で去って行った。



「い、一体何が起こっているの……?」

「わからない……けど。」

「鉄鉱山がテロリストに襲われたとかなんとか……!」

「鉱員の方達は無事でしょうか……?」

「……わからない。列車砲でオルキスタワーを狙ったくらいだからね……」

クレア大尉が去った方向をエリオットは戸惑いの表情で見つめ、フィーとマキアスは真剣な表情になり、心配そうな表情をしているセレーネの言葉を聞いたツーヤは真剣な表情で答え

「……鉱山長たちが!」

アリサは悲痛そうな表情をした。



「どうやら行ってみるしかなさそうだな。」

「ああ……急いで追いかけよう!」

そしてリィン達はザクセン鉄鉱山に急行した。
 
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