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英雄伝説~光と闇の軌跡~(SC篇)

作者:sorano
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第25話

パズモ達とヴァルターの戦い。『執行者』であるヴァルターに苦戦すると思われたパズモ達だったが、対するパズモ達は一人一人過去の仲間達と共に激しい戦いを生き抜いた歴戦の戦士達。実力もあるパズモ達は連携をして逆にヴァルターを苦しめた。



~温泉の源流・最奥~



(光よ、集え!光霞!!)

「甘いんだよっ!」

パズモの放った魔術をヴァルターは回避し、そしてパズモに狙いをつけたが

「行きます!二連射撃!!」

「チッ!鬱陶しい!」

テトリの攻撃に気付いて、テトリが放つ矢を”気”の弾を放って撃ち落とし、そしてテトリにも”気”の弾を放った!

「わわっ………!」

攻撃に気付いたテトリは慌てて回避した。

「雑魚は消えな!」

(!!)

そしてヴァルターがパズモに攻撃しようとしたその時

「させませんわ!」

ニルがパズモの目の前に立ちはだかって、結界を貼って防御した!

「何!?」

攻撃を防御されたヴァルターは驚いた。



(燃えよっ!)

そこにサエラブが炎の玉をヴァルターに向かって連続で吐いた!

「チッ!」

サエラブの攻撃に気付いたヴァルターは舌打ちをして回避した。

(戦意よ、失え!消沈!!)

そしてパズモは魔術を放ってヴァルターの身体能力を下げた。

「!?身体が………!何をしやがった………!」

パズモの魔術にかかったヴァルターは身体に違和感を感じた後パズモを睨んだ。

「ヤアッ!!」

そこにテトリが矢をヴァルターに放った!

「ハッ!そんな矢に当たるとでも……」

テトリの攻撃に鼻をならしたヴァルターは回避しようとしたが

「!?グアッ!?」

いつもの動きができず、回避ができず肩に矢が刺さり、呻いた。

「……のヤロウ!俺の動きをトロくしやがったな!舐めた真似を!」

いつもの動きができない原因を作ったのがパズモの魔術と気付いたヴァルターは肩に刺さった矢を抜いて、握りつぶしてパズモを睨んだ。そしてそこにサエラブがヴァルターに向かって突進して来た!

「ハッ!身体の動きが遅くなったからって、獣風情が正面で俺に勝てると思っているのか!」

サエラブの行動に不敵に笑ったヴァルターは拳を構えて迎撃の構えをしたが

「フフ………前ばかりに気を取られていていいのかしら?」

なんといつの間にか不敵な笑みを浮かべたニルがヴァルターの背後で雷を籠らせた連接剣を構えていた!

「なっ……!?」

ニルの存在に気付いたヴァルターは驚いた!

(フン!)

「電撃剣!!」

そしてサエラブは爪で斬り上げ、ニルは電撃が籠った連接剣で斬り下してヴァルターを同時に攻撃した!

「グアアアアアアッ!?」

サエラブには腹の一部を斬り裂かれ、ニルの攻撃で背中を斬られたヴァルターは斬られた部分から大量の血を出して、身体に伝わる痛みと電撃を直に喰らった痛みの悲鳴を上げた!そして2人は一端ヴァルターから離れ、2人がヴァルターから離れるとパズモとテトリの魔術が発動した!

(光よ、我が仇名す者達に裁きを!槌の光霞!!)

「大地の怒りを!地響き!!」

「ガアッ!?」

パズモとテトリの魔術攻撃をまともに喰らったヴァルターはさらに呻いた。



「わあ………凄い!ニルさん達、『執行者』を追い詰めているよ!」

「パズモ達ってあんなに強かったんだ………」

一方戦いの様子を見ていたミントははしゃぎ、エステルはパズモ達の強さに驚いていた。

「す、凄いです………!」

「フフ………味方でいたら、本当に心強いですね。」

「………実力もそうだが、連携や動きがハンパねえ………悔しいが下手に手を貸すより、奴らに任せた方がいいかもしれねえな………」

パズモ達の活躍をティータやクロ―ゼは明るい表情で見て、アガットは苦い表情をしてパズモ達の戦いを見ていた。



(戦意の祝福!!)

(フン!)

「ゴフッ!?」

パズモの援護魔術を受けたサエラブは普段よりさらに速い動きになった事で威力も倍増した炎を纏って突進するサエラブの技――炎狐強襲を回避できず、腹に受けたヴァルターは吹っ飛んだ!吹っ飛ばされたヴァルターは空中で受け身をとって、拳を構えた。

「光よ、降り注げ!爆裂光弾!!」

「行きます!制圧射撃!!」

「グアアアアッ!?」

しかしそこに、さらにたたみかけるように放ったニルの放った魔術とテトリの弓技が雨のように降り注ぎ、命中したヴァルターはさらに呻いた!

「ククククク……………これだよ!このいつ死ぬかわからないゾクゾクした感じを感じたかったんだ!」

追い詰められているかと思われるヴァルターだったが、逆に凶悪な笑みを浮かべていた。

「ぴ、ぴえええええ~……!な、何なんですか、あの人!傷を負っているのに喜んでいるとか、信じられません!」

テトリはヴァルターの様子を見て怖がった。

(命を天秤にかけて、戦う事だけを楽しみに生きている狂戦士………一番、厄介な相手ね………)

パズモは厳しい表情でヴァルターを見ていた。

(…………ニル。気は進まないが………最悪、殺す事も考えておくぞ。この手の輩は退き際を考えない上、止めを刺すまで油断できん。)

(………エステルが見ている目の前で殺しはしたくなかったけど………そうも言ってられないわね…………)

サエラブの念話にニルは気が進まない様子で頷いた。

「やれやれ………もう少し早く来るべきだったかな?」

その時エステル達の方から男性の声が聞こえて来た。

「え………」

聞き覚えのある声を聞いたエステルは驚いた。

「雷神掌!!」

そして大きな気の弾がヴァルターに襲いかかった!

「ぬッ!?」

気の弾に気付いたヴァルターは回避した。

「はああああっ!」

そしてそこに大柄な東方風の男性――ジンがヴァルターに向かって連続で蹴りを放った!ジンの攻撃をヴァルターは驚きながらも防御した。



「………………………………」

攻撃を終えたジンは構えを解かず、ヴァルターを睨んでいた。

「フッ……。さすがはエステル君のナイト達だね♪」

さらにオリビエも現れた。

「オリビエ!それに……ジンさん!?」

「よう、エステル。ずいぶん久しぶりだな。もっと早く来るつもりだったが向こうの仕事が長引いてな……。少し遅かったみたいだが、間に合ったようだな。」

「ったく……少し、遅いんだよ。」

アガットは心強い援軍を見て苦笑していた。

「ククク……。レーヴェの報告にあったカルバードのA級遊撃士……。ジン、てめぇのことだったか。」

一方ジンの登場に驚いたヴァルターだったが、不敵に笑ってジンを見た。

「まあ、そういうことだ。まさか、こんな場所であんたと再会するとはな……。いつから『結社』なんぞに足を突っ込んでいやがるんだ?」

「クク、あの後すぐにスカウトされちまってな。なかなか刺激的な毎日を送らせてもらってるぜ」

「馬鹿なことを……。あんた、自分がいったい何をしているのか判っているのか!?そんなんじゃ師父(せんせい)はいつまで経っても浮かばれ……」

ヴァルターの答えを聞いたジンが何かを言いかけようとしたその時、ヴァルターは一瞬で移動してジンに攻撃した!ヴァルターの攻撃に気付いたジンはガードして致命傷を避けた。

(なっ…………魔術で身体能力を下げたのにまだあんな動きができたの!?)

パズモはその様子を見て驚いていた。

「おいおい、綺麗事を抜かすなよ。てめぇは知ってるはずだ。俺がどんな道を選んだのかをな。ふざけた事を抜かすと……殺すぞ?」

「………………………………。だったら……あんたは知っているのか?ツァイスの街にキリカがいるのを」

「なに……?」

ジンの話を聞いたヴァルターは驚いた後、目つきを変えた。



「2年くらい前からギルドの受付をしているそうだ。どうやらそれまでは大陸各地をまわっていたらしいな」

「……チッ………。まさかリベールくんだりに流れていたとはな……。あの馬鹿、何を考えてやがる」

「さあな、俺にも分からんよ。だが、あいつは間違いなくあんたと会いたがっているはずだ。『結社』のことはともかく一度くらい顔を見せてやったら……」

ジンが言いかけたその時、ヴァルターはジンに蹴りを入れた!

「グッ……」

「ふざけた事を抜かすと殺すと言っただろうが……。まあいい……。キリカのことはともかくてめぇと会えた事やテメエらと殺りあえたのは幸運だった。今回の計画……とことん楽しめそうだぜ。」

そしてヴァルターは杭から『ゴスペル』を抜き取った。

「おい、ヴァルター!」

「クク、次会う時までせいぜい功夫(クンフー)を練っておけ。じゃあな。」

「ヴァルター!!」

ヴァルターを追いかけようとしたジンだったが足を止めた。そして敵が去った事を確認したパズモ達はエステルの身体の中に戻った。

「………………………………」

「えっと……。助けてくれてありがと。でも、どうしてジンさんたちがここに?」

黙ってヴァルターが去った方向を見続けているジンにエステルは遠慮気味に尋ねた。



「ツァイス支部に顔を出したらいきなりキリカに急かされたんだ。お前さんたちを助太刀しにエルモに向かえってな。」

「フッ、それでボクも付き合うことにしたのだよ。」

「そうだったんだ……。ありがと。パズモ達が善戦してたから必要なかったかもしれないけど、本当に助かったわ。」

事情をジンとオリビエから聞いたエステルは苦笑しながらお礼を言った。

「本当にあの時は私も焦りましたよ。」

「そうだよ~!ミント、とっても心配したんだからね!」

クロ―ゼの言葉にミントは頷いた。

「それはともかく……。あんた、あの野郎とどういう知り合いなんだ?」

「……ま、昔馴染みさ。詳しい話はここを出て宿の風呂に入ってからにしよう。龍脈の乱れは収まったからじきに温泉も元に戻るだろうぜ。」



そしてエステル達はエルモ温泉で身体を温めてからツァイス支部に戻り、エステル達がギルドに戻るとキリカは博士とマードックもギルドに呼び、そしてエステル達はエルモ村で起こった件等を報告をした。

~遊撃士協会・ツァイス支部~



「そう……。やはりサングラスの男はヴァルターだったのね。」

エステル達の報告を聞いたキリカは特に驚いた様子もなく頷いた。

「ああ―――っておい?やはりってことは予想していたってことか?」

キリカの様子にジンは驚いて尋ねた。

「服装と風体を聞いてひょっとしたらとは思っていたわ。それよりも迂闊だったわね。どうして彼にそのまま『ゴスペル』を持ち帰らせたの?それも話によるとヴァルターはエステルの使い魔達との戦闘でかなり弱っていたみたいね?『結社』の幹部を捕縛できる上、『ゴスペル』も確保できる絶好の機会をどうして見逃したのかしら?彼らと協力すれば、ヴァルターを戦闘不能にまで持ちこめた筈よ。」

「仕方ねえだろ……。そこまで大層なモンとは思わなかったんだ。それにあの場はエステル達の安全を優先すべきだと思ったんだしよ。第一、そのあたりの事情をロクに説明もしないでエルモに急がせたのはお前だろうが。」

微妙にキリカに責められたジンは言い訳をした。

「ええ、私の判断ミスね。そのくらい説明しなくても察してくれると思ったのだけど。」

「グッ……可愛くねぇやつだな。」

キリカの答えを聞いたジンは呻いた。

「ともかく、これで地震の調査は終了ね。調査に対する報酬を渡しておくわ。」

そしてキリカはエステル達にそれぞれ報酬を渡し、さらにミントには推薦状を渡した。

「わーい!2枚目の推薦状だ!」

「おめでとう、ミントちゃん!」

推薦状をもらったミントははしゃぎ、ティータは祝福した。

「ありがと、キリカさん。でも結局、あのグラサン男、2人のどういう知り合いなの?」

「そうだな。何て説明すりゃあいいか……」

「端的に言うと、かつての同門の弟子同士ね。私とジンとヴァルター……。彼が一番年上でいわゆる兄弟子だったわ。」

エステルの疑問に言いにくそうにしているジンと違い、キリカはハッキリと答えた。



「同門の兄弟子……武術の先輩ってことか。」

キリカの説明を聞いたアガットは意外そうな表情をした。

「まあ、正確に言えばキリカは弟子じゃないんだがな。リュウガ師父(せんせい)の……」

ジンが説明を続けたその時キリカが割り込んだ。

「私のことはどうでもいいわ。とにかく、その男は『泰斗流』の門下だった。そして6年前、道場を出奔して『身喰らう蛇』にスカウトされた。簡潔にまとめるとこうなるわね。」

「キリカ……」

「それだけ聞けば十分だ。しかし、アンタらと同じ『泰斗流』の使い手か……。化物じみた強さも肯けるぜ。」

アガットはヴァルターの強さを思い出し、悔しそうな表情をした。

「道場にいた時よりもさらに凄みを増していやがった。達人クラスと言ってもいいだろう。……ただ、エステルの使い魔達にあそこまでやられていたのを見た時は正直驚いたが。」

アガットの言葉に頷いたジンはエステルを見た。

「えへへ…………みんな、昔に凄い戦いを生き抜いて来たっていうし、『執行者』なんて相手にならないわ!」

「なんで、そこでお前が得意げになるんだよ…………あいつらの主として、自分があいつらより実力がない事に情けないとは思わないのかよ………」

得意げになっているエステルに呆れたアガットは指摘した。

「うっさいわね!それぐらい、わかっているわよ!」

アガットの指摘にエステルは頬を膨らませて答えた。

「何はともあれ危険な男であるのは確かね。ただこれ以上、例の局地地震が起きる可能性は少ないでしょう。警戒は緩めてもいいかもしれない。」

「ああ、そのようだね。市民と職員に伝えておこう。」

キリカの話を聞いたマードックは頷いた。



「しかし、またしても『ゴスペル』が使われておったか。しかも七耀脈を活性化させる装置と合わせて使っていたとは……」

話が終わり、博士は真剣な表情で考え込んだ。

「学園地下の投影装置にも使われていたことを考えると……。導力器の機能を飛躍的に高めるブラックボックスと言えそうですね。」

「うむ……。まさにその通りですわい。空間投影装置にしても七耀脈の活性化装置にしても決して実現不可能な技術ではない。じゃが、『ゴスペル』による現象は現在の導力技術の常識を超えておる。わしはもちろん、他の名だたる技術工房でも造れるとは思えんのです。」

「そうですな……。共和国のヴェルヌ社や帝国のラインフォルト社……。さらに戦術オーブメントを開発したエプスタイン財団でも無理でしょう。」

クロ―ゼの言葉に博士やマードックは頷いた。

「それだけ結社の技術力がハンパじゃないってことね……」

「うむ、とんでもない天才がいる可能性が高そうじゃのう。むふふ……これは負けてはおれんわい!」

エステルの呟きに頷いた博士は対抗心を燃やした。

「お、おじいちゃあん……」

「はあ、仕方ありませんね……。新型エンジンもようやく完成しましたし……中央工房も『ゴスペル』の解析に最優先で協力させてもらいますよ。」

「わはは、当然じゃ。」

「確かに、『ゴスペル』の正体が判明したら助かっちゃうかも……。今後、どういった形で使われるか判ったもんじゃないし。」

マードックの申し出にエステルは今後の事を考えて頷いた。

「それにあの連中、『実験』とか抜かしていやがったな。2度あることは3度ありそうだぜ。」

「『ゴスペル』の分析は引き続き博士たちにお願いするとして……。貴方たちは、そろそろ次の場所に移った方がいいかもしれないわね。」

アガットの意見に頷いたキリカはエステル達を見た。

「うん、そうね。犯人は捕まえられなかったけど、地震の一件は片づいたみたいだし。次に行くとしたらどこが良さそう?」

「ちょうど王都支部から応援要請が入ったばかりよ。何でも王国軍から正式な依頼が来たらしいわ。」

「王国軍からって……父さんからの依頼ってこと?」

「え!お祖父ちゃんから!?」

キリカの説明を聞いたエステルとミントは驚いた。



「詳しいことは判らないわ。ただ、貴方たちをわざわざ指名してくるくらいだから結社関係である可能性は高そうね。」

「確かに……」

「ヘッ……。行ってみるしかなさそうだな。」

キリカの話を聞いたエステルは頷き、アガットも頷いた。

「それじゃあ決まりだな。ツァイスでの用事を済ませたら王都行きの定期船に乗るとしよう。」

「オッケー……って。ひょっとしてジンさんも付き合ってくれるの?」

「おいおい、どうして俺がわざわざ戻ってきたと思ってる。ヴァルターの件もあるしヨシュアだって見つけるんだろ?とことん付き合わせてもらうぜ。」

「ジンさん……ありがとう。」

「正直、あんたが協力してくれると助かるぜ。あのグラサン野郎には痛い目に遭わされたからな……。よかったら稽古をつけてくれ。」

「はは、お前さんにしちゃあずいぶんと謙虚な発言だな。あの威勢の良さはどうしたんだ?」

「ふん、テメェの実力が判らないほどガキじゃねえさ。」

ジンの指摘にアガットは苦い表情になって答えた後、ある事に気付きエステルに言った。

「それとエステル………時間があったらでいいんだが、お前の使い魔とやらと一度戦わせてくれないか?」

「はあ!?」

アガットの話を聞いたエステルは声を上げて驚いた。

「4人で戦ったとはいえ一人一人、あのグラサン野郎と対等以上にやりあったんだ。奴らと戦う事で何かの足しになるかもしれないしな。」

「う、う~ん………(みんな、どうかな?)」

アガットの話を聞いたエステルは悩んだ後、念話を送った、

(私は援護専門だから、遠慮しとくわ。)

(私は断固!遠慮します!元々私は、戦いはあまり好きじゃないんです~!)

(フッ………この我の動きに少しでもついて来れるなら相手をしてやろう。)

(まあ、ここ最近は対人戦はあまりやっていなかったから、これを機に模擬戦をするのも悪くないわね。)

エステルの念話にパズモやテトリは遠慮することを伝え、サエラブとニルはやる気がある事をエステルに伝えた。

「えっと………パズモとテトリは嫌って言っているけど、サエラブとニルは別にいいって言っているわ。」

「サエラブとニルというと………でかい狐と天使か。へっ、どっちも前衛の戦いをしていたから俺の相手にはちょうどいいぜ。」

エステルの説明を聞いたアガットは不敵な笑みを浮かべた。



「お姉ちゃん、ミントちゃん、アガットさん。わたしも……付いて行っちゃダメですか?」

「「えっ……!?」」

「な、なにぃ!?」

突如言い出したティータの申し出にエステルとミント、アガットは驚いた。

「えっと、これからも『ゴスペル』とか変な装置が使われることがあると思うんです。わたし、そんな時だったら少しは役に立てると思うから……。お願い、連れて行ってください!」

「で、でも……」

「ミント達、危険な人達と戦う時もあるんだよ?」

「………………………………。爺さんの意見はどうだ?」

一生懸命に話すティータを見てエステルとミントは心配そうな表情をし、アガットは少しの間考えた後博士に話をふった。

「ふむ、祖父としては渋い顔をせざるを得ないが……。こう見えてティータは頑固じゃし、なるべく孫の希望は叶えてやりたい。じゃから、わしはあえて反対せんよ。」

「おじいちゃん……」

「結社とやらが、想像以上の技術力を持っているのは確実じゃ。その意味では、今後の調査にティータは絶対に役立つはずじゃ。お買い得であるのは間違いないぞ。」

「そんな、新製品の売り込みじゃないんですから。」

博士の言い方にマードックは呆れた。

「うー、確かにティータが手伝ってくれると助かるけど……。でも、またあの男みたいな危ないヤツが現れたとしたら……」

「ミントもティータちゃんと一緒なのは賛成だけど………でも、ティータちゃんを危ない目に遭わせたくないし…………」

「………………………………。いや、いいだろう。あんたの孫娘、預からせてもらうぜ。」

エステルとミントが悩んでいる中、意外にもアガットがティータの申し出を受け取った。



「ふえっ!?」

「ほう……」

「ど、どうしちゃったの?てっきりアンタが一番反対するかと思ったけど。」

「う、うん。ミントもそう思ったよ。」

アガットが真っ先に賛成した事にティータは驚き、博士は意外そうな表情をし、エステルやミントは信じられない様子で尋ねた。

「地震の一件を見ても『結社』が民間人の安全を考えているとはとても思えねえ。その意味じゃ、ここにいた所で確実に安全とは限らないだろう。だったら、本人の希望通りせいぜい役に立ってもらうさ。」

「アガットさん……」

「なるほど……。そういう考え方もあるな。」

「フフ、それ以上に目の届くところで守りたい。そんな思惑も感じるねぇ。」

アガットの説明を聞いたティータは嬉しそうな表情をし、博士は納得し、オリビエは意味ありげな目線でアガットを見た。

「なっ……」

「あ、図星って顔してる。」

「あのあの……。それ、ホントですか?」

オリビエに見られて慌てているアガットを見てエステルは口元に笑みを浮かべ、ティータは嬉しそうな表情で尋ねた。

「真に受けるなっつーの。言っておくが、自分の身は自分で守るのが基本だからな。機械いじりばっかりしてボケッとしてんじゃねえぞ。」

「エヘヘ……気を付けます。」

「はは……。話がまとまって何よりだ。」

「ふふっ、ますます賑やかになりそうですね。」

「えへへ………まさかティータちゃんも一緒になるとは思わなかったな………後はここにツーヤちゃんがいれば、最高なんだけどな………」

ティータが同行する事にジンやクロ―ゼは快く迎え、ミントは嬉しそうな表情で今はいない親友を思っていた。



「ティータや。気を付けて行ってくるんじゃぞ。お前ががんばっている間、わしも必ずや『ゴスペル』の謎を解き明かして見せるからな!」

「うん……楽しみにしてるね!」

博士の言葉を聞き、ティータは嬉しそうな表情で頷いた。

「博士のことは心配しないでくれ。事故を起こしたりしないよう私が責任をもって監視するからね」

「えへへ……。よろしくお願いしますっ!」

「まったく……どこまでも失礼なヤツじゃの。」

「ふふ……。王都のエルナンさんには私の方から連絡しておくわ。女神達の加護を。気を付けて行ってきなさい。」



こうして地震の事件を終わらせたエステル達は新たな仲間を加えてツァイスを去り、王都――グランセルに向かった……………






 
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