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英雄伝説~光と闇の軌跡~(SC篇)

作者:sorano
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第86話

~グランセル城・謁見の間~



「あ……」

「父さん……」

「お祖父ちゃん………」

カシウスに気づいたエステル、ヨシュア、ミントはカシウスを見た。

「カシウス殿、ご苦労様でした。」

「各方面への指示は完了したのか?」

「ええ、先ほど終わらせてこちらの方へ飛んできました。そこで少々、父親としての義務を果たそうと思いまして。」

「え……」

女王とモルガンの言葉に頷いたカシウスはヨシュアに近づいた。カシウスの言葉を聞いたエステルは呆けた声を出した。

「……昨日、通信で話したが実際に顔を合わせるのは久々だな。」

「うん……そうだね。……ごめん。心配をかけてしまって。」

自分を見つめて静かに語るカシウスにヨシュアは静かに頷いて答えた。

「お前の誓いを知っていた以上、俺も共犯みたいなものさ。謝る必要はないが……義務は果たさせてもらうぞ。」

そしてカシウスはヨシュアの頬を叩いた!



「「っ……」」

「きゃっ……」

「ちょ、ちょっと父さん!?」

カシウスの行動にミントとティータ、クローゼは驚き、エステルはカシウスを睨んで責めたが

「……いいんだ、エステル。家出息子には……当然のお仕置きだからね。」

「そういうことだ。思っていた以上に皆に心配をかけていたこと……ようやく実感できたようだな?」

ヨシュアは叩かれた頬を手で抑えて静かに語り、カシウスは頷いた後、ヨシュアを見て尋ねた。

「……うん。僕なんかのために―――なんて思ったら駄目なんだよね。」

「ああ……。人は様々なものに影響を受けながら生きていく存在だ。逆に生きているだけで様々なものに影響を与えていく。それこそが『縁』であり―――『縁』は深まれば『絆』となる。」

「……『絆』……」

「そして、一度結ばれた『絆』は決して途切れることがないものだ。遠く離れようと、立場を(たが)えようと何らかの形で存在し続ける……。その強さ、思い知っただろう?」

ある言葉を聞いて呆けているヨシュアにカシウスは説明し、そして笑顔を見せて尋ねた。

「うん……正直侮っていた。確かに僕は……何も見えてなかったみたいだ。」

「ヨシュア……」

「フフ、それが見えたのなら家出した甲斐もあっただろう。」

そしてカシウスはヨシュアを抱き締めた。

「ヨシュア……この馬鹿息子め。本当によく帰ってきたな。」

「お祖父ちゃん……」

「フッ、親馬鹿が……」

「ふふ……本当に良かった。」

ヨシュアを抱き締め、安堵の表情で語るカシウスを見て、ミントは微笑み、モルガンは口元に笑みを浮かべ、女王は微笑ましそうに見ていた。

(フフ………私が知らない内にたくさんの『絆』ができたのね………こんなにも多くの人達に心配され、そして暖かい家族に囲まれているヨシュアは幸せ者ね……もう、”私”という存在は必要ないのかもしれないわね………)

(カリンさん……………どうしてあんなに寂しそうな表情をしているんだろう………?………後で聞かなくちゃ。)

一方プリネは寂しげな笑みを浮かべてヨシュアを見つめ、プリネの様子を見たエステルはある事を不思議に思った後、決意の表情になった。



「失礼します!」

その時、ユリアが大慌ての様子で謁見の間に入って来た。

「ユリア大尉……」

ユリアの様子から何か重大な事を知らされると思った女王は気を引き締めた表情になった。

「王都を除いた5大都市の近郊に正体不明の魔獣の群れが現れました!報告から判断するにどうやら人形兵器と思われます!」

「あ、あんですって~!?」

「動き出したか……」

ユリアの報告を聞いたエステルは驚き、ヨシュアは気を引き締めた表情で呟いた。

「それと、各地の関所に装甲をまとった猛獣の群れと紅蓮の兵士たちが現れました!現在、各守備隊が応戦に当たっております!」

「そうか……」

「急いでハーケン門に戻る必要がありそうだな……」

ユリアの報告にカシウスは重々しく頷き、モルガンも頷いた。

「そ、それと……」

「なんだ、まだあるのか?」

言いにくそうな表情をしているユリアにモルガンは尋ねた。



「詳細は不明なのですが……”四輪の塔”に異変が起きました。得体の知れぬ『闇』に屋上部分が包まれたそうです。」

「!!!」

「まさか、”四輪の塔”を用いるのが第3段階……」

「あの塔にそんな秘密があったなんて………」

「塔の件もそうだけど、敵は本格的に動き出したようだね………」

「チッ……嫌な予感が当たりよったか。」

ユリアの報告を聞いたエステルは目を見開いて驚き、プリネは真剣な表情で呟き、ツーヤは信じられない表情になり、リタは気を引き締めた表情になり、そしてケビンは舌打ちをした後真剣な表情で呟いた。

「なお、哨戒中の警備艇が調査のため接近したそうですが……すぐに機能停止に陥り、離脱を余儀なくされたのことです。」

「『導力停止現象』か……」

「地上からの斥候部隊は?」

「すでに派遣されたそうですが……」

カシウスの疑問にユリアが答えようとしたその時

「も、申し上げます!」

一人の王国軍士官が慌てた様子で謁見の間に入って来て、報告をした。



「各地の塔に向かった斥候部隊が撃破されてしまったそうです!し、信じ難いことですが、どの部隊もたった1人によって蹴散らされてしまったとか……しかもその中には巨大な機械人形もあったそうです!」

「なに……!?」

「そ、それって……!」

「ああ……”執行者”だろうね。巨大な機械人形というのも気になるし、父さん……彼らは一般兵の手に余る。ここは僕に行かせてほしい。」

士官の報告を聞いたユリアは驚き、エステルは血相を変え、ヨシュアは静かに頷いてカシウスを見て提案した。

「ふむ……」

ヨシュアの提案にカシウスは考え込んだ。

「ちょっとヨシュア……なに1人で行こうとしてるのよ。昨日の約束をもう忘れたの?」

「エステル、でも……」

「”結社”が動き始めた以上、遊撃士としても放っておけない。絶対に付いて行くからね。」

「エステル……」

エステルの答えを聞いたヨシュアはエステルを見つめ

「エステルだけじゃないわ。あたしも付き合わせてもらうわよ。個人的な因縁もあるしね。」

「ああ、俺も同じくだ。」

「シェラさん、ジンさん……」

「ま、拘りがあるのはお前だけじゃねえってことだ。抜け駆けはナシにしようぜ。」

「そ、そうだよお兄ちゃん!こーいう時こそみんなで力を合わせなくちゃ!」

「アガットさん、ティータ……。……ありがとう、助かります。」

シェラザード達の心強い言葉を聞いたヨシュアはお礼の言葉を言った。



「決まりのようだな。遊撃士協会にお願いする。”四輪の塔”の異変の調査と解決をお願いする。これは軍からの正式な依頼だ。」

「うん……分かったわ!」

「しかと引き受けました。」

カシウスの依頼にエステルとヨシュアは力強く頷いた。

「……お祖母様。私に”アルセイユ”を貸していただけませんか?」

その様子を見ていたクローゼは決意の表情で女王にある提案をした。

「へっ……!?」

「で、殿下!?」

「ふふ……確かに一刻を争う事態です。わたくしも”アルセイユ”を提供しようと思いましたが……。そう申し出たということは覚悟が固まったという事ですか?」

クローゼの提案にエステルとユリアは驚き、女王は微笑んだ後、クローゼを見つめて尋ねた。

「いえ……まだです。ですが、船をお返しする時には必ず答えを出すと約束します。」

「ふふ……いいでしょう。リベールの希望の翼、好きなように使ってみなさい」

凛とした表情のクローゼを見た女王は微笑んで言った。

「ありがとうございます。ユリア大尉、発進の準備を。可及的速やかに”四輪の塔”へ向かいます。」

「承知しました!」

クローゼの指示にユリアが敬礼をしたその時!

「し、失礼します!」

さらに他の士官が慌てた様子で謁見の間に入って来た。



「今度は何だ?」

「ハッ!グリューネ門にて1個中隊を超えるメンフィル帝国兵達が集結しています!」

モルガンに尋ねられた士官は敬礼をして報告した。

「何……!?何故それほどの数のメンフィル兵達がこのタイミングで王都付近の関所に……!?」

「…………プリネ姫。貴女のご指示でしょうか?」

士官の報告を聞いたユリアは驚き、カシウスは静かにプリネに尋ねた。

「………グリューネ門にいる兵達は正規軍ですか?」

カシウスに尋ねられたプリネは士官に尋ねた。

「いえ、”ファラ・サウリン”卿と”ルーハンス”卿の護衛部隊と名乗りました!」

「「え!?」」

「それって…………」

士官の報告を聞いたエステルとミントは驚き、シェラザードはエステルとミントを見た。

「”ファラ・サウリン”卿に”ルーハンス”卿………そのお二方の護衛部隊がボース復興に為に兵を派遣して頂いたと聞きましたが………その護衛部隊はお二方の指示によって、グリューネ門に来たのですか?」

「いえ、それが………リウイ皇帝陛下の指示により、『現在王都にいる2人からの指示を仰げ』という指示の元、グリューネ門に来たそうです!」

士官の報告を聞いた女王は考え込んだ後、尋ね、尋ねられた士官は一瞬戸惑った後、答えた。

「王都にお二方が………私はそんな報告を聞いておりませんが。」

士官の報告を聞いた女王はカシウスとモルガンを見た。

「………私達も存じ上げておりませぬ。………ちなみに将軍はボースでお二人とお会いしたのですか?」

「いや………一度お会いしたかったのだが、会えずじまいでな。顔どころか性別も知らぬ。そういえばお主の娘は会った事があるようだったぞ。」

女王に尋ねられたカシウスは首を横に振って答えた後モルガンに尋ね、モルガンも首を横に振って答えた後、エステルを見た。

「エステル、お前は今”ファラ・サウリン”卿と”ルーハンス”卿がどこにいるか知っているか?」

「(……………いつかはわかる事だし、仕方ないか………リベールを守る為でもあるし………)……………うん、知っているわ。」

「ママ!?」

「エステルさん!?」

カシウスに尋ねられたエステルは考え込んだ後決意の表情で答え、エステルの答えを聞いたミントとクローゼは驚いた。

「そうですか………申し訳ないのですが、エステルさん。お二方にわたくし達を紹介して頂けないでしょうか?お二方に今グリューネ門にいる護衛部隊の件について尋ねたいので………」

「………わかりました。ミントと一緒に連れてくるので、女王様達はご足労かもしれませんが、先にメンフィルの兵士さん達がいるところに向かって下さい。そこに2人を連れてきますので。」

「わかりました。お願いします。」

(…………………?)

(…………エステル?)

エステルの言葉に女王は頷いた。一方カシウスとヨシュアはいつもと違う雰囲気を出しているエステルに首を傾げた。



そしてエステルとミントは仲間達と一端別れた後、ギルドに向かって、通信である人物と話し、そして2人はミルスを去る際リフィアから渡されたそれぞれの”貴族”としての服に着替え、”ファラ・サウリン”家と”ルーハンス”家のマントを羽織り、エステルは髪飾りを付けて、自分達の護衛部隊と女王達がいるグリューネ門に向かった………






 
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