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英雄伝説~光と闇の軌跡~(FC篇)

作者:sorano
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第6話

~ロレント郊外・メンフィル皇帝軍本陣~

ロレントの郊外にあるメンフィル軍の本陣の前に女王達はつき、入口を守っている兵士に話しかけた。
「リベール国王、アリシア・フォン・アウスレーゼです。リウイ・マーシルン皇帝陛下に御取次をお願いします。」
「……少々お待ち下さい。」
女王の言葉を受け、判断がつかなかった兵の一人が伝令を伝えに本陣の中へ走っていた。
そしてそこにロレントの探索から帰ってきたプリネを連れたリフィアが女王達の姿を見つけ近寄った。

「なんじゃお主らは?余達になにかようか?」
「あなた達はどなたですか?見た所身分が高い方に見受けられますが……」
話しかけられた女王はリフィア達の服装を一目見て、位の高い者だと判断し、正体を聞いた。
「余か?余はメンフィル皇女にして次期皇帝、リフィア・イリーナ・マーシルン!謳われし闇王、リウイ・マーシルンの孫!」
「……メンフィル皇女、プリネ・マーシルンです。お父様に何か御用ですか?」
自身満々に紹介するリフィアと幼いながらもしっかり紹介したプリネを見て女王達は驚いた。

「あなたが次期皇帝ですか……!それにそちらの方は父とおっしゃりましたが両親はどなたしょうか。」
「父はメンフィル初代皇帝、リウイ・マーシルン。母はアーライナの神官、ペテレーネ・セラです。」
「え……リフィア姫は今、リウイ皇帝陛下の孫とおっしゃていましたが……」
女王達はリフィアとプリネを見比べ戸惑った。
「事実じゃ。ここにいるプリネは形式上には余の叔母じゃが、余の後に産まれておるから実質余の妹のようなものだ。」
「そうでしたか……紹介が遅れ申し訳ありません。リベール国王、アリシア・フォン・アウスレーゼです。
リウイ皇帝陛下に此度のロレント制圧のことについてお聞きしたいことがあり、こうして参上してまいりました。」
「ふむ、そうか。一つだけ訂正しておこう。余達はロレントを制圧した覚えはない。あくまで”保護”だ。」
「”保護”ですか……詳しいことをお聞きしても?」
「それはリウイ本人に聞けばわかる。……どうやらお主たちの迎えが来たようだな。」
女王としばらく話していたリフィアは近づいてきてる気配を感じ、その方向に向いた。

「ペテレーネ、迎え御苦労。」
「おかえりなさいませ、リフィア様。それにプリネも。」
「ただいま戻りました、お母様。」
「おかえりなさいプリネ。……リフィア様、この場は私にまかせて本陣の中へ。」
「わかった。エヴリーヌのところに行くぞ、プリネ。」
「はい、リフィアお姉様。」
女王達を迎えに来た時、その場にリフィアとプリネを見つけたペテレーネは2人を本陣の中へやった後
女王達の正面に立った。
「お初にお目にかかります。アーライナの神官にしてリウイ様の側室の一人、ペテレーネ・セラです。」
「貴殿がかの”聖女”か……」
モルガンは先ほど出会ったプリネ皇女の母であり、報告にあった聖女だと気付き、少女と言ってもおかしくないペテレーネの若さに驚き呟いた。
「あの……その呼び名は恥ずかしいのでお止め下さい。みなさんが勝手におっしゃているだけです。
……それでご用件はリウイ様とお会いしたいとのことですが。」
「はい。お会いできるでしょうか?」
「構いません……こちらです。」
そしてペテレーネは女王達をリウイの元へ案内した。

ペテレーネによって案内された天幕の中に入り女王達はリウイと対面した。
「……メンフィル皇帝リウイ・マーシルンだ。まあ、今は隠居の身だがな。」
「(なんて覇気……まさに覇王ですね……)リベール国王、アリシア・フォン・アウスレーゼです。使者も出さずのいきなりの訪問、お許し下さい。」
女王はリウイがさらけ出す覇気に飲み込まれないよう自分自身を保って自己紹介をした。
「七曜教会より参りました者です。」
「リベール王国軍所属、モルガンです。」
「同じくリベール王国軍所属カシウス・ブライトです。とても孫がいるような年には見えないのですが失礼ながら本物ですか?」
「本物だ。これでも100年以上は生きてる。そこにいるペテレーネもそうだ。」
「ハッ……?」
リウイを見て年齢を疑ったカシウスだがリウイの言葉に理解ができず女王達と共に固まった。

「この世界の人間が驚くのも無理はない。俺は半魔人でそこにいるペテレーネは神格者だからな。」
「この世界……?詳しいことをお聞きしたいのですが。」
一瞬思考が停止した女王はリウイ達の正体を聞き、リウイは語った。自分達は異世界の者でありその中で
人ならぬ者やその者と共に暮らす者を”闇夜の眷属”といい、異世界には複数の神が現存していることを語った。
また、信仰する神より”神核”という力を承った者を”神格者”と呼び、神格者は半不老不死の存在であることも話した。

「異世界では不老不死の方法があるのですか……」
カシウスはペテレーネの容姿を見て、どう見ても年下にしか見えない少女が自分の倍以上生きてるようには思えなく驚愕した。
「複数の神が現存しているのですか……!そこには我らが神、エイドスはいらっしゃるのでしょうか?」
異世界の存在、神が現存していることに驚いた七曜教会の司祭は自らの神の存在を聞いた。
「生憎ながら聞いたことはない。まあ所詮異世界だ。いなくて当然だ。……世間話はここまでだ。要件を聞こうか。」
「では……異世界に来た目的、此度のロレント保護とエレボニア侵攻についてお聞かせ下さい。」
女王はリウイにここに来た理由を話した。

「……こちらに来た理由はある探し物だ。」
「……それはどのような物ですか?」
「それは教えることができん。国家機密と言っておこう。」
「……わかりました。では続きをお願いします。」
「まず、エレボニア侵攻はこちらの世界に来た時、いきなりエレボニア軍に襲いかかられたからだ。よって我らは身を守るためとこの世界の拠点を作るためにエレボニアに侵攻しただけだ。ロレント保護はそのついでだ。そちらに通達もなしで勝手ながら保護をしたのは謝罪する。」
「……いえ、聞けば市民の保護や食料の配給等もして下さったと聞きます。リベール国民を代表してお礼を言わせて下さい。民を守って下さってありがとうございます。」
アリシア女王はリウイに頭を下げた。それを見てモルガンは慌てた。
「へ、陛下!他国の王族に簡単に頭を下げるなど……!」
「よいのです。民の命と比べられません。……それでできればロレントを返還してほしいのですが。」
「……条件がある。今回の保護で食料、医療薬などかなりの出費が出た。その条件を呑むのなら我ら
メンフィル軍はロレントから兵を退こう。」
「その条件とは……?」
女王達はリウイから出される条件を固唾をのんで待った。

そしてリウイが出した条件とは
1、ロレントの近くにある森の一部にメンフィル大使館を作ることを許可すること。
2、導力技術の提供
3、メンフィルの国教の一つ、混沌の女神(アーライナ)の教義を広めることの許可
だった。

「……以上の条件を呑むのならすぐに兵を退こう。よければ友好の証として現在占領されている都市の解放を手伝うが?」
「いえ、貴国にそこまでしていただくわけにはいきません。条件ですがアーライナ教を広めることにはすぐには頷けません。七曜教会との相談が必要ですので。」
「……いいだろう。こちらにも多少の非はあるしな。返事をもらうまでは我らが責任を持ってロレントを守ろう。」
「……念のためにこちらの兵も置いてよろしいでしょうかな?」
モルガンは情報等手に入れるためリウイに兵の配置の許可を聞いた。
「かまわん。我らをよりよく知るにはちょうどいい方法だしな……」
「ありがとうございます。……陛下、一度城に戻り会議を開かなくては。」
「そうですね……リウイ殿、私達はこの辺りで失礼します。」
一通り話し合いが終わった女王達はその場を去ろうとした時、シェラが入って来た。

「会議中のところ、申し訳ありません。リウイ様、エレボニア兵がボース方面より迫って来ています。」
「何……?ハーケン門にはファーミシルス達を配置したが。」
「敵兵勢力は数はありますが我らが圧倒的に優勢。ファーミシルス大将軍から伝令が来まして、現在ハーケン門にも
ボース方面から向かってきたエレボニア兵を相手にしてるとのことです。恐らくリベールの都市内を占領していた兵が2手に分かれたかと。」
「フン……ロレントとエレボニア侵攻の兵の敵討ということか。出陣するぞ。シェラ、ペテレーネ。」
「御意。」
「はい、リウイ様。」
リウイは外套をペテレーネから受け取るとそれを羽織り、エレボニア兵の出現に驚いている女王達に顔を向け話した。
「我らはこれよりエレボニア兵の迎撃にうつる。よければ我らの戦いを見ていくか?」
「よろしいのでしょうか?自国の戦い方を見せつけるなど。」
女王はリウイの提案に戸惑った。
「かまわん。見られた所で貴殿等が我らの真似をできる訳ないしな。」
「陛下、せっかくのご好意を受けられるのがよいかと思われます。」
モルガンはリウイの言葉に内心、自国では真似できないと言われ憤ったがメンフィルの強さを知りたいため
顔に出さず女王に進言した。
「陛下、将軍の意見に私も賛成です。陛下の身は我らが責任を持ってお守りしますので。」
「大佐まで……わかりました、リウイ殿、よければ後方で貴殿らの戦いを見せて貰ってもよろしいでしょうか?」
「ああ。」
そしてリウイはシェラやペテレーネと共に天幕から出て行き女王達もリウイ達について行き、天幕から出た女王達はすでに整列して命令を待っているメンフィル兵を見て驚いた。

「な……すでに出陣用意ができているとは……なんという早さだ……!」
モルガンはメンフィル兵達の行動の早さを知り驚いた。そしてリウイは兵達の前に立ち、命令を出した。
「我らはこれより街の防衛とエレボニア兵の迎撃にうつる!第1部隊から第3部隊は市民を安全な場所に避難させろ!
第4部隊は……」
次々と命令を出すリウイに兵達はリウイに敬礼をした後それぞれの行動を移すために動き始めた。
そしてリウイ達は少数の兵を率いてボース方面の街道でエレボニア兵が来るのを待ち構えていた。そこにはリフィアやペテレーネもリウイと共にいた。
前線となる場所に皇女や衛生兵がいるのに驚きカシウスはリウイに自分の疑問を話した。

「リウイ殿、前線に皇女やシスターがいるのは危険なのでは……?それにこの数では迎撃が難しいのでは?」
「カシウスと言ったか。何か勘違いしているようだが2人がいるからこそこの数で迎撃できるのだ。」
「ハッ……?」
カシウスはリウイの言葉に思わず呆けた。
「……今にわかる。シェラ、エレボニア兵はまだか?」
「少々お待ちを……複数の反応が近付いております。後、数分で姿を表すかと。」
「わかった。ペテレーネ、リフィア。」
「お任せを、リウイ様。」
「余に任せておけ!リベールの者達よ、余の戦いをその目でしかとみるがよい!」
リウイの言葉を聞き、2人はそれぞれ詠唱を開始した。
「シェラ、お前も準備しておけ。」
「ハッ……いつでもいけます。我が主ご命令を。」
シェラもエレボニア兵が来る方向に攻撃できるように準備した。
そしてついにエレボニア兵達がその姿を見せた。

「来たか……攻撃開始だ。」
「……攻撃開始。」
「……アーライナよ!私に力を……深淵なる混沌、 ルナ=アーライナ!」
「これが余に秘められし真なる力!究極なる光、クロースシエル!」
「「「「「「「「「………ッ!!!!!」」」」」
シェラの砲撃、リフィアの出す強大な光の奔流とペテレーネの出す強大な闇の奔流がエレボニア兵を呑みこみそれをうけた大半のエレボニア兵達は叫び声を上げずのも許されず消滅していった。
「「「「なっ……!」」」」
それを見た女王達は驚愕した。

「敵兵戦力、攻撃前の兵力と比べ3割を切りました。」
「御苦労。いくぞ!一兵たりとも生かすな!」
「オオオオッオオオオオッ!!!!!」
「フフ、やっと私の出番ね。行くわよ!」
リウイの号令でカーリアンを筆頭にメンフィル兵達は進軍しリフィア達の攻撃を運良くのがれたエレボニア兵達を蹂躙した。

「神聖なる力よ!エクステンケニヒ !」
「「「ギャぁぁぁ……」」」
リウイの聖なる力を宿したレイピアが複数の兵を消滅させ
「ふふ、行くわよ……奥義!桜花乱舞!」
「「「グワァ!」」」
カーリアンの剣技は兵達の体を2つに分かれさせ
「古より伝わりし炎よ……落ちよ!メルカーナの轟炎!」
「「「ウワァァァァ……」」」
ペテレーネの火炎魔術に兵達は叫び声を上げながら骨すら残さず炎に焼かれ
「出でよ!ソロモンに伝わりし魔槍!……封印王の槍!死愛の魔槍!」
「「「グッ、ガハ!」」」
リフィアが次々と出す暗黒魔術の槍が兵達を貫き絶命させた。そしてメンフィル兵達も雄叫びをあげ敵兵を討取って行った。

「……メンフィルは信じられない戦い方をしますな……まさか王自身も戦うとは……」
カシウスはシスターのペテレーネや皇女のリフィアの魔術攻撃、シェラの砲撃、またリウイ自身が戦っているのを見て驚愕した。
「王族達も強いが兵達自身、統率がとれ一人一人が強すぎる……これがメンフィルの強さか……」
モルガンはメンフィル兵達の統率のとれた攻撃に唸った。
「……一般兵達がこれほど統率のとれた攻撃にうつれるのはやはり、リウイ殿の仁徳の良さですね……兵の一人一人がリウイ殿を信頼を超えて信仰に近い形で慕っているように見えます……私やクロ―ディア、デュナンでは決して真似はできませんね……」
女王はリウイのカリスマ性を感じ、自分たちでは決して真似できないとわかり溜息をついた。
「それだけではなく、王自身が戦い自らの強さを見せることで兵達の士気も上げているのでしょう……本当にリウイ殿は隠居をなさっているのでしょうか?」
カシウスはリウイの強さは自分を超えていると感じ、また先ほどのリウイの隠居しているという言葉に疑問を持った。そしてわずか1刻でエレボニア兵は全滅した。

メンフィル兵の勝利の雄叫びの中、驚愕している女王達のところにリウイ達が悠然と歩いてきた。
「いかがかな?我が軍は。」
「さすがエレボニアに侵攻するだけのことはありますね……それより、ロレントを守って下さってありがとうございました。」
女王はロレントを守ったことをリウイにお礼を言った。
「気にする必要はない。力持たぬ者を守るのも我ら王族の務めだ。」
「ご高説ありがとうございます。私達も見習わせていただきます。」
女王とリウイが会話を終えた時、今まで黙っていた七曜教会の司祭がペテレーネに質問した。

「ペテレーネ殿、一つ質問はよろしいですか?」
「……はい、なんでしょう。」
「なぜ、奇跡の力を戦争のために使うのですか?我々聖職者はそのような力を決して戦争に使ってはいけないはずです!」
「そう、申されましても……私はリウイ様のためにこの力を使っているだけです。」
司祭はペテレーネの言葉に驚愕した。
「なっ……!個人のためだけに使うというのですか!それでも神を敬う人間の一人ですか!?」
「……もちろん、我が主神、アーライナも敬っております。それにアーライナ様は混沌を司る女神。力をどのように使うかは個人の自由が我らの教えです。それに神核を頂いた時、アーライナ様は自分の思うがままにその力を使えとおっしゃられました。」
「「「「なっ!!!!!」」」」
司祭と横で聞いていた女王達はペテレーネの言葉に絶句した。

「一つだけ言わせてもらいます。あなた達の教義と我が主神アーライナの考えは違います。あなた達の考えといっしょにしないでください。」
ペテレーネは毅然とした態度で自分自身の考えを言った。そして女王達の様子を見たリウイが口を開いた。
「異世界の神官よ、一つだけ言わせてもらおう。ペテレーネは俺にとっても掛け替えのない存在だ。また、我が国にとってもなくてはならない存在だ。この意味はわかるな?」
「……それはどういうことでしょう?」
リウイの脅しともとれる言葉に司祭は震えながら聞いた。
「確か貴殿等、七曜教会にも武装集団がいたな。……”星杯騎士団”と言ったか。」
「なっ……!どこでその名を!?」
司祭は教会でも極秘とされる集団の名前を出され驚愕した。
「この世界はある程度調べさせてもらった。もちろん貴殿等、七曜教会も詳しくな。ペテレーネは我が国メンフィルの神官長であり、王族でもある。ペテレーネや娘のプリネに手を出したらどうなるかわかるな?」
「ッッつ!!!!」
司祭はリウイが星杯騎士団の実態を知っていることに気付き、王族でもあるペテレーネやプリネに騎士団が危害を加えることがあれば先ほどのエレボニア兵のようにメンフィル帝国に蹂躙されると思い、押し黙った。

「……さて、我らは事後処理があるのでこれで失礼させてもらう。先ほどの条件、よい返事を待っている。」
「……はい。では、私達はこれで失礼させてもらいます。」
メンフィルの強さを知った女王達はそれぞれが違った表情を出しながら、リウイの言葉に頷きその場をカシウス達と共に去った。 
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