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英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~(閃Ⅰ篇)

作者:sorano
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異伝~新たなる軌跡のプロローグ~後篇

~1時間後・職員室~



リウイ達が去って1時間後、教官達全員は職員室に集まっていた。

「これで本日軍務の関係でこの学院にはいないナイトハルト教官を除いた皆は揃ったようじゃな。本日、このトールズ士官学院始まって以来の出来事が起こる事が決まったので皆にも知らせておこうと思い、急遽召集させてもらった。」

ヴァンダイク学院長は教官達を見回した後口を開き

「あ、あの学院長……それはもしかして先程オリヴァルト殿下や常任理事の方々と一緒にお見えになられたリウイ陛下達が関係しているのですか……?」

ハインリッヒ教官は恐る恐る尋ねた。

「うむ。回りくどい言い方は止めて単刀直入に言おう。――――先日、メンフィル帝国の姫君であるプリネ姫とプリネ姫の護衛役であるルクセンベール卿のトールズ士官学院への留学―――つまり入学が決まった。」

「…………………………」

ヴァンダイク学院長の答えを聞いたサラを除いた教官達は黙り込み

「ええっ!?あ、あの”姫君の中の姫君(プリンセスオブプリンセス)”プリネ姫と”蒼黒の薔薇”ルクセンベール卿がトールズ士官学院に……!?」

「あ、ありえねえ…………い、いや……実際さっき”英雄王”と”闇の聖女”の姿をこの目で見たし…………」

メアリー教官は驚きの表情で声を上げ、マカロフ教官は信じられない表情をした後考え込み

「ア、アハハ~……確かにトールズ士官学院始まって以来の出来事ですね……」

「ええ……このトールズ士官学院が始まって以来、今まで他国の皇族の方が留学してきた事はないのですから……」

エレボニアの歴史と文学を担当している教官―――トマス教官は表情を引き攣らせて呟き、トマス教官の言葉に医学を担当しており、保険医でもあるベアトリクス教官は静かな表情で頷き

「が、がががが、学院長!?一体何故そのお二方がこのトールズ士官学院に……!?」

ハインリッヒ教官は混乱しながらヴァンダイク学院長に尋ねた。そしてヴァンダイク学院長は教官達プリネ達が来る理由を説明した。

「フフ、なるほど。エレボニアとメンフィルの関係が良好になるよいきっかけとなりそうですね。」

「ええ………新任の私が両国の友好の為に留学して来るプリネ姫達を相手に教鞭を振るうなんて大役………正直、恐れ多いですけど…………精一杯頑張ります……!……あっ!実家にプリネ姫達を相手に教鞭を振るう大役を受け賜った事を報告しないと……!」

説明を聞き終えたベアトリクス教官は微笑み、メアリー教官は頷いた後決意の表情になり、そしてある事を思い出してすぐに慌て出し

「教官の方々も勿論承知してくれていると思うが、いくら相手が他国の皇族や貴族の方とは言え、決して特別扱いせぬように。リウイ陛下達もそうじゃが、プリネ姫達御自身もそのような事は望んでおらぬとの事じゃ。」

「という事は普通の生徒として接していいって事ッスね。」

「フフ、それなら是非ともメンフィルの歴史を聞かないと!異世界の歴史はどのような歴史なのか非常に興味がありますし。」

ヴァンダイク学院長の話を聞いたマカロフ教官は安堵の表情になり、トマス教官は興味深そうな表情になり

「そ、それで学院長……お二方はどのクラスの所属になるのですか?そのようなやんごとなき御身分なのですから、当然貴族のご子息やご息女達が集まるクラスであるⅠ組かⅡ組なのですよね?」

ハインリッヒ教官は身体を震わせながら恐る恐る尋ねた。



「―――いや。2人が所属するクラスは今年度設立された特科クラス――――”Ⅶ組”じゃ。」

「なっ!?」

「まあ………という事はプリネ姫達の担任は…………」

ヴァンダイク学院長の答えを聞いたハインリッヒ教官は驚きの表情で声を上げ、メアリー教官は目を丸くした後他の教官達と共にサラに視線を向け

「フフ……と言う訳で”姫君の中の姫君(プリンセスオブプリンセス)”と蒼黒の薔薇”の担任という学院始まって以来の名誉は僭越ながらあたしが頂きました♪」

教官達に視線を向けられたサラは口元に笑みを浮かべて答えた。

「なっ!?学院長!よりにもよって平民と貴族が一緒になっている”Ⅶ組”はありえないでしょう!?お二方に相応しいクラスはどう考えてもⅠ組かⅡ組です!それもよりにもよってバレスタイン教官が担任だなんて……!万が一バレスタイン教官がプリネ姫達に間違った教育をしてしまえば、メンフィル帝国にトールズ士官学院の品格が疑われます!」

ヴァンダイク学院長の答えを聞いたハインリッヒ教官は驚いた後真剣な表情で指摘し

(ったく、相変わらず細かい事にうっさわいね~。)

「……さすがにそれは言いすぎですよ、ハインリッヒ教官。」

ハインリッヒ教官の指摘を聞いたサラは嫌そうな表情をし、ベアトリクス教官はハインリッヒ教官に指摘した。

「これは決定事項じゃ。プリネ姫達が”Ⅶ組”に所属する事はオリヴァルト殿下の希望であると共にリウイ陛下達の希望でもあるのじゃ。」

「なあっ!?」

「オリヴァルト殿下に加えてリウイ陛下達の……」

ヴァンダイク学院長の話を聞いたハインリッヒ教官は信じられない表情で声を上げ、メアリー教官は呆けた表情で呟いた。

「ちなみにルクセンベール卿のようにプリネ姫の護衛役としてメンフィル帝国のプリネ姫の親衛隊副隊長であるレオン少佐が臨時実戦副教官兼”Ⅶ組”の副担任として赴任する事になるので、同じ教官同士力を合わせて生徒達を導いて欲しい。……ああ、それと……リウイ陛下御自身は常任理事の一人なので、リウイ陛下が学院を訪れた際は失礼のないようにな。」

「ええっ!?あ、あの”英雄王”が常任理事の一人ですか!?」

「という事は毎月リウイ陛下がこのトールズ士官学院に姿を現す事になるのですか…………」

「……こりゃ今年は学院始まって以来のとんでもない年になるぞ……」

ヴァンダイク学院長の説明を聞いたトマス教官は驚き、ハインリッヒ教官は冷や汗をかいて表情を引き攣らせ、マカロフ教官は表情を引き攣らせた後疲れた表情で溜息を吐いた。



3月31日――――



~帝都ヘイムダル・駅構内~



お待たせしました。バリアハート行き旅客列車が参ります。白線の内側までお下がり下さい。



「………来たか。それじゃあエリス、元気でな。」

さらに数週間後エレボニアの帝都の列車の駅内で列車を待っていた赤い制服を身に纏った黒髪の少年リィン・シュバルツァーは列車が駅に停まると、自分の傍にいる清楚な雰囲気を纏っている少女に話しかけ

「はい。頑張ってください、兄様。私もリフィア殿下の専属侍女に抜擢された姉様のように一日でも早く立派な淑女になれるように頑張ります!」

話しかけられたリィンの妹の一人――――エリスは頷いた後真剣な表情になり

「ハハ……まあ、頑張るのはいいけど無理だけはするなよ。」

エリスの様子を見たリィンは苦笑した後前方車両に乗り込んだ。

「それじゃあ二人とも行きましょう。」

一方リィンと同じように赤い制服を身に纏ったプリネは赤い制服を身に纏ったツーヤと漆黒の軍服を身に纏ったレーヴェに促し

「はい。」

「ああ。」

促された二人はそれぞれ頷いた後、後方車両に乗り込んだ。



こうしてエレボニアの運命に関わる異世界の英雄達と後に”英雄”となる者達を乗せた列車はエレボニアで新たなる”軌跡”を描く者達にとって全ての始まりの地である”トールズ士官学院”がある小さな町――――トリスタへ走り出した……………………

 
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