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英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~(閃Ⅰ篇)

作者:sorano
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第95話

会議室に通されたリィン達はそれぞれ適当に席について、エリゼから説明を受けようとしていた。



~マルーダ城・会議室~



「――それではまず、この世界――――”ディル・リフィーナ”と呼ばれている世界の世界情勢について説明させて頂きますね。」

「よろしく頼む。」

「異世界の世界情勢か……ちょっと、ドキドキしてきたね。」

「ああ……」

エリゼの言葉にガイウスは頷き、エリオットとマキアスも興味ありげな表情をし、他の面々もそれぞれ様々な思いでエリゼと、エリゼと共に説明をするプリネとツーヤに注目した。

「まずはこちらをご覧下さい。」

そしてエリゼは導力装置と繋いでいるプロジェクターを起動させて、世界地図の画像をリィン達に見せた。



「これは……世界地図か?」

「内海まである所を見ると、やはり異世界はかなり広大な土地のようだな……」

画像を見たユーシスとラウラはそれぞれ考え込み

「今あたし達がいるこの場所はその地図で言うとどの地方なのかしら?」

サラ教官はエリゼを見つめて尋ねた。



「このミルスがある地方――――”レスペレント地方”はこちらの地方です。」

サラ教官の質問にエリゼは導力装置を操作して”レスペレント地方”の部分を表示させた。

「”レスペレント地方”は南の大陸――――”アヴァタール地方”と比べれば土地は広くありませんが、それでもゼムリア大陸全土に匹敵する土地はあります。」

「ええっ!?ゼ、ゼムリア大陸全土!?しかもその上がまだあるの!?」

「スケールが大きすぎて全然想像できないわね……」

「え、ええ……」

「わたくし達、夢でも見ているのでしょうか……?」

「ハハ、俺も最初知った時は夢でも見ている気分だったよ……」

プリネの説明を聞いたエリオットは驚き、アリサとエマは表情を引き攣らせ、セレーネは不思議そうな表情で首を傾げ、セレーネの言葉を聞いたリィンは苦笑していた。



「ちなみにメンフィルが治めている領土はどのくらいあるのだ?」

「メンフィル帝国が治めている領土は”レスペレント地方全土”と”ブレニア内海”全て、そして”ブレニア内海”に接する”アヴァタール地方”のごく一部の地域です。エリゼさん、メンフィル領となっている部分を表情できますか?」

ユーシスの質問に答えたツーヤはエリゼに視線を向け

「はい、お任せください。」

エリゼは装置を操作してメンフィル領となっている部分を光らせた。



「た、大陸丸ごとに加えて内海まで治めているなんて……」

「広大な土地を持つカルバード共和国やエレボニア帝国ですら比べ物にならない国力ですね……」

「まさに”ゼムリア大陸真の覇者”に相応しい国力だね。」

説明を聞いていたエリオットは口をパクパクさせ、エマは信じられない表情をし、フィーは納得し、他の面々も驚きや信じられない表情で絶句していた。

「先程南の大陸と比べれば”レスペレント地方”は土地は広くないと言っていたが……南の大陸は更に広いのか?」

その時ある事に気付いたガイウスはエリゼ達に尋ねた。



「ええ。南の大陸――――”アヴァタール地方”は”ラウルバーシュ大陸”の中で2番目に広い地方と言われています。」

「”ラウルバーシュ大陸”?」

「先程からの説明では”地方”って言っていたが……まさか、その地図に示されてある全ての地方を示す名前か?」

プリネの説明を聞いたアリサは首を傾げ、ある事に気付いたマキアスは尋ねた。

「はい。ちなみに”ラウルバーシュ大陸”以外に他にも大陸がありまして……―――”神骨の大陸”。”ディル・リフィーナ”で最も大きな大陸にして神々が住まう大陸であり、その事から別名”神大陸”や”神界”と呼ばれている全てが謎に包まれている大陸です。」

「ええっ!?」

「神々が住まう大陸だと!?」

「しょ、正直信じられない話ですね…………」

「”神界”…………一体どんな大陸なのだろうな?」

エリゼの説明を聞いたエリオットは仲間達と共に驚き、ユーシスは声を上げ、エマは表情を引き攣らせ、ガイウスは呆けた表情をした後考え込んだ。



「全てが謎に包まれている大陸と言ったが……調査等はしていないのか?」

「ええ。人間族は勿論、ほとんどの種族達が立ち入ることすら許されない大陸ですから何もわかっていないんです。高位のエルフ族なら許されているという話もあるのですが……それすらも真実かどうか不明なんです。」

「ちなみに万が一立ち入ったらどうなるのかしら?」

ラウラの質問に答えたツーヤの話を聞いてある事が気になったサラ教官は尋ねた。

「…………――――恐らくは神々から”神罰”が降され、魂すらも滅せられると思います。」

「やっぱり神々が住まう大陸ですから……わたくし達にとって禁断の大陸なんですね……」

プリネの推測を聞いて驚きのあまりリィン達が絶句している中、セレーネは納得した様子で呟いた。



「――それで”ラウルバーシュ大陸”の話に戻るのですが……”ラウルバーシュ大陸”の人間族が占有する領土は約15%だと言われています。」

「なっ……それ程広大な大陸なのに、たった15%しかないのか!?」

「残りの85%はやはり異種族か?」

エリゼの説明を聞いたマキアスは驚き、ユーシスは尋ねた。

「ええ。ですが人間族が占有する領土が最も繁栄していると言われています。」

「フム……先程話に出て来た”アヴァタール地方”とやらは人間達が領有する地方なのか?」

プリネの答えを聞いてある事が気になったラウラは尋ねた。



「はい。”アヴァタール五大国”と呼ばれ、メンフィルと同じように闇夜の眷属達が多く住まう国―――”エディカーヌ帝国”を除いた残りの4国は特殊な事情を持つある1国を除けば人間達が治めている国です。」

「特殊な事情を持つある1国?何なのそれって?」

ツーヤの話を聞いてある事が気になったアリサは首を傾げ

「……もしかして、”レウィニア神権国”の事か?」

異世界の世界情勢等を学んで答えがわかっていたリィンは真剣な表情で尋ねた。



「はい。――――”レウィニア神権国”。土着神である”水の巫女”を絶対君主とした大国にしてアヴァタール五大国随一と呼ばれる神権国です。」

「ええっ!?か、神様が治めている国!?」

「一体どんな国なんだろうな……?」

リィンの質問に答えたプリネの説明を聞いたエリオットは驚き、ガイウスは考え込み

「……という事はそのレウィニア神権国とやらの国王は”水の巫女”とやらの神なのか?」

ある事が気になったユーシスは尋ねた。



「いえ、政治などは基本”水の巫女”に直接仕えている一族が皇族として治めているそうで、”水の巫女”自身は象徴的な存在で、国民達から崇められている存在で、”水の巫女”自身を崇める国教もあるくらい国民達から慕われている存在なんです。」

「名前からして水が関係している神様ですよね?一体どんな神様なんでしょうね……」

「そりゃあ”巫女”って名前がついている事からして女神なのは間違いないでしょうね。」

エリゼの説明を聞いてある事が気になっているセレーネの疑問を聞いたサラ教官は苦笑しながら答えた。



「そう言えば”匠王”の2つ名を持つ職人にして領主――――ウィルフレド・ディオン殿が治めているユイドラ領はどのあたりになるのだ?」

その時ある事を思い出したラウラは尋ねた。

「―――ウィル様が治めている都市――――ユイドラの街は”アヴァタール地方”より更に南部にある”セテトリ地方”を治める”ミケルティ王国連合”の国家の一つで、更にウィル様は異種族に協力を取り付けていますから、相当の領土を治めています。―――エリゼさん。」

「はい。」

説明した後プリネに促されたエリゼは導力装置を操作して”ユイドラ領”となっている領土を明るくした。

「広いな……」

「う、うん……ねえ、一体国土はどれくらいあるの?」

領土の広さにガイウスは呆け、エリオットは目を丸くして尋ねた。



「そうですね……ユイドラの街に住んでいる人口は全て合わせて約3万程らしいのですが、異種族達の方々が住処とする場所も全て含めれば領土、人口共にエレボニア帝国とほぼ同等かと思われます。」

「何だと……!?」

「確か”匠王”って国王じゃなくて唯の領主だよね?何でそんなに領土を持っているの??」

ツーヤの推測を聞いたユーシスは驚き、フィーは首を傾げて尋ねた。

「先程も説明したように異種族達の方々がウィル様が領主になってからのユイドラの方針―――――”種族関係なく共に支え合って生きる”という意志に同意し、領主であるウィル様を信頼ある友として認め、異種族達の方々が治めている領土もユイドラの傘下に入っている形なのです。ユイドラ近郊に住んでいるエルフや精霊は勿論、魔族や天使族もユイドラの”盟友”となっているんです。」

「ええっ!?そ、そんなに色々な異種族がいるの!?」

「……問題は起こらないのか?魔族や天使族と言えば伝承だと真逆の存在だが……」

プリネの説明を聞いたエリオットは驚き、ガイウスは不思議そうな表情で尋ねた。

「フフ、普通ならそう思うのですが、ウィルさんが間に入って仲介しているそうですから、犬猿の仲の種族も今の所問題なく共存できているそうです。」

「お姉様はその方に会った事があるのですか?」

「うん、ちょっと色々と事情があってね。あたしのこの刀を鍛えてくれたのもウィルさんだよ。」

セレーネに尋ねられたツーヤはセレーネに”竜神刀アルフ・カティ”を見せた。



「!!こ、これはアルフヘイム王家に伝わる”聖刀アルフ”!どうしてお姉様がこの剣を……それにわたくしが知っている”聖刀アルフ”とは比べものにならないくらいの”力”を感じますし、姿形も違う気がするのですが……」

”竜神刀アルフ・カティ”を見たセレーネは血相を変えた後戸惑いの表情でツーヤを見つめた。

「あたしがゼムリア大陸に流れ着いた時一緒にあったそうなの。それでウィルさんが鍛えてくれて、その結果”神剣”と化して凄まじい力を得たんだよ。」

「そうなのですか……」

「し、”神剣”ですか……!?(人が一体どうやってそれ程の物を鍛え上げたのかしら……?)」

「フム。伝承の存在である神剣を鍛え上げる鍛冶師としての腕前は気になるな。」

ツーヤの説明を聞いたセレーネは驚き、エマは信じられない表情をし、ラウラは考え込んだ。



「私もそれはずっと気になっているわ。ユイドラ製の武具は数は少ないけど、ラインフォルトが出している武具とは比べものにならないくらい凄いし、”ラインフォルトグループ”の技術では決して真似できないそうよ。」

「ええっ!?”ラインフォルトグループ”以上の製品でしかも真似もできないの!?」

「一体どれほどの技術力なんだ……?」

アリサの話を聞いたエリオットとマキアスは驚き

「へえ。何だかわたしも欲しくなってきたよ。」

「あたしも機会あれば手に入れたいと思っているんだけど、あたしの戦闘スタイルに合わせた武器は無いのよね……」

フィーは興味ありげな表情をし、サラ教官は疲れた表情をした。



「――それで話をレウィニアに戻すのですが……レウィニア神権国はある事でも有名な国でして…………”神殺しセリカ・シルフィル”を盟友としている事で有名な国なんです。」

「か、”神殺し”ですか……?」

「異名からしてとんでもなく物騒な名前だな……」

「”セリカ・シルフィル”…………?(確か”嵐の剣神”の本名がそんな名前だったけど……まさか関係があるのかしら?)」

「その”神殺し”ってのは何なの?名前からして”神を殺した”存在みたいに聞こえるけど。」

プリネの話を聞いたエマは戸惑い、マキアスは表情を引き攣らせ、聞き覚えのある名前にサラ教官は考え込み、フィーは首を傾げて尋ねた。



そしてプリネ達は”神殺し”の一般的な説明をした。


「か、”神を殺して”神の肉体を手に入れた人間、ですか……」

「し、しかも”世界の禁忌”って……」

「め、滅茶苦茶だ……」

「伝承で出てくる”竜殺し”ですらかすむ存在だな……」

「……どうしてその方は神を殺し、世界の敵となってまで不老不死になったのでしょうか……?」

”神殺し”の一般的な切笑みを聞いたエマとアリサは信じられない表情をし、マキアスは疲れた表情をし、ユーシスは真剣な表情になり、セレーネは不安そうな表情で呟いた。



「――――今のは一般的な”神殺し”の話です。ですが”真実”は違うんです。」

「え……」

「ど、どういう事だ?俺やエリゼはメンフィルの学校で今の話を習ったけど……」

プリネの言葉を聞いたエリゼは呆け、リィンは戸惑いの表情で尋ねた。そしてプリネとツーヤは”神殺し”の真実―――かつて女神と愛し合った青年がある事故で死ぬ事になり、青年に生きて欲しかった女神は自らの肉体を青年に差し出したが、事情を知らない他の者達から見れば青年は女神の肉体を奪った邪悪なる者とされ、”神殺し”として忌み嫌われ続け、全ての勢力からその命を狙われてその事から多くの人々が犠牲となり続け、”世界の禁忌”と呼ばれるようになったことを説明した。



「そんな……そんな話って……」

「あまりにも悲しすぎるわね……」

「世界中に命を狙われ、悠久の時を過ごす存在、か…………」

「一体何を思って悠久の時を生き続けているのでしょうね……」

(!?どういう事、今の話……!そんな話、初耳よ!?)

説明を聞き終えたエリオットとアリサは悲痛そうな表情をし、ガイウスは静かな表情で呟き、エマは複雑そうな表情で呟き、ベルフェゴールは血相を変えた。



「……しかし何故そんな事情をお前達が知っているのだ?」

「ふむ……もしかして本人と会って直に聞いたのか?」

「えっと……これには色々と理由がありまして。この件には”リベールの異変”やエステルさんも関係してくるんです。」

「?エステルが?」

「?何で”リベールの異変”や”ブレイサーロード”が関係してくるの?全然関連性がないように聞こえるけど。」

ユーシスとラウラの疑問に答えたツーヤの話を聞いたサラ教官とフィーは首を傾げて尋ねた。そしてプリネとツーヤはリベールの異変後に起こった”影の国”の話、”神殺し”セリカとセリカに肉体を与えた女神アストライアの想いが込められた神剣がある事情でエステルの手に渡り、神剣がエステルに見せた光景を見て二人を再会させると誓ったエステルの想いにより、”神殺し”セリカ、そして魂となって世界中を彷徨っていた女神アストライアも”影の国”に巻き込まれて再会し、”影の国”から脱出する際女神アストライアはセリカと真の再会を誓った後”影の国”に秘められている想念の力を使って自らを魂に戻した後エステルの身体に宿ってエステルの子供として転生する事を説明した。



「なっ!?じゃ、じゃあエステルさんって……!」

「め、女神の魂をその身に宿しているんですか……!?」

「…………………………」

話を聞き終えたマキアスとエマは信じられない表情をし、サラ教官は口をパクパクさせ

「道理で翼を生やしたりとかできる訳だね。」

「―――なるほどな。”黄金の百合”が言っているようにもはや”人外”としか言いようがないぞ……」

フィーは呆れた表情で呟き、ユーシスは疲れた表情で溜息を吐き

(古神アストライアの魂を宿しているって……た、確かにあの時”神気”を発していたけど……普通に考えてありえない事よ!?)

ベルフェゴールは信じられない表情で声を上げた。



「”影の国”の件は聞いていたけど、まさかそんなとんでもない展開があったとはね~……」

「え……」

「サラ教官はプリネ達が言っていた話を知っているんですか!?」

苦笑しながら答えたサラ教官の言葉を聞いたエリオットは呆け、アリサは驚きの表情で尋ねた。



「話だけは聞いているわ。―――――なるほどね。要するにその件でエステルに恩ができた”嵐の剣神”、”紅の魔女”、”真銀の霊女”が遊撃士協会を手伝っている訳ね……」

「”嵐の剣神”……?一体何者なのだ……?」

「それに”紅の魔女”って異名の方も気になりますが……」

納得した様子で呟いたサラ教官の言葉が気になったラウラは眉を顰め、エマは戸惑いの表情でサラ教官を見つめた。



「――――”嵐の剣神”、”紅の魔女”、”真銀の霊女”。エステルの紹介でクロスベルにある遊撃士協会に”傭兵”という形で雇われる事になった凄腕の傭兵達よ。特に”嵐の剣神”は”クロスベル真の守護者”と称えられているA級正遊撃士――――”風の剣聖”すら足元にも及ばないそうよ。」

「ええっ!?か、”風の剣聖”と言えば……!」

「カシウス准将の弟弟子に当たる方ですね……」

サラ教官の説明を聞いたリィンは驚き、エリゼは目を丸くし

「……サラ。その”嵐の剣神”って、もしかしてわたし達が帝都であったセリカって名前の剣士の事?」

ある事に気付いたフィーはサラ教官を見つめて尋ねた。



「あ……!」

「そ、そう言えばあの時エステルさん達と一緒に一瞬で多くの人形兵器や魔獣達を切り伏せた凄い剣士の人がいたな……!」

「”セリカ”……?―――――!サラ教官、まさかその”嵐の剣神”というのは我々が帝都で出会った……!」

「まるで女性のような美しい容姿をしていらっしゃった剣士の方ですね。」

セリカの事を思い出したエリオットは声を上げ、マキアスは驚きの表情になり、ラウラは真剣な表情でサラ教官を見つめ、セレーネは静かな表情で呟いた。

「ええ。”嵐の剣神セリカ・シルフィル”。さっきの話にあった”神殺しセリカ・シルフィル”と同一人物なんでしょ?」

サラ教官は頷いた後プリネとツーヤを見つめた。



「はい。”紅の魔女”レシェンテさんはセリカ様に仕えている”使徒”の一人です。」

「”使徒”………?」

プリネが言った聞きなれない言葉にガイウスは首を傾げたのを見たプリネはツーヤと共に”使徒”の説明をした。

「フム……要するにその”使徒”とやらは飛行船で聞かせてもらった”神格者”と似たような存在なのだな?」

「ええ。―――ちなみにあたしを含めたA班の皆さんも帝都で既にセリカさんの”使徒”の一人に出会ってますよ?」

ラウラの推測に頷いたツーヤは苦笑した。



「え……」

「ぼ、僕達が……?」

「一体誰なの?」

ツーヤの言葉にエリオットとマキアスは呆け、フィーは首を傾げ

「―――エクリア様です。あの方は事情があってしばらくイリーナ皇妃に仕える事となっていますが、本来の主はセリカ様なのです。」

エリゼが静かな表情で答えた。



「なっ!?エクリア様が……!?」

「まあ……!フフ、世間というのは狭いですね。」

エリゼの答えを聞いたリィンは驚き、セレーネは目を丸くした後苦笑し

「つくづく思ったが”ブレイサーロード”は非常識の塊だな。」

「女神の魂を宿したり、そんな凄い存在に恩を売っていたりとか、とても僕達と同じ”人間”とは思えないぞ………」

「まさに”人外”だね。」

「アハハ……私達、一生に会えるかどうかわからない程の凄い方と出会っていたんですね……」

呆れた表情で呟いたユーシスの言葉にマキアスは疲れた表情で頷き、静かな口調で呟いたフィーの言葉に苦笑しながらエマは頷いた。



「しかし話を聞く限りプリネとツーヤは学院に来る前から相当の修羅場を経験しているようだな?」

「多分、命をかけた修羅場もわたしとも比べものにならないくらい経験しているね。」

「”リベールの異変”の解決の貢献をした事だけでも十分凄いのに、その”影の国”とかいう訳のわからない所にまで巻き込まれて帰って来れたんでしょう?」

「フフ、オレ達の為に二人の入学を頼んだオリヴァルト皇子につくづく感謝しないとな。」

「凄いです、お姉様!わたくしもお姉様のような凄いドラゴンになれるように頑張らないと!」

ラウラとフィーは興味ありげな表情で疲れた表情をしているアリサと共にプリネとツーヤを見つめ、ガイウスは静かな笑みを浮かべ、セレーネは尊敬の眼差しでツーヤを見つめ

「フフ、あたしは大した事はしていないよ。」

「ええ、私はエステルさん達と違って大した事はしていませんよ。少しだけ手伝っただけですから。」

仲間達に興味ありげな表情で見つめられている二人はそれぞれ苦笑していた。 
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